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2008年02月05日
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テーマ: 吐息(401)
カテゴリ: Essay



 いつもだ。
 いつも、いつも。
 この地を離れてすでに六年が来ようとしているのに。
 駅のプラットホームに降りた瞬間から、わたしの裡では当時の様々な情景が浮かんでは消えた。
 穏やかではいられないのだ。
 それなのに、長年通った歯科医のところへ年に何度か治療の為に訪れるのだった。

 雑踏の中に身を入れた。
 見知った人に出合うこともなく、わたしはその中に紛れ込んだ。



 歯科医は、いつも通りマスクの上から無表情に治療した。
 きっと身なりや年の取り具合、苗字が変わったことなどで、わたしの身の上の変化を知っただろうけれど、何事もなかったように。

 その街の、いろんな場所に思い出が潜んでいた。
 時に、涙ぐむ。
 それほどの強い思い入れがあるわけでもないのに、些細なことでスイッチが入った。
 例えば、紳士服売り場では、季節ごとに選んだスーツのサイズがなくて、探し回ったこととか、食料品売り場ではショッピングカートに、好物の品を放り込むときの彼の笑顔など。

 そんなことがさざ波をたてるのだろうか。
 四半世紀近く住んだ街は、わたしの裡に何かを刻み込んだに違いない。
 だから、この街に足を踏み入れた瞬間に、わたしの体は震えるのだろう。





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最終更新日  2008年02月05日 06時48分18秒
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