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2008年02月07日
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テーマ: 吐息(401)
カテゴリ: Essay
 今日は旧元旦である。

 でも、行事として特に何をするというのではなく、祖母が用意した餅でお雑煮を食べたというくらいの思い出でしかない。
 長く一人暮らしをしていた祖母の好物は、餅だった。
 その餅を美味しそうに頬張る祖母の顔が、旧正月の思い出なのかもしれない。

 そして、もうひとつの祖母の楽しみは、かき餅作りだった。
 海苔、豆、砂糖などを入れた餅を薄く切り、干すのだ。
 それを火鉢の上で焼いては、缶の中に貯めていた。
 わたしはかき餅のおやつを祖母から貰うのだけれど、数枚しかくれなかった。


 祖母は母の伯母にあたる人だった。
 産後の肥立ちが悪く、母を産んで死んでしまった長女の後釜に、末妹が納まったというよくある話である。
 だから全く実母を知らない母の、義理の母が祖母なのだ。
 母は時に、「ばあさんは冷たい人だ。本当の母親じゃないからだ」と言ったことがあった。
 でも、わたしは祖母が大好きだった。
 実直で頑固だったけれど、わたしにはとても優しかった。

 こんな寒い冬の日、わたしは祖母の布団にもぐりこんだものだ。
 その祖母は畳の上で死にたいからと、子宮がんを発病して十年も経つのに、誰にも何も言わなかった。
 そして、畳の上で旅立った。

 旧正月が来ると、祖母を思い出す。 





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最終更新日  2008年02月07日 23時06分51秒
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