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2020.11.15
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第6話「口に出せぬ想い」

縁談が嫌で王宮を飛び出した西州(セイシュウ)の九公主・曲小楓(キョクショウフウ)。
結局、アドゥと一緒に王宮へ戻ったが、まさか師匠・顧剣(コケン)が紹介してくれた″天下一の男″が、砂丘で助けたあの青年だったとは。
アドゥは顧小五(コショウゴ)が協力してくれたとしても、西州王が公主を茶葉商人に嫁がせるとは思えなかった。
「誰があいつに嫁ぐって?…恩知らずなヤツ!顔も見たくない!」
しかし和親の返答期限を翌日に控え、小楓には何の手立てもなかった。
すると母・阿史那雲(アシナウン)が現れ、父のティダールが協力してくれると教える。
確かに西州王も丹蚩の王には手出しできないはず、阿史那雲はすでに手を整えたと話し、丹蚩で隠れているよう助言した。

すると小楓は顧剣に同行を頼みたいと懇願し、難色を示した母を拝み倒した。

翌日、和親の使者として安護(アンゴ)府の高顕(コウケン)と朔博(サクハク)のリドゥンが西州王・曲文成(キョクブンセイ)に謁見した。
しかし西州王が答えを出す前に、側妃・明遠(メイエン)の重体の知らせが届く。
西州王は使節を放ったらかして駆けつけたが、明遠の命のともし火は消えかかっていた。
「私が死んだら天亘(テンコウ)山に埋葬してください…
 王上の妻となりわずか7年ですが、もう悔いはありません」
遠い西域に嫁ぎ、民の安寧を見守ってきた明遠、そしてそれがいつまでも続くことを願っていた。



一足先に焉支城(エンシジョウ)から脱出した小楓は、丘の上で師匠や護衛たちを待っていた。
そこへ顧剣と胡嘯(コショウ)がやって来たが、なぜか顧小五がいる。
実は顧小五は師匠の従弟で、西域に詳しいことから同行を頼まれたという。
その時、城から鐘の音が聞こえて来た。

小楓や顧剣たちは城に向かって拝礼し、哀悼の意を示した。
しかし身分を偽っている李承鄞(リショウギン)は叔母の死を悼むこともできず、背を向けて涙をこらえるしかない。
こうして小楓は顧小五と一緒に一路丹蚩を目指すことになった。

明遠永眠により焉支城は喪に服すことになった。
喪中の婚礼はご法度、九公主の和親については四十九日後に延期される。

…公主、この場所はいかがですか?目の前は豊朝(レイチョウ)です
…今後はここから郷里を眺められます、もう寂しくありません
一方、西州王は葬儀を欠席した小楓に怒り心頭だった。
正妃の関与を疑ったが、阿史那雲はきっと気晴らしに出かけただけだろうとごまかす。
「明遠の死を知れば飛んで帰ってくるはずです、それより妹妹(メイメイ)の葬儀の方が大事ですよ」

小楓は休憩中、自分を可愛がってくれた明遠を思い出していた。
すると顧剣が隣に腰掛け、明遠が自分の人生と引き換えに戦から民を救い、平和を守ったのだとそれとなく小楓を諭す。
「確かにそうね…
 でも遠い異国に嫁いで1人寂しく暮らしていた、いつも故郷からの便りを待ちわびていたわ
 師父、私はそんなの嫌、好きな人と一緒に自由に生きたいの」
小楓の切実な願いに何も言い返せない顧剣、その頃、李承鄞は一行から離れて1人、生母の玉を握りしめていた。



中原豊朝にも明遠公主の訃報が届いた。
朝臣たちは明遠公主の功績を称えて諡号(シゴウ)を授けてはどうかと提案したが、皇帝・李賾(リサク)は無視して和親の話題に変えてしまう。
そこで高坤(コウコン)が上奏しようとしたが、父の高于明(コウウメイ)が目配せして止めた。
仕方なく皇弟・忠(チュウ)王は朔博王からも縁談が持ち込まれ、西州王は喪中を理由に和親の返答を引き延ばしていると報告する。
すると皇帝は安護府にいる第二皇子と第五皇子に必ず和親を成し遂げるよう直ちに書状を送れと命じ、散会した。

高坤は父に皇帝が非情過ぎないかと訴えた。
しかし高于明は非情でなければ帝王は務まらないと諭す。
「陛下ももはやかつての李賾ではない、坤兒よ、よく覚えておけ
 臣下が君主より目立ってはいかん、臣下は君主より危うい
 将来、高家が誰に仕えようと、この天下は豊朝のものだ、それだけは変わらぬ」

再び広大な草原を移動し始めた小楓一行、すると顧小五は九公主が先頭にいる顧剣を見つめていることに気づいた。
「表哥のことが好きなら言えばいいだろう?男は凧のようなものだ
 しっかり糸を握らないと飛んで行ってしまう」
「…でもあの人の気持ちが分からないの」
「知りたいなら私が探ってみよう…あ、だが条件がある
 丹蚩王の幕舎はお宝の山だとか?私に1つ2つ選ばせてくれないか?」
「って、悪徳商人か!…あなたは入れない、でも私が欲しい物を取って来てあげてもいいわ」

その夜、皇帝は明遠の急逝に心を痛めた祖母を見舞った。
すると太皇太后は現在、東宮の主がいないことを懸念し、一刻も早く世継ぎを選んで新たな皇太子に九公主を娶らせるよう助言、それで内憂外患を乗り切れるという。
しかしどうやら皇帝の頭の中にはすでに目星がついているようだった。
「承沅(ショウゲン)は愚鈍ゆえ帝王の器ではありません
 承玟(ショウブン)は意志が弱いため、立太子すれば母親の言いなりになるでしょう
 承鄞に至っては純粋で裏表がない
 知恵や策略に関しては他の皇子には負けませんが、最大の欠点は軽率なことです」
皇帝はやはり冷静で度量が広い第二皇子の宣徳王・李承鄴(リショウギョウ)が適任だと結論づけた。

休憩中、顧小五は小楓の元へ駆けつけ、自分に餅(ビン)を食べさせてくれと言った。
ちょうど後ろに顧剣が座っているため、2人の親しい様子を見せつけて試そうという。
案の定、顧剣は2人の仲睦まじい姿に嫉妬したが、小楓が確認した時にはすでに顧剣は憤慨して目をそらしていた。
小楓は調子の良い顧小五にからかわれたと勘違い、怒って行ってしまう。

顧剣は李承鄞を呼び出し、小楓をむやみに煽らないよう苦言を呈した。
第五皇子が念頭におくべきは自らの使命だという。
しかし李承鄞は小楓の信頼を得ることが必要だと訴え、明遠の死で沈んでいる小楓を元気づければ自分に心を開くはずだと説明した。
すると面白くない顧剣は深入りしないよう釘を刺し、行ってしまう。

顧小五は小楓にどうやら従兄に気はないと教え、諦めるよう説得した。
しかし小楓は師匠の様子が変わったのは顧小五が来てからだと疑い、自ら気持ちを確かめに行く。
その時、顧剣はちょうど1人で川に水汲みに行っていた。
そこで小楓は顧小五から中原の女子より劣ると言われたと嘘をつく。
「でも彼の言う通りよ、だから誰にも好かれないのね」
「卑下し過ぎだ…馬鹿な子だな~皆、君が好きに決まってる」
「じゃあ師父は?!」
顧剣は小楓の言いたいことが分かったが、優しく頭を撫でた。
「師父だってもちろん好きだ、だから弟子にしたんだ」
ただし自分の″好き″は男女の情ではないと断言する。
小楓は深く傷つきながらも、師匠をからかっただけだと笑顔を見せ、その場から逃げるように走り出した。

一方、国境を巡回中だった安護府の裴照(ハイショウ)は、偵察のため潜んでいた丹蚩人に襲われた。
しかし暗器を見事にかわし、丹蚩人の捕縛に成功する。
連行されたバトゥールは海州(カイシュウ)城の襲撃は認めたが、同日に起きた皇太子暗殺は知らないと訴えた。
「中原の太子など見たこともない!」

傷心の小楓は小川で馬を洗いながら、顧剣を目で追っていた。
顧小五はそんな小楓に気づき、川の水を手ですくっていきなり顔にひっかける。
怒った小楓は桶に水を汲み、顧小五に浴びせかけてやり返した。
これを機に2人は川に入って水の掛け合いとなり、気がつくと小楓は久しぶりに笑顔を見せる。
顧剣は小楓のコロコロとした笑い声に気づき、思わず無邪気な小楓の姿に見とれた。
するとふいに小楓が振り向き、目が合ってしまう。
顧剣は慌てて目をそらしたが、小楓は師匠の一瞬の眼差しを見逃さなかった。
…思い過ごしじゃないわよね



小楓一行は死の谷にさしかかった。
ここは危険な場所のため日暮れ前に抜けなくてはならない。
すると一足先に偵察に向かった胡嘯が朔博兵を発見、口笛で合図を送ったが間に合わなかった。
朔博軍に囲まれた小楓たち、その時、高台に将軍・ユエンカーが現れる。
「よう、我らの大王が奴隷を見失った、大人しく差し出せば危害は加えぬ」
朔博王の奴隷とは小楓のことだった。

ユエンカーは配下に小楓だけ生け捕りにしろと命じた。
顧剣たちは懸命に応戦したが多勢に無勢、そこで小楓を李承鄞に託して先に逃がすことにする。
「弓月(キュウゲツ)城で会おう!」
すると李承鄞は小楓を引っ張って馬に乗せ、死の谷から走り去って行った。
ユエンカーは焦ったが、小楓の馬が落として行った鳴り矢に気づく。

つづく


(  ̄꒳ ̄)いや~ロケはいいねえ、やっぱり
それからちゃんと馬に乗ってるの高ポイントだよね~うんうん





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最終更新日  2020.11.15 19:32:44
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