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第11話「手がかりを求めて」

覃川(タンセン)は趙(チョウ)管事を探すため、白月星雲鏡(ハクゲツセイウンキョウ)の化身・白公子と一緒に鯪魚(リョウギョ)城へやって来た。
そこで趙管事が好物だった瓜の種の露店で聞き込みしてみたが、瓜の種が好きな中年の女性は珍しくない。
仕方なく町を散策する覃川と白公子、すると子供に銭袋を盗まれてしまう。
覃川たちは急いで子供を追いかけたが、驚いたことに子供が帰ったのは町の片隅で肩を寄せ合って生きている驪(リ)国人の流民の集落だった。
聞けば国が滅びて村は天原国の妖魔に焼き払われ、何とか生き延びたが今度は天災、何ヶ月もさまよって鯪魚城にたどり着いたものの、太守から救済金を全て取り上げられてしまったという。
稼ぎたくても流民では仕事につけず、身分が低いというだけで暴力を受けることもあった。
驚いた覃川は自分の銭袋で食べ物を買うよう勧め、横暴な太守と話をつけることにする。

…わしの力で封印できたのは妖王の2つの力のみ
…霊灯を守るのだ、お前の命のために
あの時、師匠は霊灯に2つの力を吸い込んだが、その力はなぜか九雲の体内に入っていた。

ここは鯪州府署、寝殿に戻った太守は寝台に見慣れない鏡を見つけた。
「この鏡は?」
太守は手鏡を持って自分の顔を映すと、その隙を突いて背後から覃川が首に短剣を突きつける。
「小白(シャオバイ)?誰が見える?」
「どこの賊なの?!誰と話しているの?!」
「姨娘(イーニャン)?私を忘れた?」

実は太守とは雑役院の趙管事だった。
驚いた趙管事は逃げようとしたが、咄嗟に人形(ヒトガタ)に戻った白公子に足をつかまれ転んでしまう。


趙管事は口ごもったが、白公子に足の裏をくすぐられ耐え切れず、ついに白状する。
実は二萌は天原国の第二皇子・亭渊(テイエン)だった。
そこで2人は鯪州王府の前で露店を開き、二萌が出て来るのを待つ。
するとしばらくして正門が開き、第二皇子が侍衛や使用人たちを引き連れて現れた。
どこへ行くのかと思えば、亭渊は賭場に入ってしまう。


その頃、左紫辰(サシシン)は小さな村に立ち寄っていた。
白河氷原は一面の銀世界、そこで馬車で待つ玄珠(ゲンシュ)のために暖かい外套を買ってやりたい。
しかし毛皮を買うには持ち合わせがなく、紫辰は仕方なく燕燕(エンエン)がくれた玉のかんざしを差し出した。
こうして外套を手に入れた紫辰は急いで馬車へ戻ったが、玄珠と一緒に父がいる。
「父亲(フーチン)?!」
「ここは妖気が強い、早く離れよう」

兵営に戻った天原国の皇太子・靂渊(レキエン)は妖王と交信していた。
香取(コウシュ)山の生き残りによると傅九雲と山主は白河(ハクガ)龍王を殺した後、行方不明だという。
報告を聞いた妖王は冪龍丹(ベキリュウタン)が無駄になったとこぼしたが、少なくとも傅九雲がすぐに姿を現すことはないと言った。
「今のうちだ、山主の封印が解ければ力を取り返すのはたやすい…で、弟の様子はどうだ?
 病というのは嘘だろう?」
「さあな〜妓楼や賭場に入り浸るか、山でくだらん連中と会っている」
しかし妖王は知恵が回る亭渊を警戒、なるべくそばにいるよう指示した。

気楽な藩主を装う亭渊は賭場で遊んでいると見せかけ、実は地下の密室にいた。
密室では江湖の術士たちが第二皇子を出迎え、指示通り凶暴な妖獣を準備したと報告する。
実は亭渊はこの妖獣で霊灯の法力を試すつもりだった。
そこで早速、霊灯に妖獣から魂を奪い取れと命じると、妖獣はみるみる霊気を吸い取られて干からびてしまう。
するとなぜか絵の中にいる九雲の身体にも影響が及んだ。

術士たちは霊灯が手に入ったのも天命だと喜び、皇太子陣営を襲撃して一挙に滅ぼそうと鼓舞した。
しかし亭渊は霊灯を眺めているうち、ふと覃川のことが頭をよぎって上の空になる。
「殿下?…殿下?!」
亭渊は我に返ると、まだ時期尚早だとなだめた。
「全てが整う時まで待つのだ」

馬車に揺られながらいつの間にか眠っていた玄珠。
紫辰はそっと外套を肩までかけてやったが、その時、玄珠が目を覚ました。
「…紫辰、かんざしは?まさか売ったの?あれは燕燕から」
「気にするな、早く休め」
玄珠は紫辰が自分のためにかんざしをはずしたと知り、思わず紫辰に身体を預けた。

九雲はようやく2つの力が鎮まった。
そこで白月星雲鏡を通じて外の様子を見ることにする。
すると鏡にいたずらっぽく笑う覃川が映った。
一体、何をしているのだろうか。
覃川は白公子を趙管事に変身させ、二皇子から霊灯を取り戻そうと考えた。
実はちょうどその時、覃川は楽しそうに白公子に化粧していたのだ。
「小川…」
九雲は愛しい覃川に手を伸ばしたが、触れることは叶わない。



一方、左相国は紫辰と玄珠を連れて氷原の洞窟に到着した。
そこで玄珠は母と再会を果たす。
あの時、白河龍王が驪国の皇宮から秋華(シュウカ)夫人と玄珠を救い出したが、龍王が敗れたと知って左相国が夫人を助け出していた。
今や驪国皇室唯一の血族となった玄珠、左相国は2人を守るのは臣下として当然だと笑い、これから豊城(ホウジョウ)に向かうという。
こうして和やかに始まった4人の食事、しかし紫辰はまだ父を許せず、1人で出て行った。

趙管事に成り済ました白公子は王府へやって来た。
すると誰もが趙管事に頭を下げ、白公子は側仕えを追い払って簡単に第二皇子の寝殿へ入ることに成功する。
白公子は早速、霊灯を探し始めたが、箱の中をあさっていると亭渊が現れた。
「趙君侯(クンコウ)?なぜ声をかけぬ?!」
「私はその~どうしても飲みたくなって…お持ちでないかと…あ、瓊花(ケイカ)海の雲峰(ウンボウ)茶を」
「香取山の品か~姨娘?香取山が懐かしいのか~」
焦った白公子は仕事があると断って退散することにしたが、亭渊が引き止めた。
「覚えているか?傅九雲のそばにいたひ弱で芝居がかったナヨナヨした色白の男の名を?」
「(ムッ)ああ~白公子ですか?」
「そうだ、白公子だ!生きているかな?」
「あの~殿下、そろそろ失礼します」
「待った!実は姨娘にひとつ頼みがあってな、霊灯のことだ」
亭渊は自分の屋敷では人目につきやすいため、趙君侯の屋敷で保管して欲しいという。

つづく


( ̄▽ ̄;)ぁぁぁ…亭渊の肩パットぉぉぉ…目も当てられない…





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最終更新日  2021.04.28 14:49:30
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