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2021.04.30
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第17話「公子斉の正体」

鳳眠(ホウミン)山にある公子斉(コウシセイ)の山荘を探りに来た覃川(タンセン)。
そこで偶然にも復讐の相手である天原(テンゲン)国太子・靂渊(レキエン)を見かけた。
するとなぜかお供に左紫辰(サシシン)がいる。
一体、なぜ2人が一緒にいるのだろうか。

その時、公子斉こと傅九雲(フキュウウン)は休憩に入り、昼寝しようとしていた。
しかし強い妖気を感じ、眠るどころではない。
すると書童・三児(サンジ)が慌てて皇太子が来ると伝えにやって来た。


公子斉は皇太子の来訪を光栄だと喜んだ。
靂渊はそれとなく探りを入れたが、公子斉は香取(コウシュ)山に行ったことはないという。
実は住まいも持たず風来坊で、絵を描くだけで大した仙術も使えないと言うのだ。
そこで靂渊は旧友と良く似ていると話し、公子斉に仮面を取って欲しいと頼む。
凄まれた公子斉は仕方なく素顔を見せたが、靂渊は友人と似ても似つかぬ顔に落胆した。
しかし仮面を外した途端になぜ髭が生えたのか。
すると公子斉は簡単な仙術で変装できると教えた。
「間違いないと思ったのだが…詫びの印に皋都(コウト)の広い屋敷に越して来るといい」
「それなら明日にでも」
靂渊はそこで席を立つと、花創(カソウ)大会にも賓客として招くと約束して引き上げた。



思いがけず次の標的と出くわした覃川。

しかし突然、三児が現れ、邪魔されてしまう。
「小姐姐?あなたも絵を描いてもらうの?」
「違うわ、薬草を採りに来たの」
するとその間に靂渊を乗せた馬車が行ってしまう。

三児に化けていた九雲は屋敷に入ると元の姿に戻った。

「狙い通りか?分かっているぞ?覃川を探すのが目的だろう?」
眉山は靂渊を狙う覃川にとって花創大会こそ絶好の好機、この絵も覃川を引き寄せるためだと承知していた。
図星だった九雲だったが、照れ隠しに否定し、覃川がどうなろうと関係ないと強がる。
ただ皇太子の妖気は確かに自分の体内の2つの力と同じものだった。
まさか妖王は靂渊の背後にいるのだろうか。
驚いた眉山は自分の未熟な封印術では効果が一時的だと焦り、用心するよう警告した。

靂渊は公子斉が傅九雲でもなければ、自分と戦った相手でもなかったと国師に報告した。
また紫辰は自分に従ってはいるが、相変わらず堅物でつまらない男だと鼻で笑う。
しかし国師は紫辰が詹事(センジ)になったのは香取山と傅九雲に関係があると疑った。
「つまり父親を殺したのが傅九雲だと?」
「違う、傅九雲は左相国(サショウコク)に恨みはない、刺客は傅九雲から霊灯を奪った者だ」
国師は次に狙われるのは靂渊だと断言、この刺客を利用して傅九雲を誘き出せと指示した。

皇太子が秋華(シュウカ)夫人と玄珠(ゲンシュ)のため、李(リ)侍郎の隣に屋敷を準備した。
紫辰から話を聞いてすっかり舞い上がる秋華夫人、そんな母を横目に玄珠は靂渊の言いなりになる紫辰を痛烈に非難する。
「あなたの学問は太子のために美人を見繕うためのもの?」
しかし紫辰は何も答えず、疲れたと言って部屋に帰ってしまう。

翌日、紫辰は皇太子に謁見し、花創大会の準備が整ったと報告した。
万花楼(バンカロウ)には礼部が選んだ22名の美女が揃い、異国の娘には李管事が天原の礼儀を教えているという。
「殿下にお伺いしたいことが…花創大会は他国との国交を結ぶためですか?
 それとも本当に太子妃をお選びになると?」
「太子妃は身分が高く、容貌も美しくなければならぬ…玄珠はどうだ?」
「出身も容貌も問題ありませんが、驪国は滅んだので少し不吉かと…」
「不吉か…故国に対してずい分と冷静だな」
紫辰は詹事として進言したと釈明し、最終的に皇太子妃を選ぶのは皇太子自身だと言った。
すると靂渊は紫辰が父の暗殺の件をひと月余りも調べさせておきながら、なぜ手がかりをつかめないのかと訝しむ。
驚いた紫辰はひざまずき、知っていたら落ち着いていられるはずがないと訴えた。
「私が傲慢で妖神を拝まなかったため、父とは不仲でした
 ですから父の遺志を継ぎ、殿下のため妖神に忠誠を尽くします!
 これが父にできる最後の孝行です!」
「その心意気に安心した」
実は靂渊は左相国を殺した刺客が花創大会で事を起こすことを懸念しているという。
しかし紫辰は必ず自分が皇太子を守ると誓った。

町中の娘たちの憧れの的、公子斉が都に現れ、大街は大騒ぎになった。
燕燕(エンエン)飯店の老板娘と郭(カク)大婶も御多分にもれず、公子斉から署名をもらおうと覃川を道連れに群衆に突撃する。
覃川は人混みにもまれながら、この仮面の仙人があの時の公子斉なのかと思うと、署名をもらうことも忘れて見惚れていた。

覃川は万花楼へ出前を届けにやって来た。
そこで公子斉の山荘で見かけた西域の娘を見つける。
覃川は娘の部屋を訪ねると、特別に西域の料理を差し入れした。
「絶対に頑張ってね!一番きれいだもの、たくさん食べて私みたいに太ってね!」
「え?」
「ぁ…その~太子はふくよかな人が好みなの」
胡姫(コキ)は思わぬ情報を手に入れ、感謝した。

覃川が燕燕飯店に戻ると、老板娘と郭大婶がなぜか得意料理を作れと言い出した。
そこで覃川は久しぶりに九雲が好きだった甘酢炒めを作ったが、2人が公子斉に持って行けという。
今や町中の娘たちが競って料理を差し入れており、郭大婶もこっそり届けに行ったが、若くないと追い返されていた。

公子斉の滞在先である太尉府の前には岡持ちを持った娘たちが集まっていた。
すると家職が現れ、銀1銭を納めた者から料理を受け取ると告げる。
娘たちはこぞって銭を払おうと家職に群がったが、覃川は呆れてその場を離れた。
「老天爺、食べ物を無駄にはしません、公子斉とは縁がないので私が頂きます~ふふふ」
覃川は人けのない裏門の石段に腰掛け、自分の料理を頬張った。
その時、騒ぎからこっそり抜け出そうとした公子斉が現れる。
「いいのか?届けずに盗み食いして…お?甘酢炒めか?!私の好物だ」
「…あなたも?」
「ふっ、他にもいるのか?」
覃川は九雲が美味しそうに甘酢炒めを食べていた姿を思い出し、小さくうなずいた。
「それを頂こう、中へ」

公子斉は覃川の料理を嬉しそうに食べた。
そこへ張(チョウ)太尉が押しかけた娘たちのことでやって来る。
しかし覃川に気づき、すでに料理を作る美女がいたのかと笑った。
「彼女は…″最愛の侍女″です、長年、仕えているので私の好みを知っています」
その言葉で覃川はようやく公子斉が傅九雲だと気づいた。



張太尉は賓客の世話をする侍女がいると知って安堵し、帰って行った。
事実に気づいた覃川は慌てて帰ろうとしたが、公子斉が引き止める。
「…傅九雲」
「ふっ、そなたときたら…」
九雲は仮面を外すと、最初は白虎に襲わせ、次は眠り薬で置いてきぼりかとこぼした。
「驪国で私をからかったのもあなただったのね?」
「…そうさ、私の曲を書き換えても許されるのは1人だけ、公主殿下」
九雲は覃川が都にいることも、鳳眠山に来たこともすべて知っていた。
次は恐らく異色の瞳とかつらで変装し、西域の舞の代わりに驪国の舞でも披露するつもりなのだろう。
九雲は覃川の浅知恵をあっさり見抜いたが、ここに来た目的は覃川でも霊灯でもないと否定、自分たちは無関係だと突き放した。
「ならなぜ来たの?…ああ~目的は美女ね?」
「もちろんそなただ…そなたの力でどんな騒ぎを起こせるのか見てみたい
 力尽きて底知れぬ深淵に落ちる時、″九雲大人(ダーレン)助けて″と言うか?」
「残念だったわね!たとえ深淵に落ちても自分で生きて行ける!今日の話を覚えておいて」

九雲に挑発された覃川は憤慨して帰って行った。
復讐に駆られた覃川にはまだ九雲の本音まで見抜く余裕はないのだろう。
「傅九雲も公子斉もただの名前だ…前回はそばにいられなかった、今度はそなたを放さない」
♪~からの周深メンターの歌w
するとその夜、覃川は大切に持っていた紙人形を燃やした。

それから3日後、花創大会の当日の朝、身支度を整えた胡姫は片方の耳飾りを失くして探していた。
その時、突然、差し入れを届けてくれた娘が現れる。
その娘は探していた耳飾りを持っていた。
「ありがとう!」
胡姫は耳飾りを受け取って予行演習に向かおうとしたが、突然、後ろから手刀で打たれ、卒倒してしまう。

陽が暮れるといよいよ花創大会が始まった。
皇太子の隣で仕える玄珠を見ながら複雑な心境の紫辰、その時、遅れて第二皇子・亭渊(テイエン)が到着する。
紫辰と玄珠は亭渊があの二萌(ジホウ)だと気づいて内心、驚いたが、決して顔には出さなかった。



つづく


(  ̄꒳ ̄)あの~白公子はどこへ?w





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最終更新日  2021.04.30 22:09:04
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