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2022.04.25
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カテゴリ: 琉璃 全59話



第57話

禹司鳳(ウシフォン)は天帝の息子・羲玄(ギゲン)だった。
妖魔界がまだ天界に支配されていた頃、妖王は和親により愛娘を天帝に献上する。
天帝は公主と羲玄を手厚く遇したが、柏麟(ハクリン)帝君は所詮、信義にもとる輩に過ぎなかったと言い放った。
修羅族が勃興すると妖王はすぐさま魔族に加担し、公主も妃の座を捨てて妖族側に戻ったという。
羲玄は争いに介入しなかったものの、仙力を捨ててまで戦神を救った。
「今度は完全に妖魔の側に立って天界の私を詰問するのか?」
こうして司鳳も全ての記憶を取り戻した。


しかし帝君は三界を救うためには他に方法がなかったと正当化する。
その代わり羅睺計都に善行を積む機会を授け、元神を守り、転生の際も自ら下界に赴いて修行を助けたという。
「私に恥ずべきところなどない!」
「善行を積む機会?…支配に過ぎぬ」
司鳳は帝君が己の栄誉を守るため戦神を傀儡にしただけだと指摘した。
そこで司鳳は褚璇璣(チョセンヂー)を取り戻すため、帝君にある賭けを持ちかける。
羅睺計都の望みはわだかまりの解消と公正な裁き、そこで天界で2人で会談するよう頼んだ。
もし帝君の懸念が的中し羅睺計都が天界転覆を企んでいたら、司鳳は羅睺計都と共に滅びる覚悟だという。
ただし自分が勝った時は公に謝罪し、羅睺計都を自由にして欲しいと訴えた。
「羅睺計都であろうと褚璇璣であろうと、今後は二度と関わらないでくれ」
「…奴を連れて来い」




亭奴(テイド)と柳意歓(リュウイカン)も逃げ遅れた民を連れて合流、すると突然、司鳳が現れる。
褚玲瓏(チョレイロウ)は挨拶もそこそこに璇璣の様子を尋ねると、司鳳は思いがけず璇璣を救う方法があると伝えた。
実は羅睺計都と柏麟帝君が会うことになったが、あの帝君が素直に頭を下げるとは思えない。
司鳳は帝君を抑えられるのは天帝しかいないと話し、崑崙(コンロン)山にいる天帝に謁見して欲しいと頼んだ。
崑崙は神族しか立ち入れない場所だが、無支祁(ブシキ)なら何らかの手立てがあるはずだという。


無支祁は紫狐(シコ)の死後、気力を失いふさぎ込んでいた。
今日も紫狐の墓前で飲んだくれていると、玲瓏たちがやって来る。
玲瓏は事情を説明して同行を頼んだが、無支祁は我関せずだった。
そこで柳意歓はこのままでは三界が消滅し、そうなれば紫狐の墓はおろか美しい思い出も消えてしまうと訴える。
しかし無支祁は何も言わなかった。
「明日、我らは崑崙山へ…少陽山で待ちます、あなたが来なくても我らは行きます」
鐘敏言(ショウビンゲン)はそう伝え、仕方なく切り上げた。

羅睺計都は司鳳の翼で天界へ向かうことになった。
すると元朗(ゲンロウ)が修羅軍を連れて駆けつけ、金赤鳥を集めて攻撃しよう進言する。
しかし羅睺計都は柏麟帝君のような卑怯な真似はできないと止め、その代わり帝君がもしまた欺いた時には開戦だと言った。

翌朝、無支祁は少陽山に現れなかった。
玲瓏、敏言、意歓は3人で崑崙山へ向かうことにしたが、その時、ひょっこり無支祁が現れる。
喜んだ3人だったが、その時、敏言が気配を察した。
「誰だ?!」
すると物陰から若玉(ジャクギョク)が姿を見せる。
「私も連れて行ってくれないか?」
若玉はその場でひざまずき、悪事を重ねたことを謝罪した。
「許してもらえるとは思っていない、でも小銀花(ショウギンカ)に司鳳を守ると約束したんだ
 せめてもの罪滅ぼしに助けになりたい…頼む」
玲瓏はまだ半信半疑だったが、敏言は本心ならついて来いと言った。

玲瓏たちは無支祁の案内で天帝の下界の住みかにやって来た。
目指すは山頂の開明門、しかしふもとに流れる弱水は人間が渡ろうとすれば冥獄(メイゴク)の火に焼かれて灰になってしまう。
すると無支祁が金赤鳥の羽を使えば渡れると教えた。
驚いた意歓は逃げ回ったが、若玉は自分の羽根を使うよう申し出て舟を作ってくれる。
こうして無事に南の崖を目指した一行、しかししばらくすると崑崙を守る10人の巫仙(フセン)・崑崙十巫(ジュウフ)が行く手を阻んだ。
無支祁は水上では不利になると判断し、咄嗟に舟を岸に付ける。
岸に上がれば怖いものなし、無支祁は見事に青袍(セイホウ)の術を破り、崑崙十巫を弱水へ沈めた。
「我ら崑崙十巫を辱めるとは無礼千万!天帝に訴える!」

無支祁たちは山の南側へ到着し、そびえ立つ崑崙山を見上げた。
しかし御剣の術ではたどり着けず、岩壁を地道に登っていくしかない。
5人は匕首を突き刺しながら必死に山頂を目指し、ようやく開明門へ到着した。
若玉は滑落しそうなところを助けてくれた敏言に感謝すると、敏言は司鳳から事情を聞いていると教える。
「敏言…すまない」
「謝罪は受け入れるよ」

無支祁はここで一休みしようと肉を振る舞った。
その時、美味しそうな匂いに誘われて門番の神獣が現れる。
巨大な獅子の姿に頭が9つある開明獣、そこで無支祁は肉を与え、さらに酒を招喚して飲ませた。
🦁<しまった!素性も調べずに食べてしまった!

しかし時すでに遅く、開明獣は老九を残して皆が酔い潰れてしまう。
兄たちのせいであまり酒を飲めなかった老九、そこで敏言が特別に酒を飲ませてやった。
「大哥たちには秘密にしてくれよ~ゴクゴク…」
喜んだ老九は自分たちの尻尾が開明門の鍵だと口を滑らせ、自慢げに門を開けてみせた。
「これが開明門だ!すごいだろう?」
すると老九も眠くなり、結局、9つの頭が全て寝てしまう。
実は無支祁が飲ませた酒は喚酒神爵(カンシュシンシャク)を使った最強の酒で、1壺も飲めば3日は目覚めないという。
「9つの頭で1壺ずつとしても27日間は目覚めぬ」
「とっくに準備していたのですね?」
敏言は司鳳がなぜ無支祁を頼れと言ったのかよく分かった。

一方、司鳳は黄金の翼で羅睺計都を守りながら天界へ向かっていた。
しかし急に鳳凰の鳴き声が聞こえてくる。
金赤鳥にとって鳳凰は天敵、司鳳にとって鳳凰の鳴き声は耐え難いものだった。
(lll´ཀ`):;*.’:;.,.ダ~
すると今度は帝君が約束を違え、天兵が一斉に矢を放ってくる。
司鳳は身を挺して羅睺計都を守り、翼に矢を受けた。
(´゚ω゚):;*.’:;.,.ブハッ!
羅睺計都は落下する司鳳をつかんだが、そのまま一緒に生死海に沈んでしまう。

羅睺計都は薄れゆく意識の中、戦神の記憶を見ていた。
『…そなたたち修羅は投降し、天界に服従を誓った、今後は魔域に戻り、己の本分を守れ』
仙魔大戦が終わり天帝は修羅族を赦免したが、柏麟帝君は納得できず、密かに戦神に修羅族を滅ぼすよう命じる
こうして魔域に乗り込んだ戦神は妖族を殲滅したが、どこか違和感を感じて戻った
そこで傷を手当てしてくれた当時の医官・亭奴に自分の記憶が欠けているようだと明かす
『あの時、修羅王は私を裏切り者と呼んだ…だが何があったのか記憶にない
 今日は新参者に名を聞かれた、だがこれまで戦神や将軍と呼ばれるだけで己の名を知らぬ』
戦神は自分が一体、どこから来たのか分からず戸惑った

戦神が最後に戦ったのは無支祁だった
戦神に敗れた修羅王は無支祁に頼んで戦神を魔域に誘い込み、最後に残されたわずかな魔気で柏麟帝君の秘密を暴く
壁画で全てを知った戦神は驚愕、自分の心魂がどこにあるのか調べるため、司命殿に向かった

柏麟帝君は掟を破って戦神における詳細を改ざんするよう命じた
しかし仙官が隠匿しようとしたまさにその時、戦神が現れ記録を見てしまう
『柏麟帝君が羅睺計都の心魂を南天仙族の琉璃盞(ルリサン)に封印した
 天帝は帝君の謀略を知るも時すでに遅し、帝君は羅睺計都の身体を作り変え、
 戦神として再生させてしまう』
戦神はついに真実を知った
『柏麟!出て来い!』

つづく


(  ̄꒳ ̄)いや崑崙山に人間は入れんだろう?
それにしても弱すぎる神仙に無駄にデカいだけの神獣って…







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最終更新日  2022.04.25 21:39:53
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