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2022.11.06
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カテゴリ: 玉昭令 全52話



第6話

月心(ゲツシン)湖で全身を水疱で覆われた骸が発見され、次々に水疱に苦しむ民たちが温孤(オンコ)医館に運び込まれた。
早速、端木翠(ダンムーツェイ)と展顔(ヂャンイェン)は捜査を開始、すると幽族に取り憑かれた妊婦を見かける。
「待ちなさい!」
端木翠に気づいた幽族は王(オウ)夫人の身体から抜け出した。
しかし端木翠は蚊男を見て動揺し、直視できないまま火術を放ったせいで取り逃してしまう。

王夫人もやはり身体中に水疱ができていた。
夫の話では芝居を見ている時に物売りが来て砂糖漬けをもらったという。

そこで2人は物売りを片っ端から当たることにする。
すると端木翠が一見、人間のように見える物売りの男から幽族の気息を感じとった。
(」゚ロ゚)」<ぢゃんいぇん!
端木翠はすぐ展顔に合図したが、目を離した一瞬の隙に逃げられてしまう。

人里離れた草むらにある女神(メガミ)廟。
蚊女は泣き叫ぶ子供を哀れに思い、夫がいないうちに逃すことにした。
すると蚊男が現れ、子供を殺してしまう。
「あなた!なぜ子供の命を…」
「お前が無事に赤子を産むには十分な血が必要だ」
実はこれまで蚊女がもらった血も人間の血だったという。
蚊女は人間を殺せば天罰を受けて修練が無駄になると訴えたが、蚊男は九獄(キュウゴク)に幽閉された自分たちは輪廻できず、神仙にもなれないと憎しみを募らせた。


すると端木翠はまた露店の人形が欲しいと言い出し、展顔は仕方なく一対だけ買って店から遠ざける。
その時、端木翠は舟に客を乗せて小島へ向かう物売りを見つけた。

九獄に黒衣の使者から報告が来た。
罠を仕掛けたが端木翠の法力は強大、力を貸して欲しいという。
そこで長老は幽王が作った隔仙(カクセン)陣を授け、この機会に必ず端木翠を仕留めろと命じた。

長老が手を動かすと、黒衣の使者は激しい胸の痛みでへたり込んでしまう。

端木翠と展顔は再び芝居小屋へやって来た。
そこで怪しい物売りの男を発見、端木翠が火術を放つと、男は蚊の姿に戻って逃げてしまう。
同じ頃、温孤医院に黒衣の死者が忍び込んだ。
すると夫が眠っている間に王夫人を連れ去ってしまう。

端木翠と展顔は蚊男を追って郊外へ出た。
すると端木翠は病み上がりの展顔を心配し、信蝶(シンチョウ)を肩に忍ばせておく。
「肩を叩いて呼び出せば私がすぐ助けに行くから」
「ありがとう…でも君が危険な時は?!」
「私の名を聞いただけで誰もが怖がるわ」
しかし端木翠は無数に集まる蚊を見つけ、思わず展顔の後ろに隠れてしまう。
展顔は桟橋でも端木翠が怯えていたことを思い出し、実は提灯の明かりに集まった蚊のせいだったと気づいた。
「端木門主…ひょっとして蚊が怖いのか?」
「まさか~この私に怖いものなんてないわ…ただ嫌いなだけよ」
(´゚艸゚)∴ブッ

端木翠と展顔は蚊が集まる水辺に向かうことにしたが、突然、蚊男が現れた。
「人の命を奪った者は私が成敗するわ!」
「ふん、その昔、お前たち人族も幽族を殺し尽くしただろう?!」
蚊男は幽族が今も九獄でもがき苦しんでいると嘆き、ただ自分の子供が無事に生まれて欲しいだけだという。
「端木…ヤツは時間稼ぎをしている、気をつけろ」
すると展顔が警告した通り、無数の蚊が現れ2人を包囲した。
端木翠はまとわりついた蚊のせいで恐ろしい記憶が蘇り、意識を失ってしまう。
その時、紅鸞(コウラン)が現れ、2人を守ろうとした。
しかしあえなく吹き飛ばされ卒倒、そこへ温孤が駆けつける。
蚊男は温孤の一撃を受けて慌てて逃げ出し、端木翠たちは危ないところで助かった。

端木翠は恐ろしい夢を見て飛び起きた。
温孤は展顔なら無事に啓封(ケイホウ)府に戻ったと安心させ、蚊を寄せ付けない香袋を渡す。
しかし紅鸞は蚊の毒でまだ幻覚から目覚めておらず、しかも医館から王夫人が突然、消えていた。
驚いた端木翠はすぐ出かけようとしたが、立ちくらみを起こしてしまう。
「温孤…蚊を見るたびにある情景が脳裏に浮かぶの、私は無数の蚊に刺され棺の中にいる」
「無理に思い出さない方がいい」

蚊男が洞窟に戻って来た。
外で待っていた蚊女は夫が怪我をしていることに気づき涙する。
「神仙に目をつけられた…もう赤子のために血を取って来られぬ」
「何もかも私と赤子のせいね…」
すると黒衣の死者が現れた。
「大人、今日は王子が…」
「お黙り!まだ時機ではない!…お前は面が割れた、啓封には行くな」
しかし使者はもう一度だけ機会を与えると伝え、蚊男に隔仙陣を授けた。
これは神仙を封じ込められる陣で、中にいれば端木翠は神仙の法力が弱まり、しかも心の奥底の嫌な記憶を呼び覚まして恐怖を高めるという。
「この餌を使え」
使者は連れ去った王夫人を残し、姿を消した。

翌朝、端木翠は法術でこっそり展顔の部屋へ入った。
しかしちょうど着替えていた展顔の背中を見てしまい、驚いて燭台を倒しそうになってしまう。
「…今度、部屋に入る時は戸を叩いてくれないか?」
「戸を通らないから無理…って、誤解しないで、王夫人が消えたの!」
驚いた展顔は早速、出かけようと言ったが、思いがけず上官策(ジョウカンサク)が戸を叩いた。
「顔顔!…イェンイェン!起きてるか?!」
展顔は慌てて端木翠を物陰に隠した。
「何よ?!」
「女子の名節が汚れてもいいのか?!」
「はっ!そうか、人間の男女は同じ部屋にいるところを見られたら結婚するのよね?
 了解、結婚しなくて済むよう隠れるわ」

端木翠と展顔は温孤医館を調べた。
すると医館に謎の足跡と街中にはない葦(ヨシ)の葉が落ちているのを見つける。
「蚊の気息が付いてるわ…どこの葦?」
「蚊は水辺にいる…城東だ」

温孤は端木翠の様子を見に来たが、すでに寝台はもぬけの殻だった。
そこへ司法星君・楊鑑(ヨウカン)が現れる。
温孤は端木翠が蚊を捕まえに行ったと伝えたが、楊鑑の顔色が一変した。
「何だと?!」
実は端木翠は昔、母親と一緒に生き埋めにされ、救出された時は全身を蚊に刺されていたという。
それ以来、端木翠は何より蚊を恐れていた。
「さっさと探して来いっ!」

端木翠と展顔は罠とも知らず城東へやって来た。
曲がりくねった水路に生い茂る葦、やがて2人の前に蚊男の幻術が現れる。
端木翠は乾坤袋から出した玉で幻術を爆発させたが、展顔は咄嗟に端木翠を抱きしめてかばった。
守ってもらう必要はなくとも悪い気はしない端木翠、しかしその隙をついて蚊男が陣を敷き、端木翠だけ引きずり込まれてしまう。



端木翠は戦場で戦う自分の姿を見ていた。
その惨状に驚愕する端木翠、すると霧が晴れるように幻覚が壊れて行く。
一方、展顔はこつ然と消えた端木翠を必死に探していた。
そこで肩を叩き信蝶を呼び出したが、端木翠の気息がなく戻って来てしまう。

その頃、温孤も端木翠の行方を追っていた。
すると折り鶴が駆けつけ、葦原にいると報告する。
折よく紅鸞(コウラン)も目覚めたと知り、温孤は蚊男と戦った紅鸞が役に立つと考えた。

端木翠は法陣を壊せず、小舟で水路を回っていた。
「嫌な予感がする…」
そこで岸に上がったが、ついに蚊男が現れる。
するとお腹の大きな蚊女が駆けつけ、子供のためにも上仙と戦ってはならないと訴えた。
蚊男はもはや引き返せないと覚悟を決め、上仙と言っても蚊が怖いならまたとない好機だという。
「なぜそれを?!(はっ)怖いわけないじゃない、嫌いなだけよ」
端木翠は精一杯、強がって三昧真火(サンマイシンカ)で決着をつけようとしたが、炎が弱い。
「ぶはははは~!これは幽族の使者から賜った隔仙陣、神仙の法力を弱めるのだ」
蚊男は端木翠から蓬莱図を奪おうと飛び出したが、端木翠は咄嗟に温孤がくれた香料をまいた。



香料を浴びた蚊男は身体に無数の火傷を負った。
憤慨した蚊男は再び端木翠に襲いかかったが、その時、展顔が現れ端木翠を救う。
しかし蚊女が急に腹痛を訴え、蚊男が気を取られているうちに端木翠と展顔は舟に乗って逃げ出した。

迷宮に入った端木翠と展顔、気がつくと小舟は何度も同じ水路を回っているだけだった。
そこで展顔は陸路へ移動しようと提案する。
端木翠は法術を使おうと構えたが反応なし、すると展顔が端木翠の手を取り、軽功で飛び上がった。
2人は恋人同士のように手を繋ぎ、しばし空中遊泳を楽しむ。
一方、温孤は紅鸞を連れて葦原に到着した。
しかしある地点まで来ると端木翠の気息が急に途絶えてしまう。
…はっ!隔仙陣?幽王の死後、途絶えていた陣だ、一体、誰が?…
その時、蚊男が偶然にも近くを通りかかった。
温孤に気づいた蚊男は慌てて逃げようとしたが、温孤に足をつかまれてしまう。
「端木翠はどこだ?!」
「知るか!」

温孤は蚊男に襲いかかった。
すると蚊男は口吻を切り落とされ、動揺する。
その時、紅蘭は助太刀するよう見せかけ、咄嗟に蚊男の前に立ちはだかった。
「私を人質に…」

つづく


( ๑≧ꇴ≦)恐るべし制服マジックw





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最終更新日  2022.11.06 15:40:30
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