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2023.07.31
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第34話

赤地女子(セキチジョシ)は自分に仕えたいと申し出た丹音(タンイン)をいきなり斬りつけた。
しかしふと我に返り、それが自分の妄想だったと気づく。
赤地女子は過ちを犯さなかったことに安堵したが、自分の異変に気づいて激しく動揺した。
「気分が悪いの、もう帰って」

その夜、赤地神仙の部屋から怪しい物音が聞こえた。
天兵たちは慌てて見回りに駆けつけたが、崇気(スイキ)の怨念に取り憑かれた赤地女子は無意識に衛兵たちを殺してしまう。
すると心海に太歳(タイサイ)が現れた。

『私は希望を与えただけ…
 もう勝負はついている、お前の身体は間もなく私のものになる、ぶはははは!』



雲中君は太歳が現れたと聞いても、錯乱した赤地女子の妄言だと取り合わなかった。
長珩(チャンハン)は赤地女子が崇気に侵されていることから、本当に太歳と関わりがあれば大事だと警告する。
しかし太歳は初代の息山神女(ショクサンシンニョ)に身体を滅ぼされて以来、歴代の神女に封印されていた。
雲中君は太歳にもはや古(イニシエ)の力などないとあなどり、残された魂も蘇った息芸(ショクウン)が抑えてくれるはずだという。
「生き残った太古の凶神など水雲天の脅威ではない」
長珩は結局、兄にとって大事なのは三界の平安より月族への恨みを晴らしたいという私心だと気づき、失望した。

雲中君は赤地女子が弟子の罪を軽くするため太歳を持ち出したと断罪した。
神仙たちもいくら戦功があるとは言え、元神が崇気に侵される前に赤地女子を死罪にして災いが広がるのを止めるべきだという。
唯一、澧沅仙尊(レイゲンセンソン)だけは反対したが、雲中君は赤地女子の処刑を命じた。


すると気配を感じた丹音が目を覚まし、父の異変に気づく。
「私に何か隠しているの?」
「バカなことを…いいから寝なさい」
丹音は黙って父を見送ったが、結黎(ジエリー)の部屋に乗り込んで叩き起こした。
「言いなさい、父上はどこへ行ったの?」

「父上はあなたを連れ帰ってから様子がおかしくなった!
 もういいわ、あなたにとって父親でも何でもないのでしょう?関係ないわね」

澧沅は地位を利用して渡業淵(トギョウエン)の護衛を下げ、容昊(ヨウコウ)を訪ねた。
そこで解放する代わりに蝶衣(チョウイ)を引き渡せと迫る。
「娘を解毒させたのち手出しできぬよう始末させてもらう」
「蝶衣は私の腹心だ…苦しまぬよう逝かせてやってくれ」
🦋.oO(eeeeee~!
澧沅は令牌をはめて結界を解くことにした。
その時、駆けつけた丹音が術を放って令牌を吹き飛ばす。
「父上!」
しかし父娘がもめている間に蝶衣が落ちた令牌を拾って容昊を解放した。
澧沅は娘をかばって崇気に倒れ、もはや絶体絶命となる。
すると容昊は一刻も早く師匠の元へ向かうため、蝶衣に丹音の始末を頼んだ。

丹音は蝶衣に戦いを挑んだが、蝶衣が隙を見て澧沅を人質に取った。
仕方なく剣を捨てた丹音、その時、驚いたことに結黎が現れる。
結黎は蝶衣の味方のふりをして丹音の剣を奪ったが、その剣で蝶衣を刺した。
「…私を殺せばお前も道連れになるぞ」
「2度と操られてたまるもんですか!」

容昊は寝殿で倒れている師匠を見つけた。
「師父…遅くなりました」
一方、澧沅は娘たちを寝殿に送り、これから自首すると伝えた。
父として丹音を守れず、結黎を解毒できず、2人の母の死に目にも会えなかったと嘆く澧沅、せめてこれからは姉妹で助け合って欲しいという。
しかし丹音は父に抱きついて離れようとしなかった。
すると結黎が咄嗟に丹音を点穴し、眠らせてしまう。
「私に任せて」

目を覚ました丹音は父を行かせた結黎を激しく責め立てた。
結黎は生きるためだと憎まれ口を叩き、これまでも親友に背き、愛する人を騙したという。
「あなたの父親も愚かよ、いい子のふりをしたらひたすら私を気にかけて言いなりになった
 でもだまして得た愛など何の意味もない…もう騙すのは嫌よ」
その時、結黎は解毒薬の効果が切れて急に倒れてしまう。

東方青蒼(ドンファンチンツァン)は小蘭花(シャオランファ)が記憶を取り戻す方法がないものか考えあぐねていた。
するとめずらしく息芸が会いに来てくれる。
東方青蒼は喜んだが、息芸は改めて自分が小蘭花ではないと釘を刺した。
「小蘭花と縁があり、婚姻するところだったのね、長珩仙君から全て聞きました
 でも小蘭花はもう戻ってこない…
 あの時、司命(シメイ)は私を守るため、平凡な蘭の花に見せかけ守ってくれた
 小蘭花はその時の見せかけの存在なのです、記憶も失い、小蘭花は消えたわ」
「それは違う、証しがある」
東方青蒼は息芸も小蘭花と同じように草花を好み、淡い色の衣を着ていると訴えた。
しかし息芸は長珩との婚礼が3日後に決まったと教えて戻ってしまう。

丹音は結黎を連れて息山にやって来た。
蝕心丸(ショクシンガン)に侵された結黎はすでに経脈が弱まり、歩くこともままならない。
「もう放っておいて…」
しかし丹音は結黎を背負い、息蘭聖境まで歩いた。

司命殿から出て来たのは觴闕(ショウケツ)だった。
觴闕は外套を目深にかぶっているのが結黎だと気づいたが、あえて何も言わずに対応する。
すると息芸は結黎の解毒に尽力すると約束してくれた。
丹音は感謝したが、実は容昊が脱獄したと報告する。
驚いた息芸と長珩は丹音から詳しい話を聞くことにした。

息芸はもはやかつてのおどおどした小蘭花ではなかった。
その威厳はまさしく三界を守る息山神女、丹音は確かに長珩とお似合いだと納得する。
結黎は長珩をまだ諦められないのか聞いたが、丹音は小蘭花の素性を明かした時点で諦めがついていたと漏らした。
すると丹音は自分と違って結黎は觴闕に愛されているという。
「觴闕は私にとって、この世で最も清らかで光り輝く優しい男なの、私では釣り合わない」
「そんなことない!あなたは私の妹なのよ?黒龍どころかもっと偉い人でも大丈夫」
「分かってないのね…」
結黎は自分が丹音のように信頼や愛を得られるような人間ではないと卑下した。
「もし得たとしても、どうせ失ってしまう、最初から期待しない方がいい」
「臆病なのね」
一方、觴闕も臆病になっていた。
そこでもう一度、結黎の愛を取り戻すため相思燭(ソウシショク)を使いたいと考えたが、月尊に叱られてしまう。
「最初から海市の手先だった、偽りの姿だったのだ、蝋燭を捨てよ」
「いいえ、試します!」
「現実を見るのだ」
「尊上こそ!(はっ!)…失言でした」
しかし東方青蒼は黙って觴闕に酒を勧めた。



息芸と長珩は念のため太歳の様子を調べに洞窟へやって来た。
すると太歳に封印を破られたと知る。
恐らく小蘭花が玄虚の境で元神が砕け、力が衰えた隙に封印を破ったのだろう。
息芸と長珩はこの機に太歳を滅ぼそうと誓ったが、東方青蒼はまだ2人の婚姻に納得できなかった。

丹音は結黎を置いて水天雲に戻り、父の行方を探すことにした。
そこで帰り際、思い切って長珩に聞いてみることにする。
「心から望んで息山神女を娶るのですか?」
丹音は思えば長珩への執着や欲深さから天極鏡(テンキョクケイ)で見た預言を隠して自分を騙していたと後悔した。
「あなたにも執着心に取り憑かれて欲しくなくて…」
「もう言うな、これは運命なのだ、どれほど受け入れ難くても受け入れなくてはならない」

つづく


( ๑≧ꇴ≦)もう月尊と觴闕、何やってるの?w





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最終更新日  2023.08.05 22:14:11
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