【現代劇】マリアージュ・ブラン~嘘つき弁護士の愛の法則~全40話 40
風起隴西-SPY of Three Kingdoms-全24話 24
【現代劇】イジワルな君に恋をした~Sweet First Love~全24話 24
燕雲台-The Legend of Empress-全48話 48
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上阳赋 The Rebel Princess第18話「待ちわびた英雄」ついに始まった謇寧(ケンネイ)王の攻城。暉(キ)州は様々な策を講じて抵抗して来たが、その夜、いよいよ城門が破られてしまう。報告を聞いた宋懐恩(ソウカイオン)は城門へ急ぎ、必死に敵兵の入城を食い止めていた。翌朝も上陽(ジョウヨウ)公主・王儇(オウケン)は次々に運ばれてくる負傷兵の介抱に追われていた。するとついに西門が破られたと報告が届く。南門は宋懐恩と牟連(ホウレン)が必死に守っていたがもはや時間の問題、そこで王儇は龐癸(ホウキ)に民たちを裏門へ移動させるよう命じた。見かねた三皇子・馬子澹(バシタン)は一緒に逃げようと説得したが、王儇は聞く耳を持たない。「私は死んでもここを離れない! 子澹哥哥?あなたはこの国の皇子でしょう?有事には民を保護し、天下を守る義務がある これ以上、煩わせないで、死を恐れ逃げるのは卑怯よ!」「死など恐れてはおらぬ!暉州まで来たのはそなたを救うためだ!」「…私がなぜ蕭綦(ショウキ)に惹かれたか分かる? 蕭綦は国を守ろうと死力を尽くして戦っている、あなたはどう?! 子澹哥哥、あなたを傷つけたくなかったけれど言わざるを得ないようね…軽蔑するわ」その頃、南門では宋懐恩たち寧朔(ネイサク)軍が命を懸けて反乱軍を押し戻そうとしていた。しかし急に敵軍の警告の笛が鳴り響き、兵士たちが撤退して行く。懐恩たちは何事かと驚いて城門の外を見ると、王妃が刺繍した外套をまとって戦う蕭綦の姿があった。「くま們!ひるむな!かかれえぇぇぇぇ!」「うおぉぉぉぉ~!」すると謇寧王は撤退を命じ、我れ先に逃げて行った。敵軍の侵入を阻むため刺史府の門は固く閉ざされた。説得をあきらめた子澹も病人の搬送に手を貸す中、王儇は民を逃すまで時間をかせごうと正門へ戻ってしまう。王儇の護衛である龐癸は自分に任せて退避するよう訴えたが、王儇は捕らわれた時には自死する覚悟だと伝えた。反乱軍が刺史府の正門を破ろうとしていた。兵士たちは必死に門を押さえていたが、もはや限界が迫る。その時、急に外が静かになった。兵士たちは一斉に振り返り、王妃の指示を待つ。「…開門」その時、屋敷の前に勇猛な寧朔軍の姿が見えた。するとついに待ちわびた英雄の姿が現れる。王儇は思わず少女のように駆け出し、蕭綦の胸に飛び込んだ。城楼を埋める兵士たちの歓声の中、王儇と蕭綦がやって来た。牟連は豫章王に拝礼し勝利を宣言、すると蕭綦が兵士たちを労う。しかし誰より勇敢だったのは阿嫵だと知った。「まさか私の王妃が名軍師だったとはな」「言い過ぎよ」王儇はこれも皆の協力のおかげだと謙遜したが、兵士たちは一斉に王妃を称えた。謇寧王は慌てて撤収したため、食糧を置き捨てていた。そのおかげで夜は盛大な祝宴が開かれる。「兄弟們!こたびは厳しい戦だった!私は皆を誇りに思う!」大王!威武!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<だーわん!うぇいうぅ!すると懐恩と牟連が王妃の武勇伝を話した。今や暉州の誰もが王妃を慕っているという。「では最大の功労者は王妃か~では王妃に乾杯しよう」「王妃、威武!」王妃!威武!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<わんふぇい!うぇいうぅ!しかしそこへ酔っ払った子澹が現れ、賑やかな酒宴が水を打ったように静まり返った。同じ頃、龐癸は王妃の寝殿の戸を王氏の合図で叩いた。「どうしたの?」「巡回の際に捕らえた兵が暉州戦について書かれた文を持っていました 豫章王の側近です…」王儇は敵に間者を送るのはよくあることだと言ったが、その間者の文には王氏の紋章があったという。証拠の文を見た王儇は驚愕し、思わず文をぐちゃぐちゃに丸めた。「その兵は?」「牢で自決しました」子澹は豫章王に桃花酒を差し入れに来たと言った。「この酒は…亡くなったある者が最も好んでいた、豫章王と飲み明かしたい」「蕭綦、酒を飲みませんので代わりに水で殿下の杯をお受けしたします」「水だと?酒を飲め」子澹が豫章王にからむと、懐恩は豫章王が酒を飲まない理由を教えた。「三皇子殿下、大王は以前から″長はいかなる時も素面で″との信条があります」そこで胡光烈(ココウレツ)が大王の代わりに飲むと申し出たが、子澹が拒む。「この酒は誰でも飲めるものではない…子澹、先に飲みま~す!豫章王、はい…」胡光烈はしつこい三皇子の腕をつかんで止めたが、酔っていた三皇子は力なく尻餅をついてしまう。すると醜態を晒した子澹は面目を失い、自ら帰って行った。王儇は回廊でひとり悶々としていた。…父上は蕭綦を心から信じたことはないのね、それは蕭綦も同じ…婚礼服を着て家を出た瞬間から父上は娘さえ信じなくなり、蕭綦を利用しながら警戒してきた…彼のそばに間者を置き、私との間にも距離ができた…いつか2人が敵対する日が来たら、一体どちらにつけばいいの?すると蕭綦が現れ、優しく抱きしめる。「どうして外にいる?」「酒臭いわ、飲んだの?」「飲んでいない、ある者に酒をひっかけられたんだ…」蕭綦は阿嫵を抱き上げ、寝殿に入った。久しぶりに肌を重ねた蕭綦と阿嫵。阿嫵は祝宴で騒いだのが子澹だと分かっていた。すると阿嫵が実は子澹と会った時、過去はとうに捨てたことに気づいたという。しかし蕭綦は青梅竹馬の三皇子を捨てられるのかと聞いた。「うふふ、まさか蕭綦がヤキモチ?」「そうだ」「来るのが遅いからよ、生涯をかけて償ってもらわないとね」すると蕭綦は今生だけでは足りず、阿嫵の来世も次の世も欲しいと言った。密室で朗報を待っていた二皇子・馬子律(バシリツ)だったが、予想外の報告が舞い込んだ。豫章王妃の妙策で謝淵(シャエン)は自死、呉謙(ゴケン)も捕らわれ、そこに豫章王が到着して攻城も失敗に終わったという。「謇寧王は軍を立て直し、寧朔軍との戦の準備中です」一方、皇太子・謝宛如(シャエンジョ)は侍従を呼び、暉州へ向かった蘇錦児(ソキンジ)を監視するよう命じていた。実は錦児に渡した丹薬は猛毒のため、王儇が飲めばすぐに息絶える。宛如は成功したらすぐ錦児を殺して口を封じ、もし失敗した時は王儇を始末するよう指示した。蕭綦は翌日には暉州を離れねばならなかった。暉州を守ったとは言えまだ先鋒部隊を撃破しただけ、主力を退けてから阿嫵を迎えに皇都へ行くことになる。しかし今回の阿嫵の帰京は事情が違った。「この匕首は私と共に戦をかいくぐり、幾度となく私の命を救った、持って行きなさい …それから優れた護衛を2名つける」蕭綦は手練れの女刺客を紹介し、侍女としてそばに置くよう勧めた。蕭綦は阿嫵と朝食を済ませ、身支度を整えて屋敷を出た。しかし王儇は別れが辛くなると見送りに出ない。蕭綦は宋懐恩に皇都の道中は決して気を抜かないよう命じた。( ತ _ತ)<ハアァァァァ~…大王?三皇子、ありゃ王妃に未練がありますぜ( ー̀ωー́ )<懐恩、お前は王妃を守ってくれればいいんだ( ತ _ತ)<ういっス王儇は久しぶりに玉秀(ギョクシュウ)と酒を楽しんだ。戦が終わって安心したのか玉秀はすぐ酔いが回り、秘めていた宋将軍への恋心を告白して酔いつぶれてしまう。そこへ懐恩がやって来た。懐恩は拝礼して顔を上げたが、酒で頬がほんのり赤くなった王妃の美しさに驚き、思わず目をそらしてしまう。「ぁ…王妃、外に蘇錦児という娘が…」「錦児…錦児が帰って来たのね!」王儇は喜び勇んで走り出した。すると錦児は門でひざまずき、王妃にすがりついて号泣してしまう。「王妃…おそばを離れてすみません…だぁーっ(꒦ິ⌑꒦ີ)」「もういいのよ」日が暮れる頃、ようやく目を覚ました玉秀は慌てて王妃の元へ向かった。しかしそばには錦児が仕え、自分が入る隙もない。すると錦児は未だ婚礼の夜に逃げた豫章王を責め、三皇子はどうするのか聞いた。「あなた誰?たわ言はやめて!」憤慨した玉秀は思わず部屋に乗り込んだが、そこにいたのは王妃がよく話していた姉妹のような侍女・錦児だと知る。そこで錦児はそろそ酒をやめて茶にしようと提案、玉秀に王妃を任せて出て行った。(๑ŏ_ŏ)<王妃、錦児姐姐が戻ったから私はお役御免だって皆が言うんです…(^ꇴ^)<何よ、大王をかばったのかと思ったらやきもちなの?一方、厨房では錦児が皇太子妃からもらった丹薬を茶に混ぜていた。…王妃、ごめんなさい…でも今は豫章王を慕っておられるんだもの、三皇子殿下へのお気持ちも以前とは違うはず…私のためにどうか三皇子殿下を解放してくださいするとそこへ玉秀がやって来た。「久しぶりの再会ですからお茶は私が、茶菓子も用意します」「じゃあ、お願いするわね」つづく( ̄▽ ̄;)何だか見ちゃいけないものを見た気がする寝屋の二人w
2021.10.29
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上阳赋 The Rebel Princess第17話「戦の序幕」皇太子妃・謝宛如(シャエンジョ)は父を死に追いやった上陽(ジョウヨウ)郡主・王儇(オウケン)に恨みを募らせた。そこで三皇子・馬子澹(バシタン)を愛する蘇錦児(ソキンジ)を利用し、復讐しようと思いつく。一方、なかなか眠れない王儇は侍女・玉秀(ギョクシュウ)と散策していた。するとちょうど軍事会議を開いている宋懐恩(ソウカイオン)たちの姿を見つける。王儇は邪魔しないよう引き返すことにしたが、門衛が拝礼したため懐恩がやって来た。宋懐恩は謇寧(ケンネイ)王からの攻城に備え、策を練っていたと報告した。今は牟連(ホウレン)が王妃の指示通り軍旗を城楼に掲げ、炊煙を増やして大軍がいるよう見せかけているが、長くは欺けないだろう。大王が到着するまで早くても6日、懐恩はいざという時は水路から退避するよう伝えた。しかし王儇は豫章(ヨショウ)王妃として大王の兵と共にあるべきだという。一方、宛如は錦児に子澹の心から王儇を追い出せば隙ができると吹き込み、丹薬を差し出した。「1つは子澹に渡したわ、もう1つを王儇に飲ませなさい …これは身体ではなく心を傷つけるもの、成功したら子澹の貴妃にしてあげる」すると錦児は子澹のためになるならと薬を受け取った。謇寧王は蕭綦(ショウキ)が本当に暉州にいるのか真偽を調べるため攻城を決めた。敵軍の動きを知った宋懐恩は王妃に報告、もし攻められれば敵の10分の1以下の兵では2日しか持ち堪えられないという。王儇はそれでも豫章王がいると信じ込ませるしかなかったが、もはやいくばくか時間を稼ぐことしかできないと腹をくくった。王儇は玉秀たちと一緒に民への配給を始めた。すると門前で何やらもめ事が起こる。「王妃!素性の知らない男が王妃に会わせろと…」仕方なく王儇は門に向かうと、そこにはかつて生涯を誓い合った子澹が立っていた。久しぶりに再会した子澹哥哥はやはり顔がデカかった。子澹は暉州が陥落すれば阿嫵(アーウォ)の命も危ないと訴え、全てを捨てて2人で逃げようという。「よくも言えるわね?約束を破ったのはあなたよ?あの夜で何もかも変わった」「約束を破ったのではない…そなたが待たなかった」すると子澹は直しておいたかんざしを渡した。王儇はあの夜の切なさを思い出し感傷的になったが、すでに自分の心は豫章王のものだという。しかし子澹は王儇が再び自分が傷つけられるのを恐れているのだと思い込んだ。「阿嫵…2度とそなたを失いたくない、私と一緒に行こう!」子澹は思わず阿嫵を抱きしめた。しかし王儇は自分たちが終わったことを受け入れるべきだと突き放す。「協力してくれるならここに残って、過去にしがみつくなら帰ってちょうだい」それでも子澹は阿嫵の手を握り、強引に連れて行こうとした。王儇はそれを逆手に取り、配給に集まっている民たちの前に子澹を連れて行ってしまう。「皆さん!三皇子殿下が皇都からお越しくださいました 安心して、殿下がいれば暉州の安寧は守られます」王妃の言葉に歓喜する民たち、これでは子澹も阿嫵を連れて逃げるわけにいかない。すると慌てて宋懐恩が駆けつけた。三皇子の姿に驚きながら拝礼した懐恩だったが、今は事情を聞いている暇がない。「反乱軍が南門に集結しています」王儇は城楼から敵軍を見た。あの大軍が相手では到底、太刀打ちできない。「…私が行くわ」謇寧王が攻城の準備を命じた。すると城門が開き、馬に乗った女がひとりで向かってくるのが見える。宋懐恩や牟連(ホウレン)たちはその様子を城楼から見つめていた。「王儇が謇寧王にご挨拶いたします」「阿嫵だったか」謇寧王は戦の神と呼ばれる豫章王が敵の前に王妃を差し出すとは思えず、やはり城内にはいないと分かった。そこで王儇は天下を取れるのは民に慕われてこそだと訴え、戦によって民が被害を受けないよう1日だけ猶予が欲しいという。「謇寧王、攻城を明日に延ばしてくださるなら、民は王の敵とはなりません」しかし軍令は絶対、謇寧王は引き返せないと突っぱねた。「では私を踏みつけてお行きください」城内に戻った王儇は玉秀と牟夫人に民を刺史府に避難させるよう命じた。子澹は時間稼ぎに何の意味もないと冷ややかだったが、王儇は黙って龍徳閣へ登って行く。「将士們!私は一介の女であるが、命を惜しまず、死を恐れない! 明日は激戦になるであろう、命を懸けて暉州を守る!」すると兵士たちも命を懸けて暉州を守ろうと声を上げた。一方、皇都では王藺(オウリン)が密かに青雲(セイウン)道士と接触していた。未だ毒薬の効果が現れず、このままでは謇寧王の謀反という好機を逃してしまう。道士は皇帝が痛み止めとして1日に3~4粒は服用しており、半年以内には崩御すると報告した。しかし王藺は3ヶ月以内に結果を出せと迫る。「焦れば人に気づかれます」「3ヶ月と言ったのだ、それ以上は待てぬ」皇帝は怪しまれないよう道士の丹薬を所望していたが、実は飲んだふりをして薛道安(セツドウアン)の手に吐き出していた。その夜、王儇は夕食も取らず、座ったまま少し眠ることにした。玉秀は邪魔しないよう部屋を出たが、そこへ三皇子がやって来る。「王妃はお休みになりました、お疲れのようです」「…休ませてやれ」その頃、王儇はすでに夢の中だった。しかし夢の中に現れた蕭綦はどこかへ歩いて行ってしまう。翌朝、ついに敵軍の攻撃が始まった。城楼には激しい砲弾が襲いかかり、あっという間に戦火に包まれる。しかし宋懐恩、牟連、龐癸(ホウキ)たちは懸命に兵士たちに指示を出し、見事な戦術で敵軍が場内へ侵入するのを阻んだ。民たちは刺史府に避難したものの不安を募らせた。そこで王儇は食事を配給すると伝え、兵士が命懸けで守っていると安心させる。「将士們は必ずや勝利するでしょう、もうすぐ豫章王も軍を率いてやって来ます」すると民たちは自分たちを守ってくれる王妃に感銘を受け、率先して協力しようと決めた。しかし未だ豫章王からの連絡はなく、実のところ王儇にもこの先、どうなるのか分からない。そしてその夜、必死の抵抗もむなしくついに城門が破られた。宋懐恩は精鋭の寧朔(ネイサク)軍を引き連れ、急いで城門へ向かう。つづく(」゚ロ゚)」<じぃぁんしめん! ←ただ言いたいだけw
2021.10.29
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上阳赋 The Rebel Princess第16話「王儇の智慧」暉(キ)州で監禁され、刺客に襲われた上陽(ジョウヨウ)郡主・王儇(オウケン)。しかし呉謙(ゴケン)の不忠に憤っていた牟連(ホウレン)に救われる。するとちょうど宋懐恩(ソウカイオン)が王氏の護衛を連れて戻り、別邸を襲う暉州兵たちと交戦になった。王妃を護衛する牟連は門の隙間から戦いを見守った。しかし無意味な争いに胸を痛め、思わず外へ飛び出し、戦いを止める。牟連は暉州兵を扇動していた男を問答無用で殺し、反乱軍に加担して謀反を企てた叔父とは一線を画し、大成の兵として朝廷を守るのが自分の任務だと訴えた。すると暉州兵は大義のため家族を捨てた牟連の忠勇に感銘を受け、武器を降ろして大成に忠誠を誓う。こうして王妃の別邸は鎮圧されたが、一刻を争う事態は変わらなかった。王儇は宋懐恩、牟連、龐癸(ホウキ)に心から感謝し、何としてでも謇寧(ケンネイ)王の入城を阻んで暉州を守るよう命じた。暉州は皇都に通じる要衝(ヨウショウ)の地、陥落すれば皇都が奪われたも同然となる。牟連の話では城門は3つ、西と北の城門は問題なく占領できるが、南門は数万人の兵が駐屯し、首長は呉謙の側近だった。すると懐恩は呉謙を捕らえて南門の兵を降伏させようと提案する。王儇は了承したが、くれぐれも夫人と娘を傷つけないよう頼んだ。一方、皇都では皇太子・馬子隆(バシリュウ)と三皇子・馬子澹(バシタン)が父皇の見舞いに来ていた。しかし病床の皇帝はただ手を動かして帰れと合図、仕方なく2人は寝殿を出る。子澹はちょうど皇太子と二人きりになった機会を利用し、軍を連れて阿嫵(アーウォ)を助けに行きたいと嘆願した。「阿嫵を救えるのは兄上だけ、行かなければ手遅れになります!」皇太子も阿嫵を救いたいのはやまやまだったが、実は伯父が段取りをしているため従うしかないと本音を漏らす。すると子澹は軍を出せないなら独りで行くと言い放ち、帰って行った。翌朝、王儇たちは反乱軍を牽制するため、豫章(ヨショウ)王が暉州を攻めて来たと触れ回った。驚いた兵士は慌てて呉謙に報告、すると謝淵(シャエン)の配下が現れ、呉謙を始末しようとする。しかし夫人が咄嗟に飛び出し、夫をかばって犠牲となった。その時、呉謙を捕縛しようと宋懐恩たちが呉府に乗り込んで来る。配下は結局、呉謙を始末する時間がなく逃げ出し、懐恩たちが駆けつけた時には夫人が息絶えていた。王儇は自分を守るため怪我をした兵士たちを別邸で介抱していた。そこへ兵士が駆けつけ、町中が混乱し、火も上がっていると報告する。驚いた王儇は玉秀と高楼へ登った。王儇は必ず大王が来てくれると自分を鼓舞していたが、玉秀はふと大王からの便りが途絶えていると気づく。「でも…大王がご存知ないのなら、私たちは死…」「やめて!」バシッ!⊂彡☆))Д´)ァゥッ!王儇は思わず玉秀を引っ叩き、誰も死なせないと声を荒げた。するとこれまで必死に我慢していた玉秀はこらえきれず、涙があふれてしまう。「王妃…私は死が怖いのではなく、王妃が反乱軍の手に渡るのが怖いのです…ゥッ…」王儇は玉秀を抱きしめ、怖がらないようなだめた。「皇都に連れて行き風景を見せると約束したでしょう?皇都へ行ってご馳走を食べましょう 誰も死なない、大王が来てくれるわ」そうは言ったものの、王儇も心の中は不安と恐怖でいっぱいだった。牟連が宋懐恩と龐癸たちの協力で城門を制圧している頃、皇都では皇太子が朝議で阿嫵の救出を訴えていた。「江南からの報によれば寧朔(ネイサク)軍は六鎮(リクチン)に到達し、敵軍と交戦している 王妃が敵の手にあると知れば豫章王の軍は士気が落ちるであろう」そこで皇太子は自分たちで阿嫵を助け出さねばならないと訴え、王藺(オウリン)の指示通り桓(カン)公に出陣を打診する。「王将軍は皇都の守りを統率しているため暉州には行かせられぬ …桓公?そなたを暉州に送って反逆軍を平定したいのだが、どう考える?」すると桓公は必ずや阿嫵を救出してみせると拝命した。牟連が配下を引き連れ南門に現れた。すると出迎えた秦(シン)隊長にいきなり剣を突きつけ、兵士たちに反逆者である呉謙と謇寧王に加担してはならないと訴える。「すでに東西の門は陥落し、呉謙も生け捕りにした!謀反に加担し続ければ反逆罪に問われるぞ?!」焦った兵士たちは反逆者になりたくないと武器を捨て、ついに秦隊長も腹をくくった。「ここで待機し、豫章王に加勢します!」(  ̄꒳ ̄)いつの間にか東門現るw王妃の馬車が呉府に到着した。門では官吏たちが出迎え、宋懐恩は命令に従って暉州を掌握したと報告する。すると王儇は前庭に進み、将兵を前に呉謙の反乱が終わり、暉州を奪還したと宣言した。「将士們!全ては死を恐れず戦ったそなたらの功績だ」٩( ᐛ )و<じぃぁんしめん!威武!王妃、威武!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<わんふぇい、うぇいうぅ!王儇は呉夫人を弔問した。命の恩人に報いる術もないが、娘・恵心(ケイシン)のことなら任せて欲しいと声を掛ける。その頃、謝淵(シャエン)は密かに暉州に入城しようとしていた。しかし運悪く警戒中の牟連に怪しまれ、止められてしまう。謝淵は従者2人と逃げようとしたが目前で城門が閉まり、慌てて引き返すも宋懐恩たちが駆けつけた。「謝侯、お久しぶりです」「ワナワナ…こうなった以上、謝氏一族はもう終わりだ、死をもって先祖に詫びるほかない!」すると謝淵は従者の剣で自ら首を斬った。子律は虎符を奪うため皇帝の寝所に忍び込んだ。しかし寝台で眠っている皇帝を見ると、実の父ではないという真実を思い出して嗚咽が漏れてしまう。皇帝は急に目を覚まして飛び起きたが、寝殿には誰もいなかった。そこで薛道安(セツドウアン)を呼んで誰かがいたと訴えたが、夢でも見たのだろうとあしらわれてしまう。「そう言えば子澹は?最近、姿が見えぬが…」「三皇子殿下は暉州へ行かれました」そんな皇帝の様子を子律は回廊から見ていた。王儇は宋懐恩から謝淵が自害したと聞いた。驚いた王儇だったが、遺体に礼を払い皇都へ帰すよう頼む。「謝淵が何をしたにせよ帳消しにしたい…誰かを恨むのは嫌なの」そこへ王氏の護衛兵を連れて龐癸が挨拶に来た。王儇は中庭で拝跪する護衛兵たちの活躍に感謝し、その腕前を豫章王の軍で生かしてはどうかと提案する。しかし龐癸は王氏に生涯忠誠を尽くすと誓ったと辞退した。「私に仕えるならどう?」「…我らは王妃に従います!」←(^ꇴ^)くま們に入隊w謇寧王一行は暉州に到着した。しかし噂通り豫章王が先に掌握してしまったと騙される。一方、桓公は阿嫵の救出のため暉州に向かっていた。利用価値のなくなった呉謙や王儇の命に興味はないが、王栩(オウク)が派遣されるよりは意にかなっている。その頃、皇太子妃・謝宛如(シャエンジョ)は謝氏の祖廟で父の死を嘆いていた。叔母が皇后に殺され、謝氏一族と門弟は長年、王藺に抑圧されて来たが、ついに父まで王儇に死に追いやられてしまう。宛如は子澹が暉州に向かったことを思い出し、王儇を救うことは絶対、許さないと怒りを爆発させた。「蘇錦児(ソキンジ)を呼びなさい!」母を失った恵心は泣き続け、2度も倒れていた。水も飲まないと聞いた王儇は恨まれていると知りながら様子を見に行く。すると付き添っていた牟夫人が王妃に気付き、慌てて立ち上がり拝礼した。王儇は牟夫人の代わりに恵心に食事を勧めたが、恵心は王儇が王妃だと知って激高、母を返せと首を閉めてしまう。「許さない!私が敵を打つわ!」驚いた玉秀たちが恵心を引き離すと、王儇は思わず食べていないわりに力があると言った。「生きなさい、復讐のためにね」牟夫人は王妃を中庭で呼び止め、改めて挨拶した。すると夫が謀反に加担せずに済んだのは王妃のおかげだと感謝し、国に忠誠を尽くしていると証言して欲しいと嘆願する。王儇は牟連が賢い妻を持ったようだと喜び、呉謙の一件で罪には問わないとすでに約束したと教えた。その夜、王儇はなかなか眠れず、玉秀と回廊を歩いた。するとちょうど宋懐恩たちが集まって戦術を練っている姿を見つける。「宋将軍のおかげね…大王もこんな猛将を得て幸せだわ」「王妃、宋将軍は大王に似ていますね」一方、王儇への恨みを募らせた宛如は王儇の侍女だった蘇錦児を利用することにした。しかし錦児は三皇子と共寝を果たすもかえって冷たくされ、会ってももらえないという。宛如は子澹の心から王儇を追い出さねば入り込む隙がないと言った。「私に良い案があると言ったら?」つづく(  ̄꒳ ̄)なぜか昔から″将士們″が好きですw
2021.10.22
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上阳赋 The Rebel Princess第15話「仕掛けられた罠」豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)が寧朔(ネイサク)を出発した。報告を受けた二皇子・馬子律(バシリツ)は早速、暉州(キシュウ)の呉謙(ゴケン)と謇寧(ケンネイ)王に密書を送る。その頃、上陽(ジョウヨウ)郡主・王儇(オウケン)は侍女・玉秀(ギョクシュウ)と馬車に揺られていた。「…錦児(キンジ)は今どこにいるのかしら?」玉秀は王妃にこれほど気にかけてもらえる侍女が幸せだと羨ましがった。呉謙は城門で王妃の一行を出迎えた。そこで真っ先に王妃がさらわれた件を謝罪したが、王妃は計画的な犯行だったため刺史に責任はないと水に流してくれる。喜んだ呉謙は王妃の馬車を先導して城内に入った。しかし王儇は別邸への道ではないと気づく。呉謙は護衛たちを労うため宿場に席を設けたと説明、やけにしつこく王妃と護衛たちを引き離そうとした。すると将軍・宋懐恩(ソウカイオン)は呉謙を怪しみ、勝手に引き返してしまう。王妃の一行は呉謙を無視して町に入った。しかし王儇は窓から暉州軍が慌ただしく動いている様子を見て嫌な予感がする。そこで長旅で頭痛がすると嘘をつき、一行を止めて玉秀に耳打ちした。玉秀は馬車から降りながら懐恩に目配せ、呉謙のもとへ駆けつけ、王妃のために薬を買いたいと時間をかせぐ。その間に懐恩は馬車の窓へ駆け寄った。「宋将軍、これは罠よ、包囲網を突破して…敵が多ければ無理をせず攬月(ランゲツ)山荘へ」王儇は懐恩に玉佩を渡した。「山荘に王氏の護衛兵がいる、皇都に援助を要請して大王にも知らせて」玉秀が急いで馬車へ戻ると、懐恩は謀反を企てた呉謙を捕らえるよう命じた。その時、町中に潜んでいた暉州軍が姿を現し、弓矢の雨が降る。懐恩たちは必死に馬車を守ったが多勢に無勢、やがて王妃の馬車が包囲されてしまう。寧朔軍は江南へ到着するも、すでに謇寧王の軍営はもぬけの殻だった。急いで発ったのか軍が残したかまどの中身もそのまま、その量から兵の数は15万になるだろう。しかし報告では20万のはず、なぜ軍を分けたのだろうか。すると蕭綦は謇寧王の目的が皇都だと指摘した。「寧朔軍がいてはむやみに皇都を攻められぬ、ゆえに何としても我々を足止めしたいのだ」そう考えると謇寧王は恐らく臨梁関(リンリョウカン)へ向かったのだろう。すぐ出発すれば謇寧王が灌(カン)州に到着する前に追いつくことも可能だと思われたが、その時、急報が届いた。「灌州の刺史は謇寧王と結託、謇寧王は臨梁関へ向かった…と」宋懐恩たちはわずかな兵で激闘を繰り広げていた。しかし呉謙が馬車から王妃を降ろし、懐恩に投降しろと叫ぶ。懐恩は王妃が人質になったと知り、驚愕した。「宋懐恩!早く逃げて!」「だめです!兄弟們!命をかけて王妃を救えぇぇ!」すると王儇は背後から援軍が迫っていると気づく。そこで近くにいた兵士の腕をつかんで自分の首に剣を当てた。( ๑≧ꇴ≦)<宋懐恩!これは命令よ!グググ…くまもん!引き返すぞ!>٩( ᐛ )و 郊外まで脱出した寧朔軍は400人だった。そこで宋懐恩は伝令兵に大王と皇都へ呉謙の謀反を知らせるよう頼み、1人で攬月山荘へ向かうことにする。「明日になっても私が戻らない時は、どんな状況でも必ず王妃をお守りしろ!」呉謙は王儇を別邸に監禁した。拉致騒動で丞相から屈辱を受けた呉謙はその恨みを王妃にぶつけ、全力を尽くして謇寧王の皇都入城を助けるつもりだという。「謇寧王が寧朔軍に勝てるとでも思っているの?」「ふん、謇寧王は先鋭部隊と皇都を目指しておる、豫章王は部隊の居所すら知らぬ」実は灌州の刺史も謇寧王と結託、兵を送っているという。王儇はさすがに顔色が一変したが、決して凛とした姿を崩すことはなかった。「下がりなさい」呉謙は気丈な王妃の態度に憤慨しながら屋敷へ戻ると、謝淵(シャエン)が待ち構えていた。謝淵は軍1万を動員しても500人しかいない寧朔軍を逃したと呆れたが、ともかく王儇を殺すよう命じる。「ここには配下の者がたくさんいる、下手なまねをするとただでは置かぬぞ?」一方、懐恩は無事、攬月山荘に到着していた。呉夫人は王妃の別邸を訪ねた。夫の無礼を謝罪する呉夫人だったが、王儇は冷たく追い返す。しかし呉夫人は食い下がり、実は夫が王妃の殺害を命じられたと警告した。王儇は呉夫人の良心に心を打たれ、いつか必ずこの恩を返すと約束する。その時、回廊から声が聞こえた。「姑姑、お急ぎください」それは呉夫人の甥・牟連(ホウレン)だった。牟連は呉刺史の護衛だったが、心優しく豫章王を敬慕しているという。呉夫人は牟連に王妃を守るよう頼んで帰った。そこで王儇は牟連を懐柔することにする。朝廷の武官が反乱軍に加担しているのは不忠、しかし反面、こうして自分を助けるのは不義になると指摘、有能な大の男が不忠不義を犯していると非難した。「10年間も腕を磨き、まだ戦場にも出ていないのに、なぜなの? 何日かすれば豫章王が軍を率いてくる、大王を敬慕しているとか…そんな人と斬り合うの? 牟将軍、豫章王は才能を愛する人よ?目を覚まして大王に従ってはどう?まだ間に合うわ」王儇は呉夫人も悪から足を洗おうとしていると訴え、2人が無関係だと自分が証言すると安心させた。「よく考えて決めて」すると牟連は返事を決めかね、出て行った。その夜、王藺(オウリン)は呉謙が謀反を起こし、阿嫵(アーウォ)が監禁されたと知らせを受けた。しかしあの臆病な呉謙のこと、恐らく裏で糸を引く者がいるだろう。そこで家職・王安(オウアン)に呉謙が皇都で誰と接触していたのか調べるよう命じ、弟の王栩(オウク)を呼ぶよう頼んだ。一方、桓(カン)公は二皇子と接触、謇寧王が反乱軍を率いてもうすぐ皇都へ到着すると報告した。そこで皇帝の虎符を手に入れ、連携するよう告げる。子律は父皇から虎符を手に入れる方法を考えると言ったが、未だに謇寧王が自分を即位させるのか半信半疑だった。しかし桓公はなぜか断言できるという。「父親は息子を信用するもの、二皇子殿下、実は謇寧王は殿下の実父です」寝耳に水だった子律は唖然となった。謇寧王は皇位を奪われ、志を共にする桓公と計略を立てた。実は子律の母は謇寧王の子を身ごもったまま侍女として入宮を果たし、皇帝の目に留まるよう必死に努力したという。幼少から冷宮され、皇太子にいじめられて来た子律、生母も宮殿で屈辱を受けて死んだが、実の父は欲望のためそれを傍観して来たというのか。子律は涙ながらに激高したが、桓公はこれも正しい名分で息子を即位させるためだったと訴えた。寧朔の軍営に宋懐恩の配下が到着した。しかし豫章王妃が大変な目に遭っているとだけ伝え、気を失ってしまう。一方、皇帝から指示を受けた謝淵は配下に暉州を守るよう命じた。「謇寧王と蕭綦を城壁の外に留めておけ、そうすれば勝手に戦い共倒れする 呉謙は状況が悪くなれば王儇を自身の盾とし、蕭綦にへつらいそうで気が抜けない 呉謙が動かなければ我々がやるしかない」謝淵は配下に暉州の令牌を渡し、王儇の首を取ってくるよう命じた。その夜、王妃の別邸に刺客が現れた。令牌を見た牟連は目をつぶるしかなかったが、結局、刺客を退治して王妃を助ける。「王妃、命懸けでお守りします」「ありがとう」しかし命令を受けた暉州軍が別邸に雪崩れ込んできた。別邸の中庭で剣戟の音が聞こえて来た。すると寝殿に1人の男が飛び込んで来る。驚いた牟連は王妃を守るため剣を突きつけたが、男は龐癸(ホウキ)と名乗って王妃に玉佩を返した。そこで床をコツコツと叩き、王氏の密偵の合図で身分を証明する。王儇は安堵すると、龐癸はすぐ脱出させると言った。その時、配下が屋敷の外で宋将軍たちが応戦していると知らせが来る。「早く助けに行って、ここは牟将軍がいるから私たちは安全よ」つづく٩( ᐛ )و <調子に乗ってすいません
2021.10.22
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上阳赋 The Rebel Princess第14話「皇都への旅立ち」寧朔(ネイサク)の美しい草原で思い出に残る夜を過ごした豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)と上陽(ジョウヨウ)郡主・王儇(オウケン)。すると翌朝、2人を乗せずに戻った馬のおかげで寧朔軍が迎えにやって来た。軍営に戻った蕭綦は直ちに侍女たちを収監し、厳しく尋問して自分たちが外出する情報を漏らした間者を見つけるよう命じる。王妃の側仕えだった玉秀(ギョクシュウ)も例外なく捕らわれたが、王儇が駆けつけ釈放してくれた。その時、宋懐恩(ソウカイオン)が王妃に盧(ロ)夫人が白状したと知らせる。盧夫人は涙ながらに夫と子供が人質にされて仕方なかったと訴えた。「家族を捜して、命があれば会わせてやりなさい…無実の者は出して」懐恩は拝命し、王妃の即断即決に敬服した。王儇は江南へ出陣する蕭綦に同行しようと荷物をまとめ始めた。しかしそこに蕭綦が現れ、2日後に皇都へ帰るよう告げる。王儇はまた自分を置き去りにするのかと落胆したが、蕭綦は岳父から届いた文を黙って渡した。…娘の阿嫵(アーウォ)へ、お前の母が危篤、すぐ帰れ、父より…突然の知らせに阿嫵は動揺し、悲しみに暮れた。蕭綦は王藺(オウリン)にわだかまりがあったが、行くのを阻めば阿嫵が一生、後悔すると考えたという。「だから便りを見せず、草原へ連れて行ったのね… 昨夜は人生で最も記憶に残る日だった、でも2日後には離れ離れね」すると蕭綦は外で懐恩が待っているため、出かけると言った。実は胡光烈(ココウレツ)たちがちょうど逃げようとしていた刺客の頭を捕らえたという。「誰なの?!」「かつて威勢を振るっていた杜盟(トメイ)だ」杜盟の牢に豫章王妃が現れた。「あなただったのね、驚いたわ…忠義を尽くした杜将軍」「お忘れか?謝(シャ)氏衰滅の時、丞相に罷免されました、もう将軍ではない」すると杜盟は豫章王を狙ったのは復讐のためではなく、逆賊を始末しようとしただけだと言った。阿嫵は大王のように命懸けで辺境を守る逆賊を見たことがあるのかと呆れたが、杜盟は王藺の婿となった蕭綦は死ぬべきだと言い放つ。「話は終わりだ」「話せば命は助けるわ」「命を?…わはははははっ!今の私は死を待つのみですよ?ご冗談でしょう?」阿嫵と蕭綦は黒幕を考えた。徐授(ジョジュ)と杜盟を操り動かせるのは皇帝だけ、しかし阿嫵は伯父が自分を傷つけるとはとても思えない。しかし蕭綦は皇帝が毒に侵され、国事にも携われずにいると懸念した。つまり誰かが皇帝の名を語り、兵を送り込んで我々を狙ったのか。「今度は誰が私を狙ったのかな?」「あなたは重要人物なのね?方々から命を狙われているなんて…」「狙いは私ではなく軍の指揮権だろう」「私まで狙われたのは?」すると蕭綦が急に大笑いした。それは自分と結婚させた王藺を恨むしかない。「巻き添えを食ったな?…私たちは押さえられた蝗虫(イナムシ)だ、阿嫵も逃げられぬ」「…あなたは蝗虫でも私は違うわ(クスッ)」一方、王藺は世子・王夙(オウシュク)と世子妃・桓宓(カンヒツ)を連れて皇都に戻っていた桓公を訪ねた。すると桓宓は屋敷に到着して早々に具合が悪いと言って部屋に引っ込んでしまう。桓公の歓待を受ける王藺と王夙、やがて王夙は桓宓の具合を見て来ると席を立ったが、ちょうどその頃、桓宓は寝所で二皇子・馬子律(バシリツ)と密通していた。寝所の前で見張っていた侍女・若秋(ジャクシュウ)は世子の姿に気づいて思わず大きな声で拝礼した。「世子!…世子妃はもうお休みに、後ほどお越しください」王夙は仕方なく引き返すことにしたが、急に思い直して寝所に入ってしまう。すると桓宓が独りあられもない姿で横になっていた。そこで王夙は桓宓が嫡子を産まなければ朱顔(シュガン)の子が離れを去ることになると話し、いきなり桓宓と関係を結ぼうと迫る。驚いた桓宓は王夙を引っ叩いて追い出したが、寝台の下に隠れていた子律は何とも言えない屈辱を味わった。出陣の朝、阿嫵は心を込めて刺繍した外套を夫に着せた。「刺繍をしてくれたのはそなたが初めてだ…」「また縫ってあげる」「約束だ」すると蕭綦は阿嫵の手を握りしめた。「あの日、崖でそなたの手を握った瞬間、私は決めた…あの時の決意を生涯、忘れぬ」「私もあの時の心を生涯、忘れないわ」2人は別れを惜しむように唇を重ねた。晋敏(シンビン)長公主・馬瑾若(バキンジャク)は徐(ジョ)女官と2人で慈安(ジアン)寺に身を寄せていた。王藺は家職・王安(オウアン)から長公主が出て行ったと聞いて呆然となる。そこで夜分にも関わらず慈安寺を訪ね、無理を言って中へ入れてもらった。ちょうど寝支度をしていた馬瑾若は回廊を歩く人影に気づき、丞相が来たと分かる。「瑾若?一緒に帰ろう」王藺は無理に踏み込まず、戸越しに声をかけた。「丞相、あなたとの縁はここまで、一緒にいても憎しみ合うだけです」「私への恨みは知っているが、数日後には阿嫵が戻るのだぞ?」「あの子ももう大人です、私の選択を理解できるはず…」馬瑾若は欲望を捨てると約束してくれるなら一緒に帰ると言ったが、できないなら解放して欲しいと訴えた。すると王藺は数日後にまた来ると言って帰ってしまう。王藺は一晩中、待っていたが、結局、長公主は出てこなかった。仕方なく屋敷に戻ることにしたが、道すがら王安は豫章王妃がすでに便りを見たはずだという。「だろうな…そんな手でも使わないと阿嫵は帰ってこない」「はい、ですが王妃が戻られた時、長公主がご不在ですと…」王安は父娘の関係を心配したが、王藺は娘の性格なら良く分かっていると言った。一方、蕭綦と阿嫵は軍営を出た。蕭綦は皇都まで腹心の懐恩がついて行くと伝え、阿嫵を先に送り出す。「ここの暮らしにも慣れたのに、恋しくなりそうだわ」「…寧朔が?それとも私か?」「寧朔以上にあなたが…」2人はひと目もはばからず抱き合い、別れを惜しんだ。「さあ行って…」涙をこらえ馬車に乗り込む阿嫵、するとその時、整列していた寧朔軍が一斉に王妃に敬礼する。その壮観な眺めに阿嫵は思わず笑顔になり、自分には帰る家があるのだと実感した。王宮では大成皇帝・馬曜(バヨウ)の快癒を祝って家族の宴が開かれた。皇太子・馬子隆(バシリュウ)は遅れて到着した三弟・馬子澹(バシタン)を叱責したが、皇帝がふいに隣の空席に話しかける。「謝貴妃、愛息の風采は天下一品だな…」皇后王氏は驚愕し、後ろめたさからか謝貴妃の幻覚が現れる。「うわあーっ!」驚いた皇后は思わず机をひっくり返し、逃げるように寝宮へ戻って行った。王藺が昭陽殿に駆けつけると、皇后が謝貴妃が帰って来たと取り乱していた。すると皇后は皇帝の乱心も作為的に見えるという。「長く連れ添ったせいか直感が働くのです…」「よく聞け、芝居だとしても謇寧(ケンネイ)王が皇都に迫りつつある、生かしておけば役に立つだろう」王藺は自分に任せておけば心配ないとなだめたが、それ以来、皇后は謝貴妃の悪夢にうなされるようになった。その夜は激しい雷雨になった。皇帝は相変わらず耳も口も不自由な道士を相手に部屋にこもっている。すると謇寧王の兵がすでに暉州(キシュウ)の近くまで来たと報告が来た。薛道安(セツドウアン)はすぐ皇帝に知らせたが、皇帝は謀反だと聞いても興味がなさそうに道安を下げてしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)再びオスマン帝国w皇帝はすでに道士が間者だと気づいているのかな?
2021.10.15
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上阳赋 The Rebel Princess第13話「蕭綦の本心」上陽(ジョウヨウ)郡主・王儇(オウケン)は盧(ロ)夫人の当縁の娘・杏児(アンジ)と意児(イジ)を軍営から追い出した。王妃としての威厳を示した王儇、そして側仕えの玉秀(ギョクシュウ)も王妃付き侍女がすっかり板についている。しかし豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)との関係は進展しなかった。蕭綦は夜な夜な城楼で待っていたが、王妃はろうそくの火を消して寝てしまう。軍営暮らしには慣れたが、王儇は真実を聞いた日から蕭綦と顔を合わせられずにいた。一方、皇都では皇太子・馬子隆(バシリュウ)が迫り来る謇寧(ケンネイ)王の大軍に怯えていた。そこへようやく頼みの綱である丞相・王藺(オウリン)が参内する。皇太后は気が急く皇太子をなだめ、兄の話を聞くことにした。すると王藺は皇帝が病に伏せてから徐授(ジョジュ)と忽蘭(クラン)が蕭綦暗殺を企て、今度は謇寧王の挙兵、無関係のように見えて実は共謀していると指摘する。しかしひとまず西北は安定しており、すでに蕭綦に10万の兵を連れて江南へ行くよう急命を送っていた。「反乱軍を六鎮(リクチン)で食い止めたい、六鎮は皇都まで5日もあれば来られる場所だ 何としても守らねば」すっかり回復した王儇はふと酒が恋しくなった。豫章王が酒を飲まないため奥にはなかったが、玉秀が手に入れる方法ならあると出かけて行く。一方、なかなか王妃に受け入れてもらえない蕭綦はひとり剣術で汗を流しながら、王儇への思いを募らせていた。その夜、王儇は城楼で玉秀と酒を楽しんだ。「どこで酒を覚えたの?」「父は酒が好きで、毎晩のように晩酌させられました…ヒック 拒めば翌日、歩けなくなるほど殴られて…」父はもう亡くなったが、こんな酷い父親でもふと恋しくなることがあるという。「でももういない…独りぼっちです」すると玉秀は酔い潰れてしまう。「私も騙されるくらいなら父に殴って欲しかったわ…」←( ゚ロ゚)え?王儇は玉秀に自分の上掛けをかけてやると、ひとりで飲み続けた。王儇は三皇子・馬子澹(バシタン)との幼く無邪気な恋を思い出し、涙が頬を伝った。「あなたの前で笑えない…さようなら、子澹哥哥」するといつのまにか隣に立っていた蕭綦が朦朧とする王妃を抱きかかえて寝所へ運ぶ。蕭綦は黙々と衣を脱がせ始めたが、王儇は何が起こっているのか分からず、暴れ始めた。「初夜に逃げ出しておいて今さら何するの?!」「…まだあの夜を根に持っているのか?」泥酔した王儇は蕭綦に面目をつぶされた怒りがよみがえり、自分を置き去りにしたとからんでしまう。「ふふ、何が上陽公主だ…私にはこの先もそなたは祭りで気取っていた少女のままだ 死すら恐れず塀に上がる意思の強い女子だよ いいかい?衣が酒で濡れている、この上衣だけ脱いで楽に休むといい」「構わないで!説明してよ…あなたは私の何なの…(バタン!)」王儇は蕭綦の膝に倒れ込み、そのまま眠り込んでしまう。「…私はそなたの夫で、受け入れられなくともそなたは豫章王妃だ…私はすでに心を決めた」王藺が江南に寧朔軍を向かわせたと知った二皇子・馬子律(バシリツ)は桓(カン)公と接触した。桓公はさすがの蕭綦も今回は勝てないと安心させ、謇寧王が勝ったらあとは計画通り、謇寧王の手を借りて二皇子が即位できるという。しかし子律は半信半疑だった。20年前に皇位を争った謇寧王が、なぜ自分に玉座を譲る気になったのだろうか。すると桓公は喉まででかかった言葉を飲み込み、いずれ分かる時が来ると言った。一方、蕭綦と王儇の暗殺に失敗した謝淵(シャエン)は行き詰まっていた。恐らく蕭綦は警戒し守りを強化するはず、成し遂げるのは至難の業だろう。しかし杜盟(トメイ)が蕭綦の兵を買収していた。「蕭綦が軍営を出たら必ず仕留めます!」「分かった、この計画が成功すれば私は朝廷に復帰し、お前を寧朔の将軍に任命しよう!」すると二皇子の来訪を知らせる声が聞こえた。蕭綦は侍女に王妃に降りてくるよう伝言を頼んだ。仕方なく王儇が下へ降りると、蕭綦は将軍たちに準備にかかるよう命じて散会する。「礼儀をまきまえない無礼な将軍ばかりね」王儇は嫌味を言うと、蕭綦はまだ酔っているのかと笑った。「あら、酔っているかどうか嗅いでみれば分かるわ」蕭綦は唇が触れそうなほど王妃の顔に近づき、確かに酒の匂いはしないという。「出陣するの?」「皇帝の病の隙を狙い謇寧王が反旗を翻した、数日後には発つ …阿嫵(アーウォ)、その前に連れて行きたい所がある」「なぜ私の幼名を?」「そなたの父から便りが…帰ったら見せるよ」蕭綦は阿嫵を馬屋に連れて行った。好きな馬を選べと言われた阿嫵は指笛を鳴らし、唯一、反応した白馬を友にする。そして2人は遠乗りに出た。蕭綦は寧朔の草原を案内し、遥か遠くに見える山頂の雪は何万年も解けないままだと説明する。「頂に到達した者はいない、遊牧の民は神の住みかだと考え、凡人の冒涜を許さないんだ」「宮殿とは違って大自然の力を感じるわ…皇帝よりも偉大ね」「向こうの草原はさらに広い」「…乗馬で勝負する?」2人はしばらく競走すると、やがて陽も傾いて来た。すると蕭綦は今夜はここで泊まるという。川の向こう岸には遊牧民族が集まっていた。遊牧民族は蕭綦と阿嫵の身分もどこから来たのかも聞かず、歓待してくれた。蕭綦の話ではちょうど今日は忽蘭(クラン)の祝日のため、それでにぎやかなのだという。阿嫵は珍しそうに祭りを眺めていたが、驚いたことにいくつかの民族が入り交じり共存していた。すると1人の女が現れ、蕭綦を踊りに誘う。蕭綦は思わず阿嫵に許可を求めるよう頼むと、阿嫵はその女に断った。「どうして?」「…私の夫だからよ」「そうなの、お似合いだわ」そこへ大きな男が現れ、女の酒を飲んで踊りの輪へ入った。蕭綦はここでは女から踊りの誘いを受け、承諾すれば恋仲になると説明する。「だったら私も踊りを申し込まなくちゃ…もちろん、ふふっ」阿嫵は蕭綦の手を引っ張り、踊りの輪に参加した。翌朝、すっかり打ち解けた蕭綦と阿嫵は一緒の馬に乗って帰途についた。戦が終わったら2人で旅をしようという蕭綦、しかしその時、突然、弓矢が2人を襲う。蕭綦と阿嫵は危ないところで避けることに成功したが、黒衣の刺客たちが追いかけて来た。蕭綦は阿嫵を乗せて必死に馬を駆けた。やがて林の中へ入ったが、待ち伏せしていた刺客たちに襲われてしまう。蕭綦は阿嫵を守るため1人で刺客をなぎ倒すと、2頭の馬だけを走らせた。すると後から来た刺客たちは馬を追って行ってしまう。蕭綦はその間に阿嫵を連れて林を逃げ出し、ちょうど良い隠れ家を見つけた。「この辺りは軍馬の飼料場だった、ここは夜警が夜を明かした場所だ」草原は気温差が激しく、日没後は急に寒くなった。この山は夜になると霧が立ちこめ厄介な場所、朝までは安全だろう。すると蕭綦は暖を取るため必死に火をおこし始めた。「ちゃんとつくの?」「もちろん」しかし阿嫵は無駄な努力とばかりに発火具で火をつけた。ホレ(* ˙꒳˙ )_🔥 ( ̄▽ ̄;)オイやがて夜も更けた頃、蕭綦は思わず阿嫵を抱き寄せた。阿嫵は驚いたが蕭綦を受け入れ、2人は唇を重ねる…。つづく( ๑≧ꇴ≦)いやだから外!
2021.10.14
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上阳赋 The Rebel Princess第12話「寧朔で解けた誤解」皇太子妃・謝宛如(シャエンジョ)は意外にも新たな手駒を見つけた。王儇(オウケン)の侍女・蘇錦児(ソキンジ)は三皇子・馬子澹(バシタン)への想いを募らせ、もはや主のことなど眼中にないらしい。そこで錦児を宮廷服に着替えさせ、わざと阿嫵の好きだった香り袋を持たせて寝所に送り込んだ。今夜も泥酔し、阿嫵(アブ)の絵を眺めながら自暴自棄になる子澹、その時、ふいに阿嫵の香りが漂う。「阿嫵…戻って来たのか?!」翌日、朝議に大成皇帝・馬曜(バヨウ)が復帰した。しかし皇帝はただ玉座でうとうとしているだけ、監国である皇太子・子隆(シリュウ)が摂政・王藺(オウリン)の意向で決裁している。その日は江南の水害について話し合っていたが、そこへ急報が届いた。「寧朔(ネイサク)からです! 賀蘭箴(ガランシン)が豫章(ヨショウ)王妃を拉致し演武場を急襲、徐授(ジョジュ)を暗殺しました! しかし豫章王が敵を制圧し、王妃を救出したそうです!」皇太子と王藺は安堵したが、二皇子・子律(シリツ)と桓(カン)公は予想外の結末に内心、動揺を隠せない。すると皇帝が突然、乱心し、朝議はそのまま散会した。一方、鎮国公府には阿嫵が自ら文で無事を知らせていた。晋敏(シンビン)長公主・馬瑾若(バキンジャク)は世子・王夙(オウシュク)から文を受け取り、徐(ジョ)女官と共に娘の無事を喜び合う。しかし阿嫵の筆跡は力なく、馬瑾若は恐らく怪我をしたのだと気づいて胸が痛んだ。寧朔の軍営は皇都では想像もつかないような暮らしだった。阿嫵は侍女に沐浴の準備を頼んだが、実は洗顔する水しかないという。沐浴は毎月5日だけ、暑い日の訓練で汗をかいた兵士たちは10里も離れた川で汗を流していた。大王も例外ではないという。阿嫵は仕方なくわずかな水で身繕いすると、今度は侍女が着替えを持って来た。しかし悪趣味な衣や装飾品を見た阿嫵は袖を通す気にもならない。「あなたが私の看病を?…名前は?」「玉秀(ギョクシュウ)と申します…16歳です」すると阿嫵は急に黙り込み、玉秀は何か失言したのかと怯えた。「錦児…一体どこにいるの?」その頃、子澹と共ねを果たした錦児は寝台でまどろんでいた。しかし酒が抜けた子澹は自ら犯した過ちに気づき、ひとり呆然としている。その時、回廊から家職の声が聞こえ、錦児も目が覚めた。「殿下!豫章王妃の行方が分かりました! 宮殿からの報告で豫章…いいえ、上陽(ジョウヨウ)郡主は豫章王が救出したそうです! 今は安全な場所にいると…」すると子澹は錦児に見向きもせず、部屋を飛び出して行った。阿嫵は上掛けをあきらめ、簡素な装いで城楼を歩いた。やはり北の荒野に立つ殺風景な軍営では春らしさが感じられない。皇都なら5月は宮廷の女たちが更紗の衣をまとう。阿嫵は歩くたび色とりどりの袖が風になびく光景を思い出し懐かしんだ。すると玉秀は思わず皇都を見物するのが夢だと告げる。「私が帰京する時に連れて行ってあげる」「ありがとうございます!王妃!」玉秀は思わず笑顔になり、慌ててうつむいた。「笑うと可愛いのに…私と話す時は眉をひそめないで、怒って見えるわ」「王妃が親しみやすい方とは存じませんでした それに杏児(アンジ)姑娘が笑ってはいけと規則を決めたんです」豫章王は自分の屋敷も持たず、軍営で生活していた。玉秀の話では大王は夜まで忙しく、時には読書をしたり剣術を磨いたりするが、特別な趣味はないという。そこへ偶然、着飾った杏児と意児(イジ)が通りかかった。王妃に気づいた2人は急いで駆けつけ拝礼、その時、阿嫵は2人が自分が返した衣と装飾品を使っていると気づく。すると杏児は王妃ににこやかに挨拶した。「…笑ってはならぬと規則を定めたのでは?」「それは下人の規則です」「あなたは違うの?」阿嫵は我が物顔で振る舞う無礼な娘たちを躾けるため、明日は玉秀を手伝うよう命じた。しかし杏児は自分は大王に仕えていると断り、王妃を牽制する。(  ̄꒳ ̄)<おぅ、大王の侍女だと私は使えないの?…玉秀、大王が決めた規則?( ´-`)<…いいえ、王妃、聞いたことがありません(  ̄꒳ ̄)<素直に従った方が得よ?明日は2人でいらっしゃい阿嫵が無事だと知った子澹は急に元気になった。錦児は侍女の服に着替えたが、その帰りに回廊で自分の陰口を聞いてしまう。<蘇錦児は郡主を慕っていたのに、ずいぶん大胆な真似をするわね<殿下があの子を選ぶなんてガッカリ感半端ないわ___杏児と意児は内向きを取り仕切っている叔母に泣きついた。憤慨した盧(ロ)夫人は王妃の寝殿に乗り込んだが、あのおとなしい玉秀が行く手を阻む。「王妃はお休みです、改めてお越しください」「玉秀?王妃はいずれ帰京する、その時、お前を管理するのは誰か分かってるの?」玉秀は盧夫人に脅されても譲らなかった。すると奥の寝所から王妃の声がする。_ ತ)<騒がしいわね?!これも規則なの?!阿嫵は無礼な女たちにひざまずいて待つよう命じたが、盧夫人たちも黙っていなかった。盧夫人は王妃の命を無視、ちょうど奥に戻った大王に助けを求めた。望まぬ婚姻だった大王は自分たちに味方するはず、しかし予想を裏切って蕭綦は王妃に従えという。「大王?そんな簡単に…」「下がれ」胡光烈(ココウレツ)は内向きの些事で大王を煩わせる女たちに呆れ、無下に追い返した。すると蕭綦は密偵を送り込み、皇族の動向を監視させるよう命じる。実は皇帝の弟・謇寧(ケンネイ)王が見舞いを口実に15万の兵を率いて皇都に向かっていた。大成皇帝と謇寧王の間にはいわくがあった。実は先帝が目をかけていたのは弟の謇寧王だったという。かつて皇帝と謇寧王は皇位をかけて争っていたが、先帝が崩御されてもなお後継者は決まらなかった。結局、皇太后が見せた先帝の遺言で決着がついたが、これを不服とした謇寧王は怒って江南へ行き、20年以上、大吏(タイリ)として過ごしながら兵馬を集め、1つの地域を掌握したという。謇寧王と言えば不敗を誇る戦神、古参の部下も多いことから破竹の勢いで進軍できたのだ。当時の経緯を知る侍中・温宗慎(オンシュウシン)は皇太子・子隆(シリュウ)に謇寧王がこの好機を見逃すはずないと警告する。しかし今の朝廷には対抗できる精鋭も将軍もいなかった。蕭綦は軍営に戻ると鎧も脱がずに王妃の寝殿へ駆けつけた。すでに傷は癒えたが鬱々としている阿嫵、そこで蕭綦は自分の外套を着せ、少し歩こうという。豫章王が戻った軍営は兵士たちが城楼に並んで警護し、様変わりしていた。すると王妃の姿に気づいた兵士が号令をかけ、兵士たちが一斉に向き直って敬礼する。寧朔は皇都とはまったく違う独特な風景だった。それもそのはず、寧朔は建城から300年、戦乱が途絶えたことがない。「知っているわ…″北に忽蘭(クラン)、南に六盤(ロクバン)、常に守れよ…″ 幼い頃、皇祖母に教わったの、地図の上を駆け回って遊んでいた、暉(キ)州や寧朔の上でもね まさか実際に来るとは思わなかったわ」すると蕭綦はこれまで王妃に会いに来られなかった理由を話した。実は吊り橋から落下して虫の息だった賀蘭箴を救出、忽蘭へ送還して来たという。今の忽蘭王には嫡子がいなかった。息子は庶子の賀蘭箴だけ、ただ亡き兄の子である賀蘭拓(ガランタク)も大切に育てて来たという。実は賀蘭拓は六盤が賀蘭箴を王に据えるのを恐れ、寧朔軍に扮して六盤を滅ぼしていた。蕭綦を利用して賀蘭箴を葬り、自分が即位するための名分を作ろうとしたのだろう。「なぜ賀蘭箴に言わなかったの?」「それを信じるとでも?」蕭綦がわざわざ賀蘭箴を帰したのは賀蘭拓と争わせるためだった。しかしずる賢い蕭綦の作戦に阿嫵はへき易する。「ふっ、私も賀蘭箴もあなたに翻弄されたのね… あなたは兵力を餌にして私と婚姻させるよう皇后と父を操った、士族に上り詰めるために… その考え方にぞっとする」「…風が冷たい、戻ろう」「堂々とした男なら素直に認めたら?」「真実はそうじゃない…残酷だが知りたいか?」蕭綦は鎧を脱ぎ、部屋を温めてやった。( ー̀ωー́ )<本当に聞きたいか? ええ>(๑❛ᴗ❛๑)すると蕭綦はこの婚姻を望んだのは自分ではなく丞相だと教えた。王藺は何度も婚姻の件で蕭綦に接触して来たという。「三皇子との仲を引き裂くのは気が引けたし、朝廷の騒乱にも巻き込まれたくなかった しかし皇帝が倒れるや否や、丞相と皇后がこの婚姻を下賜した 追い詰められた私は温侍中の計略に乗り、婚礼の儀の夜に皇都を離れたのだ 私が逃げたかったのは君からではなく、君の父親だよ」阿嫵はにわかには信じられず、呆然となった。まさか父が愛する娘を兵力の代価として売ったというのか。「父亲(フーチン)が…」(゚ェ゚(。_。(゚ェ゚(。_。*)コクコク阿嫵はこらえきれず泣き出した。「1人にしてくれない?」「外にいるよ」しかし蕭綦が立ち上がると阿嫵は思わず呼び止めてしまう。「…蕭綦」蕭綦はすぐに引き返し、心細さに震える阿嫵を抱きしめ励ました。「目を背けてはいけない…家門の翼の下に隠れるのは終わりだ これから先もそなたは私の王妃だ、私と生死を共にする女は弱くてはいけない」その夜、王夙はちょうど離れから戻って来たところを父に見咎められた。義父の桓公が皇都にいる間は例え演技でも桓宓(カンヒツ)と仲むつまじい姿を見せなくてはならない。実は正室より先に妾が身ごもっていた。生まれるのが娘なら良いが、もし息子なら琅琊(ロウヤ)で育てることになる。「王氏の孫は必ず桓宓が産まねばならぬのだ」朝廷が不安定で各地の勢力が動き始めた今、皇都の要地を掌握する桓氏の存在は重要だった。「父上は私と阿嫵の婚姻さえ利用している、謝氏は滅び、父上と叔母上は政権を握った まだ満足できませんか?!」「黙れ!…いつになったら父の心を理解できるのだ」すると王夙は憤慨し、また離れに戻ってしまう。桓宓は二皇子・子律(シリツ)と密通し、何食わぬ顔で屋敷に戻った。するとちょうど涼亭に王夙と妾たちがいる。桓宓は仕方なく挨拶に向かい、出産を控えた朱顔(シュガン)に赤子の首飾りを贈るため、城南の九転閣で装身具を見ていたと報告した。一見、良妻の鏡のように振る舞う桓宓、しかし王夙はすでに世子妃の行動に違和感を感じていた。玉秀が王妃の身支度をしていると、盧夫人がまた訪ねて来た。そこで阿嫵はあの女たちは何者なのか聞いてみる。玉秀の話では盧夫人がこの家を管理し、旧姓は馮(フウ)氏、盧参軍の継室だった。今では世話役だが富豪の娘で賢く、能力もあるという。大王は内向きのことに無頓着なため、盧夫人が仕切っていた。杏児と意児は盧夫人が親族から選んで2年前に連れて来たが、どうやら大王の側室の座を狙っているらしい。「やっぱりね…外でひざまずかせなさい」盧夫人は大王が王妃に一目置いていると分かり、急にしおらしくなっていた。「軽率にも2人が王妃に逆らったのは私の教育が至らなかったせいです 2人を連れてきました…甘んじて罰を受けます」「罰を受けろと言った覚えはないけれど…」「2人も反省しております、王妃にはどうか善処のほどを…」「連れて行きなさい…」「感謝します、王妃!」「…この家からね」「王妃…今なんと…」「私にもう1度、言わせるの?」「…分かりました」つづく( ๑≧ꇴ≦)うわっ!久しぶりの長文恐らくこの侍女の話は必要なさそうだけど、でもこのエピ好きなのです
2021.10.09
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上阳赋 The Rebel Princess第11話「命懸けの救出」閲兵(エッペイ)式を前に王妃・王儇(オウケン)の身を案ずる寧朔(ネイサク)軍。宋懐恩(ソウカイオン)は胡瑶(コヨウ)だけでは王妃が心配だと懸念したが、胡光烈(ココウレツ)は下手に動くとかえって警戒されると反対した。豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)はただ黙って聞いていたが、ついに出発する時間となる。「行くぞ!」一方、皇都に戻った三皇子・馬子澹(バシタン)は嘆願を続けていた。しかし大成皇帝・馬曜(バヨウ)は苛立ちを隠せず、激怒して会おうとしない。その頃、皇后王氏は皇帝と謝氏を排除しても、新たな悩みの種は尽きないとため息をついていた。演武場でいよいよ閲兵式が始まった。蕭綦の案内で軍隊を検閲する使臣・徐授(ジョジュ)、すると突然、蕭綦が馬を走らせ徐授から離れてしまう。すると寧朔軍が使臣一行を包囲、輪の中に爆薬を放り込んだ。➰💣ドッカ~ン!🐴💦ヒヒーン!物陰に潜んで閲兵式を見ていた賀蘭箴(ガランシン)は蕭綦が徐授の正体を見抜いたと知り、すぐ旗揚げを命じた。すると演武場に潜んでいた刺客たちが飛び出し、寧朔軍に襲いかかる。勇猛な寧朔軍に奇襲など無意味にも思えたが、その時、矢倉の上に王妃に成りすました小葉(ショウヨウ)と射撃班を連れた男が現れた。王妃が人質になり、演武場は騒然となった。「蕭綦!1人でここまで来いっ!さもなくば王妃の命もないぞ!」刺客を撃退した兵士たちは整列、すると蕭綦は罠だと分かっていながら矢倉の前まで進む。その時、矢倉から蕭綦目掛けて矢が放たれた。蕭綦は剣で矢を払い避けると、寧朔軍も一斉に矢倉に向けて矢を放つ。「ふぁんじぃぇん(放箭)っ!」刺客たちは次々矢倉から落下、焦った男は王妃を盾にして射撃を止めろと叫んだ。蕭綦は射撃を止めた。その時、密かに矢倉に登って来た胡瑶が現れ、男を刺し殺すことに成功する。しかし王妃が矢倉から落下、慌てて駆けつけた蕭綦が抱き留めたが、ようやく偽物だと分かった。蕭綦は咄嗟に女を放り投げると、小葉は紐を引っ張って自爆してしまう。賀蘭箴は計画が失敗し、仕方なく生き残った配下を連れて姿を現した。「その目でしかと見るがいい、女の腰にある物を…」王儇の腰には爆薬を仕込んだ玉帯があり、配下がいつでも爆破できるように線をつかんでいる。「生かすも殺すも貴様しだいだ…」「望みは何だ?」「この女を助けたければ兵を止めて南門を開けろ、来られるのは貴様1人」さるぐつわの阿嫵(アーウォ)は必死に首を横に振ったが、蕭綦は迷わず南門を開けるよう命じた。賀蘭箴は王儇を人質にしたまま演武場を脱出することに成功した。蕭綦が後を追って来る様子はなかったが、賀蘭箴は奇襲に備えて慎重に前に進む。するとやがて忽蘭(クラン)へ渡る吊り橋に差し掛かかった。しかし蕭綦も寧朔軍も現れず、賀蘭箴たちは拍子抜けする。「まあよい、どうやらそなたを望むのは蕭綦ではなく俺のようだ」その時、配下たちが次々、寧朔軍の弓矢に射抜かれ倒れた。賀蘭箴は先に王妃を連れて橋を渡ることにしたが、橋の先から蕭綦が現れ、挟み撃ちにされてしまう。配下が全滅となり、吊り橋に取り残された賀蘭箴の切り札は王妃だけとなった。「女を救いたいなら貴様がここまで来い!」賀蘭箴は蕭綦がギリギリまで近づいたところで、王妃共々、爆死させようと企んだ。「だめ!来ないで!」阿嫵は悲鳴にも似た声で訴えたが、蕭綦は死ぬ時も一緒だという。じわじわと王妃に近づく蕭綦、すると賀蘭箴が王妃の玉帯の紐をつかんで自ら吊り橋を飛び降りた。驚いた阿嫵は玉帯が着火しないよう咄嗟に賀蘭箴の腕を握りしめ、鉄鎖に肩を強打し、一緒に引きずられ落下してしまう。その時、蕭綦が瞬時に飛び出し、剣を振った。賀蘭箴は紐をつかんでいた腕を切り落とされ、そのまま真っ逆さまに谷底へ消えて行く。.。oO<ウワァーーーーーーーーーッッッッッ…≡( 「ε:)ノ<アアァァァァァァァァァァァーッ!岩山に響き渡る阿嫵の叫び声、しかしふと気がつくと、吊り橋に足を掛けた蕭綦が自分の腕をつかんでいた。一方、屋敷に戻った子澹は食事も喉を通らず、酒に溺れていた。家職から報告を聞いた皇太子妃・謝宛如(シャエンジョ)は様子を見にきたが、なぜか阿嫵の侍女・蘇錦児(ソキンジ)がいると知る。何でも阿嫵の捜索に行った子澹が暉(キ)州から連れて帰って来たとか。憤慨した宛如は錦児を呼びつけ、王氏の侍女が三皇子の屋敷にいることに不快感を表した。しかし思いがけず錦児が子澹に思いを寄せていると知る。錦児は身分をわきまえ、上陽(ジョウヨウ)郡主が三皇子と婚姻した折に2人に仕えられれば本望だった。「錦児、あなたも淡い恋心を抱くような年になったのね…」阿嫵が目を覚ますと身体中に激痛が走った。すると蕭綦の声が聞こえて来る。<目を覚ますのはいつ頃か?<傷は回復し命に別状はありません、目覚めるのを待つだけです阿嫵は自分が2日も眠っていたと知る。<敵を甘く見た私のせいだ…蕭綦は戦場で半生を過ごしながら王妃に苦痛を味わわせてしまったと反省した。その時、蕭綦は王妃が目覚めたと気づき、慌てて寝台に向かう。しかし阿嫵はどんな顔をして良いのか分からず、思わず寝たふりをした。「目が覚めたか?許しを請えないほどの罪を犯した、そなたさえ良ければ償わせて欲しい 顔も見たくないなら回復を待ち、皇都に送り届けよう」蕭綦はそこで出て行こうとしたが、王妃の声が聞こえた。「待って…」蕭綦はきびすを返し、王妃の元へ戻った。「ここはどこ?」「寧朔にある我々の軍営だ」蕭綦は自ら王妃に薬湯を飲ませようとしたが、阿嫵は自分から器に手を伸ばした。しかし肩が痛んで起き上がることもできない。結局、蕭綦に薬を飲ませてもらったが、そのうちまた眠りに落ちてしまう。すると蕭綦は王妃にそっと布団をかけ、養生するよう声をかけた。蕭綦が塗り薬を持って王妃の寝所に現れた。寝台に横たわる王妃の美しい背中、蕭綦は軍営に似つかわしくないその姿に心奪われてしまう。「薬を塗ってやろう」蕭綦が王妃の背中に声をかけると、阿嫵は侍女に任せるよう告げる。「私ではだめか?まだ私を夫と認めていないのか?…そなたが望めば寧朔はそなたの家となる 望まねばいつでも皇都に送ろう、だが治ってからだ」蕭綦は王妃の腕をつかんで体勢を変えようとしたが、阿嫵は思わず痛みで顔を歪ませた。阿嫵は抵抗したくても動けず、黙って薬を塗ってもらうしかなかった。すると衣から絹のように白く、華奢な肩が現れる。蕭綦は壊れ物に触るように痛々しい大きなアザに優しく薬を塗った。「…ゆっくり休め、話の続きは回復してからにしよう なかなか良いところだ…傷が治ったら案内する」蕭綦が出て行くと阿嫵はようやく緊張が解け、握りしめていた枕から手を離した。…死は免れたけれど、心はさらに混迷し不安だった…まるで苦痛の海に落ちたよう、この海に果てはあるのだろうか阿嫵はアザだらけの自分の身体を抱きしめるようにまた眠った。一方、宛如は錦児が隙を見て子澹に取り込もうとしていると分かった。どうやら主である阿嫵のことなど眼中にないのだろう。そこで宛如は錦児の願いを叶えてやろうと決めた。つづく( ๑≧ꇴ≦)崖落ちキター!蕭綦の人も上手いね〜微妙な感情が伝わって来る
2021.10.09
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上阳赋 The Rebel Princess第10話「忍び寄る敵の手」謝淵(シャエン)は皇帝と内外で呼応し、王氏への復讐を果たそうとしていた。すると三皇子・馬子澹(バシタン)が蘇錦児(ソキンジ)と共に暉(キ)州へ駆けつけ、豫章(ヨショウ)王妃を探していると知る。「私の所に来るよう言え…情にほだされる生き方は母親譲りのようだな…」子澹は思いがけず暉州で伯父と再会した。すると謝淵はまだ王儇(オウケン)に未練がある三皇子に呆れ果て、母の無念を忘れたのかと叱責する。子澹は阿嫵(アーウォ)と王藺(オウリン)は違うと訴え、実は謝氏が窮地に陥った時、阿嫵は自分と駆け落ちしようとしたが、自分が阿嫵を捨てたと教えた。「確かにあきらめるべきです、もはや私にできることは阿嫵の無事と幸せを祈ることだけ…」しかし子澹はここで衝撃の事実を知る。謝淵がここに来たのは実は父である皇帝の密旨を賜ったからだった。暉州刺史・呉謙(ゴケン)は丞相に謝罪に来たが、避けられていた。そこで仕方なく皇宮の前で待ち伏せし、ようやく参内する王藺を捕まえる。「長年、王氏に忠誠を尽くしてまいりました、ご斟酌ください!」「私の娘に万が一のことがあれば家族全員の命を差し出してもらう」驚いた呉謙は命だけは助けてもらおうと鎮国公府に晋敏(シンビン)長公主を訪ねた。しかし家職・王安(オウアン)に冷たく追い返されてしまう。その頃、屋敷では侍女・若秋(ジャクシュウ)が世子妃・桓宓(カンヒツ)に同情していた。「世子はあんまりです、王氏が皇帝に婚姻をせがんだせいであの方との仲を裂かれたのですよ? 想い人と別れ、無理やり婚姻させられたのに、世子妃に目もくれず毎晩、離れの女の元へ行くなんて 正室がまだ懐妊していないのに、朱顔(シュガン)という女が先に…」「それも悪くないと思ってるわ」すると外から長公主との謁見を嘆願する呉謙の大きな声が聞こえた。若秋はまだいたのかと呆れ、暉州の刺史だと教える。「暉州?(はっ)王妃の…」そこで桓宓は徐(ジョ)女官を呼んでくるよう命じた。徐女官は呉謙から上陽(ジョウヨウ)郡主の話を聞いて驚愕、慌てて長公主を呼んだ。呉謙はようやく長公主との目通りが叶ったが、そこで初めて長公主が王妃の失踪を知らないと気づく。しかしもはや手遅れだった。仕方なく呉謙は10日前に灯籠祭りに参加した豫章王妃が連れ去られたと報告する。すると馬瑾若(バキンジャク)は衝撃のあまり気を失った。一方、賀蘭箴(ガランシン)一行は阿嫵を連れて寧朔(ネイサク)の隠れ家に到着した。腹心の小葉(ショウヨウ)は主が人質の王妃に心を奪われたことに腹を立て、何かと王妃につらく当たる。その夜も小葉が嫌がらせのように王妃を見張りながら夕食を食べていた。すると策図(サクズ)が肉粥を届けてくれる。小葉は主から自分への差し入れだと喜んだが、実は王妃の食事だと知り激怒、思わず飛び出し肉粥をぶちまけてしまう。これを好機とばかりに阿嫵は戸を閉めて小葉を締め出し、ろうそくで部屋に火を放った。屋敷に戻った王藺は馬瑾若が倒れたと聞いて慌てて駆けつけた。付き添っていた世子・王夙(オウシュク)は事情を説明し、捜索の進展はあったのか尋ねる。王藺は寧朔に向かったという手がかりをつかみ、すでに豫章王に便りを送ったと教えた。恐らくこの数日の間に何か動きがあるだろう。「蕭綦(ショウキ)が知ったからには阿嫵を救ってくれるはずだ」「初夜に阿嫵を捨てた男が探してくれるでしょうか?」「豫章王と王氏は今や運命共同体、皇帝には疎ましい存在だ、我々と手を組まねば死を待つのみ」王夙は母の看病にも来ない桓宓に憤り、寝殿に向かった。しかし寝殿は真っ暗、侍女は今日も皇都に来ている父親に会いに行って留守だと告げる。実はその時、桓宓は二皇子・子律(シリツ)と密会していた。「数日後には正々堂々とそなたを私のそばに置ける…私が皇帝になれば、この世はそなたのものだ」一方、子澹はしばらく部屋にこもって考え事をしていたが、ようやく外へ出た。「…錦児、皇都に戻ろう」阿嫵は火事を起こして部屋から逃げ出し、物陰に潜んだ。賊たちの目を盗んで逃げ道を探す阿嫵、その時、突然、誰かに捕まってしまう。「王妃、お許しを…豫章王の命令で参りました」阿嫵を確保したのは蕭綦が送り込んだ腹心の胡光烈(ココウレツ)と胡瑶(コヨウ)兄妹だった。そこで胡光烈は自分がおとりになると決め、妹にその間に王妃を連れて逃げるよう指示する。しかし多勢に無勢、阿嫵は脱出が不可能と判断し、2人を無駄死にさせまいと止めた。すでに賊たちはすぐそこまで迫っている。「よく聞いて、3日後、賀蘭箴が罠を仕掛けるわ、私をおとりにして豫章王を殺すつもりよ」胡瑶は閲兵(エッペイ)式の日だと気づいた。「具体的なことは分からない、確かなのは豫章王と一戦を交える気だってことだけ …豫章王に3日後に待っていると伝えて!」すると阿嫵は2人が止めるのも聞かず、飛び出してしまう。「王妃!」「王妃!」仕方なく胡瑶は自分が残って王妃を守り、兄には大王への伝言を任せた。賀蘭箴は人質の見張りを怠った小葉の腕を斬り落とせと命じた。しかし阿嫵が火を放ったのは自分だとかばい助ける。その頃、墓穴を掘った呉謙は屋敷に帰り、夫人と夜逃げを決めた。すると見知らぬ侍女が現れ、救える人の元へ案内するという。呉謙は藁にもすがる思いでついて行くと、桓(カン)公が現れ、二皇子と引き合わせた。阿嫵は賀蘭箴の部屋の柱に縛り付けられた。賀蘭箴は凛とした王妃の姿を見ながら、神は自分に親切ではなかったと漏らす。「俺の前にある美しいものは、いつも目の前で壊されてしまう そなたが豫章王妃でなければ良かったのに… 俺が賀蘭箴ではなく敵でなければ俺を憎まなかっただろうに…」←(ヾノ・∀・`)ナイナイ「あなたは罪なき人に腹いせしながら復讐を企てている…憎まれて当然よ」すると賀蘭箴はある公主の悲劇を語り始めた。…かつて六盤(ロクバン)には美しく高貴な公主がいたしかし公主は婚儀の日、その美しさに目を奪われた招待客の忽蘭(クラン)の王子に連れ去られ、恥辱を受けてしまう愛する新郎は無惨にも殺され、公主は憎き男との間に一男一女をもうけたそんなある日、娘が病を患い、追い詰められた公主は息子を連れて六盤へ戻る公主は必死に王族へ助けを求めたが、けんもほろろに追い返されてしまう当時、そんな公主をそばで支え協力したのは護衛兵だけだった…「しかしその数年後、忽蘭の王子が人を雇って息子を探させ、息子は母親と引き離された 忽蘭王の孫が戦死し、王位継承者がいなくなったんだ、そこで過去の蛮行を思い出したのさ 彼が連れてこられて間もなく、忽蘭が大成と戦を始め、間に挟まれた六盤は民に災いが降りかかった 息子に頼み込まれた忽蘭王は護衛部隊を下賜、母を救うことを許した だが息子が戻った六盤はすでに地獄と化し、母と妹はすでに…」「あなたの話なのね…」阿嫵はようやく賀蘭箴が自分を駒にして復讐を果たすのだと知る。しかし賀蘭箴は王妃に魅了され、心が揺れていた。皇帝の元に謝淵から報告が届いた。寧朔には万全な罠が仕掛けられ、蕭綦の死後は徐授が密旨を出し、使臣の名で寧朔軍を率いることになっているという。小葉が王妃の準備にやって来た。王妃のおかげで助かった小葉は借りができたと話し、望みがあれば言ってくれという。すると阿嫵は小葉の望みは何か聞き返した。「私の望みは死ぬことよ…」賀蘭箴に救われたこの命、小葉は忽蘭に来た日から命を捧げたという。しかし阿嫵は小葉の忠誠心が悪用されていると指摘、同じ女として誰かを思う気持ちを利用されるべきではないという。「侮辱と卑しさに満ちた愛で自身を蔑むくらいなら、そんな愛はなくていい…」「さっぱり意味が分からない」←確かに(゚ェ゚(。_。(゚ェ゚(。_。*)コクコク小葉は賀蘭箴の復讐のため、自分の命を差し出すことが運命だと断言した。「決めつけないで、よく考えてみて」おとり役の小葉は王妃の服に着替えた。そして火薬を仕込んだ玉帯を自ら身体に巻き付け、死をもって報いると誓う。一方、簡素な服を来た阿嫵は賀蘭箴の元へ連行された。阿嫵は真っ先に賀蘭箴の外套にある使臣の紋章に目を留める。「…やはり共謀していたのね」「そなたが賢いのは知っていた」すると賀蘭箴は火薬を仕込んである玉帯を王妃の腰に巻いた。「ついに始まる、下手に動こうとするな… 願い事をしたいのなら″蕭綦を殺し私の命を助けて″と言え …明日以降も俺たちの命があれば、そなたと草原に戻る」(ヾノ・∀・`)ナイナイ!一方、寧朔では閲兵式の準備が整った。宋懐恩(ソウカイオン)は胡瑶だけでは王妃が心配だと懸念、人を送るよう進言する。しかし胡光烈は下手に動くとかえって警戒されると反対した。蕭綦はただ黙って聞いていたが…。つづく(^ꇴ^)キィャアー!阿嫵と兄妹のシーン好き! ←誰も聞いてないけどwそれにしても賀蘭箴のママがうんぬん~の話、さっぱり意味が分からん( ̄▽ ̄;)
2021.10.03
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上阳赋 The Rebel Princess第9話「さらわれた王妃」豫章(ヨショウ)王妃が暉州(キシュウ)で何者かにさらわれた。豫章王・蕭綦(ショウキ)は自分への攻撃なら今頃、王妃は寧朔(ネイサク)に向かう道中だと推理する。そこで胡光烈(ココウレツ)と胡瑶(コヨウ)兄妹に暉州からの道に怪しい者がいないか調べるよう命じた。それにしても王妃が連れ去られてすでに3日、皇都にこの件が知れ渡っていてもおかしくない。しかし閲兵(エッペイ)式は延期になるどころか予定通り行うという。一方、皇帝陵に向かった蘇錦児(ソキンジ)は三皇子・馬子澹(バシタン)に助けを求めていた。阿嫵(アーウォ)が連れ去られたと聞いた子澹は驚愕、居ても立ってもいられず罰を覚悟で皇帝陵を出てしまう。王儇(オウケン)を連れ去ったのは忽蘭(クラン)の王子・賀蘭箴(ガランシン)だった。賀蘭箴は王妃を自分の部屋に連行させたが、噂通り絶世の美女だと知って目を輝かせる。一方、賀蘭箴を見た阿嫵は明らかに病を患っていると分かった。すると寝台にいた賀蘭箴が美しい阿嫵をいきなり抱き寄せる。阿嫵は怯えながらも考えを巡らせた。この男が自分を痛めつけないのは目的のために必要だからだろう。賀蘭箴は王妃の観察眼に感心し、蕭綦がどうやって功績を立てたか聞かせることにした。皇都では床を離れた大成皇帝・馬曜(バヨウ)が乱心したふりをして皇后王氏を牽制していた。薛道安(セツドウアン)は皇帝の右腕となって動き、密かに逐一、報告している。そこで三皇子を見つけ次第、連れて来るよう手配したと報告したが、上陽郡主の処遇を確認しようとした時、皇后の間者の太監が戻って来たため、話が途切れてしまう。賀蘭箴はかつて蕭綦たちが滅ぼした六盤(ロクバン)とゆかりがあった。「王妃…想像してみろ?子を失った親が力なくうなだれる姿を… 罪なき弱者が道端に転がる場面を…すべては蕭綦のせいだ」「でもそれが戦の代償であろう?国を守るためにはやむを得ぬこと 知ってるわ、それに六盤も軍が約束を翻し…」すると憤慨した賀蘭箴はいきなり王妃の首を絞めた。しかし興奮したせいで急に血を吐き倒れてしまう。阿嫵はその隙に窓から逃げ出したが、馬を盗もうとしたところで捕まった。王藺(オウリン)は昭陽殿に皇后を訪ねた。調べによると数日前、暉州で事件があり、泥酔した男が溺死したという。阿嫵がさらわれた2日後のことだ。その日、暉州から出た記録を見ると、病死の男を密葬する家族がいたが、戻って来た記録がない。恐らく溺死者は口封じだろう。しかも暉州を出た家族は寧朔に向かったという手がかりがあった。「狙いは間違いなく豫章王だ」王藺は首謀者に目的がある限り阿嫵を殺すことはないと考え、配下を寧朔に送ったと教えた。すると皇后は半月前、徐授(ジョジュ)が勅書に従って食糧を届けに寧朔へ向かったことを思い出す。徐授と言えば謝氏側の者だ。王藺も知っていたが、皇帝の後ろ盾なしには動けないだろうと高を括っていた。二皇子・馬子律(バシリツ)はそろそろ動きがある頃だと期待した。桓(カン)公は賀蘭箴が蕭綦にかなりの恨みを抱いており、謝氏と六盤の残党が手を組んだゆえ絶対に成功すると安心させる。「これで寧朔軍は取るに足りない存在となりましょう」「しかし徐授がなあ~事を成した後に徐授が兵力を得れば扱いづらくなる」「今や朝廷は行動と王藺の手中にある、徐授が兵力を得る日は来ません」監国の皇太子・馬子隆(バシリュウ)が憤慨しながら寝宮に現れた。各地の城を封鎖して兵を遣わし阿嫵を捜索するよう命じたが、臣下たちがこぞって反対したという。「まさか舅舅までもが私に腹を立てるとは!」すると皇太子妃・謝宛如(シャエンジョ)は臣下たちの頭が硬いせいだと皇太子の肩を持ち、うまく機嫌を取った。寧朔に到着した使臣の徐授は謝淵(シャエン)からの文を燃やしていた。しかし灰を片付ける前に蕭綦が挨拶に来てしまう。蕭綦は何かを燃やしたと気づいたが何も言わず、長旅をねぎらった。すると徐授は王妃が連れ去られたと聞いたと切り出し、今回の訪問はさぞ迷惑だろうが勅命には逆らえないという。「これも終わらぬ戦を案じてのこと、ご理解ください」「この事態です、私事より国事を優先するのは当然です ところで先日、丞相の誕生日に杯を交わしに行かれましたか?」「残念ながら伺っておりません、半月前には皇都を出ていましたので…」徐授が皇都を半月前に出発したと言った。寧朔までは10日もあれば到着するはず、どこへ寄り道していたのだろうか。そこで蕭綦は宋懐恩(ソウカイオン)に徐授の一行を見張るよう命じた。賀蘭箴はその美しさもさることながら、王妃の気高く度胸がある気性に惹かれた。暇を見つけては王妃を呼び出し脅していたが、いよいよ王妃の衣に手を伸ばす。「獣っ!あなたの母親や姉妹がこんな目に遭ったら、どんな気分?!」すると賀蘭箴は急に顔を歪ませ、たやすく母を語るなと引っ叩いた。その時、阿嫵は地面に落ちたかんざしを拾い、賀蘭箴の肩に付き刺してしまう。しかし賀蘭箴はもっと深く刺せと挑発した。そこで阿嫵は咄嗟に自分の首にかんざしを突きつける。「私が死んだら計画は水泡に帰するわね…」薛道安が皇帝に薬湯を運んできた。「そなたは余と数十年を共にしてきた…薛道安、今日は気分が思わしくない」「…陛下、私も同じでございます」「余はそこまで残酷だろうか?」「とんでもない、陛下のお心は理解しております、郡主は陛下の大切な姪です ただ…どうしても郡主を殺されるのですか?」「阿嫵と子澹、一方しか生かせぬのだ」皇帝は余命いくばくもないと悟り、馬氏のためには阿嫵を犠牲にするしかないと判断した。「これで余には将棋の相手がいなくなるな…」賀蘭箴は王妃を手放したくないのか、なかなか動こうとしなかった。配下たちは心配になり、今後の計画に差し障りがあると苦言を呈す。するとようやく賀蘭箴は明日のこの時間に発つと決めた。「2日もあれば寧朔に着く、皇帝にはもう1つ条件を聞いてもらおう」皇帝は一人残らず王氏を殺せと命じていたが、賀蘭箴は王妃が欲しくなった。翌日の夜、賀蘭箴たちは王妃を連れて寧朔へ向かった。やがて一行は寧朔に到着する。つづく( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)皇帝…そんな…それにしても賀蘭箴がどうも苦手で…私情により端折ってますw
2021.10.03
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上阳赋 The Rebel Princess第8話「豫章王の婚礼」豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)と上陽(ジョウヨウ)郡主・王儇(オウケン)の婚礼の日。美しく着飾った王儇は先祖に別れの挨拶を告げるため、祠堂に現れた。家族が見守る中、祭壇に香炉を捧げ、位牌に拝礼する王儇、そして父・王藺(オウリン)が先祖に婚姻を報告し、娘に最後の戒めを与える。「阿嫵(アーウォ)、今日からお前は人の妻になる、いつ何時も自分勝手は許され…」しかし阿嫵は父を無視し、母に向き直って別れの挨拶を始めた。晋敏(シンビン)長公主・馬瑾若(バキンジャク)は叩頭する娘を立たせ、結局、守れなかったと悔やむ。「阿嫵、ごめんなさい…」すると阿嫵は父に一瞥もくれず出発した。( ゚д゚)ぽかーん@父豫章王府で蕭綦と上陽郡主の盛大な婚礼の儀が執り行われた。招待客の中には侍中・温宗慎(オンシュウシン)の姿もある。祭壇の前に到着した蕭綦は王儇の腕を取って案内しようとしたが、阿嫵は動かなかった。蕭綦は仕方なく侍女に新婦の介添えを任せ、無事に拝礼の儀を済ませる。しかし阿嫵は最後まで蕭綦と目を合わせることなく寝所へ入った。新婦は寝所で床入りの儀を待っていた。階下では成婚を祝ってにぎやかに酒宴が開かれている。やがて夜も更けた頃、蕭綦は招待客を見送ることにしたが、その時、戦地からの急報が届いた。豫章王はなかなか寝所に現れなかった。蘇錦児(ソキンジ)は郡主を心配し、冠を外して少し休むよう勧める。しかし王府の侍女は夫が冠を外す習わしだと止めた。阿嫵はただ黙って目を閉じていたが、その時、豫章王が戦地へ発つと知らせが舞い込む。憤慨した阿嫵は王府の侍女たちが止めるのも聞かず寝所を出た。するとちょうど寝殿の門の前で豫章王の腹心・宋懐恩(ソウカイオン)と出くわす。「お知らせいたします、忽蘭(クラン)が国に攻め入り、大王は寧朔(ネイサク)に向かわれました 火急のため仕方なくお許しください、代わりに挨拶を告げるよう大王に頼まれました」錦児は郡主の面目を潰した豫章王に激怒したが、その時、黙って聞いていた阿嫵がついに口を開いた。「あなた方の大王は… 度胸のある男だと思っていたけれど、いざという時に逃げ出す臆病者だったのね」焦った懐恩は大局を重んじるよう訴えたが、かえって郡主を怒らせてしまう。「大局?…あなたが言う大局とはどれのことかしら? 婚礼の儀が終わる前に発つこと?私を捨てて皇帝陵に行くこと? それとも愛する人と婚姻する権利を奪うこと?あなたの言う大局はただの士族の権利争いよ」阿嫵は怒りのやり場がなく、懐恩にじりじりと迫った。「私は蛮勇な男と婚姻するため、愛を捨ててまで大局を重んじた そんな私にまだ我慢しろと?!こんな侮辱には耐えられない! あなたたちは大局を考慮しろと求めるけど、大義名分と偽って私を騙しているだけよ 仮面をかぶってとやかく言ってるけれど、素顔は違うわ あなたたちは卑劣で利己的で醜い恥知らずよ!」懐恩たちは慌ててその場にひざまずき、許しを請うた。そこで阿嫵は冠を止めているかんざしを自ら外し、これを大王に届けろと命じる。「″男として責任を果たせ、人任せにせず、自分で有終の美を飾れ″…そう伝えなさい」新郎が婚儀を途中で切り上げ、招待客たちは呆然としていた。その時、上階の露台から豫章王妃が姿を現し、気丈にも豫章王の代わりに拝礼する。すると阿嫵は自分の手で冠を外し、そのまま下へ投げ捨てた。…終わりのない悪夢のようだった…夢の中で私は独り、霧の中を歩いていた…果てしなく広がる暗闇、戻りたくはないけれど先も見えない…いつか夢から覚めることを祈るだけ婚礼から3ヶ月が経った。エェェェッ!!(゚ロ゚ノ)ノ蕭綦は寧朔から王妃に便りと贈り物を届けていたが、王儇から音沙汰はない。一方、三皇子・馬子澹(バシタン)は皇帝陵にいた。父の好きだった将棋をさしながら、幼い頃に阿嫵と2人で教わったことを思い出す。しかし暉州(キシュウ)から阿嫵の知らせはなかった。阿嫵は暉州に居を移していた。毎日、酒を飲んでは眠り、退屈でも穏やかな時間を過ごしている。すると錦児が豫章王の文を届けに来た使いがまだ門の前で返事を待っていると報告した。しかし阿嫵は錦児に返事を書いてくれとそっけない。「郡主…実は三皇子殿下からも便りが…」「燃やして、私はもう豫章王妃よ、子澹哥哥とは無関係だもの」その時、空に灯籠が見えた。阿嫵は子澹との思い出がつまった灯籠を眺めながら、ふと感傷的になる。そこで錦児は明日の灯籠祭りが終わったら皇都に帰ろうと励ました。本来、暉州には灯籠祭りがなかった。しかし暉州刺史・呉謙(ゴケン)の夫人が豫章王妃を喜ばせようと準備してくれる。その夜、祭りに出かけた阿嫵は出迎えてくれた夫人たちにもてなしの感謝を伝えた。「心遣いをありがとう」阿嫵は久しぶりに気分が良かったが、そんな豫章王妃を密かに狙っている曲者がいた。阿嫵が空を埋め尽くす見事な灯籠を眺めていると、突然、何者かに短剣を突きつけられた。人々は灯籠に気を取られ、誰も気がつかない。その時、空から黒い影が現れたかと思うと、豫章王妃を抱えて連れ去ってしまう。豫章王妃が行方不明になった。城門は直ちに封鎖されたが、その時、骸を運び出す馬車が現れる。「天然痘の死者です、暉州から出さねば!家族は山に隔離し1ヶ月ほど様子を見ます」男は通関文書を持っていた。しかし将軍は棺を確認すると言って強引に蓋を開けてしまう。実は棺の底に豫章王妃がいたが、将軍は気づかなかった。皇帝の薬の時間になり、皇后王氏が寝殿にやって来た。しかし皇帝の側仕え・薛道安(セツドウアン)の命で看病している皇太子妃以外の入室はできないという。皇后は我関せず乗り込み、勝手に介抱していた皇太子妃・謝宛如(シャエンジョ)を退かして薬湯を飲ませることにした。すると皇帝は急に皇后の手を振り払い、薬をこぼしてしまう。皇后は乱心した皇帝に呆れてすぐ出て行ったが、宛如はやるせなくなった。やはり看病には真心が必要、そう感じた宛如はこれから頻繁に看病しようと決める。皇太子・馬子隆(バシリュウ)は親孝行な宛如に感謝し、未来の皇后にふさわしいと喜んだ。昭陽殿に戻った皇后も暉州の様子を探っていた。報告では豫章王が暉州に移った王妃に便りを送り続けているようで、王妃を恋しがっているらしい。皇后は蕭綦が兄を牽制するため婚儀を飛び出しことは分かっていた。これはかえって皇太子に好都合かもしれない。しかしそこに急報が舞い込んだ。「豫章王妃がさらわれ行方不明だそうです!」妹が行方不明と知った王夙(オウシュク)は父に暉州へ探しに行きたいと嘆願した。しかし王藺は息子が皇都を出れば馬瑾若に隠し通せなくなると反対する。「弱っているのに娘の失踪を知れば耐えられぬだろう、母親まで命の危険にさらす気か?!」王藺はすでにありったけの兵を暉州に行かせたと教えた。一方、錦児は馬車を飛ばして北の地にある皇帝陵へ向かっていた。郡主を救えるのは三皇子しかいない。その頃、寧朔にも王妃失踪の一報が届いた。伝書鳩がここまで飛んで来るには3日はかかる。胡光烈(ココウレツ)は手遅れになる前にすぐ探しに行くべきだと訴えたが、7日後に閲兵(エッペイ)式が迫っていた。大王が捜索に発てば勅命に背くことになり、唐競(トウケイ)は反対する。すると何やら考え込んでいた蕭綦が立ち上がった。「忽蘭は戦に負け、新王が即位した、内部紛争をなくすことが急務だろう、忽蘭の仕業ではない 大がかりな犯行をしてまで王妃を連れ去ったのだ、何か達成したい目的があるのだろう 王妃を人質にして脅せる相手は丞相か…私だ…」←いや、言わなくても分かるわ( ̄▽ ̄;)つづく( ๑≧ꇴ≦)あの黒いのエンジンついてるの?(笑
2021.09.28
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上阳赋 The Rebel Princess第7話「子澹の裏切り」豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)との縁談が決まった上陽(ジョウヨウ)郡主・王儇(オウケン)。皇太子妃・謝宛如(シャエンジョ)は複雑な思いを抱えながら、阿嫵(アーウォ)の真意を尋ねに来た。しかし目の前にいる阿嫵にはかつての天真爛漫な郡主の姿はない。「豫章王を尊敬してきたし、私の恩人でもある、英雄に嫁ぐのが夢だったから…」阿嫵はあえて嘘をつき、笑顔を見せた。落胆した宛如はかんざしを手に取り、本来なら三皇子・馬子澹(バシタン)との婚姻祝いに渡すはずだったという。阿嫵は受け取れないと断ったが、宛如は阿嫵の手にかんざしを握らせ、帰って行った。侍女・蘇錦児(ソキンジ)はなぜ真実を明かさなかったのか郡主に尋ねた。すると阿嫵は子澹に自分の裏切りだと思わせたいという。「そうすれば私に腹を立て、忘れてくれる…」貴妃謝氏は自分の命と引き換えに一族の命を守った。しかし子澹は喪が明ければ母の罪を償うため皇帝陵へ流刑、勅命がない限り生涯、帰京を禁じられてしまう。重鎮だった謝淵(シャエン)も流刑となり一族は皇都を追われ、使用人たちは別の屋敷に振り分けられた。子澹は詔獄から釈放され母を弔った。すると弔問に訪れた宛如は、謝氏が落ちぶれた一方、王氏は娘を嫁がせると悔しさを滲ませる。子澹もすでに阿嫵の縁談を知っていたが、これが丞相の企みだと分かっていた。しかし宛如は王儇に痛みも後悔のかけらも見えなかったと教える。「ふっ、あなたが10年以上も守って来た女は、英雄と婚姻すると自ら言ったのよ」「やめろっ!」「やめないわ!あなたに真実を伝えなくては!」宛如は謝貴妃が誰のせいで死んだのか忘れるなと釘を刺した。謝氏は今や宛如と子澹2人だけ、謝貴妃と家門のために敵を討たなねばならない。一方、阿嫵は子澹からもらったかんざしを握りしめ、空を眺めていた。7日後には豫章王に嫁ぐ。阿嫵は子澹が会いに来るはずないと分かっていたが、もしや灯籠が上がるかもしれないと淡い期待を抱いた。そんなある夜、晋敏(シンビン)長公主・馬瑾若(バキンジャク)が謝貴妃の弔問に訪れた。すると馬瑾若は娘の本当の気持ちに気づいていない子澹に落胆し、阿嫵が不びんだと嘆く。「あなたが流刑で済んだ理由を考えてごらんなさい… 阿嫵は自分の婚姻と引き換えにあなたの命を守ったのよ?」「つまり…阿嫵は私のために豫章王と婚姻するのですか?」真実を知った子澹は呆然、あふれ出す涙を止められなかった。「阿嫵に気持ちがあるなら、明日の子の刻、東漁場の橋まで行きなさい 2人のために船を用意させる、皇都を離れるの…永遠に帰って来てはだめよ」「でもまだ復讐が…(꒦ິ⌑꒦ີ)アゥアゥ…」「自分の身も守れないのに敵を討てると思うの?…いい?これが最後の機会よ」一方、二皇子・馬子律(バシリツ)は王儇と豫章王の婚姻を阻止するため、謝淵と近しかった侍中・温宗慎(オンシュウシン)を頼った。そこで温宗慎はその夜、密かに豫章王府を訪ねる。今回の婚姻には国の存亡と皇帝の命と民の生死がかかっているため見過ごせず、民のために自分と共に王氏に逆らう勝負にでないかと訴えた。蕭綦と腹心・宋懐恩(ソウカイオン)は激しい雨の中を帰って行く温宗慎の背中を見つめていた。「王爺?本当に丞相が謀反を企てていると?」「三皇子が刺され、皇帝は毒を飲まされ、謝氏は追われた…帝位の座を巡る血みどろの争いだ 背後にいる王氏は深く関与しているだろう」「逃げるのですか?」「私と王氏のつながりを知らしめるための婚姻だ、逃げざるを得ない」すると懐恩はあの美しい上陽郡主をあきらめられるのかと揶揄する。蕭綦は笑ってごまかしたが、一人になるとあの美しく聡明な郡主の姿に思いを馳せた。皇后王氏は阿嫵が逃げ出さないよう、屋敷に見張りを置いて帰った。すると長公主の腹心・徐(ジョ)女官が生姜茶の差し入れに現れる。雨の中ですっかり身体が冷えていた宮女や宦官たちは感謝して休憩を取ることにした。明日はいよいよ婚儀、すると阿嫵の寝殿に突然、徐女官が現れた。「郡主!何も聞かずにこれに着替えてください!長公主のご命令です」徐女官は阿嫵を連れて寝殿を飛び出した。回廊では生姜茶を飲んだ見張りたちが全員、眠り薬で倒れている。「いいですか?東漁場の岸で小さな船が待っています!さあ」徐女官が門を開けると、裏門の前に母が立っていた。「母亲(ムーチン)!」「阿嫵、子澹と一緒に逃げなさい、幸せになるのよ」馬瑾若は宮印のない金塊を託し、これなら身分が露呈しないと安心させた。愛のない婚姻が地獄でしかないと身を以って知っている馬瑾若、娘に同じ苦しみを味わわせることはできない。「さあ、早く行きなさい!」馬瑾若は娘の背中を押すと、振り返らなかった。それでも阿嫵は母の背中に叩頭し、別れを告げる。徐女官は時間がないと郡主を急かせて引っ張って行くと、馬瑾若はようやく振り返って閉まった門を見つめた。雨はいっそう激しくなった。徐女官は郡主を連れて東漁場の橋までやって来たが、三皇子の姿はない。その頃、子澹はまだ母の位牌の前にいた。…いくら心が通っていても所詮、阿嫵は王氏の娘よ?…阿嫵の婚姻は朝廷にも大きな影響を与えるゆえ、できることなら阿嫵から離れて子澹は生前、母から警告された言葉を思い出し、心が揺れる。一方、阿嫵は必ず子澹が来ると信じてひたすら待っていた。屋敷に戻った王藺は祠堂で祈りを捧げ、儀式である戒めを行おうとしていた。すると馬瑾若が現れ、皇兄に毒を持ったのかと迫る。王藺は仕方なく自分だと認めると、馬瑾若は隠し持っていた短刀を出した。しかし王藺は長公主に人を殺せるはずがないと高を括り、何もしない。「…瑾若?刺せないなら刀を下ろしなさい」思い詰めた馬瑾若は自分の首を斬ろうとしたが、王藺が咄嗟に腕をつかんで短刀を奪い取った。勢い余って床に倒れた馬瑾若は泣き崩れると、そこへ家職・王安(オウアン)が駆けつける。「郡主の姿が見えません!」「郡主がいない?」王藺はすぐ長公主の仕業だと気づいた。一方、蕭綦は王府の荷物を片付けていた。明日は側近の胡光烈(ココウレツ)・胡瑶(コヨウ)兄妹が迎えに来る手はずになっている。城を出たら川沿いに西へ向かい、雲津(ウンヅ)の渡し場に着いたら北へ行く。そこなら王藺の勢力を避けられるだろう。「人の想い人を奪うわけにはいかぬ…」「残念です…あれほど美しい人にはもう出会えないかも」なぜか懐恩は蕭綦より後ろ髪を引かれていた。王藺は直ちに城門を閉めた。やがて雨が上がる頃、徐女官はそろそろ帰ろうと勧める。船頭はもうすぐ夜が明けてしまうと困惑したが、その時、馬車の音が聞こえた。「子澹哥哥?!」すると突然、弓矢が船頭を直撃、馬車から父が降りて来た。「阿嫵、観念しろ!一晩中待っても来なかったのだろう?!子澹は来ない!来るはずない! 来ないのはお前を憎んでいるからだ!目を覚ませ!」父の言葉はもっともだった。子澹は思い直して東漁場へ向かったが、すでに日が昇っていた。阿嫵の姿はどこにも見当たらず、小舟だけが虚しく浮かんでいる。その時、子澹は桟橋に落ちているかんざしを見つけた。真っ二つに割れたかんざしは確かに阿嫵に贈った婚約の印、恐らく阿嫵は自分に裏切られたと思って投げ捨てたのだろう。つづく( ;∀;)あーうぉ〜!
2021.09.27
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上阳赋 The Rebel Princess第6話「謝貴妃の自死」皇后王(オウ)氏は臣下を招集した。そこで静養が必要な皇帝に代わりに今日から皇太子・子隆(シリュウ)が監国に、丞相が摂政を努めると告げる。一方、叔母が投獄されたと知った皇太子妃・謝宛如(シャエンジョ)は皇太子に泣きつき、一族を助けて欲しいと懇願した。しかし皇太子は自分もこの目で見たという。確かにここ数年は皇帝の愛情が謝貴妃と三皇子・子澹(シタン)に偏り、不満を募らせた母と叔父がこの機についに追いやったのだろう。「謝氏は皆、投獄されたのだぞ?罪に問われないだけ幸いだと思え」皇太子は宛如だけは守ると誓ったが、もし謝淵と謝貴妃を救えるとすれば父皇だけだと言った。王藺(オウリン)は弟の王栩(オウク)に侍中・温宗慎(オンシュウシン)と謝氏に近しかった臣下らを見張るよう命じた。すると王栩はなぜ皇帝の息の根を止めないのか訝しむ。王藺は皇帝が虫の息でいてくれた方が好都合だと話し、領地を持つ諸王たちも迂かつに行動できないと教えた。「弔問を口実に兵を連れて上京されたら禁衛軍も歯が立たぬ 太刀打ちできるのは20万の兵を抱える寧朔軍だけだ」「なるほど…で謝一族と三皇子はどうなさいますか?」王藺は皇后に協力を頼んだ。皇后も動き出したからには後戻りはできないと了承したが、ただ皇帝の座を懸けた争いに巻き込まないことが条件だという。「子隆に何かあれば私は生きていけません…今度、何かが起これば別の道を歩みます」しかし王藺は駒になるのは子隆だけではないと言った。家門を守るため、王氏全員が駒とならねばならない。「蕭綦と阿嫵を婚姻させれば王氏の家門は安泰だ」一方、屋敷に連れ戻された阿嫵は父の思惑など知らず、子澹との幸せな思い出に浸りながら独り涙していた。王藺は朝議で謝氏が皇帝に毒を盛ったと断定、寝宮からも毒が見つかったと報告した。そこで処罰について意見を求めたが、謝淵と近しい温侍中は皇帝が目覚めて真相を究明してからにすべきと上奏する。「この事件は怪しく証拠も乏しい、毒酒1つで100年の歴史を持つ士族を滅ぼすと?」すると皇后は万一、謝貴妃が己と謝一族の犯行と認めたらどうするつもりか聞いた。温時中は待つのが賢明だと答え、天下の民に公平な裁きをと嘆願した。皇后が牢獄にやって来た。収監された謝一族たちの罵声が飛び交う中、皇后はやがて謝淵の牢の前を通りかかる。すると謝淵はもし運良くここを出られたら王氏に対価を払わせ、この恨みを必ず晴らすと言った。皇后は謝貴妃に食事を差し入れ、自ら酒を注いで杯を交わした。すると皇后は阿嫵が苦しむ姿を見るに耐えず、謝貴妃を説得に来たという。そこで子澹に生きる道を残す代わりに命を差し出せと要求した。謝貴妃はそもそも子澹は無関係だと訴えたが、結局、誰が犯人かは重要ではないと知る。子澹と謝一族を守るためには自分の罪を認め、謝罪文を書くしかなかった。「1つ約束を…約束を破り、子澹と家族に害を及ぼせば怨霊になっても許すことはありません」謝貴妃が手を出すと、皇后は手の平を打って誓いを立てた。皇后は白綾を置いて帰って行った。「陛下、私も一緒に参ります…来世では平凡な夫婦として出会いましょう」こうして謝貴妃は自ら命を絶った。謝貴妃の謝罪文を見た臣下たちは言葉を失い、それ以上、誰も王藺に異論を唱える者はいなくなる。一方、二皇子はこれで謝一族が斬首となり、子澹も同罪だろうと安堵した。しかし宮中ではすでに上陽郡主と豫章王の婚姻の噂が広まっている。二皇子は宛如と蕭綦の縁談を防いだように、今度も2人の婚姻を阻止すると意気込んだ。その夜、阿嫵は門で兄の帰りを待っていた。するとようやく王夙(オウシュク)が宮中から戻ってくる。「哥哥!どうなったの?!」「父上はいなかった、皇后娘娘が子澹を助けたければ蕭綦と婚姻しろと…」驚愕した阿嫵は思わず兄が降りた馬にまたがり、宮中へ駆けて行った。阿嫵は衛兵が止めるのも無視して皇帝の寝所に入った。「舅舅…起きてください、舅舅、子澹哥哥を助けてください、お願いです」皇帝の枕元で泣き崩れる阿嫵、そこへ皇后がやって来た。「子澹を助けられるのはそなただけ…子澹を助けたくば豫章王と婚姻しなさい」皇后は16歳で皇帝に嫁いだ。婚姻前は阿嫵と同じように悲しみなど知らず、蝶よ花よと育てられたという。しかし自分を愛していない皇帝に嫁ぎ、この世の美しい出来事など幻想に過ぎないと少しずつ悟った。そして妹も兵力を得るために20も上の慶陽(ケイヨウ)王と婚姻したという。「慶陽王も名声を失った、今の王氏にはより強い力が必要なの、拒むなら子澹は明日…」「…約束します」阿嫵は涙をふくと、寝宮をあとにした。皇太子は監国として豫章王に上陽郡主との成婚を特賜した。阿嫵は呆然と歩きながら、実はこれが本当の成人の儀なのだと気づく。…少女の幼い夢は残酷な現実に打ち砕かれた私の身体には重臣の家系の血が流れている私は王氏から永遠に逃れられない、宛如姐姐は正しかった姑姑も宛如姐姐も逃れられなかったように私も逃れることはできない世間知らずで無邪気だった阿嫵は今この瞬間に死んだのよ姑姑の言う通り子澹哥哥を助けられるのは私しかいない…阿嫵が屋敷へ戻ると、父と母が自分の婚姻の件で争っていた。晋敏(シンビン)長公主・馬瑾若(バキンジャク)は娘を使って兵を手に入れるのかと非難、皇兄が眠ったままなら自分も娘も必要ないのかと言い放つ。しかし王藺は阿嫵だけでなく妹たちも家門の名声をとどろかせるため犠牲になったと訴えた。今は士族の勢力が弱り、この国も昔のように平穏ではない。立派な家門の栄華などとっくに消え去り、顧氏や謝氏のように圧倒的な力を持つ皇族の一員でさえ呆気なく没落してしまう。「権力を持つ将軍との婚姻のみが長公主と王氏の栄光を維持する道なのだ」「丞相、その栄光のためにあなたは渋々、長公主と婚姻し、その愛を本物だと欺いて来たのですね それなのに娘を卑しい寒門に嫁がせるというの?」「卑しい寒門?その寒門の蕭綦が命を懸けて敵を退けたからこそ国は安泰なのだ!」そこへ王夙が乗り込んだ。「娘の婚姻を利用するのはよくありません!お許しくださるなら私が入隊します!」「まずは子を持て、王氏はその子に継がせ、辺境を守りに行け! あとは生きるも死ぬもお前の命だ!すぐに孫の顔を見せろ!だが手遅れだな… お前がそうしていれば阿嫵は蕭綦に嫁がずに済んだのだ!出ていけ!」長公主は娘を守るため死んで抗議すると決意した。しかしそこへ阿嫵がやって来る。阿嫵は両親の前にひざまずき、自ら蕭綦の妻になると告げた。「英雄の元に嫁ぎます」一方、蕭綦は婚姻を賜り困惑していた。宋懐恩(ソウカイオン)もこの縁談は陰謀めいていると怪しむ。丞相はわざわざ豫章王が娘を抱き留めたと触れ回っていた。しかも皇帝の毒殺未遂騒ぎの直後だというのに娘を嫁がせるとはおかしな話だ。「お前だったらどうする?」「…婚姻はしても丞相には手を貸しません!」長公主は皇后を訪ねた。そこで夫の野心の果てが皇帝の座だと教え、皇太子の政権を王氏に奪われてもいいのかと迫る。皇后は阿嫵の婚姻に反対だからと言って兄に反逆の罪を着せるのかと呆れたが、長公主は夫の密談を聞いてしまったと言った。「実の娘さえ兵力のために犠牲にできる人です、当然、甥にも同じことができるでしょう」しかし必死の訴えも虚しく、皇后に追い返されてしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)皇后のぬこーっ!←そこっ?!wどうやらパパも望まぬ結婚?…何だこれ( ̄▽ ̄;)
2021.09.16
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上阳赋 The Rebel Princess第5話「引き裂かれた恋」上陽(ジョウヨウ)郡主・王儇(オウケン)は父から謝宛如(シャエンジョ)が皇太子妃になると聞いて困惑した。侍女・蘇錦児(ソキンジ)はこれで郡主が三皇子・馬子澹(バシタン)と婚姻しやすくなったと励ましたが、王儇は宛如の幸せと引き換えにはできないという。一方、子澹は父皇に謁見し、阿嫵(アーウォ)との婚姻を嘆願していた。皇太子・子隆(シリュウ)の件で愛しい阿嫵が苦しむ姿を見るに絶えず、婚姻してそばで守りたいという。すると皇帝・馬曜(バヨウ)は馬一族が先祖代々王家の女を妻とし、王氏の娘と婚姻することは天下を得ることだと言った。しかし子澹は否定し、阿嫵こそが自分の天下だと答える。「そこまで言うなら来月の誕生日に命を下そう、その覚悟を後悔するでないぞ」同じ頃、丞相・王藺(オウリン)は豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)を訪ねていた。そこで娘を助けてくれた感謝を伝え、蕭綦と同盟を結ぶために″掌中の珠″を差し出すという。蕭綦は関門出身の自分では不釣り合いだと卑下し、そもそも上陽郡主には相手がいると訝しんだ。しかし王藺は蕭綦が娘を抱き留めたことは周知の事実、昔から女子の貞操は重要だという。困惑した蕭綦は今はまだ妻を迎えるつもりはないと固辞したが、王藺はまた来ると言ってその場は引き下がった。この世に対価なしで手に入る物などない。蕭綦は丞相が帰るとすぐ寧朔(ネイサク)の戦いで命を落とした兵士の名簿が入った大きな箱を引っ張り出した。「懐恩(カイオン)、丞相からもらった品を家族に分けてやれ、頼むぞ?」阿嫵は宛如が心配で結局、自分から会いに行った。すると宛如はすでに涙も枯れ果て、結局、豫章王と皇太子どちらに嫁いでも同じだと気づいたという。どうせなら身分が低い関門出身の豫章王より、将来は皇帝になる皇太子を選んだ方がましだ。「阿嫵、死ぬほど苦しんだ末にやっと悟ったわ、これが士族の女子の宿命なのよ あなたも決して逃れられない…」その夜、錦児は灯籠を見つけ、急いで郡主を中庭に引っ張り出した。「子澹哥哥だわ!」阿嫵は喜んで裏庭に向かったが、父が木を切ってしまったため塀にはもう登れない。すると子澹の声が聞こえた。「阿嫵?父皇が婚姻を許可された、来月の誕生日に命を下される」しかし阿嫵は急に怖くなった。「宛如姐姐に言われたの、士族の娘は宿命に逆らえないって… 子澹哥哥、私たちの未来はどうなるの?」「阿嫵、婚姻したらそなたは王氏ではなく、私も皇子ではなくなるんだ さすらいながら自由に生きよう、阿嫵は今まで笑顔で生きて来た、今も笑っているか?」子澹は自分が生涯そばにいるので恐れるなと言った。…宛如姐姐の話は悪夢のように頭から消えなかった私は自分に言い聞かせた私は姐姐とは違う、子澹哥哥も皇太子ではない、皇帝が許された婚姻に心配事などないと10日ほど経てば黄道吉日を迎える宛如姐姐と太子の婚礼準備が急がれた誰が想像しただろうかその短い平静は嵐の前の静けさに過ぎず、まさかこんな大事件が起きることになろうとは…皇太子と宛如の婚礼の日、祝宴を終えた皇太子は床入りの儀に向かった。しかし寝所で待つ宛如に合わせる顔がない。「今夜は便殿で眠ろう…私の過ちは消えぬ、私を憎みさえしなければ十分だ」皇太子は宛如の怒りが鎮まるのを待つことにしたが、宛如は宿命を受け入れ、過去は忘れると言った。「この先あなたは私の夫であり、私の全てです」感激した皇太子は今夜から生涯をかけて宛如に尽くすと誓った。…私は宛如姐姐に顔向けできず、婚礼式に参加しなかった盛大な楽器の音も歓声も姐姐には苦痛だっただろう姐姐は変わってしまった、何もかも…その頃、二皇子・馬子律(バシリツ)は人里離れた隠れ家で桓(カン)公と密談していた。桓公と言えば王家の世子妃・桓宓(カンヒツ)の父である。「子澹が襲われ、顧庸(コヨウ)が死に、王氏と謝氏は対立し、太子と王儇の婚姻も水泡に帰した 全ての黒幕が二皇子殿下だとは思わんでしょうな」恐らく王藺もこのまま黙ってはいないだろう。しかし二皇子は高みの見物を決め込むことにした。王栩(オウク)は宗廟にいた兄に準備が終わったと報告した。そこで王藺は宮中へ入り、密かに皇帝に丹薬を献上していた道士と接触する。「薬は準備できました」「耳と口が不自由なふり、ご苦労だったな…褒美をつかわす」皇帝は道士が耳も口も不自由だと信じ、誰にも言えない胸内を明かしていた。王藺は次に皇太子を呼び出し、皇帝の信頼を取り戻す方法を授けた。皇太子の前に置かれたのは玉璽(ギョクジ)、実は皇祖が長江を南へ渡った際に失くして以来、歴代の皇帝も探し出すことが叶わなかった代物である。「なっなぜここに?!」「王氏には王氏の方法がある、これがあれば皇帝はお前を見直すはずだ」皇太子は叔父が自分に手柄を譲ってくれると知り、素直に感謝した。王藺は皇太子にわざと今夜中に玉璽を届けるよう指示した。そこで早速、皇太子は謝貴妃の寝宮まで押しかけ、父皇に玉璽を献上する。「数年かけて見つけました、先ほど臣下より受け取り、すぐお持ちしたのです!」皇帝は100年ぶりに戻って来た玉璽に歓喜、大きな功を立てた皇太子に褒美を授けると言った。「貴妃!酒を頼む!」その時、王藺は謝貴妃の寝宮を遠目から眺めていた。すると謝貴妃の悲痛な叫び声がもれ聞こえてくる。「陛下ぁぁぁ!誰かっ!太医を!急いで!」太医令は昭陽殿に参上し、皇后と丞相に皇帝が烏頭(ウズ)の毒を盛られたと報告した。幸い解毒が功を奏し一命を取り留めたが、丹薬を常用していたせいで血の流れが滞り気味だという。そのため慎重に解毒する必要があり、太医令も皇帝がいつ目覚めるか断言できなかった。すると太医令は恐る恐る酒からは毒が検出されず、玉璽から匂っていたと伝える。しかし王藺から本当に酒ではないのかと迫られ、恐れおののいた太医令は失言だったと謝罪した。「謝貴妃の酒には…透明で味もない…無味無臭の毒が盛られていました… 陛下から出た毒と同じ物です」太医令が下がると、皇后は兄の仕業かと確認した。しかし王藺は玉璽を届けたのが子隆だと言い逃れする。「やめてください!子隆のはずがないわ」すると王藺はもはや選択肢は2つだと迫った。自分が毒を盛ったと告発し、王氏一族が皆殺しにされるか、もしくは謝貴妃に罪をかぶせて謝一族を投獄するか。「謝一族を打首にすれば、のちに虎符(コフ)を手に入れられる そうなれば豫章王を呼び入れ、兵力を王氏に集中できる 皇帝が崩御されれば太子もすんなりと即位できるだろう…皇后、ご決断を」阿嫵は皇帝危篤の知らせを聞いて寝宮に駆けつけた。「舅舅!舅舅!一体どういうことなの?!」すると父が現れ、謝貴妃が酒に毒を盛ったという。寝耳に水だった謝貴妃は呆然、自分ではないと否定し、子澹も父皇を愛する母が毒を盛るはずないと抗議した。しかし王藺は皇后に証拠となる酒を示し、処罰を決めるよう求める。皇后は謝貴妃の投獄を命じ、王藺は即刻、謝氏の母子を引きずり出せと指示した。慌てた阿嫵は咄嗟に父の前にひざまずき、子澹は関係ないと訴える。ちょうど皇帝が三皇子との婚姻に承諾してくれたばかり、毒を盛るなどあり得ない。「姑姑、撤回してください…姑姑!どうかお慈悲を…うわ~ん」阿嫵は涙ながらに嘆願し、証拠となる毒酒を自ら飲んで潔白を証明しようとした。驚いた王藺は酒瓶に伸ばした阿嫵の腕をつかみ、娘を屋敷に連れ帰るよう命じる。「嫌よ!」「阿嫵!」阿嫵と子澹は手を取り合い抵抗したが、衛兵たちに引き離され、ついにその手が離れてしまう。皇帝が倒れたと聞いた蕭綦が懐恩を伴って寝宮に現れた。「陛下に一体、何が?」そこで子澹は昨夜、皇帝に仕えたのは誰かと聞いた。「私です、でも何も知りません 宮殿に来られてすぐの出来事でしたし、何を食べ、何を飲まれたのかすら… 入宮されたのは深夜で、お酒を2杯、飲まれただけです」「そうです、私が造った酒を飲まれました」謝貴妃はかなり前に造った酒だと話し、皇帝が今までに何度も飲んでいたと訴えた。すると子澹は丞相が真実を明かす前に急いで謝氏を牢に閉じ込めようとしている本意は何かと訝しむ。皇太子も確かに今は父の身体を考えるべきだと訴えたが、叔父に睨まれて口をつぐんだ。王藺は蕭綦が鎧をまとっていることに気づき、まさか兵を連れて来たのかと聞いた。しかし蕭綦は謁見に来ただけで兵など連れていないという。「宮中は危険なところですね、20万の寧朔の兵が陛下をお守りします」すると王藺はここで判断を下すのは自分だと牽制した。「…もちろんです」「よし、三皇子と謝貴妃を投獄せよ」王栩が謝一族を連行、事実上、謝淵(シャエン)の安明侯府は閉鎖された。二皇子は何食わぬ顔で朝議に現れ、侍中・温宗慎(オンシュウシン)に謝貴妃が父に毒を盛ったと思うか探りを入れる。そこへ鎧姿の豫章王と丞相が入って来た。つづく( ๑≧ꇴ≦)まさかの二皇子でした!しかも阿嫵の義姐の父とつながっているとはねえ〜
2021.09.16
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上阳赋 The Rebel Princess第4話「子隆の失敗」寧朔(ネイサク)軍の3代目首長・蕭綦(ショウキ)は20万人の兵士を率いて忽蘭(クラン)王を討ち取り、その功績を称えられ豫章(ヨショウ)王に冊封された。ここに建国以来初めて馬(バ)姓以外の王が誕生する。三皇子・子澹(シタン)は開宴するとすぐ恩人である蕭綦のもとへ向かった。そこで敬意を表して一献しようとしたが、蕭綦は酒が飲めないので水だと断ってから杯を交わす。そんな中、ひとり落ち着かない様子の皇太子・子隆(シリュウ)がいた。子隆は頃合いを見計らって宴席を抜け出し、華光殿に戻った。そこで使用人たちを全て追い出し、寝所に入ってその時を待つ。しかし何者かが密かに迷香を置いていた。蕭綦は息抜きに大殿を出て風に当たることにした。一方、皇后に呼ばれた上陽郡主・王儇(オウケン)はなぜか叔母の昭陽殿ではなく、皇太子の華光殿に案内される。「ここなの?…誰もいないわ」「皇后殿下が静かな場所で話したいとおっしゃって…」仕方なくは王儇は前庭に入ると、徐(ジョ)乳母と宦官は静かに門を閉めて錠をかけた。王儇は正殿に入った。しかし叔母の姿が見当たらず、仕方なく奥殿の戸を開けると、誰かの房事を目撃してしまう。すると寝台の御簾を開けて皇太子が顔を出した。「阿嫵(アーウォ)?…あれ?阿嫵?」驚いた阿嫵は慌てて逃げ出したが、門が開かなかった。そこへあられもない姿の皇太子が駆けつけ、間違いが起こったが、愛しているのは阿嫵だと迫る。「来ないで!恥知らず!」恐怖におののいた阿嫵は襲いかかる皇太子を蹴り飛ばし、木に登って塀の上に上がった。無我夢中で細い足場をよろよろと歩いて行く阿嫵、やがてうっかり足を滑らせ落下してしまう。その時、咄嗟に駆けつけた蕭綦が阿嫵を抱き止めた。「…なぜあなたが?」阿嫵はそのまま蕭綦の腕の中で意識を失ってしまう。↓郡主が15歳だから…将軍は18歳くらい?…( °◊° )え?皇后は是が非でも阿嫵を皇太子妃にすべく、子隆と無理やり関係を持たせて婚姻させようと企んだ。しかしその計画を知った何者かが謝宛如(シャエンジョ)を阿嫵より先に華光殿へ案内してしまう。その時、媚薬で我を失っていた子隆は宛如を阿嫵だと思い込み、無理やり寝台へ連れ込んでいた。皇后は乳母から計画の失敗を聞いた。しかも貞操を奪われた宛如が自害しようとしたことから、皇帝の知るところとなる。皇帝は実は子隆が阿嫵を手込めにしようと企んでいたと知り、烈火の如く怒った。「愚か者!太子の座はお前にはやれぬ!」驚いた皇后は再考を嘆願すると、皇帝は今日のところはともかく華光殿を訪れた徐乳母以外の者に毒酒を飲ませるよう命じた。その夜、知らせを聞いた丞相・王藺(オウリン)が昭陽殿に駆けつけた。危うく娘を傷つけられるところだった王藺は浅はかな皇太子を引っ叩き、甥と言えども突き放す。「舅舅…誓います、阿嫵をあきらめます」「今度、問題を起こしたら王氏は助けぬ…すぐ宛如と婚姻し、太子妃に迎えよ」子隆は意気消沈して昭陽殿を出ると、子澹が待っていた。すると子澹は兄を殴りつけ、謝氏の女を陵辱し、自死に追いやりかけたと猛烈に抗議する。子隆は口からあふれ出した血に呆然、しかし子澹は再び兄を殴りつけ、倒れた子隆の上にまたがった。「これは阿嫵の分だ!こんな屈辱を受けたのは初めてだ! いいか!これは警告だ!今度、阿嫵に手を出したらこれでは済まないぞ!」阿嫵は衝撃のあまり高熱を出して倒れた。晋敏(シンビン)長公主・馬瑾若(バキンジャク)は枕元で娘の手を握りしめ、兄・王夙(オウシュク)は皇太子への怒りがおさまらない。そこへ遅れて王夙の妻・桓宓(カンヒツ)が見舞いにやって来た。すると王夙は妹を静かに休ませたいと言って世子妃を追い返してしまう。馬瑾若は息子夫婦の仲を心配していた。婚姻して数年経ったが、一向に孫を抱ける様子はない。一方、皇后はひどく殴られた息子の顔を手当てしながら子澹への恨みを募らせた。しかし子隆は自分の過ちだと認め、三弟だけでなく父皇も叔父も謝貴妃も怒らせてしまったと嘆く。「私は宛如に興味はありません…生涯、夫婦のふりをして生きろと?」「あなたの意見は通らない」皇后は太子の位を守るためには宛如と婚姻しなければならないと諭した。その夜、蕭綦は中庭で草笛を吹きながら、上陽郡主を抱き留めた時のことを思い出していた。「大王?どうされました?」すると腹心のひとり、宋懐恩(ソウカイオン)がやって来る。「草笛の音色もいつもと違いますね?…もしや日中、救った女子のことを想っていたので?」「…月が明るい、眠れないのなら庭を100周、走って来い」蕭綦は宋懐恩に胸中を見透かされ、照れ隠しに追いやった。皇帝は皇位争いに巻き込まれた宛如に胸を痛めた。確かに皇座に就くため琅琊王(ロウヤオウ)氏の力を借りたが、今となってはその事実が足かせとなる。実のところ子隆は単純すぎる男で隠し事すらできない。それでも王氏の息子であるがゆえ、いずれ皇位を継承しなくてはならなくなった。謝氏の娘を蕭綦に嫁がせ王氏をけん制しようと考えたが、子隆の思わぬ過ちにより計画は水泡に帰してしまう。…もはやこの機に乗じて決断するしかない、禍根を残さぬためにも…いつの間にかうたた寝していた馬瑾若、ふと目を覚ますと肩に王藺の外套がかかっていた。その頃、屋敷に戻った王藺は弟の王栩(オウク)から報告を聞いていた。実は皇太子の寝所で迷香が見つかり、調べたところ催淫効果のある媚薬だったという。歴代の王朝で禁じた薬だったが、後宮では寵愛を争う側室たちが欲しがり、禁止できなかったという曰くつきの薬だった。「太子と宛如はこれを嗅いだのでしょう」宛如は女官から皇后が呼んでいると言われて華光殿に案内されていたが、その女官は生死すら不明だという。恐らく何者かが皇太子と阿嫵の婚姻と同時に謝氏と蕭綦の縁談も頓挫させたのだ。三皇子は刺客に狙われ、顧庸(コヨウ)は殺され、そして華光殿の騒動、見たところ徳を得るのは王氏でもなければ謝氏でも皇帝でもない。王藺は禁衛兵に調査させると決めたが、その前に解決すべき問題があった。「皇帝が太子を廃位しようとしているらしい …皇帝が先に仁の道に背いた、私が不義になるのも責められまい(はっ!)誰だ!」王藺は回廊に誰かがいると気づいた。そこで王栩が様子を見に行こうとしたが、その時、馬瑾若が入って来る。馬瑾若は夫の外套を抱え、書斎の明かりが見えたので寄ったと言ったが、王栩が来ていると知って戻って行った。「大哥?嫂嫂に聞かれたでしょうか?」その夜、馬瑾若はなかなか寝つけなかった。…そなたは余の妹か、丞相の妻か…皇兄の言葉を思い出し、馬瑾若の心は大きく揺れる。そして翌朝、阿嫵は薬のおかげかすっきり目が覚めた。「夢に子澹哥哥が出て来たわ」すると侍女・蘇錦児(ソキンジ)が失笑し、実は三皇子が昨夜、来ていたという。三皇子は郡主を休ませたいので起こさないよう頼み、そのまましばらく庭で見守ってから帰っていた。皇帝は宛如を皇太子妃にするという王藺の救済策を謝淵に伝えた。しかし謝淵は悪辣な皇太子の廃位を求める。「子澹を太子にしては?良い機会です!」「…たやすくはない、必ず一度で成功させなくては…」実は皇帝も華光殿の一件には背後で操る者がいると疑っていた。「探せ」皇帝は皇后に子隆と宛如を婚姻させると命じた。「それで終わりにする、しかし覚えておけ、これがお前たちに与える最後の機会だ」この一件で皇帝と皇后の溝はいっそう深くなり、皇后は思わず積年の恨みを爆発させてしまう。「かつては夫の愛に生きようとしました、でもあなたが守るのは別の女ばかり… 私の願いを切り捨てたのは誰でしょう?陛下が私に投げられた言葉を忘れません! 一体なぜこうなったのです?!」「そなたは王氏の女であり、余は皇帝だ…仕方がない」そんな2人の言い争いを王藺が回廊で聞いていた。王藺が娘の寝宮を訪ねると、なぜか阿嫵が外にいた。王藺は傷ついた娘を抱きしめ、何をしていたのか聞く。「宛如姐姐に会いたいけど…余計に苦しめそうでためらってるの」「…太子妃になるのを嫌がる女子は愚かな阿嫵を除いてこの世にいないだろう」「姐姐は太子妃になるの?!ひどい目に遭わされた人に嫁ぐなんて… 豫章王には何て説明するの?」「そう言えば豫章王に助けられたあと、礼を言っておらぬな」すると王藺は自分が代わりに伝えると言って戻って行った。一方、子澹は父皇に謁見し、皇太子を殴ったと謝罪して罰を請うた。しかし皇帝は自分の代わりに殴ってくれたと許してくれる。「父皇、お願いがあります」つづく( ๑≧ꇴ≦)急にオスマン帝国外伝が始まったわw今日の口ぶりだと皇后もいやいや嫁いだフラグ?
2021.09.10
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上阳赋 The Rebel Princess第3話「王の冊封」実の姉妹のように仲の良い上陽郡主・王儇(オウケン)と謝宛如(シャエンジョ)。宛如は今日も阿嫵(アーウォ)を訪ね、三皇子・子澹(シタン)の怪我なら回復していると安心させた。喜んだ阿嫵は目を輝かせ、すぐにでも子澹に嫁ぎたいと夢を見る。そんな無邪気な阿嫵の笑顔を見ながら宛如はふと顔を曇らせた。「どうしたの?何かあった?」「私…婚姻するの」宛如は許嫁が寧朔(ネイサク)将軍・蕭綦(ショウキ)だと言って肩を落とした。確かに蕭綦は英雄で王に封じられるが、宛如にとって武勇伝などどうでも良いことだという。あと数日で蕭綦は皇都に入り、入城の儀で皇帝が出迎えることになっていた。「ねえ、見物に行ってみない?」「でも女子は入城の儀に行けないわ」王家の世子・王夙(オウシュク)は今日も涼亭で美人画を描いていた。そこで阿嫵と宛如は入城の儀に連れて行って欲しいと頼んだが、その時、ちょうど父の丞相・王藺(オウリン)が通りかかる。阿嫵は仕方なく正直に蕭綦がどんな人か見てみたいと話したところ、父は兄と一緒に行って豫章(ヨショウ)王の軍威を見て来いと許してくれた。「阿嫵が男なら憂慮せずに済むのだが…」肝心の世子は酒や書など道楽ばかり、王藺は自分の絵を描いてみろと言ったが、王夙は黙って寝宮に引き上げてしまう。一方、晋敏(シンビン)長公主・馬瑾若(バキンジャク)は意を決し参内していた。そこで皇兄への謁見を前に貴妃謝(シャ)氏を訪ねる。すると謝貴妃もやはり子澹と阿嫵を襲わせたのが皇后だと疑っていた。2人はその陰湿なやり方に反発、子供たちのために一緒に婚姻を嘆願しようと決める。大成皇帝・馬曜(バヨウ)は妹と寵姫からの頼みを聞き入れ、子澹と阿嫵の婚姻を認めた。喜ぶ長公主だったが、皇帝は2人だけで話があるという。皇帝は母の命で王氏に嫁がされた妹をずっと不びんに思っていた。しかし馬瑾若は自分の子どもたちが幸せなら満足だと話し、駙馬(フバ)とは同床異夢だという。「元より王氏の権力は強いが、ここ数年、王藺の勢力が朝廷でも大きくなっておる 余には備えが必要であろう、ひとつだけ聞く…今のそなたは余の妹か?丞相の妻か?」屋敷へ戻った長公主は娘に謝貴妃から託された玉の腕輪を渡した。この腕輪は高価な品ではないが、謝貴妃が母から受け継ぎ、子澹に嫁ぐ娘に渡すと決めていたという。阿嫵は大喜びで母に抱きつくと、そこへ父が帰って来た。しかし阿嫵は父には腕輪をもらったことを秘密にして部屋に戻ってしまう。翌朝、王藺の弟・王栩(オウク)が興味深い情報を持って来た。刺客の件で異民族を探していた顧庸(コヨウ)が遊郭で二皇子・子律(シリツ)に遭遇したという。すると家職・王安(オウアン)が皇太子と二皇子が来たと声をかけた。皇太子・子隆(シリュウ)は長公主と謝貴妃が皇帝に謁見したと知って焦った。そこで贈り物を持って阿嫵に結婚の申し込みにやって来たが、けんもほろろで取り付く島もない。すると息子が無駄足を踏んだと聞いた皇后は、蕭綦の冊封の宴に阿嫵を呼ぶよう命じた。蕭綦を出迎える入城の儀の準備が始まった。大臣たちが城門の前に集まる中、早速、王藺と謝淵(シャエン)は蕭綦との縁談の話題で牽制し合う。その頃、阿嫵は城楼へ真っ先に駆け上がり、高楼から元気そうな子澹の姿を見つけた。思わず見つめ合う2人、すると皇太子と二皇子も阿嫵が来ていると知る。その時、ついに寧朔軍が到着、蕭綦は兜を外して皇帝の前で片膝をついた。蕭綦を見た子澹は刺客から助けてくれた恩人だと気づいて驚いた。遠くから見下ろしている阿嫵はまだ気づいていないらしい。 ←と思うけどどう?すると皇帝は自ら蕭綦のもとへ歩み寄り、一緒に宮殿へ向かうことにした。その時、突然、城門から顧庸が冊封に反対する抗議文と一緒に飛び降り、自害してしまう。王藺は顧庸の自害の調査を申し出た。すると皇帝は顧庸の息子がすでに他界しているため、孫娘・顧采薇(コサイビ)を雲瑶(ウンヨウ)県の県主に、もう1人の孫・顧閔汶(コビンムン)には父の俸禄を継がせ、顧庸を埋葬した後に中書省へ復職させるよう命じる。しかし謝淵はいくら顧庸が蕭綦の冊封に反対していたとは言え、命までかけるだろうかと訝しんだ。冊封の祝宴は数日後に延期になった。謝淵は娘婿のために準備した豪華な屋敷へ蕭綦たちを案内する。実は寒門出身の王に多くの大臣が反対し、中でも顧庸は何度も皇帝に諫言していた。しかし謝淵は蕭綦の後ろに謝氏がついていると安心させ、そこで帰ることにする。一方、王藺と王栩は検視官の報告を聞いていた。すると死亡時刻から顧庸が自死を装った他殺だったと分かる。王藺は検視官に口外しないよう釘を刺し、黒幕が誰なのか考えた。最近の顧庸と言えば例の刺客の捜査で忙しかったはず、もしや糸口を見つけて殺されたのだろうか。「顧庸は我ら王氏側の者になってから兵部を管掌し、天下兵馬を統括しておった この者の死により、兵部にも変化が生じるだろう…」近頃の宮中はまるで蕭綦の冊封に合わせるかのように怪奇な事件が続いた。王栩はこれがもし王氏を脅かすための策略なら、禁衛軍にも準備させた方が良いと提案する。「波風を立たせるつもりだ…早めに備えさせよう、皇后には知らせるな」皇后は阿嫵を皇太子妃にするため、強硬手段に出ることにした。さすがに乳母は考え直すよう嘆願したが、皇后は王氏の私事ゆえ万一の時は自分が片をつけると安心させる。その話を立ち聞きしている宦官がいた。その夜、子澹と阿嫵は裏庭の塀の上で肩を寄せ合っていた。2日前に会ったばかりの顧庸の死に衝撃を受ける阿嫵、すると子澹は笑顔になるよう告げる。「阿嫵にはずっと笑っていて欲しい…私がそばにいる、怖がらなくていい」月明かりに照らされる仲睦まじい2人の姿、しかしちょうど帰って来た王藺に見られていた。そこで王藺は翌朝になると裏庭の木を切ってしまう。蕭綦の冊封の祝宴の日、宛如はまだ蕭綦との婚姻に承諾しなかった。謝淵は蕭綦が100年の家門である謝一族に役立つ男だと説得したが、宛如は自分を駒にするのかと非難する。激高した謝淵は娘を思い切り引っ叩き、有無を言わせず蕭綦に嫁がせると言った。その頃、阿嫵は祝宴が開かれる大殿に向かっていた。すると回廊の途中で皇太子の乳母に呼び止められ、皇后が呼んでいると知る。「皇后は独りでお越しになるようにと…」阿嫵は仕方なくそこで侍女・蘇錦児(ソキンジ)と別れた。こうして様々な思惑が錯綜する中、蕭綦は豫章王に冊封される。つづく
2021.09.09
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上阳赋 The Rebel Princess第2話「襲われた皇子」叔父である皇帝から″婚姻の自由″を許してもらった阿嫵(アーウォ)こと王儇(オウケン)。しかし罰として父から100日の禁足を言い渡されてしまう。そんなある日、阿嫵が退屈しのぎに中庭で侍女たちと鬼ごっこに興じていると、謝宛如(シャエンジョ)が差し入れを持って見舞いにやって来た。阿嫵は宛如が三皇子・子澹(シタン)から何か言付けを預かっていないか期待した。しかし宛如は従弟が恋の話など自分に託すはずないと笑い、それより明後日の旧正月、一緒に街へ行こうと誘う。「灯籠祭りの日、西門の前で待ってるわ」阿嫵は禁足中だと困惑したが、宛如は子供の頃を思い出せと言った。一方、阿嫵の父・王藺(オウリン)はまだ皇都に到着したばかりの寧朔(ネイサク)将軍・蕭綦(ショウキ)に密かに使いを出した。謝淵(シャエン)が蕭綦の冊封に力添えしたのは軍の指揮権が欲しいからだろう。謝氏は金と食糧を意のままにしているが、兵力の半分は王氏のものだった。金と食糧と兵は国の根本、これを両家で二分すれば拮抗する。朝廷はこれで均衡が保たれて来たが、今回は想定外の力により均衡が崩れることになった。「ふん、この王氏なしで国が安定しますかな?」王藺は不敵な笑みを浮かべた。蕭綦は丞相から灯籠祭りに是非もてなしたいと誘われた。側近の胡光烈(ココウレツ)と妹・胡瑶(コヨウ)は何か妙だと訝しんだが、蕭綦は自分の置かれている立場自体がすでに妙な話だという。「行かざるを得ぬな」旧正月の夜、阿嫵は合図の灯籠が上がるのを見ると、こっそり裏庭へ出た。そして子供の時のように木に登り、塀から抜け出すことにする。下で見守っていた侍女・蘇錦児(ソキンジ)は羽織を持っていくよう声をかけたが、その時、阿嫵はうっかり転げ落ちた。「うわあっ!」しかしちょうど下にいた三皇子・子澹(シタン)が抱き止めてくれる。「子澹哥哥?どうしてここに?」「来る手はずだった」阿嫵はようやく宛如に騙されたと気づいた。「驚かせようと思ったんだが…私が驚かされたよ」阿嫵と子澹は賑わう街に出かけた。すると錦児が追いかけて来る。「今宵は冷えますゆえ、やはり羽織をお持ちました」子澹は錦児から羽織を受け取ると、阿嫵に着せて紐を結んでやった。「人目が多い場所です、どうぞご慎重に」「心配ないわ、早く戻って!」錦児は三皇子と上陽(ジョウヨウ)郡主が手をつないで走って行く姿をうらやましそうに眺めていた。ちょうど同じ頃、蕭綦は側近の宋懐恩(ソウカイオン)を連れて清河酒店に入った。すると外套を目深にかぶった王藺が現れる。王藺は皇帝が蕭綦を呼んだのは王に封じるふりをして実は権力を奪うためだと吹き込んだ。「軍の指揮権を握るそなたを恐れ、皇帝は夜も眠れずにいる」「…丞相も眠れぬのでは?」「ふっ…そなたは猛虎だ、皇都に来るのは監禁されるも同然 正直なところそなたが本領発揮できまいと考えておる、同盟を結びたく、ここまで呼んだのだ」蕭綦は丞相の腹の中が読めなかった。しかしどちらにしても選択権は自分にある。ともかく今夜は街に出たついでに灯籠祭りを見物して帰ることにした。すると驚いたことに人形劇で自分の武勇伝が大袈裟に語られている。その露店で気が強い令嬢と一緒になったが、その美しい娘がまさか丞相の娘だとは知る由もなかった。子澹と2人で蕭綦将軍の人形劇を見ていた阿嫵だったが、偶然に居合わせた無骨な男に腹を立てた。穏やかな子澹はもめ事を起こさぬようなだめ、相手の男にも謝罪して早々に立ち去る。そして2人は仲良く河に灯籠を流し、願い事をした。「ねえ見て、花灯が戻って来たわ!…不思議ね」その時、2つの花灯の下から刺客が飛び出した。蕭綦は祭り見物をしていたが、ふと物音に気づいた。すると川岸で男女が襲われている。蕭綦と宋懐恩は颯爽と駆けつけ、黒装束の男を退けた。子澹は命の恩人が少し前に人形劇で阿嫵と小競り合いになった男たちだと気づく。「あなたたちは先ほどの…おかげで助かりました」「礼など不要ですよ、ではこれで…」「ぁ…もしまたお会いできたら、その時に必ず礼を…」「いいえ」阿嫵も子澹もその豪腕な男が蕭綦将軍だとは夢にも思わなかった。↓これはいいモフモフ!楽しかった祭りが一転、阿嫵は恐怖と衝撃ですっかり消沈した。すると屋敷まで送って来た子澹が成人の儀で渡せなかったかんざしを贈る。腕の傷はまだ出血していたが、子澹は最後まで笑顔だった。阿嫵はまた塀から裏庭へ入り、こっそり居所へ戻った。すると清児が姪の帰りを一晩中、待っていた皇后の前でひざまずいている。驚いた阿嫵は慌てて叔母に拝礼、すぐ甘えて脱走をごまかそうとしたが、皇后の話は皇太子との結婚だった。「嫌でも皇太子と婚姻を結ぶしかないのよ?王氏の娘は生まれた瞬間から国母となる運命 そなたも私もお祖母様も、先祖代々ね、皇帝陛下のそばを守ると定められているの」「ですが私は互いに愛する人と共にしたいのです…」そこで阿嫵は髪に挿していたかんざしを外し、子澹から婚約の印にもらったと教えた。皇后は2人が結ばれれば自分たちはもはや家族ではなく敵になると迫ったが、阿嫵はただ子澹と婚姻したいだけだと訴える。「たとえ王氏でなくなっても構いません…」姪の暴言に思わず手を振り上げる皇后、しかしその時、晋敏(シンビン)長公主・馬瑾若(バキンジャク)が入って来た。馬瑾若は娘に手を挙げようとした皇后を諌めた。そこで娘の躾が悪いというなら、自分の顔を平手打ちするかと迫る。皇后は仕方なく帰ることにしたが、ちょうど門に向かっていたところで兄が帰って来た。阿嫵に反発された皇后は兄に不満をぶちまけた。ここ数年、皇帝は王氏を警戒し、皇后と王藺を仲たがいさせている。実は皇帝は皇后との婚姻で王氏の助けを得て皇位に上り詰めていた。しかし皇帝はその座が安定すると謝氏と手を組み、王氏に圧をかけて均衡を図るようになる。確かに阿嫵が皇太子と婚姻すれば朝廷は王氏の独壇場となり、皇帝は安心して眠れなくなるだろう。実は王藺は皇帝の思惑にすでに気付いていた。将棋の巧者である皇帝が本当に阿嫵に負けるはずがない。「いいだろう、私も一局、対戦しよう」王藺は妹に自分について来いと言った。三皇子の刺客騒ぎは皇帝の知るところとなった。しかし調査で分かったのは巡城司が発見した骸の2体が、三皇子の証言から刺客だと断定されただけだという。皇帝は執金吾丞・王栩(オウク)の怠慢だと激怒し、担当から外して1年の減棒を科した。三皇子を襲った黒幕は誰もが皇后と王氏一族だと疑った。皇帝と謝淵もまた同様に皇后に疑いの目を向ける。二皇子・子律(シリツ)は生母の身分が低く早世して後ろ盾がないため、皇太子にとって脅威になるのは子澹だけだ。「阿嫵と余の約束が何者かを焦らせたようだ…」すると皇帝は宛如の縁談を急ぐことにした。太傅・顧庸(コヨウ)は皇帝から指名され、刺客事件の捜査を引き継いだ。検視官の話では刺客の骸は2体とも一撃で絶命しており、素人の仕業ではないという。また刺客の顔立ちは異民族のようだった。「異民族?!」その夜、妓楼に突然、兵士たちが雪崩れ込んだ。女主は何事かと困惑したが、指揮する武官は妓楼に異民族がいると聞いたという。「でも女子ですよ?」「それでも異民族だ、命の通り厳しく調べる!」すると女主はある房間の前に立ちはだかり、調査を止めた。「ここはなりませぬ、入られては困ります!」武官は怪しんで強引に乗り込み、房事の最中だった寝床の御簾を開けてしまう。しかしそこにいたのは二皇子だった。謝淵は早速、宛如に皇帝からの縁談を勧めた。しかし相手が蕭綦だと聞いた宛如は驚愕し、娘を寒門出身の人殺しに嫁がせるのかと反発する。「腑に落ちないとしても謝氏の一大事なのだ」謝淵は娘を説得したが、宛如は泣きながら出て行ってしまう。つづく
2021.09.03
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上阳赋 The Rebel Princess第1話「はじまりの時」雪の舞う皇都・建寧(ケンネイ)、まだ幼い上陽(ジョウヨウ)郡主は20日間も宮中に留まっていた。長公主は娘を連れ戻そうと使いを出したが、郡主は帰りたくないという。すると郡主を溺愛する皇太后はもうしばらく滞在させると伝言を託した。…私は王儇(オウケン)、琅琊王(ロウヤオウ)氏の娘母は大成皇帝・馬曜(バヨウ)の唯一の妹で、皇太后が寵愛している晋敏(シンビン)長公主・馬瑾若(バキンジャク)父は当代の丞相・王藺(オウリン)よ私は生まれてすぐ皇太后から鳳池(ホウチ)宮を賜り、宮殿への出入りも自由だったのだから3人の皇子たちと幼なじみでも皇太子・子隆(シリュウ)は意地悪で、二皇子・子律(シリツ)は病弱で寡黙、皇太子にいじめられていた私はとても優しい三皇子・子澹(シタン)哥哥が一番好きだったわそして私の姑姑は後宮を統べる皇后、父の妹で王氏一族12人目の皇后私はすでに上陽郡主を授かり、哥哥よりも位が高かった今も親しい人は皆、私を幼名で呼んでいる、阿嫵(アーウォ)と…幼い頃から蝶よ花よと可愛がられ、皆から愛された王儇。まさかこの繁栄の裏で、自分の誇りである士族や国が戦火にまみれているとは想像すらしなかった。そして元熙(ゲンキ)15年8月、はるか西の寧朔(ネイサク)で数多くの戦士たちが敵国・忽蘭(クラン)を食い止めている中、皇都では上陽郡主の成人の儀が華やかに始まる。しかし成長した純粋無垢な郡主は、この時から政争に巻き込まれる運命だった。王藺は壇上で成長した娘の姿を見守っていた。すると儀式も終わりを迎える頃、手元に急報が届く。王藺はひとまず報告を後回しにしたが、その時、皇太子の目配せに気づいた皇后が成人を迎えた上陽郡主に婚約を賜ってはどうかと切り出した。それを受けて太傅・顧庸(コヨウ)は皇太子に嫁がせるべきだと進言、一方、侍中・温宗慎(オンシュウシン)は仲睦まじい三皇子との縁談を上奏する。そこで阿嫵は自ら皇帝に嘆願した。「陛下、愛とは純粋であるべきもの、婚姻は当事者が望んでするものです 私は15歳になり、もう立派な大人、言動には責任を持ちます 華美な衣は望みません、贅沢な生活も望みません、私の願いは愛する人に嫁ぐこと 皇帝陛下、本日、私はこの場でお願いが…」その時、王藺が娘の言葉を遮って火急の知らせが届いたと報告した。「忽蘭王が10万の兵を率いて我が北西の辺境を侵略し、一刻を争う事態です! 娘・王儇の話は次の機会に…」↓三皇子、またしても良い役を手に入れましたね~阿嫵は父がわざと自分の話を遮ったと分かった。翌朝もふて腐れて儀式をすっぽかしてしまう阿嫵、すると話を聞いた兄の世子・王夙(オウシュク)と世子妃・桓宓(カンヒツ)が妹を迎えにやって来る。阿嫵は祠堂まで強引に引っ張られ、嫌々ながら儀式に参加するも琅琊王氏家の家訓を唱えなかった。阿嫵は父になぜ自分の上奏を遮ったのか聞いた。あからさまに不快感を表した王藺は国の一大事だと答えたが、阿嫵は嘘だと気づいている。「子澹哥哥以外には嫁ぎませんから!」王夙は父も慎重なだけだと妹をなだめたが、阿嫵は怒りがおさまらない。「もういいわ、舅舅に言うから!」一方、北西の辺境では寧朔の将軍・蕭綦(ショウキ)がちょうど忽蘭王の居場所を突き止めていた。↓いや~予想外にカッコいい蕭綦w3年前、皇帝は″忽蘭王を討ちし者は出自に関係なく王爵に封じる″と発布していた。もし蕭綦が大功を上げれば寒門の若者に王爵が与えられることになる。丞相でさえ公爵だというのに皇族でない王爵など前代未聞、大成士族は自分たちへの侮辱だと大反対した。しかし王藺は反対せず、ただ皇帝の意思に従うのみだという。その頃、阿嫵はちょうど棋譜を打っていた皇帝を訪ねていた。「舅舅、また将棋?…阿嫵が勝ったらご褒美をくださいますか?」「良いぞ?余に勝てたら何でも聞いてやろう」皇帝は朝廷でのいざこざにうんざりしていた。まだ勝負も定かでないうちから、国の存続よりも蕭綦に王爵を与えるかどうかでもめている。「忽蘭は何度も国境を攻めています、ですから勝利した者にはふさわしい褒美を与えるべきです 舅舅、出し渋ってはいけません」「だが蕭綦は寒門の出身だ、将軍の位を授けただけでも異例の抜擢なのだぞ? 王爵となれば士族たちが不満を垂れる、だが3年前にもう命を下しておる」すると阿嫵はいとも簡単に王爵に冊封してしまえばいいという。「王爵であれ将軍であれ、舅舅の駒なのですから」阿嫵は将棋に勝った。そこで皇帝の前にひざまずき、皇太子妃にはなりたくないと訴える。「陛下、どうか阿嫵に婚姻の自由をお許しください」すると皇帝は太監・薛道安(セツドウアン)に言った。「肝に銘じておけ、二度と上陽郡主と将棋を指させるな…負けの代償が大きいからな」阿嫵は皇帝のお墨付きをもらい歓喜しながら帰って行った。この頃はただ無邪気に幸せが待っていると信じて疑わなかった王儇、皇帝も美しく賢い姪を可愛がっていたが、王氏であることが残念だった。↓おじさんと姪…いやどうみても(´゚艸゚)ゲフンゲフン皇帝が上陽郡主に婚姻の自由を許可したことはすぐ皇后王氏の耳に入った。将棋ごときで王氏皇后の歴史を断つなど言語道断、すぐ上陽郡主を呼ぶよう命じたが、すでに宮中を出た後だった。屋敷に戻った阿嫵は回廊で気分良く舞っていた。すると王夙がこっそり背後から近づき、裙裾をつかんで引っ張る。驚いた阿嫵は思わず柱にしがみついたが、すぐ兄の仕業だと分かった。「…哥哥!離して!」阿嫵と王夙は裙裾の引っ張り合いになり、すかさず侍女・蘇錦児(ソキンジ)が加勢する。こうして阿嫵と錦児のみごとな連携で王夙は吹き飛ばされた。皇太子も婚姻の自由の件を聞いて昭陽殿に駆けつけた。すると縁談をまとめられなかった母に八つ当たりし、阿嫵を娶れないなら皇太子の位さえいらないとわめいて帰ってしまう。一方、阿嫵は父が戻るとすぐ、先手を打って自らひざまずき罰を請うた。尻を叩かれてもいいように兄からもらった尻当てをつけて準備は万全、しかし急に手を出せと命じられてしまう。予想外の展開に恐る恐る手を出す阿嫵、思わず父の裾を引っ張って助けを求めたが無駄だった。「うわっ!」父が棒を振り上げた瞬間、阿嫵は思わず叫び声を上げて避けてしまう。「…これでは傷が残る、板で手のひら50回だ、本日より100日間、禁足に処す、よいな?」皇帝は政務を終え、寵愛する貴妃謝氏の寝宮にやって来た。謝貴妃も息子の三皇子と阿嫵が恋仲なのは気づいていたが、王氏の娘の婚姻は国の未来を左右する。「二人の恋路は茨の道でしょう」「皇后と丞相が黙っておらぬだろうな」翌朝、鎮国公府の書房に王藺と弟の執金吾丞・王栩(オウク)・顧庸が集まった。まさか本当にあの蕭綦が勝つとは予想外、しかし皇帝は約束は約束だと話していたという。こうして忽蘭王を討ち取った寧朔将軍・蕭綦のもとに皇帝の聖旨が届いた。…ここに征北将軍の位を授け、北西の軍務を一任する、直ちに皇都へ戻り、王爵を拝受せよ…禁足で退屈な阿嫵は中庭で鬼ごっこ、すると宛如(エンジョ)が差し入れを持って訪ねて来た。つづく(  ̄꒳ ̄)お決まりの年齢詐称から始まりました~こうして見てみると第1話から濃いっw
2021.09.02
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