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上げ相場だって悩ましい ~ リスクと期待感のコントロール相場が低調で下落続きの時はとりわけ投資家は考え悩むものですが、逆に強いときもこのままで良いのか迷うことがあります。資産運用などの相談に応じる投資アドバイザーの仕事は、最近は楽で良いのだろうと思いがちですが、相場が強ければ強いでまた考え悩むことがあるようです。2000年のITバブルの崩壊途中から投資アドバイザーを始めた人の話を紹介しながら、過去との対比を行い、今後の投資スタンスを考えたいと思います。 *********************(因みにこの話はライブドア・ショックが起こる前のことです。)年初に知り合いのファイナンシャル・アドバイザーから久しぶりに連絡がありました。昨年の好調な相場に評価益が大きく膨れた顧客が少し浮かれてきており、もっとリスクを取りたいと云って来ているのでどうしたものかという相談でした。彼は短期売買を推奨するタイプではなく、顧客のライフ・プランをベースにしながら、投信ポートフォリオの提案を基本に長期分散投資を勧めているアドバイザーです。彼が云うには、リスクの高い商品を売った方が販売員でもある自分にとり実入りが良いので経営上の算盤も考えると、正直な話、迷いが出たそうです。今までの投資プロセスを変えるのは自分自身の哲学の問題として、そして投資を始めて間もない顧客のためにも良くないと彼は考えているのですが、リターンの勢いに眼がくらむ周囲の人々の雑音が増幅され、従来のやり方で良いのか頻繁に疑問を投げかけてくるようです。彼とは6年来の付き合いとなります。全くの投資経験ゼロの顧客にイロハのイから教え、老後のために着実な資産形成方法として投信ポートフォリオを勧めてきましたが、今でこそ株式投資に理解が得られたものの、当初は相当毛嫌いされて困ったと云います。特に2002~03年頃は株投資に対し相当な抵抗があったらしく、今と全く逆にリスクは取りたくないの大合唱でした。とりわけ日本株に関しては当時、「日が沈んでしまった日本はもうダメでしょう」とか「国家破綻するのではないでしょうか」とか悲観論で一杯でした。彼は、自分が住み、自分の子供たちが生活する社会が健全であることを期待するように、それらを映す鏡である株式市場のメカニズムと活力を信じたいとあたかも伝道師のように顧客に訴えていました。それがこの2年の間に正反対になった訳です。彼が戸惑うのもわかる気がします。彼のコメントは以下のようなものです。 ********* 市場が強気なると、どうしてもリターンの大小に目が向きリスクの話はお留守になりがちです。周囲が同じ論調だと余計安心してしまい、より高いリターンを追い求めることになります。振り返れば、よくご存知のように常にバブル相場はこの繰返しでした。まだ慎重論を云う人がありますので完全にバブル的な領域ではないと考えますが、恐ろしいのは、こうした慎重論を唱える人が臆病者と云われ始めるときでしょうか。例えば、仮に今年も去年に負けないくらい上昇したりすると一段と強気が増すでしょう。今の時点なら今年4割上げたら絶対売却するという人も、いざ本当に上げた場合冷静に売却して相場から去ることができるかどうか、甚だ疑問です。何だかんだ理屈をつけて、逆にさらに上値を買ってしまうのが普通でしょう。2002年~03年の下落局面のときもそうですが、相場は上げであろうが、下げであろうが、問われるのはその人の哲学という気がします。一貫したスタンスで相場に臨めば大儲けはないかもしれませんが大怪我をすることはないと思います。それでいて、この6年間自分と顧客が実践してきたように相応のリターンは出るものです。相応どころか、預金よりはマシなリターンをと思って入った人にとり実際は目も眩むような高いものでした。ですが、大きく下げる、大きく上げる、しかもそれが少し長い期間一方向で続くと一度決めた自分の哲学・投資スタンスがズレてしまうというのが往々にして陥る失敗の原因です。今リスクを大きく取れば一時的には成功するかも知れません。今以上に顧客から信頼を集められるかもしれません。しかしその成功体験が次の下落局面のときに仇なすことになるかもしれないことを肝に銘ずるべきだと考えています。30年近くなる自分の投資経験から云えば、それほど器用に波を乗り切れるタイプではないので、ある意味では「愚直に」基本を貫くことにしています。自分自身の投資も含め、アドバイザーとしての職業も長期分散と心中するつもりでいます。今の環境下では、リスクを高め成功している隣の人のパフォーマンスを見てもぐらつかないくらいの信念がないと相場で長く生き続けることはできないと思います。 ***********************************この数年間であれば記憶も確かでしょう、相場の浮き沈みの過程で、自分がどうだったかを心静かにふり返ってみてはどうでしょうか。ひょっとしたら、損したこと、間違ったことなどは忘れ、儲かったこと、予想が当たったことなど自分に都合の良いことしか覚えていないかもしれません。しかし、ゆっくり丹念に自分の心理を追いかければ盲点が見えてくると思います。自分の内なる「欲」と「恐怖」に気づき、真に自分に敵するものは市場変動ではなく自分自身であることを知るのではないでしょうか。ダメな人? そうですね、リスクの把握と期待感のコントロールが苦手という方は賭け事はもちろん相場には向かないタイプです。そういう方は自分でやるのは諦めて、上記のような信頼できる投資アドバイザーに相談することが近道ですね。
2006/01/24
先週は東京地検がライブドアの捜査に入ったことを受けて、東京株式市場が随分と揺れたので驚いた方も多かったと思います。捜査がどう進むのか、ライブドアの株が今後どうなるかわかりませんが、ストップ安が続き上場廃止の可能性もあるので、つくづくと個別株投資の怖さを感じます。やはり分散が大事ですね。****************************今日は少し角度を変え別な観点で書いて見ます。今回の市場全体の下げを見て、個人的にはこれで上昇相場の息が長くなるだろうと予想するので良かったと思っています。あのまま上げ続けていたらもっと強烈な反動があったにちがいないと恐れていたからです。つまり、ライブドアの事件は大幅調整の単なるキッカケにすぎず、別に他の何であれ、売りの材料になれば何でも良かったように思います。昨年のように一本調子で上げが続けば本来リスクを負えない投資家・資金までが流入してきます。利回りの高い預金くらいの感覚、あるいは必ず当たるギャンブルくらいの気持ちで株式を購入する人が増えていました。市場変動商品は投資家がリスクを忘れかけた頃に、それを思い知らせるようにやってくるものと云ったら皮肉でしょうか。今回の急落でケガをした人はいるでしょうが、あのまま上昇し続ければ次の下落時にはもっと被害者が多くケガの度合いも大きくなるのは間違いありません。リスクを取れる人が自分に見合った投資をすれば、一本調子の上昇もなくなるかもしれませんが、市場が暴落し投資家を蹴散らしてしまうこともなくなるだろうと思います。息が長くなるとはそういう意味であり、今回の程度ですむのならむしろ歓迎すべきことと思います。市場がブームの時は、買ってはいけない人(リスクを見ない人)が株式市場に参入してきますが、下落局面はそうした投資家の手を離れ、本来保有すべき人(リスクに見合う投資を考える人)に株が戻ってゆく過程だろうと思います。**********投資とは別に、これで既成の社会秩序に挑戦する若者が減るとしたら大損失だと思います。確かにホリエモンの言動は嫌われる要素がたくさんあり、今回の地検の捜査で懲らしめられた方がいいと思っている人も多いようです。しかしあまりに旧態依然の決まりきった社会の秩序を変え、日本人、特に若者の思考にダイナミズムを齎した彼の功績は評価すべきであろうと思います。野球球団を作るとかメディアを買うとか、誰も考えもしなかったことをやろうとして失敗したにせよ、びくともしないような既成の権力を揺さぶってみせたことを数多くの若者が支持したことは確かです。そんな若者の気概を打ちのめすことになるとしたら明日の日本を憂うことになりかねません。***************************東京も週末は大雪でした。あらたしき 年のはじめの 初春の 今日降る雪の いやしけ吉事 (大伴家持)良いことが積もり積もってくれるよう期待していましょう。
2006/01/22
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