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2026年03月20日
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カテゴリ: コイバナ
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Chap.3-4:夜明け前の天使 ​」から続く



彼女は翌日9時に目を醒ました。私は彼女を胸に抱いたまま、眠れぬ夜を過ごした。
そして彼女は目を醒まして私に抱かれているのに気付くと、少し戸惑ったようなしぐさを見せた。そう、彼女は私をベッドに招いたことを覚えていなかったのだ。慌てたように身を起こし、自分の着ている私のパジャマに目をやる。
「あれぇ、私ってひょっとして・・・」
どこからの記憶がないのか、私の方がよほど気になってしまった。
「おはよう。よく眠れましたか?」
「はい、でも私は何を・・・」
どう反応すれば彼女を傷つけないか、思いを巡らせた。

ここは私のせいにしておこう。それに何もなかった事には違いないのだから。
「大丈夫。私は案外紳士ですし、あなたもちゃんとした女性ですよ」
それを信じてくれたのか、彼女はにっこり笑ってキッチンに向かった。
「冷蔵庫の物で朝食をお作りしてよろしいですか」

彼女はありあわせの材料でササっと朝食を作ってくれた。さすがの主婦歴だ。二人で朝食を取り終えると、彼女がお願いがあると言う。
「実は娘たちを父親の所に預けているんです」
すっかり忘れていた。
「よろしければ私の車でお迎えに行きましょう」
「わぁ、そうして頂けるととっても助かります」
こうして私達は私の車で板橋にある彼女の実家に向かった。

実家の近くで彼女を降ろし、私は車で待っていた。すぐに二人の娘を連れた彼女が戻ってきて、私の車に乗り込んだ。

ちゃんとご挨拶ができる賢い子たちだ。
「こんにちは。初めまして」
笑いかけると幼子たちも微笑み返してくれた。ここから彼女が住むという団地までは15分ほど。間もなく到着し、ここでさよならかなと思っていていたら彼女が、
「せっかくなので私の部屋でお茶でも召し上がって、少し休まれていきませんか?」

確かに少し疲れていたので、お言葉に甘えることにして彼女の後を着いていった。彼女の部屋は標準的な3LDK、母子3人暮らしには不自由ないだろう。もう7年住んでいると言うが、綺麗にしていた。子供たちは自分の部屋で姉妹で遊びはじめ、私と彼女はリビングで彼女の入れた紅茶を飲んでいた。すると、


またまたビックリするような提案をされた。逢ったばかりの男を自分の部屋に招き入れ、娘たちと一緒に食事をして一緒に寝ろと言う。まさか同じ部屋で、と言う事ではないにしろ驚くべきこと事には変わりはない。それに彼女は昨晩、娘たちを実家に預けてから私の部屋を訪ねている。つまり最初から私の部屋に泊まるつもりで来たのだ。
いったいどう言う女性なのだろう。明らかに私を誘惑しているとしか思えない。それは私を思う気持ちからなのか、単に彼女が大らかで無警戒なだけなのか。まさか美人局?まさか。これまでの彼女との会話にそんな素振りもないし、彼女がそんな人間だとは思えない。私は蜘蛛の巣に捉えられようとしている蜂なのだろうか。
私の戸惑いを察したのだろうか。彼女は
「今は物置みたいにしている部屋があるので、そこにお布団を敷きますね」
そう言っていそいそと夕食の準備を始めるのだった。

食事は美味しかった。そして娘2人もとても良い子で、見ず知らずの男に親しげに話しかけてくる。聞けば上の娘は劇団に入ってタレント活動をしているらしい。ママに似たんだね。
食後、私はもう一度帰ろうとしたのだが、彼女に引き留められた。娘たちをお風呂に入れて寝かし付けてから、再び酒を飲むことになった。自分の家と言う安心感からか、彼女は昨夜より饒舌に語り始めた。子供たちの事、日々の暮らし、これからの夢。。。 会話を通じて彼女が何の邪心もなく、ただ私ともっと親密になりたいと思ってくれている、と感じた。一瞬でも美人局などと彼女の事を疑った自分を恥じるほどに彼女は純粋だった。
12時を回ったので明日に備えて眠ることにし、お風呂を借りた。そして用意してくれた部屋の布団に入りライトを消した。
「おやすみなさい」

しばらくすると部屋のドアがあき、廊下の灯をバックにシルエットが浮かび上がった。彼女は裸だった。そして私の布団に飛び込んできた。
「Tさん、抱いて・・・」
消え入るような声でそう囁いて、私にかじりついてきた。
彼女はどこまでも素敵だった。


「​ Capt.3-6:かりそめのファミリー ​」に続く

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最終更新日  2026年07月27日 15時56分43秒
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