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2009.05.17
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カテゴリ: 教育
私は、
無くなっている小指のわけを
詳しく聞いていた。

誰かに話したいんだな、
さみしいんだな、
そう感じながら聞いていた。

横ではちょっと小太りの女性が
「またか」というふうに
飲みながら聞いていた。


純也の母親ではなく、
「内縁の妻」であった。

そのあたりも
親父の話から
だんだん明らかになっていった。

「この刺青、どう?」

「どう、って言われても・・」
返事をためらっていると、
親父は続けた。

「これも半端で、
我ながら、情けない話・・。

そりゃあ、痛かったで。
でも足抜けしたから、
実は
まだ未完成。

なんでもわしの人生

情けない・・・。」

そう言いながらも、
校長室に怒鳴り込んできたときなど、
わざとらしく
その刺青を見せてたっけ・・。

やっぱり虚勢を張りたがる、
精神的には幼い親父かも・・。

「で、庭師の仕事は順調だった。
子どもも二人できた。」

そう、二人。
実は妹が
今年1年生で入学してきていた。

しかし、二人というのは、
別の人物のことであった。

よく聞くと、純也よりずっと年上の
長兄、次兄がいるらしい。

「純也の上には二人の極道がおる。
わしが極道だったこともあって、
中学・高校もろくにいかず、
極道になった。

でも一番上は、足を洗って
今大阪の方で全うな生活しとる。

二番目が、いけん。

極道も、程度が悪い。

素人さんに迷惑かけとる。

この前も、バイク乗り回して、
ケンカして、
ムショ入った。

引き取りに行ったとき、
ぼこぼこにしたった。

こうやって。」

と親父は、拳骨で
頭を押さえ込んで
殴るまねをした。

「力いっぱい投げ飛ばしたった。
お前、わしにケンカ勝てん間は、
極道すんな。素人に迷惑かけんな、って
怒鳴ったった。

でも、こいつ、性根がなおらんだ。」

確かに親父は
酔ってはいるが、
うでっぷしは強そうだった。


それから
純也が生まれた。

実は、純也の母親は
二人の兄とは違う。

ここにいる女性でもない。

よく話を聞いていないと、
こんがらがって、
わからなくなる。

「じゃあ、やくざをやめることになった
その女性とは別れて、
別の女性との間に
純也君が生まれた?」

「そう、純也の妹も。」

妹の件については、
入学に際し、
学校と児童相談所とで
すったもんだあった。


つまり、純也とその妹を生んだ
二人目の女性とは
親父が
仕事がうまくいかなくなり、
酒びたりになるにしたがって
別れたらしい。

しかし籍はまだ抜けてはいない。

その女性は家を出て、
どこかに住んでいるが
音信不通。

幼い子ども二人は
飲んだくれの
親父に養育能力がないとみなされ、
子ども学園へ。

そして、今の女性と
同居を始め、
純也が年長のとき、
純也だけを引き取り、
1年生になって
本校に入学。

それから、
子ども学園にいる妹とは
週末だけ会っていた。

ところが純也が二年生のとき、
こともあろうに、
親父が
妹も
引き取りたいと言い出した。

「こともあろうに」
というのは、
「養育能力」という点である。

純也だって、
まともに育てられていない。

風呂に入れてもらえてないし、
インスタント食品しか
食べさせてもらってない。

弁当も持ってこれず、
遠足も運動会も
コンビニ弁当かパン、

もって来られないことも
多々あり、
学校で準備してきた。

というわけで、
児童相談所には、
妹だけは
引き続き施設にいたほうがいい、
と学校としての意見を出していた。

しかし、役所は
なんと妹を親父に引き渡した。

私たち現場は
怒った。

本当に養育できると思ってのことか、
ネグレクトになっても
知らんぞと、

本当に
書類だけで判断してないかと、
腹が立った。

実はそれ以来
児相とはあまりうまくいっていない。

でも純也は
いつも
妹に会えることを
心待ちにしていた。

いつだったか、
おかしを握り締め、
おもちゃをもって、
私に言った。

「これ、妹にやる。
今度会えるから」

週末の面会を
とても楽しみにしていた。

それでも、
私たち教員は
妹を引き取ることに
断固反対していたのだ。

生活能力はゼロ。
生活保護だけでの生活。

そのくせ
子どもが学校に行くと
朝からその内縁の妻と
喫茶店に行って
余裕のスタート。

家に帰ってくると、
タバコと酒三昧。

まともに飯も作ってやれぬ、
風呂にも入れてやれぬ、
そんな男女が
保護者と言えるか、
そう訴えていた。

ところが
児相は

「今度こそ
本気で子育てすると
お父さんは言っておられます。
生活費も
何とかなりそうです。
こんな場合、
妹さんは、
施設にいられる状況ではないのです。
お父さんが養育を望んでおられ
生活能力もあるのですから・・。」

確かに他にもたくさん
緊急事態の子どもはいるのだろう。

しかし・・。
何があってもしらんぞと、
そんな話を校長ともしていたが

いざ入学してきた
幼い女の子を守らなければと、
1年生担任も
頻繁に家庭訪問していた。

私は
何度か家庭訪問し
親父の話を聞くうちに、
私の気持ちも話していいかなと、
そんなときがやってきた。

「お父さん、
担任として
お父さんにお願いがあるんです。」

私はこう話を切り出した。







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最終更新日  2009.05.17 10:19:56
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