2023年09月03日
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カテゴリ: OPERA


Photo Album
Photo: ©Shevaibra, courtesy of the artist

Opera Novella オペラ・ノヴェッラ
G. プッチーニ作曲
歌劇「ラ・ボエーム」
日本語字幕付きイタリア語原語上演

2023年9月3日(日)開演14:00 (開場13:00)
ハーモニーホール座間・大ホール 

指揮:瀬山智博


ミミ:佐田山千恵
ロドルフォ:伊藤達人
ムゼッタ:斉藤園子
マルチェッロ:高橋洋介
ショナール:仲田尋一
コッリーネ:湯浅貴斗
ベノア/アルチンドーロ:志村文彦
パルピニョール:東原佑弥
プラム売り:松田健
軍曹:星田裕治
税関士:片沼慎


合唱:ハーモニーホール座間オペラワークショップ(一般/ジュニア)参加者

ムゼッタアンダースタディ:山口はる絵

副指揮:柴田慎平
演出助手:喜田健司
音楽スタッフ:松岡なぎさ

照明プラン:望月太介
音響プラン:関口嘉顕
舞台監督:徳山弘毅
照明:A・S・G
音響:T・H・M
ヘアメイク:田中尚美(メイクアップスタジオ・イマアジュ)
衣裳:オペラ・ノヴェッラ
字幕製作:古川寛泰
字幕:アルゴン社
【主催】公益財団法人座間市スポーツ・文化振興財団
【後援】座間市/座間市教育委員会
【制作】オペラ・ノヴェッラ
【助成】(一財)地域創造

※13:30より演出家によるプレトークイベント実施

***
Opera Novella ラ・ボエーム
すばらしかったです。
演出家で主催者の古川さんのPucciniの意図通り上演したいというこだわりがすごくて、全て楽譜とト書きどおり。
出演者のオペラ歌手も役の設定に近い年齢
若々しく弾けていて情熱的でまさに青春群像劇でした。

オーケストラもすばらしい演奏
指揮者はほぼ概ねゆっくりテンポでじっくり歌わせました。

照明が秀逸でした。
屋根裏部屋 雪の夜 など雰囲気がありました。

歌手では
皆さますばらしいのですが
特に本作ロール・デビューの伊藤達人さんが次元の違うすばらしいRodolfo
ユーゲントリッヒャーヘルデンテノール(リリコ・スピント)の輝かしくも圧倒的な声でロドルフォを熱唱。
全ての歌唱シーンで度肝を抜きました。
すごかったです。
ロドルフォにはパワーが必要なので誠に感動しました。
演技的にも繊細にロドルフォの感情の劇的な移り変わりを演じていました。

そして相棒のマルチェッロを演じた高橋洋介さんがまたすごいお声。
カヴァリエ・バリトン/ドラマチック・バリトンの重く巨大な声で圧倒的。
ややもすると通常オケに埋もれて聴こえないこともあるマルチェッロの歌唱部分が全部クリアーに聴こえました。
とにかく熱い男でした!
ご本人にうかがったところ、やはりロール・デビューとのこと。
「マルチェッロ役、重唱などは歌ったことはもちろんありましたが、ロールデビューでした!
マエストロの緩急の効いた音楽も素晴らしく、とても幸せな時間でした。」とのことでした。
コメントありがとうございます。

ミミ佐田山さんはノーブルな落ち着いた美声のリリコ/リリコスピントソプラノでやはりすばらしかった。弱く見えて実は芯の強い女性ミミを表現し紆余曲折しながらも最後に愛する人の腕に抱かれて亡くなり、涙を誘いました。

ムゼッタの斉藤さんは役に合っていてコケティッシュで魅力的。破天荒で大胆に見えながら実は繊細なガラスの心を持っていてマルチェッロの包容力が必要というのが完璧に描かれていました。2幕から3幕 4幕と変容し成長していくムゼッタを表現していました。

哲学者コッリーネがまたすばらしいお声で、バスバリトンということですが低音域が重く充実した美声でよかったです。

ショナール仲田さんはショナールのおちゃらけキャラをよく表現していました。声はリリック/カヴァリエバリトンでしょうか。美声で重みもありました。





***
La Bohème Composer : Giacomo Puccini
FACH ※複数の資料を参照

Mimi Fach : lyric soprano / Hochdramatischer Sopran
 Arias :Mi chiamano Mimi,
    Donde lieta usci

Rodolfo Fach : lyric tenor / Spinto Tenor
 Arias : Che gelida manina

Marcello Fach : lyric baritone / Kavalierbariton / Lyric Baritone (aka Kavalierbariton)

Musetta Fach : lyric soprano / Lyric Coloratura Soprano / Lyric Soprano(also sung by Soubrette)
 Arias : Quando m'en vo'

Colline Fach : lyric bass / Basso Buffo / Spielbass (aka bass buffo, comic bass)
 Arias : Vecchia zimarra

Schaunard Fach : lyric baritone

Parpignol Fach : buffo tenor
Benoît Fach : buffo bass
Alcindoro Fach : buffo bass

***
 開演前に演出家のプレトークがあった。この団体では毎回おなじみなのだが、今回も大事な話があった。 概要は後述 するとして、ここで演出家は観客にあるお願いをした。
 「アリアで拍手をしないでください。拍手は幕が下りてからにしてください。」
 イタリア・オペラではアリアのあとに拍手をするのが慣例になっていて、幕間のみの拍手の習慣はWagnerなど、特定のオペラに限られてきた。
 Pucciniの音楽の意図を壊さないために、ドラマを途中で断ち切らないためにそれは必要なのだと言う。
 海外だとやんやの喝さい、もしくはブーイングがここで起こっただろうが日本のお客さんは素直ですw
***

序曲はなくすぐに幕が開く。Pucciniはここに若い頃に書いた作品を転用している。
セットは黒いカーテンで左右が仕切られ、わざと狭く見せて屋根裏部屋が表現されている。かみての上方の狭い天窓から明かりが差し込む。
正面しもてがわに階段に続く入り口のドアがある
マルチェッロはかみてがわ
ロドルフォは中央ややしもてがわにいる

マルチェッロ:
Questo Mar Rosso - mi ammollisce e assidera
この(絵画)「紅海」に浸かって凍えちまったみたい(な寒さ)だ

マルチェッロはイーゼルの前に立って絵画を描いている
ロドルフォは寒いので毛布をすっぽりかぶっている

何してる?

ロドルフォ:
Nei cieli bigi guardo fumar dai mille comignoli Parigi
パリの煙突の煙だけはしこたま拝めるというに…

ロドルフォはストーブが仕事してないと比喩でユーモラスに文句を言う
二人とも寒くて凍えている
悲壮な現実を文学的にユーモアや比喩で表現し、強がっている。

ロドルフォ:
L'amore è un caminetto che sciupa troppo
愛とは燃え尽きた暖炉のようなものだな

マルチェッロ:椅子を燃やすか?

ロドルフォはアイディアがひらめく。

ロドルフォ:Eureka(そうだ!)(アルキメデスが体積を測る方法を発見した時に叫んだとされる言葉)

自分の書いた戯曲の紙を燃やすのだ。

ロドルフォ:
L'idea vampi in fiamma

ロドルフォは芝居がかって言う。

ロドルフォ:
E Roma in periglio
ローマ帝国(古代ローマ)が危機に瀕しているならば犠牲もやむをえまい!

マルチェッロ:ありがたいな

紙を引き裂いてストーブにくべる
ストーブから明るい光が漏れ、二人の顔を照らす

コッリーネが帰ってくる

コッリーネ:
Già dell'Apocalisse appariscono i segni.
すでに世界は終末を迎えようとしておるぞ

コッリーネは髭面

ストーブの前のロドルフォを追い出す

火が消えそうになってロドルフォの台本をまた燃やすことに

マルチェッロが音楽に合わせて引き裂く

マルチェッロ:
Là c'eran baci!
キス・シーンだったのかな。

二人
Abbasso, abbasso l'autore
へぼ作家を降板させろ!

そこにショナールが帰ってくる
青年二人に荷物を運ばせ、駄賃をやる。

ショナール:
Risponde: «Incominciam

ショナールのオウムを殺した話に誰も興味がなく
テーブルに新聞をテーブルクロス代わりに広げる。
食べようとするが…

ショナールがクリスマスだから食事は外でと食べ物を回収する
ロドルフォは素直に食べ物を袋に戻すのを手伝う

出かけようとするところにノック

大家のベノアだ。3か月分の家賃を取りに来た。

一言だけ…というので仕方なく中に入れる
マルチェッロは椅子をすすめ、座らせ酒をつぐ。

Alla sua salute!
カンパ~イ!

Via di qua!
さっさと出てけ!

マルチェッロの機転でうまくベノアを撃退した4人は出かけることにするが
ロドルフォだけは原稿を書くため残るという

3人が出かける

遠慮がちなノックの音

誰?

ミミがろうそく立てを持って火をもらいに来る

ロドルフォは火をつけてあげるが
いったん出ていったミミは鍵を無くしたと言って戻ってくる
意図的にミミはろうそくを消し
ロドルフォもあわてて自分のを消す
まっくらだ
照明さんさすがです!月明かりにしか見えない。

探してますか

探してますよ

ロドルフォは急いで鍵を拾い自分のポケットに入れる

ロドルフォは床に置いたミミの手を握る

あっ!

Che gelida manina

ロドルフォの声は光の奔流のようです。いやもうアリアだけでなくてすべてがそうなんです。歌い出すたびに宝石がばらまかれるようだ。

Ma il furto non m'accora,
poiché vi ha preso stanza
la dolce speranza!

そして
la dolce speranza!で最高音High C(ツェー)!

もちろん客は拍手をしない。話を聞いていなかったと思われる客が一人、拍手をしかけるがすぐにやめる。

Mi chiamano Mimì

 ノーブルで落ち着いたミミにぴったりの声。ミミのこのアリアは、陽気で開放的なロドルフォのアリアと異なり、病気で弱っているミミの抑制された表現の中で最初歌い始める。感情が高ぶって微かな希望を持って最後は絶唱となるというとても玄人向けのアリアなのだ。アリアの中でのこのコントラストが重要だ。
 ミミはいつも見かける同じアパルトマンの住人、ロドルフォがひとりになるのを待っていた。火をもらうというのは口実で実はお近づきになりたかった。ロドルフォはそれをすばやく察知して鍵を隠したのだ。

仲間が下から声をかける

三人:
Momus, Momus, Momus, il poeta trovò la poesia.

ロドルフォ:
O soave fanciulla

ミミに口づけするロドルフォ

ミミはついと下がって

だめよ

あなたがたとご一緒したいわ

外は寒いのに?

あなたにくっついているわ

ロドルフォは芝居がかって紳士のようにミミに腕を差し出す

ロドルフォ:
Dammi il braccio, mia piccina
こちらにお手をどうぞ、お嬢さん

二人は扉から出て行き、

Amor!

最後の音、ロドルフォは楽譜どおりでHigh Cには上げない。これはもちろん予想の範囲内。

二人が去った後の月明かりに照らされた舞台を見せるのも美しい。

第2幕
QUADRO SECONDO
カフェモミュス

黒い幕が取り払われ、階段で上がるようになっている高台。大きなセットをこれだけで固定されている。1幕ではうまく隠されていて見えなかったのだ。舞台に高低差を作るのは効果的だ。人の行き交う流れが見える。

物売りは松田健さん他が演じている。
加護さんはギャルソン(ウェイター)
星田さんの姿も。
このシーンにはプロの歌手の多くの「トラ」が出演している。

下でショナールがホルンを買っている

高台に現れるロドルフォとミミ
かみてそでに入り、帽子を買いにいく

マルチェッロ:
Io pur mi sento in vena di gridar

マルチェッロはムゼッタに振られた直後で自暴自棄になっている。
ナンパしまくる。

プラムはいかが?(松田健さん)

コッリーネは本を買ってショナールに自慢する

ロドルフォはミミにすでに嫉妬深い目を向けている。

マルチェッロは自分でテーブルを勝手に店の外に運ぶ
ギャルソンが迷惑しているがおかまいなし。

ロドルフォはミミを仲間に紹介する

ロドルフォ:
Dal mio cervel sbocciano i canti

かみてがわの仲間たちは承認。

パルピニョールが来る。白塗りの道化(アルルカン)のメイクで誰だか顔がわからない!

子ども:
Vo' la tromba, il cavallin!

その間に注文しているミミ達。

ミミの注文は La crema (フォームミルク?)(プログラムにはホットミルクだという記載あり)

ムゼッタが高台の上に現れる。
全身真っ赤なドレス、真っ赤なファーの帽子
ムゼッタの服装は派手な赤色でいかにもそういう女というイメージを植え付ける。

マルチェッロのショックは半端ない。

ムゼッタは階段を降りてきて
店の外に、新たにテーブルを運ばせる

マルチェッロ:あいつの話は俺にまかせてくれ!

マルチェッロ:
Il suo nome è Musetta;
cognome: Tentazione!

ムゼッタはわざと皿を割る。

ショナール:
La commedia è stupenda!

コッリーネ:
そうだな。

ロドルフォ:
あんなことしたら僕は絶対許さないからね。

ムゼッタはしもての自分の席で座ったまま歌う。

ムゼッタ:
Quando men vo

私は皆にじろじろ見られるのが(快感だわ)と歌うがムゼッタは強がっている。本当は違う。

皆がムゼッタを見ているがマルチェッロだけは振り向かない

マルチェッロはついにグラスをテーブルに叩きつけるように置くと立ち上がる。

マルチェッロ:
Legatemi alla seggiola!
オレを椅子に縛り付けてくれ

立ち上がると椅子を持ってかみてに移動し、椅子の背に向かって座る

そして落ち着かずまた立ち上がってうろうろする。

ムゼッタ:
Ah! Marcello smania
マルチェロったら、いらいらしてるわ
Marcello è vinto!
あなたは 敗者 よ。

マルチェッロはもう耐えきれず、「俺、帰るから」と仲間に告げて一人去ろうとする。その瞬間ムゼッタが叫ぶ。

ムゼッタ:
きゃああ

思わずマルチェッロも振り向いてしまう。

痛い!

どこが?

ムゼッタ:
足よ!

ムゼッタは音楽に合わせてドレスを持ち上げるそぶり(実際には足は見せない)

マルチェッロはかみてで仁王立ち

マルチェッロ:
Gioventù mia, tu non sei morta

すばらしい!

アルチンドロは靴を手にしていなくなる。

マルチェッロ:
Sirena!

マルチェッロとムゼッタは抱き合う

すぐにウェイターが勘定書きを持って来る

客席で鼓笛隊が演奏する

マルチェッロは靴を脱いだムゼッタをお姫様だっこ。

そのまま階段を上がっていく。

高台の上で二人で靴をはいていないムゼッタを肩車する。

第2幕了

第3幕
QUADRO TERZO
アンフェール門

高台がアンフェール門に変わる。かみてには守衛の詰め所がある
しもて側に大きな木。
酒場はしもてそでにある設定

まだ夜明け前で
暗い
朝早く、夜明け前から働く庶民の暮らしの描写。
さきほどの豪華に飲み食べる世界との対比です。

清掃夫たちが来て門を開けろという

税関士の片沼慎さんは急がずゆっくり門に向かう

牛乳売りの女たち

ミミが来て酒場を探す

軍曹(星田さん)に聞く

あそこだよ

マルチェッロを呼び出す

マルチェッロが来る

ミミか!

ミミ:
Rodolfo m'ama

どうしたらいい?

マルチェッロ:
Quando s'è come voi non si vive in compagnia

そいつはもう無理かもしれないね

ミミ:
そうよね

マルチェッロ:
あいつが起きたようだ。頼むよ、もう帰ってくれ。

ミミは隠れる

ロドルフォが出てくる。

ロドルフォ:
ここにいたのか

マルチェッロはロドルフォを罵倒する

ロドルフォはマルチェッロの襟首をつかむが離す。

ロドルフォもミミへの不満をぶちまける。

マルチェッロ:
本心じゃないだろ?

ロドルフォ:
ああ。
Amo Mimì sovra ogni cosa al mondo
ほんとは…あいつを世界で一番愛してる
ma ho paura
でも、怖いんだ、
Mimì è tanto malata
あいつはひどい病気なんだ
La povera piccina è condannata!
ミミはもう死の宣告を受けている

マルチェッロはミミが聞いているのに気が付き、それとなくロドルフォを離そうとするが…

ロドルフォ:
Mimì di serra è fiore.
ミミは温室の花だ
Povertà l'ha sfiorita
貧乏がその花を枯らしてしまったのだ
per richiamarla in vita
よみがえらせるには
non basta amore!
愛だけでは無理なんだ

ミミ:
あたしは死ぬのね

ミミが咳き込んで出てくる

ロドルフォ:
Che? Mimì!

ミミに気が付き近寄るロドルフォ

ムゼッタの笑い声でマルチェッロは居酒屋の方を見る
マルチェッロは走っていく

ミミ:
D'onde lieta uscì

Se... vuoi... serbarla a ricordo d'amor!
もし、よかったら、二人の記念に持っていてください

拍手を挟まずすかさずロドルフォが続ける。

ロドルフォ:
Dunque è proprio finita?

2人:
Mentre a primavera c'è compagno il sol!

ムゼッタが飛び出してきてしもてがわでマルチェッロとものすごい喧嘩をしている

かみて側の二人はしっかり抱き合っている

春になったら別れましょう…

ムゼッタ:
Pittore da bottega!
看板絵描き!

マルチェッロ:
Vipera !
まむしめ!

ムゼッタ:
Rospo !

マルチェッロ:
Strega !

しもての花道を走り去るムゼッタ
マルチェッロは激怒しながら店に戻る

ロドルフォとミミは抱き合ったままかみてに消える。

誰もいない。また雪が降りだした。

第3幕了

第4幕
第1幕と同じ部屋

ロドルフォは中央のテーブルで仕事している
マルチェッロはかみてがわで絵を描いている

二重唱
O Mimì tu più non torni

マルチェッロ:
Io non so come sia

ロドルフォ:
poich'è morto amor

二人はかみてとしもてに離れて重唱する

ショナールとコッリーネが食材を仕入れて帰ってくる

コッリーネ:
È un piatto degno di Demostene:
デモステネスにふさわしい一皿でございます。
un 'aringa
ニシン(aringa)料理、なーんちゃって

(デモステネスは弁論家。弁論=arringa ※音楽之友社の対訳本による説明。)

コッリーネ:
ギゾー(1787~1874 ※当時の首相。1848年の革命でロンドンに亡命した。)に会ってくるとしよう。

踊る4人。

ムゼッタが来る

ミミが…!

ロドルフォがミミを連れてくる
ベッドを運ぶ

ロドルフォ:
Ah! mia Mimì, sempre, sempre !

ミミ:
Buon giorno, Marcello, Schaunard, Colline

ロドルフォ:
Non parlar
しゃべっちゃだめだ。

ムゼッタは自分のアクセサリーを外してマルチェッロに薬を買うように言う
そしてマフを取りに行くという

マルチェッロ:
Sei buona, o mia Musetta
なんていい人なんだ、ムゼッタ…
(明らかに2幕で人々から得ていたムゼッタの評判とは変化しています。)

コッリーネ:
Vecchia zimarra, senti

すばらしい!美声!
今後要注目です。

コッリーネは自分のお気に入りのコートを売るべく、脱ぐ。

ショナールも一緒に出ていく

盛り上がる音楽

立ち上がってドアの方を見ているロドルフォ

振り返るとミミが手を起きて自分を見つめている

ミミ:
Sei il mio amore e tutta la mia vita!
あなたに話したかったの
あなたは私の全てだって。

抱きしめあう二人

まだきれい?

夜明けのように。

そうじゃないわ
夕暮れのようにでしょ?

ロドルフォは小さく首を振る

過去の思い出が走馬灯のようによみがえってくるミミ

La mia cuffietta
私のボンネットね…!

最初に会った日のこと、覚えてる?

鍵を探したよね

もう見つけてたくせに

それが運命だったのさ

ミミ:
あなたはこう言った…
Che gelida manina
僕に温めさせて…

ミミはロドルフォの手を握り引き寄せる

ロドルフォは泣く。

ミミは咳き込んで驚いて
ショナールが様子を見に来る
ムゼッタとマルチェッロも戻ってくる

ムゼッタはミミの手にマフをはめる。

マルチェッロはしもてで火を点けて薬を作ろうとしている。

ミミは弱弱しくなっていてもう目がよく見えず
これはあなたが?とロドルフォに聞く。

ムゼッタ:


ムゼッタも泣かせます!

ロドルフォが泣きじゃくる

Qui.. amor... sempre con te!
ここには愛があるわ あなたと…ずっと一緒よ
Le mani... al caldo... e... dormire
もう手も冷たくない
眠るわ

ミミは眠るようにこときれる
左手がだらんと垂れる

ロドルフォは気づかず立ち上がる。

音楽がミミの死を告げる

ムゼッタの祈り

聖母様お願いします
私は救いには値しない女ですが
ミミは天使なんです…

ロドルフォとムゼッタの会話

まだ希望はあるよね?

ええ。

ショナールは垂れているミミの手を触ってマフに戻すが、ミミが死んでいるのに気づく

ショナールはミミの死をマルチェッロに伝える

ロドルフォがかみてのカーテンを閉め西日を遮る(実際にはカーテンはないが確かにそういう演技をしていた ここは演出家のこだわりか ミミの本名はLucia(=Luce)=光が消えたのだ 実は小澤征爾音楽塾のボエームをご一緒に聴いたときにこの話をしていただいたような気がする …憶測ですが)

コッリーネが戻ってきてお金をムゼッタに渡す

コッリーネはロドルフォに声をかける

Come va?
どうだい?

落ち着いてるよ。

ロドルフォが自分の周りで凍り付いたように自分を凝視する友人たちに

Che vuol dire
quell'andare e venire
quel guardarmi così

ここのロドルフォはパニックになっている リアルです

音楽ガーン

Coraggio
気を確かに!
マルチェッロの励ましは音楽で消えてない!さすが

Mimì~~~~

駆け寄るロドルフォ

Mimì~~~~

ロドルフォはミミのかたわらで号泣

ムゼッタもミミのベッドの横で泣き崩れる

ほかの男たちも誰一人動かない

全幕了


お疲れ様でした
すばらしかったです!

***
追記(9月16日)

古川寛泰氏 (プロデュース及び演出、字幕制作 写真左) プレ・トーク (抜粋・概要)(※メモを元に記述)

 オペラ・ノヴェッラ代表、古川です。(このプレトークでは)プログラムにないことを話します。
 「ラ・ボエーム」この団体の旗揚げ公演でやっている作品。
 この作品の魅力は「革命」です。革命がモチーフとなっている。
 (1789年のフランス革命で)「アンシャン・レジーム」(革命以前の政治体制)(が崩壊する。)(恐怖政治の後に現れた)ナポレオンが失脚し、王政復古(1814)となり、市民はないがしろにされる。
 このフランスの国旗はフランス革命(1789)でできた。王政復古の時はこの旗は使えなかった。罪になったから。
 1830年、七月革命が起きる。この旗を取り戻すのだという革命。
「レ・ミゼラブル」(1832年6月5日に勃発する六月暴動)はこの「ラ・ボエーム」の一年後に起きる。
(筆者注:ということは原台本によると「ラ・ボエーム」の時代設定は1830年頃と書かれているのだが、厳密には1830~1831年となるということでしょうか。)

 OperaNovellaを立ち上げたきっかけも「俺が真のオペラをやる」と言って立ち上げた。
 14年前。私は27歳。
 夢を現実にするため、行動することは、儚くて、輝かしい。
 その革命の意識から「青春」というモチーフにつながると私は思っている。

 小畑恒夫さんがプログラムに「スカピリアトゥーラ 退廃社会の放浪者たち」記事を書いている。「スカピリアトゥーラ」とは。「縮れ毛の人」という意味で、新しい時代を築く文学運動のこと。

 (スカピリアトゥーラ派=イタリアで1860年代から80年代にかけて,王制による新国家体制に幻滅を感じた若い共和主義的作家たちによって,ミラノを中心に展開された前衛文学運動。蓬髪派とも訳される。彼らは既成の価値観を否定し,芸術至上主義を唱え,ボヘミアン的生活を送ったため,スカピリアトゥーラ(〈奇矯なふるまいの人々〉の意)と呼ばれた。From コトバンク)

 アッリーゴ・ボイトもその一人だった。その運動は世の中に広まらなかった。
 私はこの運動は、今の時代の私たちにとっても、すごい生き方だと思う。
 自分の理想を掲げることに青春を感じる。

 「ラ・ボエーム」は何度も見たことがある、という人はいるでしょうけど、それはプッチーニの「ラ・ボエーム」でしょうか?プッチーニの本当の意図と違うと私は見ている。(ゼッフィレッリのとか…)
 本当の「ラ・ボエーム」を見たいと思った方は拍手してください。(拍手)

 皆さんにお願いしたいことがある。アリアの後にBravo!がかかるけど、今回、拍手は幕が下りた後にしていただきたい。すみません、私の我がままです。
 アリア「冷たき手を」そして「私の名はミミ」そこにフェルマータはありません。
 Si(ハイ) と続く。
 皆さんとこのホール全体で共感したいんです。楽しいこと、悲しいことでコントラストを味わうためには、拍手はご遠慮いただきたい。
 ここは座間ではありません。パリかな?別の空間と思って楽しんでほしい。
 1幕が終わった時に歌手がカーテンコールで出てくるのでその時拍手をしてください。

 今回ハーモニーホール(が改修に入るため?)ここでの公演はこれで一区切りとなります。
 今日皆様にお会いできることに感謝申し上げます。
古川寛泰





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最終更新日  2023年09月16日 13時58分30秒


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