読書地図

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2008年02月20日
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カテゴリ: 映画



 そして本はまさに期待通り。文章自体にはやや不満が残ったものの、それを補って余りある丁寧で豊富な説明には大満足でした。ジプシーが元々インドの辺りから旅を続けて東欧の方にまでやってきたこと、そしてその行く先々でその地の音楽に影響を与えて来たことなどはぼんやりと知っていたのですが、そのインド発祥説にも疑義が呈されていることや、東欧のジプシーと一口にいってもその辿って来た歴史も、そしてもちろん音楽も、国によって、さらには一国内の地域によっても全然違うこと等々、全く知らないことばかり。安易に「東欧のジプシー音楽」等とひとくくりにしてはいけなかったという訳です。もちろん東欧以外にも「ジプシー音楽」はあって、それらもまた実に雑多であることは言うまでもないありません。

 本を読んだ後、巻末に紹介されているCDを何枚か買い、いつの日か関口さんのように生で演奏を聴きたいなあとか、やっぱりガトリフの映画は何としてでも観ないとなあ、などとぼんやり考えつつそれから1年。映画 『ジプシー・キャラバン』 公開を知り、これは何としてでも観に行かなくてはと思い、早速劇場に足を運んだ次第です(そういえば今年になって劇場で映画を観るのは初めてだ)。

 映画は2001年にアメリカで行われた、ジプシー音楽のコンサート・ツアー(そのツアー・タイトルが『ジプシー・キャラバン)の様子を記録したドキュメンタリー映画です。コンサートの出演者はルーマニアのタラフ・ドゥ・ハイドゥークフ、マケドニアの「ジプシー・クイーン」ことエスマ、インドのマハラジャ、スペインのアントニア・エル・ビバ・フラメンコ・アンサンブル、そしてルーマニアのファンファーレ・チョクルリーア(CDと日本語表記が異なりますね)。

 映画の半分はツアーの様子ですが、ツアーの映像の合間合間に、ツアー後に収録されたそれぞれのミュージシャンの出身地の映像やそこでのインタビューが挟み込まれます。その編集はなかなかのものだし、何よりミュージシャンたちの言葉や行動は、ツアー中でも地元でもとても魅力的でとてもおかしい。なので音楽に全く興味が無い、という人には辛い映画かもしれませんが、ジプシー音楽にさほど親しんでいない人でも楽しめる作りにはなっています。というか、ジプシーの迫害の歴史や、彼らの音楽に込められたものについて、簡単なコメントは幾つか聴かれますが、そうしたことについての詳細な説明はあまり無いので、コアなジプシー音楽ファンの人には少しもの足りず、むしろジプシー音楽の入門として最適かもしれません。

 僕にとっては、ミュージシャンたちの地元をちゃんと紹介してくれるこの映画を見ることは、関口さんの本と合わせて、自分の頭の中にジプシー音楽の「地図」を作り上げることでした。ジプシー音楽発祥の地(ということになっている)インド、ジプシー音楽と密接な関係を持つスペインのフラメンコ、そして東欧のそれぞれスタイルの異なるジプシー音楽。そもそもジプシー音楽に限らず、音楽は人と一緒に旅をし、そこに音の痕跡を残します。その痕跡を確かめて行けば、そこには1つの「地図」が出来る。以前、知り合いのウード(アラブの弦楽器)奏者に、弦楽器の「旅」の話をしてもらったのですが、それはまさに音楽で地図を描くことでありました。そうした地図をも沢山自分の中で持っていたいと、とてもとても思うのです。もちろんその作業はまだまだ始まったばかり。ジプシー音楽以外にも聴きたいCD、読みたい音楽関係の本は沢山あるのですが、ひとまずやっぱりジプシーの歴史をもっとちゃんとおさえたいなあ。関口義人さんの本もまだまだ他にあるし、『立ったまま埋めてくれ』なんていう切ない題名を持った本も読みたい本リストの上位に位置したまま。何とか時間を作って、読んだ報告をまたこのブログでしてみたいと思っています。


追記:ジプシー音楽初心者がエラそうに何ですが、買ったCDの中で一枚だけ紹介を。ハンガリーのバンド、 Romano Dromの『Ando Foro』 は、聴きやすいけど、ジプシー音楽の持つ音の緊張感がしっかりと込められている良いアルバムでした。興味はあるけど何から聴いてよいかわからないという人にはぜひオススメ。


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最終更新日  2008年02月23日 15時46分46秒 コメントを書く
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