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カテゴリ: Science
「科学と方法」(ポアンカレ、岩波文庫)を読む。

「科学と仮説」、「科学の価値」、「科学と方法」、「晩年の思想」からなる、ポアンカレの「四部作」の第三集。まず、漢字が旧字体なので読みにくいという問題がある。実際読めない漢字もあり苦心しつつ読んだ(ちなみに邦訳初版は1953年。以下では判りやすいように現在の字体の漢字を用いて書く)。底本は1908年なので、相変わらずエーテル仮説が顔を出したり、ダークマターを認めなかったりするので、その辺を差し引いて読む必要がある。

大体の内容は、末尾の「総括」の内容を読めば分かる。例えば、莫大な数の自然現象の中あるいは組合せから、科学者が如何に研究対象を選択するか、そこに含まれる偶然性をどう見るべきか、当時の物理学に対して問題提起として提出された新しい物理学、最後に天文学と測地学について、というのが大枠である。

途中判りにくかったのは論理学に関する記述で、特に数学と論理学の関係や、「数学的論理学」のに関する記述は、論理学をきちんと学んだことのない私には、なかなか厳しかった。

逆に面白いと思ったのは、数学教育に関することや、天文学を気体分子運動論とのアナロジーで論旨展開しているところ、測地学を戦争の歴史の中に於いて説明しているところなどである。

「科学と仮説」、「科学の価値」、「科学と方法」、という風に刊行の順に読んできたおかげで理解できた部分もある。ただ、この3冊の中で最も読みやすいのは、第二集「科学の価値」であった。

2箇所ほど面白いと思ったところを引用しよう。

我々は我々で考え方を異にし、我々と同時代の人のために一時間労を省いてやるよりも、我々の孫に一日の労を省いてやる方をさらに大きな幸福と感ずることがときにあるのである。
「労を省く」のももちろん重要だが、例えば防災など子孫の生命・財産の保護を目的とした場合にもあてはまると思う。もちろんポアンカレはそういう応用目的の科学の価値について述べているのではないのであるが…。



これこそまさに、現在におけるカオス理論であり、ポアンカレがその背後にある考え方を世界で最初にまとめあげたとされる所以の一端でもあろう。この点に関しては、 別の本

ちなみに、第四集「晩年の思想」は、ちょっと調べたところAmazonの古書でえらく高額で扱われており、事実上入手不能なので、 復刊ドットコム にリクエストしてみた。


科学と方法/ポアンカレ





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Last updated  2012.05.22 12:02:01


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