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カテゴリ: Book Review
「NOS4A2-ノスフェラトゥ-(下)」(ジョー・ヒル、小学館文庫)を読む。

かつて連続児童誘拐犯マンクスに殺されそうになった主人公ヴィクは、精神病院入院を経て息子ウェインと水入らずの日々を過ごしていた。しかし、ヴィクへの復讐に燃えるマンクスは死から蘇り、ロールスロイス・レイスを駆ってウェインを誘拐、自分の作り上げた<クリスマスランド>へ向かう。ヴィクは息子を取り戻すためバイク・トライアンフでマンクスを追う。

巻末の霜月蒼氏の解説にもあるが、上巻で張られた伏線がひとつに収束して「ヴィクvsマンクス」の構図が明らかとなり、疾走感を持って結末へ駆け抜けていくストーリーである。あまりの圧倒的なストーリー展開に、読者は作品世界にどんどん引き込まれてしまう。物語がホラーなので現実には起こらないことが次々に起きるが、作品世界に嵌っている読者にとってはそれが当たり前のことで、主人公ヴィクに感情移入してどんどん読み進めてしまう。

これだけ長大・重厚・無辺で圧倒的なストーリーを書ける作家は洋の東西を問わずあまりいないのではないだろうかと思う(もちろん私が読んだことがないだけかもしれない)。いるとしたらまさにヒルの父親であるスティーヴン・キングがそうだろう。本作も良くも悪くも(決して「悪い本」であるというつもりはないが)父キングの作品・作風に似ている。実際、あそこはキングのあの作品に、ここはこの作品に、と言い始めたらきりがないので止めておく。しかし巻末の謝辞に 「思えばわたしは生まれてからずっと、父を追って父の裏道をバイクで走っていたのかもしれない」 とあることだけは引用させてもらおう。

本作は表面上は「かつての児童誘拐犯にして今は死から蘇った吸血鬼に息子をさらわれた母親が息子を取り戻す冒険譚」であるが、その裏には家族愛や真実と想像(虚構)などといった深遠なテーマが通奏低音のように貫かれている。それを盛り上げているのがヴィクを取り巻く登場人物たちである。

さらわれたウェインの父親にしてヴィクの恋人であるルー(ヴィクとルーは結婚はしていない)、ヴィクの両親クリスとリン(こちらは離婚して父クリスは家出)、不思議な力でヴィクにマンクスの恐怖を告げる図書館司書マギー、吸血鬼マンクスの手下である「ガスマスク・マン」ことビング、ウェイン誘拐事件を担当するFBI心理評価官ハッターなど、いずれの登場人物も個性的で魅力に溢れていて、だからこそ物語をより面白いものにしている。

最後に気に入ったフレーズを幾つか引用させてもらおう。




幻想とはつねに、命を吹きこまれるのを待っている現実のことだ。


今年55冊目読了。




NOS4A2(ノスフェラトゥ)上/ジョー・ヒル


NOS4A2(ノスフェラトゥ)下/ジョー・ヒル





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Last updated  2014.11.12 06:23:47
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