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カテゴリ: Book Review
「シュレーダーの階段」(小島達矢、双葉社)を読む。

気が付くと謎の密室に閉じ込められている加奈美。どうやら拉致・監禁されたようだ。犯人の要求は「ゲームに挑戦すること」。勝利すれば解放、負ければ死という選択。しかもそのゲームというのが、「後手で始めなければならない3×3の〇×ゲーム」のように、「よくて引き分け・ほとんど負ける」という理不尽な設定のものばかり。彼女は家庭教師であり恋人である晃教の言葉に従い、正攻法以外の勝つための方法を模索する。文字通り、命を懸けて。そしてどうやら別の部屋にも監禁されている人がいることが判る。遠藤という男で、ダストシュートを通して手紙を送ってくる。彼女は逆にカメラを通じで遠藤に話しかけることが出来る。二人は協力してゲームの解を探す。

一方、中学生男子5人組の様子も並行して描かれる。明らかに4人がかりで残りの1人を苛めている。そして放課後、4人のうちの「ボス」がある計画を実行するため、とあるマンションの一室―苛められている男子の姉の部屋―に不法侵入する。そこで彼らが見つけたのは「監視カメラ」。苛められっ子の姉は何者かに監視されているのだ!

この一見無関係だが勿論看過できない状況は互いの繋がりを見せないまま終盤まで進展していく。そして密室事件については意外過ぎる手口と犯人像が示される。しかし、それとマンションでの苛めのつながりは?勿論それにも解答編は用意されている…が、正直ここの詰めが甘い気がした。確かに話としてはまとまった感はあるが、唐突過ぎる出来事が最終盤で起きるし、それを除いても全てがしっくりきたという感じはしない。解かれていない謎が明らかにある気がする。何というか、ちょっと勿体ない。密室の設定が凄く面白いのに(私は映画「CUBE」を想起した)、結末にそれが活かしきれてないというか…「シュレーダーの階段」というタイトルの意味も判らないし(この後調べてみるつもり)。

でも、基本的には面白かった。卓抜な設定は時に魅力的なキャラクタよりも小説においては大事だ、と思っている私にとっては、こういう作品は大好物。ところで最近「君の膵臓~」からずっとこの手の作品を続けて読んでいるが、双葉社ってこういう作品強いんだ、ということも初めて知った。実はこの後読もうと思っているのも双葉社刊の同ジャンル作品で、期待しているのだ。

以下、印象的だった箇所の引用。

世界平和の実現など、きっと宝くじが当たるよりもありえない話だ。競争に参加すれば最後、死ぬまで戦いを強いられ、かぎりあるものを奪い合う。

「自分の親を見て、ああ、こんな退屈な大人になるんだ、って想像するだけで、頭がおかしくならない?」

―たとえ、最も正しい決断が自分の命を捧げることだと理解していても、それを実行できる人間は少ない。





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Last updated  2019.08.14 06:57:54
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