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くーる31 @ 相互リンク 突然のコメント、失礼いたします。 私は…
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masashi25 @ コメント失礼します☆ ブログ覗かせてもらいましたm(__)m もし…
Tessera @ どうもありがとうございます。 カモメ7440さん 激励を頂き本当にありが…
カモメ7440 @ うまい! おそらく散文詩だと思います。 ショート…

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Jan 6, 2007
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カテゴリ: 柔らかい思念
 この蜘蛛にしてみれば迷惑な話だったかもしれないが、少女は期待した。この蜘蛛を助ければ、自分が地獄に落ちた時に助けてもらえると。
 非行を繰り返した少女が授業中に唯一真面目に聞いたのが、芥川の「蜘蛛の糸」の朗読の時間だった。馬鹿馬鹿しい話であると思ったが、最後まで話を聞く気になった。

 少女が団地の6階のベランダから下を覗き込み、意外と飛び降りるのは怖くないと感じたときに、とても小さな蜘蛛がベランダの手すりの上にいた。少女が蜘蛛の進んでいる方向に人差し指を置くと、蜘蛛が自らその指に這い上がってきたのである。
 こんなベランダにいるよりはもっと自然の多い場所の方が蜘蛛は喜ぶと少女は思った。その指に乗せたままエレベータで下に行って、もっと緑の多い場所に蜘蛛を放してあげようと考えた。

 しかし、少女が指を持ち上げると、蜘蛛は糸を吐き出しながらするっと指から飛び降りて、指から垂れ下がっているその糸にしばらくぶら下がっていたが、そこに風が吹いてきて大きく揺れたかと思うと、あっという間に糸が切れてその蜘蛛は吹き飛ばされていった。
 何もかもが自分の思い通りにはならないと少女は嘆いた。

 もう一度手すりから身を乗り出して、下の地面を見た。地面は近いようにも遠いようにも見えた。自分の運命が自分で決められなくて宙ぶらりんな気持ちだった。
 そのとき、「あの小さな蜘蛛は無事に着地できただろうか。」という思いが、自分の内面に集中していた意識を開放し身を乗り出していた少女をベランダに引き戻した。
少女はしばらく考えていたが、やがてガラス戸を大きく引くと部屋の中に戻っていった。





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Last updated  Jan 13, 2007 08:51:54 PM
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