父さんの一人旅

父さんの一人旅

2006.01.08
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
離陸直後から様子がおかしかった。

成田でジャンボ機に乗り込み
目的地へ向かったのだが
上昇した直後に乱気流が待ち構えていた。



まるで上昇気流をとらえられない
ゲイラカイト(西洋凧)のように機体が煽られる。
そしてそのまま、搭乗した飛行機は
ジェット戦闘機のように宙返りした。

航行には大きな影響はございませんので
ご安心ください」
機長からのアナウンスは驚くほど冷静だった。
「これだけ揺れて宙返りまでしといて
何が『影響ありません』だよ」
隣の席の人と顔を見合わせながら
オレは不安を募らせた。



機は安定して飛行していたが
微妙な振動はずっと続いていた。
時折、窓の外に目をやって
落ち着きを取り戻そうとしたが

その時だ。
いきなり機体が乱気流に巻き込まれ
木の葉のように落ちていった。
心臓がギュッと締め付けられるような絶望感を覚え
生まれて初めて死を覚悟した。

次女の名前を叫ぼうとした。
もう声にならない。
「ダメだ」
そう思った瞬間に
急降下していた機体が持ち直し
再び上昇を始めた。



硬く閉じていた目を開いた。
窓の外に目をやると
雪に覆われた田園風景が広がっていた。
ん?
オレが乗っていたのは
時速300キロで地上を這う
新幹線(のぞみ500系)だった。
「夢だったの?」
そして
「ひょっとして現実のオレも
絶叫してたんじゃないか」という不安が
頭をよぎった。



カラカラに渇いた喉を潤そうと
ミネラルウォーターのペットボトルに手をやった。
キャップを開け、飲もうとしても
乾ききった上唇と下唇が密着してしまっていて
なかなか開かない。
「開かないってことは
叫んでいたのは夢の中だけのできごとだったのかな…」
ちょっとだけ安心して水をゴクゴクと補給すると
オレは再び目を閉じ
なんで、こんな変な夢を見たのか考えてみた。



・広島~博多の出張で連日のように
 深酒したせいで体が疲れていた。

・行きつけのバーを出る前に
 マスターから「のぞみ500系は
 揺れがすごいんですよね」って言われた。

・近くに座っていた女の子3人組のはしゃぐ声が
 夢の中では”悲鳴”の役割を果たしていた。

この辺りの要素が複雑に重なり合って
大惨事の映像を作り出していたのかもしれない。



「まもなく新横浜に到着いたします」の
アナウンスを聞いて、再び目を覚ました。
二度寝の際に大惨事の
”続編”が上映されることはなかったけど
全身の筋肉がバリバリに張っていた。



のぞみ2号。
「あずさ2号」と並んで
忘れられない電車となりそうだ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006.01.08 21:16:30
コメント(8) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

カレンダー

プロフィール

ノコスケ

ノコスケ

コメント新着

こっまち♪@ Re:応援歌(04/11) 自転車で爆走してますか? お互い、すっか…
ノコスケ @ こっまち♪さんへ おかげさまで 活動自粛期間中についた …
こっまち♪ @ Re:別れ話(03/24) ちょっとノコさーん、なんか 切ない話じ…
ノコスケ @ こまっち♪さんへ 彼女は、極めて稀有な例だと思います。 …
こっまち♪ @ Re:変わった女の子(03/09) 転んで喉に… ウケました(^^) さすが…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: