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カテゴリ: 書評
見出し:“落魄のダンディ” 『平凡パンチ』 ~『団塊パンチ』の向こう岸で平凡の非凡を語らう~

『団塊パンチ(vol.1~vol.3)』(飛鳥新社)

 『平凡パンチ』、お世話になった方も少なくないだろう。“平凡”なる魅力に欠ける字(漢字そのものも、実に平凡である)に、“パンチ”というエネルギッシュなカタカナを組み合わせたところに、この非凡なる雑誌のラディカルにして刺激的な編集方針が色濃く反映されている。同時に、せめて平凡(中流)でありたい、そのためにパンチのある活力を、という、一般大衆の集合的希望が託されていると言えるかもしれない。平凡パンチ全盛時代とは、いささかの郷愁も込めて、そういう、グリッターではないけれど、健全な豊かさに向けて、日本がギラギラしていた時代であったのだ。時代的には、団塊世代後の創刊(年)で、ファッションや文化を扱う総合情報週刊誌であったが、グラビアに力を入れていたところに、同誌の享楽的雰囲気への感度、そして後の日本の文化的傾向を先取り、もしくは方向付けしてしまった偉大さがある。
 『平凡パンチ』は、今も主に電車の吊り広告で人気の『週刊プレイボーイ』と、当時から人気を二分していたが、サブカル的にしてファッショナブル、確信犯的スノビズム、見世物小屋的いかがわしさを個性とした『平凡パンチ』に対して、『プレイボーイ』はジャーナリスティックなキャラクターで売り出していたのが興味深い。今になって、『プレイボーイ』に在りし日の『平凡パンチ』の面影を見てしまうのもまた、皮肉なものである。
 『平凡パンチ』は、1966年には発行部数100万部を突破し雑誌文化の全盛時代に頂点に上り詰めた。また、ラジオ(ニッポン放送)とのタイアップで、お色気番組を展開するなど、メディアミックスのはしりとも言うべき、実験的試みにも果敢に挑んで成功を収めた。
しかし、王位は永遠ではない。誌名のマチズモとは裏腹に、軽妙な内容で一躍若者の心をとらえた『POPEYE』、『BRUTAS』が台頭し始めた80年代後期、『平凡パンチ』はもはや、“落魄のダンディ”と化していた。
 1988年10月休刊。翌1989年不退転の覚悟で『NEWパンチザウルス』創刊を以って、昔日の“パンチ力”を復古させようとリターンマッチを挑むが、美しいまでに失敗に終わる。時代は、もはや平凡の域に到達し、パンチを必要としなくなっていたからである。
 『平凡パンチ』は、ひとり、時代を彩った雑誌名のみにはあらず。これは、時代性であり、団塊→ポスト団塊世代移行期の気分であり、スローガンであり、アイコンであった。だからして、もはや今さら『平凡パンチ』を、リアルタイムに読みたいという人はいないであろうし、いてもならない。それは懐古趣味でもって、ロマンティシズムの向こう岸で語られるべき一種の想い出である。『団塊パンチ』では、その想い出のよすが、明日のジョー、ローリング・ストーンズ、横尾忠則、VAN、三億円事件・・・キーワードの数々が、最適化された同時代人によってクールに、しかし非凡に語られている。(了)


団塊パンチ(vol.1)


団塊パンチ(vol.1 no.2)


団塊パンチ(vol.1 no.3)





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Last updated  2008/03/31 12:59:27 PM
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