バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

PR

Profile

快筆紳士

快筆紳士

Calendar

Archives

2025/12
2025/11
2025/10
2025/09
2025/08
2025/07
2025/06
2025/05
2025/04
2025/03
2006/12/15
XML
カテゴリ: 書評
見出し:“古今東西の乙女の夢”も、また易きにあらず。

鹿島茂著『 明日は舞踏会 』(中公文庫)

 1991年に、サントリー学芸賞に選ばれた『馬車が買いたい!』は、いわば“19世紀パリの“男性”の、ステイタス、欲望、野心、浮き名などといった価値の獲得の象徴、あるいは立身出世で男を上げる、ないしは有閑的嗜好に耽るための“夢の箱船”たる馬車をモチーフに、現代人が高級車に憧れる物欲のドライバを、社会的/文化的な視点から分析し、かつ同時に読み物として楽しめるように綴られた、バーチャルなモノ・マガジン的一冊であった。著者は、今度は『明日は舞踏会』の冒頭で言う。「女性の夢の仮想体験の実現に貢献する視点は、『馬車が買いたい!』にはなかった。だから、その女性版を書いてみよう」と。
 著者自身も述べているように、男性の憧れが「馬車(=サクセスの証)」であるならば、女性の少女的発想からなる夢は、古今東西、「舞踏会」の華やぎときらびやかさ、そしてロマンスにあるという。舞踏会の文化がきわめて些少なここ日本にあっても、である。その夢を、やはり舞台を世紀末パリに移して、限りなく実現可能なノウハウを再現してみた、知的冒険心からなる一冊は、思いのほか資料が不足し難航したと言う。
 だが、私自身は、資料のなさに、かえって間接的資料を補い、かつバルザックの『二人の若妻の手記』の主人公を案内役に立てることで、見事にパッチワークに成功し、スリリングにも“明日の舞踏会”への手ほどきを復元してみせている。加えて、挿入される図版が美しく、当時の服飾文化が垣間みえるのも愉しい。
 夢はつねに陶酔と引き換えに困難を伴うものであるが、“古今東西の乙女の夢”も、また易きにあらず、である。社交界とは実に、面倒な場所である。(了)


明日は舞踏会





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008/03/31 01:02:45 PM
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Comments

プラダ バッグ@ gpzqtt@gmail.com 匿名なのに、私には誰だか分かる・・・(^_…
バーバリーブルーレーベル@ uqafrzt@gmail.com お世話になります。とても良い記事ですね…
バーバリー マフラー アウトレット@ maercjodi@gmail.com はじめまして。突然のコメント。失礼しま…

Favorite Blog

カードケースを試作… New! 革人形の夢工房さん

新・さすらいのもの… さすらいのもの書きさん
価格・商品・性能比較 MOMO0623さん
抱きしめて 愛の姫.さん
天使と悪魔 ♡ り ん ご♡さん

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: