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カテゴリ: 書評
見出し:“遅れて来た恐るべき編集者”の机上を、日本語で読める幸せ。

ジャン・コクトー著、澁澤龍彦訳『ポトマック―渋澤龍彦コレクション』(河出文庫)

 コクトーは、ベルエポックに遅れて来た偉才。言うなれば、「戦国時代における伊達政宗」、「『三国志演義』におけるの姜維」、「幕末の東郷平八郎」のような存在である。
 まさに、先人の遺した空気を最大限に吸ったこの男は、その記憶を後の世紀に留めようと、あるいは自身をその結晶として演出しようと、八面六臂の活躍をしたのである。しかり、コクトー自身が、遅れて来た“恐るべき新世代”であったのだから。
 あくまで、この『ポトマック』を読む限り、つくづくコクトーは芸術家である前に、編集者、それも“なかなか作業を収束しない、アイディアが堰切って溢れ続ける厄介な編集者”だと思う。
 だから本書は、何かを作り上げ、生み出す期待感がばらまかれた、編集者の机の上みたいなのだ。定規にカッター、糊にハサミ、消しゴムのかす、メモ帳にクロッキーの落書きもある。飲みかけて冷めたコーヒー。窓からは汚れの合間からだけ外光が差し込み、それが不衛生にキラキラと舞う塵芥に反射する。
 コクトーをフランス語で、かつフランス人が読んだら、やはり素晴らしいだろう。我々日本人にはそれが、できないはずだった。澁澤がいてくれてよかった。日本人は、フランス人でなくとも、なんらその価値を下げることなく、素晴らしいコクトーを日本語で読めるのだから。澁澤自身が二十代にもっとも愛して翻訳したコクトーの小品。その意味が、跳躍するが如き文面からよく分かる。(了)


ポトマック





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Last updated  2008/04/02 09:48:35 PM
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