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カテゴリ: 書評
見出し:エウロペの柔肌の抱擁

澁澤龍彦『ヨーロッパの乳房』河出文庫

 カントは、生まれ故郷のケーニヒスベルグを一度も離れたことはなかったが、当時の主要都市の町並みについては仔細にわたって熟知していた。文字通り、筋から大通りまで、あたかも現地を訪れたことがあるかのように、尋ねるものに正確に答えてみせたと言う。入手し得る地図を穴があくほどに眺めて覚えた二次元の地形は、カントの頭の中では立体をなしていたに違いない。
 本書は、それまで、ヨーロッパについて数々の翻訳や評論やエッセイをものしてその洞察力と審美眼の高さを謳われた澁澤龍彦、初めてのヨーロッパ旅行の紀行文である。およそ二ヶ月にわたって、澁澤が独特の審美眼で“立体化”してきたヨーロッパの見聞は、驚くほど精度が高く、また同時に、普段の澁澤の文体とは微妙に異なる、くだけた、あるいは素直なニュアンスが垣間見えて、その生涯を通してかれることのなかった飽くことなき探究心が、実は非常に無邪気で天真爛漫な源流を持っていたことに気づかされる。澁澤龍彦は、己の美に忠実であり続けた、博覧強記の子供であったのかも知れない。
 この旅以降、自身のヨーロッパへの想いに太い縦軸を得たからか、その後は東洋へと、そのアンテナを向けることになる。
 本書は、エウロペの乳房に抱かれた澁澤の「ヨーロッパからの卒業」だったと、多田智満子はあとがきで結んでいるが、まさに言い得て妙である。(了)

著作です: 何のために生き、死ぬの?


ヨーロッパの乳房






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Last updated  2008/04/03 09:26:20 PM
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