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2010.08.14
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カテゴリ: 本
山岳がらみの冒険小説をまた読んでみた。
笹本稜平「天空への回廊」

いくつか山岳小説を書いている笹本稜平の比較的初期の作品で、
エヴェレストが舞台。

主役は日本人クライマーだが、それ以外の登場人物、舞台はアメリカやネパールなど、
ことごとく海外。
日本は一切出てこない。

エヴェレストの山頂近くに人工衛星が墜落し、たまたま登山中だった登山者たちが回収を手伝わされることになるのだが、
衛星には世界を危機に陥れる謀略の種があった。



以前読んだ本格山岳小説「還るべき場所」と同様、矛盾や破綻がなく、
表現も角ばった重厚感に統一されている。

ただ、後の作品のような人間の内奥に迫る内容ではなく、
あくまでストーリーの面白さで勝負している。

山岳シーンはこの頃すでに知識のベースを持っていたようで、
クライマックスまで迫力があってすばらしい。

一箇所、切断されたフィックスロープを補修しながら下る場面は、
わざわざ登り返す必要があるのか、と思ったが。

文庫本で650ページの大作だが、後半は一気に読んでしまった。

「還るべき場所」の主人公の青年もそうだが、
この日本人クライマーも8000メートルの高所で5日も行動するとは、

しかも最もコンディションの厳しい1月(冬季)だ。
2度も山頂を越えるうえ、敵と戦う。

そこだけが、あまりに現実離れしている。

誰が黒幕か、誰が悪人か、という部分は多少読めてしまう部分もあるが、
ジェームズ・キャメロンばりに終わったと思っても終わらない展開でつい目が離せなくなってしまった。


それだけで現実離れした登山を成し遂げている。
今でさえ、そんなことを実際にできる人はまずいないが、
冬季ヒマラヤ登山の最大の課題でもある。





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Last updated  2010.08.14 09:52:03
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