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春の別会第2日は「老松」「鸚鵡小町」「正尊」の3番。それぞれ道真・小町・平家と古典作品に題を取るものが並んだ。
「老松」シテは今井泰行さん。4、5年前に<紅梅殿>の小書をつけた珍しい形で上演されたこともあった。今回の小書ナシだと老人として登場する前場、老いた神として登場する後場と印象が一貫し、荘重な感じも維持される。今井さんのシテ自体はとてもよかったように思われるのだが、地頭以上に元気に謡う方がいらして、もう少し優しみのある近藤乾之助ブレンド(←なんだそれ?)だったら格調高かったろうに。ひっそりとした静寂さが伝わらずやや平板な感じになってしまったのが残念であった。
「鸚鵡小町」……自分にはまだまだ悟りきれぬ老女物の大曲。シテは寺井良雄さん。
橋掛かりを進み二の松あたりで休息、再び歩き出すという登場の仕方がわざとらしくなく、吐息交じりの弱々しさに、舞台展開の期待が高まる。鸚鵡返しのやりとり、ちょっとした歌論の展開があり、業平が玉津島で行った法楽の舞をワキ新大納言行家(解説では「新中納言」)に所望される老女小町。ゆったりとした序ノ舞があくまでも静かに進行していく。若い時を惜しむというような生々しさではなく、淡々と、そしてひっそりと舞っていると若き日の小町さらには業平の面影までが浮かび上がり、おもわず落涙。
老女物は好きではないのだが、昔と今とがゆるゆると交差し、胸を打つ舞台であった。
ラストは「正尊ショウゾン」。『平家物語』では「昌俊ショウシュン」などの表記が多い、頼朝が義経を討つために遣わした人物。起請文を読み上げ、義経追討の心のないことを誓うが、それはまったくのウソで、結局義経方との対決となる。
シテ正尊は小林与志郎さん、弁慶がワキ方森常好さん、義経を辰巳満次郎さん(でかっ!)、義経方・正尊方いずれも、30代を中心とした宝生流の若手が並ぶさまはこれまた壮観。
前半の山場、起請文の読み上げは約6分、神への祈りという格調高さとどこか不誠実さを感じさせる腹黒さとが調和して、緊迫感があった。後半の斬り組みはまさに今だから可能という方々の揃った舞台で、迫力満点。数年前の「夜討曾我」と随分と重なる顔ぶれで、今を逃すとこれだけの迫力は難しくなるであろう。
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