2012年10月21日
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- 映画コラム -
STAR WARS ・・・
輝かしい邦画 『バッタモン』 の世界



タイトルの後ろに 『の』 の文字が付いておりますが

これは本作の解説をするのでは無い
本作を元に模倣した バッタモン(偽物) 映画の方を紹介する企画

通称 『の』 シリーズの登場です。



今更スターウォーズの解説をした所で
実は 黒澤明 監督の 『隠し砦の三悪人』 の冒頭の 千秋実 藤原釜足 のやりとりが
C3POとR2D2の元ネタだったと言うことを

ジョージ・ルーカス が黒澤明監督に会った時得意になって話した時
『じゃあ版権使用料を貰わなきゃならないな』 との黒澤監督の冗談を真に受け、

ルーカスはその場で青くなって土下座して謝った (※土下座しません)
という話が残っているとか

ある照明スタッフは 撮影中 『この映画かなりアブナイ (電波だ) な・・・』 と
思い続けて仕事をして、下らない幼稚な映画だと 半場呆れていた所

公開日 映画館前に数万人の人だかりが出来て居るのを唖然として眺め
自分が照明スタッフだと周りに知られた途端 人が集まってきて握手を求められ

その時ようやく 自分は凄い映画に参加していたのだと言う事を
実感したという 一スタップの話しとか

アメリカでは、映画冒頭に絶対 主演、助演、脚本、音楽、 などの
主な出演俳優、スタッフを明記する 決まり になっていて

これを守らないと組合から除名処分を受け
アメリカでは仕事が出来なくなるキビシイもので

知っての通りスターウォーズのオープニングには
タイトルの他 前回までのあらすじを流すのみで
全米映画協会の規約違反を犯しているため

その為ルーカスは全米映画協会に加入していないという

実はスターウォーズは
ジョージ・ルーカスのポケットマネーで作った 自主制作映画 だった
とか、既に知り尽くされた事ばかりなのでw

今回はスターウォーズ人気に乗っかり 制作された、
和製スターウォーズ(バッタモン:偽物)を

ご紹介したいと思います

あなたは幾つご存知でしょうか?


△▼△▼△


宇宙からのメッセージ
公開:1978年4月
監督:深作欣二 原案:石森章太郎、野田昌宏
出演:ビッグ・モロー、真田広之、千葉真一、志穂美悦子、成田三樹夫


東映制作の 深作欣二 監督による
当時にして 15億円 の巨費をかけたガチの超大作です

撮影にスターウォーズでも使用され 狭い箇所の撮影が可能な
シュノーケルカメラ を導入し

『スターウォーズジェダイの帰還』 から遡ること既に6年前に
要塞内部にスペースシップが侵入するシーンを撮影するという

特撮史に残る様なミラクルを引き起こし
ハリウッドから本家スタッフが見学に来る程の話題作でした

邦画という性質上、出演に日本人俳優の比率が異常に高いのは仕方が無いとして

今にして思えば、『仁義なき戦い』 シリーズの 成田三樹夫
敵皇帝役を怪演するのは見ものでした

国内の成績は惨敗で メディア展開など
宣伝に2億5千万の巨費を掛けたにもかかわらず

6億しか収益がなく SFイコール子供向けのイメージしか無かった
当時の世相を打破するに至らなかった点が 敗因であったと思われますが

特撮があった事で 海外での意外なヒットがあったのは
東宝の 『日本沈没』 同様で

この収益があってようやく 制作費分は取り戻せた という事でしたw


△▼△▼△


スターウルフ
放映:78年4月~9月
制作:よみうりテレビ、円谷プロ
原案:エドモンド・ハミルトン 監修:糸川英夫
出演:東竜也、宍戸錠、高橋長英、湯川勉、立山博雄、谷川みゆき



本作はある意味今回のハイライトで・・・w

『ウルトラマン』 シリーズの 円谷プロ が総力を結集した
本格SF スペース・オペラ・ドラマです

SF作家 エドモンド・ハミルトン によるスペースオペラのシリーズが原作で

タイトルに 「スター」 が頭に付いておりますが
原作はスターウォーズから遡ること約10年前に出版された作品なので

作品そのものはパクリでは無い所がミソです


先程の『宇宙からの』の日米ハイブリット作品とは違って
本作に至っては 出演者は全員日本人という内容の濃さで
キャプテンジョーが 宍戸錠 という、ほぼ小ネタ状態でしたが

従来の ピアノ線で釣る模型 の特撮を廃し
全場面 ほぼ (ビデオ?)オプチカル合成 を敢行した

日本特撮史において 画期的なSFドラマでした

ロケット工学の 糸川英夫 博士を 監修に迎え、科学考証の見地から見た
脚本作りを目指し、年齢対象を高めに設定した 1クール一話というスパンの
初めてのSFシリーズとなりました

しかし、 SFは子供の見るもの という、当時の世相を打破するには至らず
惑星の向こう側に宇宙船が隠れて行くという 根本的な映像ミスをやらかすなど

世の中の新たな動きを作り出すような力技は本作にはありませんでした

結局予定の話数を大幅に削られ
最後は子供向けの一話完結に 路線変更 を余儀なくされました

最終回は、オプチカル合成処理を止め
従来のピアノ線で模型を吊る撮影に切り替え

合成処理で行なっていた爆発も 実際に模型を破壊する
伝統的な特撮処理を行なっていました

ハリウッドに追いつけと始めた番組でしたが、 番組打ち切りを受け
最後は日本の技術で全編を占めようという 日本の特撮マン達の意気込み
見えて来る様な 終わり方でした


△▼△▼△


惑星大戦争
公開:1977年12月
製作:株式会社東宝映画、東宝映像株式会社
監督:福田純 音楽:津島利章
出演:森田健作・浅野ゆうこ・沖雅也・宮内洋・池部良・平田昭彦・大滝秀治・睦五郎


『スターウォーズ』などの空前のSFブームを受けて
8月のスターウォーズ公開を控えた

正月映画として 突貫工事で急遽仕立てあげた 怪作 です

73年の 『日本沈没』 を正月映画として突貫工事で仕上げ
大ヒットを出した前歴がある東宝はその味をシメタのか
二匹目のドジョウ狙い の制作でした


母船が2体と戦闘機が2体づつの模型を使い回し
撮影班を実写パートと特撮パートに分担し
それぞれに監督を立てて同時撮影する
『日本沈没』でも採用された撮影法を強行し

物理的に撮影が間に合わないパートは
過去のフィルムから使い回すという荒業で対処し

2ヶ月程度しか無い超過密スケジュールの中で
何とか公開まで漕ぎ着けた

日本映画の底力を見せ付けた作品でもあります

しかし、
この様な力技がまかり通った70年初頭までの世の中であれば
いざしらず

テクノブーム に入った ハイテク の世の中となり
これまでとは全く価値観が変わってしまった風潮の中では

時代遅れの造りの前時代的感性なステレオタイプなSF作品など
通用するはずもなく

海外での意外なヒットと 一部のカルト的人気がある他は

本作を封切りで見て余りの不出来さに記憶の忘却の彼方に置く
映画ファンは数知れ無いと言う様な

まるで邦画の黒歴史と言わんばかりの
評価を受けた作品となってしまった様でした


これに付いては、以前テレビで放送された時には
駄目映画をこよなく愛し【セガール映画プロ】を自称するさすがの私も

正視に耐えられず

映画半ばで口直しにスイーツを買いに出かけたという
私歴でも数少ない全編未鑑賞の映画作品の一つとなりましたが・・・w

帰宅したら既に映画は終わっていた為
最後はどうなった?と家族に聞いてみると

ああ、最後 池部良 がドリルで突っ込んで行ったよ
という投げやりな答えが 映画の全てを物語っておりました


そもそもスターウォーズの配給となった東宝は
当初邦題を 『惑星大戦争』 と決めていたらしく

ジョージ・ルーカスが全世界でタイトルを統一した為
却下されたらしいですが、

当時の邦画の関係者がこんな間の抜けた邦題を
本気で付けようとしていたのかと思うと

空恐ろしくなる話であり・・・

当時の邦画の関係者は
どこまで時代を読み違えてSFを子供騙しと思い込んでいたのかと

『惑星大戦争』がこうもなぜ珍作になったのか
うなずける話で

ともあれ、
このタイトルがスターウォーズに採用されなくて
本当に良かったと思っております


△▼△▼△

というわけで、いかがでしたでしょうか?
壮大なスターウォーズ・サーガの極東での波及が
お分かり頂けましたでしょうか

誰もが一度はやってみる オリジナルの模倣 ですが
現在の世の中とは違い

似ているというダケで通用する様な時代が
過去あったのは事実でした

便乗商法の場合は オリジナルよりも早く世に出して
出来るだけ大きな出来高を上げて速やかに回収するのが
基本なのですが

その様な成約のある中でオリジナルに追い付けという
「ものづくり」を心情とする日本人の意気込みが
垣間見る事が出来たのも

事実だったりもしました


又、そうしてオリジナルが登場した時に
オリジナルとの歴然とした差を思い知らされるのが

類似品から入る日本のものづくりの
実情でもあったのです


邦画界に至っては既に 黒澤 明 という不世出の天才を世に送り出した
輝かしい実績を持ちながら

黒澤 明の オマージュ に満ちているという「スターウォーズ」に対して
便乗商法 を思い付いた事は

言わば日本映画から学んだハリウッドの
『スターウォーズ』という 返事 に対して

小金を稼ぐ事で応えた という事を意味し

それは果たして欧米から見てどう映ったのか、
礼節を欠いてはいなかったのか、


邦画がタレント事務所の 御用達 に成り下がった様な今こそ
日本の「ものづくり」のあり方を

しっかりと考えなければならない時なのではないかと
思うのでした。


という訳で今回は終了です
それでは又~☆

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最終更新日  2018年05月11日 03時04分37秒
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