2015年07月06日
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カテゴリ: 洋画 [SF]

■新作映画レビュー■
戦いの火種を消す為に行動する「ヒーロー」を描く

アベンジャーズ
エイジ・オブ・ウルトロン

AVENGERS: AGE OF ULTRON
2015年7月4日公開 アメリカ 142分

■監督 ジョス・ウェドン
■出演 ロバート・ダウニー・Jr / クリス・ヘムズワース / マーク・ラファロ
    クリス・エヴァンス / スカーレット・ヨハンソン


さて、
いつもは旧作をご紹介する当サイトでしたが 今回は現在公開中の映画から

アメコミ出版社大手 MARVELがディズニーとタッグを組み
「マーベル・シネマティック・ユニバース」として制作され
話題となった一連の作品の 最新作であり この夏話題の超大作

『アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン』を
ご紹介します☆


- STORY -

アイアンマンこと“戦う実業家”トニー・スタークは、
将来出現するかも知れない新たな脅威から地球を守るために、
人工知能“ウルトロン”による平和維持システムを開発する。

しかしウルトロンが平和を維持するために導き出した答えは、
その障害となっている人類を排除するというものだった。

仮の肉体を得て暴走を始めたウルトロンを阻止すべく再び集結したアベンジャーズ。
そんな彼らの前に、人の心を自在に操るワンダと超高速で動く肉体を持つ
ピエトロの超人姉弟が立ちはだかる。(allcinema)


- 解説 -

【作品のキーワードは「守る」】


本作はアメリカン・コミックスの大手MARVELがディズニーと組んで
同社が出版するアメコミ・ヒーロー達を一同に介し
異星人の侵略から地球を守る ドリームチームの活躍を描いた超大作
『アベンジャーズ』の続編で

マーベル・シネマティック・ユニバースと呼ばれる一連の作品の11作目であり
次の展開となった「フェイズ2」のクライマックスとなった
超話題作でもあります

■■


自ら作り上げた人工知能が暴走して人類を襲うというのは
これまでも映像化され散々やり尽くされた題材ですが

ロボットが一般レベルで商品化されつつある近年
以前とは違って現実味を帯びて来た題材でもあり
今、敢えて取り上げるべく題材としても

毎回社会問題をモチーフにして来たハリウッド作品らしい
不気味な現実味のある作品になった所が興味深く思いました。

又、

恐怖から来る過剰な自衛が火種となり次の争いを生むという様な
現在のアメリカ本国の世相を斬る観点から描かれた問題作としても

「集団的自衛権」が論議される日本に置いて
決して無視出来無い題材を描いている作品でもあり

300億もの巨費をかけた ど派手な映像と大仕掛けが魅力の
この夏話題の娯楽超大作としてふさわしい 見応えある作品である一方、

防衛の為に常に戦いを選んで来たヒーロー達が、
今の時代に、戦いの火種を消す為に行動し

愛する人達を「守る」という視点で描かれた
多分にメッセージ性の強い作品でもあります



【ファンは賛否両論、だが・・・】


一方で シリーズを通して鑑賞し来たファンにとっては
賛否が真っ二つに分かれた作品でもあり

緊張の糸が最後まで途切れないでクライマックスを迎えた前作と比べると
大仕掛な展開とテーマを支えるプロットがちぐはぐで、

大ヒット作の続編として、内容の単純明快な荒唐無稽さはそのままに
一歩踏み込んだ意欲作としての作りも

「何よりもかけがえの無い守るべきものは
手で触れられる 何気ない小さな幸せ」 というメッセージを
巨大で壮大な内容に絡めて描く狙いから

敢えて一つの家族に限定して愛情を描いた演出的意図は理解出来ますが


大仕掛で壮大な本作の展開を支えるには過不足な印象もあり
家族の描写が入る度 SF的寓話との接点が曖昧に感じ

むしろ様々な家族の形を描くべきプロットだった様にも取れる事から
小さくまとめたかの不安定感が拭えない印象はありました


只、家族の日常の描写がきめ細かい分
構造的な波状を起こす程の演出の傷にまでは至っては無く

アベンジャーズのメンバーの家族感とロマンスが描かれた
多くのファンにとって興味深い作品になった様に思いました

■■

賛否の真意はともあれ、
ブロックバスター級作品が続編公開をした時に
期待が余りにも巨大な時に起こる過敏な反応という

良くある社会現象でもある性質から

これらの評判は余り当てにせず
この夏話題の娯楽作の一つとして先入観無くお愉しみいただくのが
一番かと思われます☆




【「守る」がキーワード】

物語は、
(2014)『キャプテン・アメリカ/ ウィンター・ソルジャー』で登場した
秘密結社「ヒドラ」殲滅作戦の ド派手な総力戦から始まり

敵のリーダーも匙を投げる程の
アベンジャーズの面々の胸のすく様な無敵振りに圧倒される
超話題作に相応しい怒涛の幕開けとなりますが

アベンジャーズの存在が敵を招き
活躍そのものが毎回都市に破壊を招くとして
被害を受けた市民に疎まれる描写が挟まる事で

今回の作品が 痛快娯楽作ではあっても トーンをガラリと変え
戦いの影に隠れたものを描く内容のものである事が見えて来ます

■■


前作は、思惑と目的がバラバラだったヒーロー達が一致団結して
強大な敵に立ち向かう痛快作でしたが

異星人の脅威に対して地球の無防備を過剰に危惧した事で開発した
戦闘A.I.「ウルトロン」が 思わぬ自意識を持って人類抹殺を企てるという
意味深な内容になった本作は

戦いに駆り出される意志と心の奥の闇の関係に焦点を当て

コミック版でも人気の敵キャラの「ウルトロン」を
己自身の恐怖が生み出した象徴として描き

コミック版の人気キャラ
「スカーレット・ウィッチ」と「クイック・シルバー」を

前作のニューヨーク決戦で家族が戦いに巻き込まれ犠牲となり
アベンジャーズ達に恨みを抱く戦争被災者の姉ワンダと弟ピエトロとして登場させ
「ヒドラ」研究施設で強化されたサイコキネシス能力で
アベンジャーズの敵として立ちはだかる役所として描いて

映画独自の展開で ドラマに一歩踏み込んだ印象を与える作品となりました


姉ワンダの 人の心を操る能力で恐怖心を促されたアベンジャーズは
侵略への恐怖から「ウルトロン」を生み出し、

侵略戦争で家族を失った怒りと
戦争の火種を作るアベンジャーズへの恨みから
「ウルトロン」に付け込まれ利用されるワンダ姉弟という、

互いの心の「闇」によって翻弄される負の連鎖を描いており

新たな緊張が生まれる世界情勢から 過剰な防衛へと向かわせ、
結果的に火種を作り続けるきらいがある 本国アメリカの世相に対し

一石を投じる内容でもある点が興味深く

ともすれば世界紛争の火付け役という側面を持つ本国への警鐘として
自衛の為に打って出るのでは無く 全力で火種を消すのが筋であるという

自己啓発の問題作という側面を持った作品とも取れ

本当の敵とは恐怖を生み出す己自身にある という
自分自身との戦いと、守る事の意味を描いた作品でもあります


【MCU (マーベル・シネマティック・ユニバース)の展開】

MARVELとディズニーが共同制作するシリーズは
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)と呼ばれる連作となっており

全作が同じ設定で作られている点でも 近年稀に見るシリーズで

元々の原作を
映画独自の展開で現代の世相に沿った内容に再構成し
単純な娯楽作という形態を持ちつつ

世相や国際情勢を盛り込んだ意欲作である点でも
注目すべきシリーズだと思います

■■


MCUシリーズの前作に当たる第10作
「キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー」は
未曾有のミリタリー・アクション作品でしたが
国民の思想を統制する政府の欺瞞を描いた「政治スリラー」でもある点が
興味深い所でもありました


又、アベンジャーズの次回作
2018年の「アベンジャーズ:インフィニティー・ウォー」へ向けての展開として

MARVELのシリーズの中でも問題作となった
超人登録法を巡りヒーロー達が真っ二つに分かれ激突する
2016年5月6日全米公開予定「キャプテン・アメリカ: シビル・ウォー」は

911以降のアメリカで テロの脅威に対応する為 立案された
「米国愛国者法」をモチーフにした作品になる様で

「インフィニティー・ウォー」へ向けての布石として
重要な作品となる模様です

■■


他にも 「インフィニティー・ウォー」への布石としての作品が目白押しで

「マイティー・ソー:ラグナロク」や
「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー」の新作に加え

ベネディクト・カンバーバッチに主演が決定し
「インフィニティー・ウォー」にも関わって来る
元脳外科医で魔術を操る異色のスーパー・ヒーローの映画化
「ドクター・ストレンジ」など

これからも話題は尽きない様です☆




■■■楽天市場■■■


次回作にスパイダーマンが出るとか出ないとか
ネットでも話題になってますが
次回作の原作は内容からして「Infinity War」では無くて
おそらくコチラ・・・


[電子書籍版]Infinity Gauntlet
Jim Starlin

価格:1,055円





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最終更新日  2017年03月12日 13時58分43秒
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