ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2010.05.27
XML
カテゴリ: 国際経済
世界経済の現状(139)

イタリアはEUの前進、欧州経済共同体(EEC)の創設メンバー6ヶ国の一員(西ドイツ、フランス、ベネルックス3国そしてイタリア)でした。ですから、ユーロ入りを拒むわけには行かなかったと思います。

しかし、ギリシア、ポルトガル、スペインをなぜ入れたのでしょう。誰が得をしたかというと、やはりドイツでしょう。ことここに至るまでは、南欧諸国が大いに得をしたと喜んでいたようですが、そこにはとんでもない危機が待っていた。危機を軽視したツケは、あまりに大きかったと言えましょう。

ここではギリシアを例にとります。ユーロ導入以前、ギリシアは自国通貨ドラクマでは、輸入代金を受け取ってもらえません。ですから、ドルとかマルクとかを調達して支払うしかありません。当然ギリシアの輸入は、ギリシアの外貨調達力に規定され、それ以上の輸入は不可能でした。

輸入が出来ず、物不足に陥ることがあっても、国が過大な借金を負わないという点では、ある意味健全でした。この点は昭和20年代から30年代半ばにかけての日本も同じでした。日本は工業原料の輸入国です。ですから、景気が上昇して原料輸入が増えすぎると外貨不足の黄信号が点灯します。それを合図に金融引き締めが行なわれて、輸入量を落すのです。こうして2年周期の景気循環が続きました。

ギリシアに戻ります。この時期のギリシアは、国の信用力で調達する通貨は、ドルでもマルクでも、フランでもポンドでも、輸入代金の支払いに当てられる通貨であれば、何でも良かったのです。ですから輸入相手は世界の何処でも良かったのです。

それがギリシアはユーロに加盟でき、ユーロの一員になりました。ユーロはギリシアの自国通貨デモありますから、ユーロ加盟国が対象であれば、自国通貨ユーロで支払えます。外貨に転換する必要などなく、外貨不足を気に病む必要もありません。となれば、必然的にユーロ圏のドイツやオランダとの取引が増えます。

ドイツやオランダもにとっても、支払いはユーロなのですから、安心して受け取れます。そして、工業力では、ドイツはユーロ圏で1頭地を抜けた存在です。そこでは、日中などと競合することもなく、完全なお山の大将です。

こうして、ドイツの対ギリシア輸出(同じく、スペインやポルトガルへの輸出も)は急造しました。そしてドイツ等の金融機関にとっても、ギリシアは良いお得意先になりました。ギリシアに金を貸しても同じユーロですから為替リスクはありません。しかも金利3%の自国と違い、ギリシアには6%と+3%で貸せるのです。余分の金利が稼げるとなれば、ギリシアに貸そうという金融機関が次々と出てきます。



そして、ドイツは貸した金で自国製品を買ってもらうことで、二重の儲けを手にしたのです。東ドイツを飲み込んだことで、その経済支援に苦しみ長い不振に陥っていたドイツ経済が、ユーロ導入によって息を吹き返した事情がここにあります。

ドイツの輸出はユーロ加盟国中心に急造し、遂にGDPの40%を超えたのです。輸出立国とされる日本でも輸出は15%程度ですから、ここには大きな違いがあります。
                              続く





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2010.05.27 21:48:18
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

ザビ神父

ザビ神父

カレンダー

お気に入りブログ

嵐が去って嵐が来た… New! 歩世亜さん

求められているのは … New! kopanda06さん

「地方紙」 New! でぶじゅぺ理さん

福井県大野市  武… New! トンカツ1188さん

映画「きっと、いつ… New! naomin0203さん

コメント新着

でぶじゅぺ理 @ Re:石破辞任(09/09) 明けましておめでとうございます。 本年…
葉月 生 @ Re:ご無沙汰しました(08/15) 神父さま お帰りなさいませ。 1ヵ月に1回…
kopanda06 @ Re:石破辞任(09/09) お久しぶりです。 降雨の中、高見観音の…
吉祥天2260 @ Re:石破辞任(09/09) どの人見てもなんだかねぇ・・・ 国のこと…
わからんtin1951 @ Re:石破辞任(09/09) テレビを観ていると、総裁選のことばかり…

バックナンバー

・2026.06
・2026.05
・2026.04
・2026.03
・2026.02

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: