ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2011.02.04
XML
カテゴリ: 国際政治
チュニジアからエジプトへ…(7)

ルクソール事件後、ムバラクはさらにムスリム過激派への弾圧を強化すると共に、最大野党である穏健派ムスリム、「ムスリム同胞団」の幹部をも拘束して、組織の弱体化を測りました。

こうして、21世紀の到来と共に、ムバラク独裁体制は、ほぼ完成の域に達したのです。このムバラクの支配に翳が射したのは、ブッシュの戦争であるイラク戦争でした。アラブ世界の支配層、とりわけサウジなどの王侯やUAEなどの首長らにとって、フセインの失脚と処刑は望ましいことだったでしょうが、アラブの民衆にとって、イラク民衆を無差別に殺傷する米英などの軍隊は、憎むべき敵であり、反米感情は益々強まったのです。

ムバラク政権のエジプトには、イスラエル承認と、イスラエルとの協調の見返りに、毎年15億ドルの経済援助が、米政府から与えられていました。ムバラクはこの金を操作して、軍の近代化を進めると共に、経済自由化を進めました。その結果、彼とその側近、そして1部の超富裕層が大いに懐を肥やしたのです。ここに、国内における貧富の差は益々拡大を見たのです。

こうした経済的不満が高まっている所で、イラクやパレスティナの同胞を虐げる米英とイスラエル。その米国とイスラエルの言いなりになっているムバラク政権に対し、国民の怒りが高まらないはずはありません。

何よりも、ガザ地区(ここはシナイ半島とイスラエルに囲まれた地域です)のパレスティナ人を、出口のない大型の檻に閉じ込めたような封鎖壁を築き、イスラエルの言いなりに封鎖に協力するムバラク政権は、エジプト国民にとって、許しがたい存在にほかならなかったのです。

ここに、2004年頃から、雨後のタケノコのようにあちこちで、反政府蜂起が起きるようになり、ムバラク政権とSSIは、その鎮圧に忙殺されるようになっていたのです。この傾向は、2008年のリーマンショック以後特に激しくなり、インフレ率の上昇と経済不況によって、失業率の上昇と食料品価格の大幅値上がりの二重苦に苦しむ民衆の、反ムバラク感情は、いつ暴発してもおかしくない状態になっていたのです。
                                続く








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2011.02.04 21:06:27
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

ザビ神父

ザビ神父

カレンダー

お気に入りブログ

「長い夜」 New! でぶじゅぺ理さん

名古屋市 戸田川緑… New! トンカツ1188さん

公明党には、「国民… New! わからんtin1951さん

久しぶりの美容院。 New! naomin0203さん

ずいずいずっころば… New! 悠々愛々さん

コメント新着

葉月 生 @ Re:ご無沙汰しました(08/15) 神父さま お帰りなさいませ。 1ヵ月に1回…
kopanda06 @ Re:石破辞任(09/09) お久しぶりです。 降雨の中、高見観音の…
吉祥天2260 @ Re:石破辞任(09/09) どの人見てもなんだかねぇ・・・ 国のこと…
わからんtin1951 @ Re:石破辞任(09/09) テレビを観ていると、総裁選のことばかり…
naomin0203 @ Re:石破辞任(09/09) 世論的には支持があった石破さん。 党内紛…

バックナンバー

・2025.11
・2025.10
2025.09
2025.08
・2025.07

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: