ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2011.04.13
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カテゴリ: 環境問題
放射性汚染水の海洋投棄を憂う(6)

レベル7問題、内閣府の原子力安全委員会は、3月23日段階の調査で確信を持っていたようですね。それでもその事実を公表もせず、経済産業省の原子力安全・保安院には伝えなかったとも、報道されました。

ここにはいくつかの問題があります。1つは省庁が縦割りでしか動かないという官僚組織の弊害が見事に露呈したことです。世論や世界に公表するのは「保安院」であり、自分達には権限がないからと…。危急の歳に縄張りを云々してどうする積りなのでしょうか。

そして保安院、データの分析に時間がかかったが、事が重大だけに正確を期したというのです。まさに呆れた組織です。これこそ、津波だ避難しなければ…という緊急時に、「緊急避難用の装備が整うまで待つ」でしょうか。誰もそうはしませんね。それでは波に飲まれてしまいますから… 

保安院には情報隠しの意図はなかったのかもしれません。そこは分らないのですが、それでも即時的で、一時も早い情報の提供が国民や世界の信頼を繋ぎとめ、風説の流布を最小限にするために欠かせない時に、正確な情報との確信が持てるまで公表しないという発想には、呆れかえってしまいました。

眼の前の危機にたいして保安院が、日本国民や世界に対してどんな責任を持っているのか、その点に対しての自覚と反省が、ものの見事に欠落しています。

そして、こうした組織が事業仕分けの対象ともならずに、内閣府と経産省の双方に残っていることを、見過ごした政治の責任も問われます。政治家が要所を抑え、官僚の尻を叩けば、官僚は働きます。

ここに政治の責任の問題が出てきます。たまたま政権が民主党の手にあり、菅直人という人物が首相の座にあったのですが、20世紀後半以降の日本で、原発を電力の柱にしようとして、一貫して原発推進政策をとってきたのは、自民党でした。ですから、原発問題の処理には、与党も野党もなく、政治家の全力をあげる必要があり、政府の対策室には、各党から原発に明るい政治家がメンバーに加わることが必要なのです。

情報が届いた届かないといった、つまらぬ問題にエネルギーを費やす必要もなくなります。この程度の体制さえ作れない政府並びに野党の政治家には、今さらながらですが、改めて失望感を強くしています。


本務校の授業再開はもう少し先ですが、本日から非常勤で出講している大学での授業が始まりました。昨年7月以来久々の学生相手の講義、やはりいいものですね。皆さんにも応援を戴いて、おかげさまでここまで順調です。





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最終更新日  2011.04.13 19:57:59
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