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seichan0217

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y.o@ Re:「ピッツェリア ナオ」 ロゴデザイン作成(08/15) 楽しみに リバレイン1階予約し行きました …
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seichan0217 @ お久しぶりです +yocy+さん わあ!ほんとにご無沙汰してい…
+yocy+ @ Re:贅沢、それは魔法の言葉なのかもしれない。(10/09) お久しぶりです~(*^o^*) トイレットペー…
July 29, 2011
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カテゴリ: カテゴリ未分類
先日書いた日記
悲しみにくれたセイイチローの話を聞いた広報委員仲間のKさんが
お知り合いの方からカブト虫の蛹を譲ってくれるよう
お願いしてくれたらしく、我が家に新しい命がやってきた。

一週間後あたりに羽化しますという話。
場所を移すと死んでしまう可能性があるらしく
その方も躊躇されていたみたいだが、
セイイチローの姿を見たせいか気前よく、わけてくれた。

コンテナの中にはたくさんのカブト虫の蛹がいた。

その中から、その方は蛹をがさっと土ごと掴んで
そのまま虫籠に入れていた。

私の少ない知識の中では、
蛹室を壊していけないという常識があった。
一応「蛹室にいれなくて大丈夫ですか」とおずおず聞いてみたが
「大丈夫です」と言われた。
たくさん育てていらっしゃったのでプロだと信じ、新常識だなと思って
安心して持って帰ってきた。
一応、傷つけてはいけないのでそのまま何もせず、
そっとしておいた。

セイイチローは大喜びで羽化するのを楽しみにしていた。

その名は「かぶとくん」
そのまんまや。。。。もっと他の名前はないんかい。

歴代のうちのカブト虫やクワガタの名前。

3匹いたコクワ 「ごくう、ごはん、ごてん」←ドラゴンボールより参照。

買ったヘラクレス「ヘラクレス様」←生活に見合わない値段より採用。




ところが、話と違い、頂いたその日に土から足が見えた。
え?羽化が始まってる?
しかし、足だけ見るとゴキブリに見える。
もし、頂いてきたのが私でなければ、
そのままゴキジェットをかけたかもしれない。

私達は、興奮してお礼と状況報告を兼ねてKさんに電話した。
Kさんも一緒に喜んでくれた。

明日には成虫が出てくる!
初めての羽化。人生初めてみるカブト虫の羽化。
私もセイイチロウも期待で胸を膨らませて眠りについた。

翌朝、早く目が覚めたので籠の中をのぞくと
身体の半分が出てきている。
学校へ行く時は寝坊ぎみのセイイチロウも珍しく6時に起きてきて
その様子をみて大喜び。

しかし、ずっともがいていてなかなか出てこないので
土をずらしながら、とうとう、かぶと虫を出してみた。
カブト虫は羽化していたが、様子がおかしかった。
羽の部分が足にからまり、背中がむき出しになっていた。

これは固まる前に羽は閉じるのだろうか。
私はずっと観察していた。
飽きずにずっと、ずっと監察していた。

その間、他の虫たちを世話していたセイイチローが
あることに気付いた。
「ママ、カブト虫農園からもらったかぶと虫、死んでる」
みると、そのカブト虫は固まっていた。
ピクリともしなかった。不意な出来事だった。

老いていくものは去り、新しい命が生まれる。

まるで、人生を物語っているようだ。
「私は、年老いてしまったから、若い命を大事にしなされ。」
そういってるようだ。

涙ぐむセイイチローに私は
「きっと、お部屋を譲ってくれたのよ」「なんで?」
「お部屋が狭くなるから、広く使わせてくれるようにしてくれたのよ、
死んだかぶと虫にありがとうって言おうね」

と前回の 「コクちゃん事件」 の二番煎じのごとく、そう言ってきかせた。
セイイチローは涙を目に溜め、「ありがとう」って言った。
そして「これ、標本にしてね」と
亡くなられたカブト虫を棚のとこに置いた。

そして、私達は新しいカブト虫の子孫を残すため、
雑木林の公園に♀を探しに行った。
当然のごとく、♀どころか、カブトのカの字も見当たらなかった。

ところが、帰ってきて棚のあたりの様子が変。
何かが変わっている。

セイイチローが言った。
「ママ、死んだカブト虫の向きが変わってる」
「そんなはず、ないでしょう」近づくと確かに動いている。
ええええ??さっき死んでだはず。

カブトは息を吹き返していた。
足なんかぐるぐる回している。
さっき、セイイチローを私が説得した言葉や
自分自身悟った人生観は何だったのだろう。

でも、「新しいかぶと虫に会いたかったのね」ということにした。
セイイチローは再び喜んでいた。

危なかった、すぐに標本にしていたら
熱湯に入れた後、針で一突きするとこどだった。
自らの手でカブト虫を殺めるところだった。

羽化した「カブトくん」はまだうす皮がとれてなく、
お尻に大きな袋をぶらさげていた。

もしかして、身体が切れているのかも。。。
不安になった私はネットでカブト虫の羽化の様子を検索。
すると、一般のカブト虫は出てきたばかりは白い羽を閉じ、
じっとしていると書いてある。
しかし、このカブト君はひたすらもがいていて
落ち着かない模様。そして羽もうっすら色づいている。

嫌な予感がした。
聞き覚えのあるフレーズが脳裏をよぎった。

「羽化不全」

これが、噂の羽化不全なのか。
だとすると、私はなんてひどいことをしてしまったのか。
やはり、人工蛹室にいれるべきだった。
Kさんにも、譲ってくれた方にも申し訳なかった。
でも何よりも今、目の前にいる
もがき苦しむこの虫に大変ひどい事をしてしまった。

「無知は罪」「無知は犯罪」

これらの言葉が私を責めた。
でも調べてみると、事実「羽化不全」だった。

セイイチローが訪ねた。「なんて書いてあると?」
「うかふぜん」「うかふぜんってなあに?」
「羽が閉じれず羽化すること、弱って死ぬこともあるらしい」

セイイチローの顔が止まった。
でも、羽化不全の虫でも生きるらしいよと説明したが
腑に落ちない様子だった。

そして、その現実を知ったと同時に
先ほど息を吹き返したかぶと虫も動かなくなった。

諦めの悪い私はどうにか出来るかもと思い、
いまさらながら人工蛹室を作りそこに入れた。

夕方蛹室を覗くと「カブトくん」はもがいていた。
苦しそうだったから出してあげると、あのお尻にひきずっていたものが
とれてスッキリしていた。
もしかして治るかも。
私は麺棒を取りだし、カブト虫の足に絡んだ薄羽を
とってあげようとした。しかし、羽は固まりつつあり無理そうだった。

「何もせんがいいよ」横で見ていた旦那はそう言ったが
いったん自分が麺棒を持ってしまうと私に放った言葉を忘れ、
ひたすら羽をどけようとしていた。

数日後、「かぶとくん」は他界した。

「かぶとくん」は私達に教えてくれたのだろう。
「蛹室を壊したらダメだよ。蛹室の中でないとちゃんと生まれないよ」
身をもって教えてくれたのだ。

人間のいや、私の自己中プラス思考は「かぶとくん」にとって
迷惑なものだったと思うが
この失敗がきっと役に立つ日がくるだろう。

昨年、義兄がくれたヘラクレスの幼虫がもうすぐ羽化するから
きっとそのときにこの経験は役に立つだろう。

「羽化不全」は知識不足により生じた不幸。
完全羽化が当たり前って思っていたが
人間のエゴによりっせっかく育った命を粗末にしてしまった。

しかし、それを見たいと思っても私は故意的には出来ない。
そんな残酷実験は出来ない。

セイイチローにとって苦い夏休みの貴重な経験となっただろう。
この失敗が今後の成功に繋がるよう、心に刻んで
大人になってほしい。
私自身も、貴重な苦い経験となり
蛹を下さった方やKさんに感謝している。
「虫も人間もずさんに扱えば、その分自分に跳ね返ってくる」

私がしんみりとそんな人生観に酔っている時
「うかふぜん♪うかふぜん♪」
セイイチローの軽快で無邪気な歌声が聞こえてきた。








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Last updated  July 29, 2011 05:42:43 PM コメントを書く


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