Pastime Paradise

Pastime Paradise

2025.06.17
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三つ首塔
 放送日:昭和52年(1977年)5月28日~6月18日
(全4回)

 第1作が信州・那須で第2作が岡山・高瀬。どちらも架空の田舎町で起こったおどろおどろしい事件であったが、今作の舞台は東京。前2作とは打って変わってお色気シーン(というか何というか…)もたっぷりだ。

 ドイツ文学者である 上杉誠也 教授の還暦祝賀パーティーには、上杉教授が我が子のように可愛がっている姪(亡き妻の妹の娘で、両親亡き後上杉家で暮らしている)の 宮本音禰 や、音禰の叔父である 佐竹建彦 らに混じって探偵・ 岩下三五郎 金田一耕助 から電話が入る。今日中に事務所の家賃を支払わないと追い出されてしまうという援助の依頼であったが、岩下探偵は快諾。何でも二人の依頼者から同一人物の調査を頼まれており、今日お金が入るとのことで早速金田一探偵も会場に駆け付ける。会場では建彦が連れてきたエロダンサー姉妹のエロダンスが披露されていたが、目のやり場に困り会場を出て地下を歩いていた音禰は怪しい濃い男と出会い、動揺して髪飾りを落として立ち去る。その頃、エロダンサー姉妹の妹・ 笠原操 が何者かに毒殺された。
 事件の調査を担当するのは警視庁捜査一課の 日和 警部。前作「本陣殺人事件」では岡山県警勤務だったが栄転したとのこと。久々の再会を喜ぶ金田一探偵と日和警部であったが、地下でも男の毒殺死体が発見される。死体のそばに音禰の髪飾りが落ちていたことから警察は音禰を疑うも、腕に彫られたおとねとしゅんさくの相合傘を見た建彦が男は 高頭俊作 だといい、高頭俊作であるならば音禰が犯人であるばずがないと言う。何故なら俊作と音禰は結婚することを条件に、音禰の曾祖父にあたる人の弟である 佐竹玄蔵 の10億円の遺産を相続することになっていた。ただ建彦も上杉教授も高頭俊作については名前だけしか知らなかったため各々岩下探偵に俊作の捜索を依頼していたのだが、その岩下探偵も地下で死体となって発見される。一方その頃、ショックで横になっていた音禰の元に謎の濃い男が再び現れ、音禰と無理やり関係を持つ。そして濃い男は俊作の従兄弟の 高頭五郎 だと名乗り、こう告げる。「お前は俺と二人きりの秘密を持った。もう俺から逃れられない。俺はお前を離さない。俺はいつでもお前のそばにいる、影みたいにな」
 後日、米国から玄蔵が遺言状を公開するよう言ってきたため、関係のある人々が一同に集まった。関係者の調査に尽力した金田一探偵と調査員の 堀井敬三 も同席するが、音禰は堀井を一目見て驚く。殺人事件のあった日に抱かれた高頭五郎だったのだ。しかし堀井こと五郎は素知らぬ顔であった。
 遺言状の第1の条項は、佐竹玄蔵の遺産280万ドル(1ドル360円として10億円)を全て宮本音禰に送る。但し高頭俊作と結婚することが条件だが、高頭俊作は先日死亡した。第2の条項として、第1の条項が不可能な場合、10億円は血縁の7人に等分に分ける。玄蔵が亡くなるまでにその人数が減ったら、残った人数で等分に分ける。一人でも減ると分配される遺産は多くなる――というものであった。
 その7人は宮本音禰、ヤミ屋の佐竹建彦、エロダンサー姉妹の姉・ 笠原薫 島原明美 、金粉ショーダンサー(?)姉妹の 根岸蝶子 根岸花子 、SMダンサー(?)の 佐竹由香利 という、音禰以外は揃いも揃って怪しい連中ばかり。世間知らずの箱入り娘である音禰に彼女たちの本性を見せるべく五郎が音禰を連れ出して彼女たちが働くいかがわしい店に出入りするうち、音禰の回りで次々と相続に関わる人達が殺されていく。
 この連続殺人は三つ首塔に起因していた。70年前、玄蔵は 武内大弐 高頭省三 だった。三つ首塔は玄蔵、大弐、省三の3人の首像を祀った塔であった。
 何やかんやあり、殺された島原明美のツバメだった 古坂史郎 が持っていた三つ首塔の古写真裏には播州邑鹿郡と記されていた。音禰と五郎は早速兵庫県にある三つ首塔へ向かうも、意外な人物が待ち受けていた。そして上杉教授(と後を付けていた金田一探偵)も三つ首塔へと向かった――。

 前作「本陣殺人事件」の最後で日和警部が金田一探偵に瀬戸内でとれた美味しいイイダコを手渡していたが、今作で再会した際に金田一探偵が開口一番「あん時土産にいただいたイイダコ、美味かったぁ」と御礼を言うシーンにほっこり。舞台が東京に移ろうとも相変わらず日和警部の岡山弁が聞けて嬉しい。

 清楚で可憐な箱入り娘・音禰を演じている 真野響子 さんは置いといて、他のキャストは濃ゆいメンツがズラリ。
 謎の濃い男・高頭五郎(実は…)役は 黒沢年雄 さん。顔も胸毛も濃すぎる。佐竹建彦役を飄々と演じている 米倉斉加年 さんや、根岸蝶子と花子の愛人にして支配人の 志賀雷蔵 を演じた 小松方正 さんのクセのある演技が素晴らしい。でもって蝶子と花子の金粉ショーも時代を感じさせてくれる。同様に建彦が連れてきたエロダンサー姉妹のエロダンスがこれまた昭和の香りがプンプン。エロダンサー姉妹の姉・ 笠原薫 役の 丘ナオミ さん(当時の芸名は 岡尚美 さん)はそれまで日活ロマンポルノに数多く出演されていたようだ。
 更に佐竹由香利の養父でありながら由香利とデキている 鬼頭庄七 役には小池朝雄さん。小池さんといえば何といっても「 刑事コロンボ (Columbo)」でコロンボ役を演じた ピーター・フォーク (Peter Falk)の吹替でお馴染み。その小池さんにSMショーで生乳を揉まれる由香利役の 大関優子 さんとは、 佳那晃子 さんの旧芸名だ。昭和56年(1981年)公開の「 魔界転生 」で佳那さんが演じた 細川ガラシャ夫人 はエロかったなぁ。
 …と、ここまでのキャストが濃ゆすぎて古坂史郎役を演じた ピーター さんの影が薄い。結構重要な役どころなんだけどね。





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Last updated  2025.06.17 23:01:37 コメントを書く
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