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三つの組詩「一本の樹になれたなら」
第1章「初春(はつはる)」
矢田部誠子(天才!せいこう時計をまいてる人)作詩
ちょっと見ると
ただ一枚の鳶色(こげ茶)の毛布でも
広げた様な草原であった
春の白い日の光が
ほかほかと
さも暖かそうに照っていた
やがて
その草原(くさはら)が
漣でも立つ様に
一面に軽(かろ)く
動き出したと思うと
ところどころ
もくもくと脹れあがり
あたかも毛布の下に眠っていた
子ども達が起き出す時の様に
植物の可愛らしい沢山の芽が
ぱっと土の覆いを反ね上げて
頭をもたげて来た
と、もう次の瞬間には
十五、六センチにも
伸び上がり
手足を振って
踊りまわる様な
格好で
春風(はるかぜ)の 中にゆらめいていた
まるで子ども達が
飛び跳ねて
遊んでいる様であった
歌声が
聴こえて来そうな
気がした