ひこじいさんのブログ

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2013年10月08日
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ひところ「九龍虫」と呼ばれる昆虫が、薬虫として大流行したことがある。世界大百科事典によると、日本では戦前と戦後の二回の流行があったとされる。

中国には本種を高貴な香料や乾燥した薬草などで飼育し、その成虫を生きたまま強壮剤と称して丸呑みにする習慣があったのだという。

昔の中国ではこの虫を精力剤としたほか、打ち身にはサソリと、寝小便には枸杞と、目の痛みには甘草と共に用いると効果があるいわれていた。

しかし現実には日本で広まる以前から、中国では薬用として用いる人はいなくなっていたという。


この虫はキュウリュウゴミムシダマシまたは、ガイマイゴミムシダマシともいわれ、鞘翅目ゴミムシダマシ科に属する甲虫の一種で、体長8mm内外の細長く黒色の光沢のあるムシである。

全世界に分布し成虫、幼虫ともに貯穀類、乾燥果実、干肉などを貪り食う害虫で年、数世代を重ね適温では冬でも活動する。

日本に中国のこの風習が1939~1940年ころ伝わり、本虫を飼育し生食する人が増加したが、間もなく下火になった。(世界大百科事典)

このころ1匹数十円という破格な高値で売られたが、「百害あって一利なし」として販売が禁止されたともいう。


それがなぜか30年も過ぎた1970年頃、再び日本全国に九龍虫を生食する流行がおきた。



幼虫は、雑食性で穀類・パン屑、乾魚・乾肉などでも簡単に飼育でき、とくに朝鮮ニンジンで飼ったものが最も効果があるといわれた。
中には「朝鮮人参、椎の実、龍眼肉などという贅沢なものばかり食っているのであるから効くのは当然である。」と断定して疑わない人もいる。


一度に10匹ずつ酒に浮かべて飲むとよく効くと医者に勧められ、飲んだところ体力・精力が回復し疲れが取れた、肝臓が良くなったなどの出所不明の根拠のない効果効能が、今でも独り歩きしている。


ヤンバルテナガコガネを新種として確認した昆虫学者の黒沢義彦は、本虫を生食することは医学的に何らの根拠もなく、その効果についてははなはだ疑わしいと「薬効」について全面否定している。

もし食品の中にこの虫が混入していたら、明らかに異物混入でクレーム対象となる。

ちょうどブームの頃、妻の父は知事の許可を得て多くの鶯を飼育していて、ブドウの枝の中を食い荒らすブドウスカシバの幼虫で通称「ブドウムシ」を餌としていたのだが、高価なため薬虫と喧伝された九龍虫の幼虫を代用の餌にしようとの考えでキュウリュウチュウを飼育していた。

ブドウムシは大好物の鶯も、このキュウリュウチュウには全く見向きもしなかった。

鶯にも嫌われたこの虫は、いつしか棄ててしまった。


不満が治まらないことを、腹の虫が治まらないという。
生きたまま穀類の害虫を腹に収めて見ても、根拠のないガセネタで人をだますのは誠に以て腹の虫が治まらない思いがするのだが。





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最終更新日  2013年10月08日 11時37分51秒


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