ひこじいさんのブログ

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2017年01月25日
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逢坂山関跡.jpg

「鶏鳴狗盗」という、熟語がある。

鶏鳴は鶏の鳴き真似をすることを言い、犬のようにこそこそと僅かばかりの物を盗むことが狗盗である。
「どんな人物でも何かひとつは取り柄がある」とするプラスの意味と、「つまらない能力しかない取るに足らない人物」を意味するマイナス面との2つの相反する意味を持つ熟語である。

そこから「つまらない才能」あるいは、「つまらない特技」でも何かの役に立つという意味で使われる。

中国元の時代に南宋の曾先之によって歴史読本として2巻にまとめられた、「十八史略」(1321年~1323年)が出典との説がある。
実際には紀元前91年頃に成立したとされる史記が出典とされるべきで、史記の「孟嘗君伝」に鶏鳴狗盗が出ており曾先之はこの話を史記から採話したものである。

十七条憲法(604年制定)の第10条に「田単伝」から採った「如環之無端」と出てくることから、その時代以前には史記が日本へ伝来していたと推測されている。

一方十八史略は1321年~1323年に編まれ、室町時代(1336年~1573年)には日本へ伝わったとされる。

その中に「靖郭君田嬰は、宣王の庶弟なり。薛に封ぜらる。子有り文と曰ふ。食客数千人。名声諸侯に聞こゆ。号して孟嘗君と為す。

蓋し孟嘗君、嘗て以て昭王に献じ、他の裘無し。客に能く狗盗を為す者有り。秦の蔵中に入り、裘を取りて姫に献ず。姫為に言ひて釈さるるを得たり。
即ち馳せ去り、姓名を変じて夜半に函谷関に至る。関の法、鶏鳴きて方に客を出だす。秦王の後に悔いて之を追はんことを恐る。
客に能く鶏鳴を為す者有り。鶏尽く鳴く。遂に伝を発す。出でて食頃にして、追う者果たして至るも、及ばず。
孟嘗君帰り、秦を怨み、韓魏と之を伐ち函谷関に入る。秦城を割き以て和す。」とある。
これは史記に出てくる故事と同じ内容である。

清少納言がこの故事を引いて詠んだ「夜をこめて 鳥の空音は謀るとも よに逢坂の関は許さじ」夜がまだ明けないうちに鶏の鳴き真似をして騙しても、決して「逢坂の関を通る(あなたが逢いに来る)ことは許さない」が、百人一首として親しまれている。

清少納言は清原元輔(908年~990年)が58歳の、966年頃の出生と推定されている。

十八史略は1321年~1323年に成立したとされておりさらに日本への伝来が室町時代と考えられていることから、50年以上も前に生まれた清少納言が鶏鳴狗盗の故事を十八史略から引いたことは絶対にあり得ない。
清少納言は史記から函谷関と鶏鳴狗盗を想起し、この一首を詠んだものであろうことは容易に理解できる。

逢坂関は山城国と近江国の国境となっていた関所で、相坂・合坂・会坂関などと書くこともある。

清少納言も、この関所を通ったものであろうか。



この逢坂の関の場所を大津市大谷町としているが、大津市逢坂2丁目の長安寺付近とする記述が更級日記にある。

「…逢坂の関を見るにも、昔越えしも冬ぞかしと思ひ出でらるるに、そのほどしも、いと荒う吹いたり
逢坂の関の せき風吹く声は 昔聞きしに変わらざりけり
関寺のいかめしう造られたるを見るにも、そのをり、荒造りの御顔ばかり見られしをり思ひ出でられて、年月の過ぎにけるもいとあはれなり…」

また長安寺の寺歴に依れば、「長安寺の前の名称は関寺。関寺は、創建年代は不明であるが、逢坂の関の近くにあった大寺院である。」とある。



逢坂山関跡碑は大津市京阪電車京津線大谷駅から、徒歩2分の場所に建つ。





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最終更新日  2017年01月25日 12時43分24秒


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