2018.08.17
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カテゴリ: 歴史・文学など
​前回の日記で、明初期の詩人「高啓」さんのことに触れ、Scotchケンさんのコメントへのお返事の中で、

「この太祖(朱元璋)さんは、家族が飢え死にした後乞食僧となっていたところ、紅巾軍に入ってから、頭角を現して、ついには明国を建てて皇帝となった人物です。 世界で一番、悲惨な境遇から身を起こした人 と言われています。

太祖は、たくさんの優れた部下を持っていたのですが、 次第に年をとるにつれ、「自分の地位を危うくするのではないか」と疑い始め、たくさんの優秀な人たちをどんどん殺していきました

皇帝となった年から、亡くなるまでの30年間に、 大きな粛清だけでも6回、一連の犠牲者の数は、十数万人 にも及ぶだろうと言われています。

この人の長男朱標さんがとっても気が優しかったので、心配でならなかったから、という話もあります。この長男が病気で亡くなってからは、また一層粛清が激しくなって、周りの人たちも大変だったことと思いますね。  …以下略」

と書きました。

その後、本棚から朱元璋のことを書いてある本を出してきて、ずっと読みふけっておりました。


まずは、台湾で買ってきたこの本。




そして、


朱元璋さんは、10代で、主な親族をすべて亡くし、出家して托鉢僧になっていたそうですので、肉親に対する思い入れがとても深かったようです。

まず、素晴らしい出会いをしたのが、奥さんの馬氏。紅巾軍に参加して、郭子興の元どんどん戦果を挙げて、信頼も厚く、養女の馬氏を奥さんにもらうことができました。でも、名声が上がるにつれて、郭子興は疑いを持つように。謀反の疑いです。
それでついに朱元璋を幽閉して餓死させようとしたのですが、奥さんの馬氏がふかしたての餅を胸元に隠して食べさせて、餓死から救ったそうです。その後、疑いは晴れて釈放してもらったけれど、もう郭子興の元にいる気にはならず、幼馴染たちと共に、南へ。

わずか一か月くらいで各地の民兵組織を吸収して数万の大軍となり、次第に「仁義礼智」を重んじる儒教的理念を出してみんなをまとめるようになりました。




元号を「洪武」としたので、朱元璋は「洪武帝」とも呼ばれます。

朱元璋は、元という国が弱っていった様子を見ていたので、二の舞にならないようにとまずは「白蓮教」を邪教として禁止し、民衆を道徳支配、思想統制する方針をとりました。
とだえていた「科挙」を復活させて、すぐれた知識人たちも集めて支配体制を固めたのですが、次第に不安にかられます。

若い頃の貧しい自分、荒くれものだった自分を知っている人たちの存在は許せなかったし、昔から共に戦ってきた家臣たちが次第に収賄とか派閥争いで、風紀の乱れを見せてきた、これではいけない。
また、身内以外の者はなかなか信用できない、ということで、権力を持ったものの、孤独感に苛まれることなりました。

それが、何回にも及ぶ大粛清の原因だったみたいですね。

前回紹介した「高啓」さんも、そんな被害者の中のひとり。問答無用でみんな殺されたようですから、無実の罪の人がたくさんいたことでしょう。悪いことをしたと断ぜられた人の親族も皆同じ罪で殺されたということですからね。


それでも奥さんが生きていた頃には、少しはブレーキ役となっていたようですけれど、朱元璋が55才の時に馬皇后は亡くなってしまいました。
その母親に似たのか、心やさしい長男の朱標さんも、言いがかりで殺されそうになった人たちを何人もかばって助けているみたい。

でも、その朱標さんも病気で亡くなってしまった・・・(没後「懿文太子」と呼ばれた) 

日本の豊臣秀吉も、貧しい身分から天下人になりましたが、子供に関しては、人数が全く違います。

跡継ぎの心配なんていらなそうですけれど、そういうわけにはいかなかったのでしょうね。

皇太子の長男朱標が38歳で亡くなったとき、朱元璋はすでに65才、白髪のおじいさん。すぐにあととりを決めたかったのですが、次男と三男は評判が悪く、文武両道の四男を跡継ぎにしたいと思うけど、家臣たちが納得しない。というわけで、長男の息子、まだ9歳だった朱允炆を世継ぎに決めました。

それから、亡くなるまでがまた大変。衰えていくにつれ、疑心暗鬼で、どんどん優秀な部下から殺していく。そんなこんなで、亡くなったときには、頼りになる人がいなくなってしまったというわけです。


それで、四男の朱棣さんが挙兵したときには、16歳の新皇帝の軍は人数も武器も優れていたというのに、負けてしまったのですね。

四男さんは、甥の皇帝を廃して、自分が皇帝となり、元号を「永楽」と決めたので「永楽帝」と呼ばれています。




何か気になると取り出す本。カラー写真もたくさんあるし、特集記事が面白いのです。











ネットで面白いものを見つけました。中国歴代皇帝のトランプだそうです。

まずは、朱元璋(洪武帝)



そして、永楽帝



ちなみに、このトランプのジョーカーは、秦の「始皇帝」と漢の高祖「劉邦」でしたよ。面白い!!





劉邦は、前漢を興した人。「項羽と劉邦」で有名ですね。

あ、いかんいかん、また脱線してしまいそう。



では、ご飯コーナー



今から、また読書にもどります。








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Last updated  2018.08.17 13:22:16
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