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2022.10.30
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テーマ: 読書(8289)

本のタイトル・作者



栄西を生きる [ ひろさちや ]

本の目次・あらすじ


第1章 栄西の人気
第2章 第一回入宋
第3章 第二回入宋
第4章 『興禅護国論』
第5章 鎌倉と京都
第6章 戒律の重視
第7章 総括として

感想


2022年280冊目
★★


最近けっこう昔(私の歴史の捉え方がわかるなあ!笑)が舞台の小説を読んだりするので、ちょっとそこらへんの仏教とかの背景を知りたくて読んでみた。

そしてどうもこれは『日蓮を生きる』『最澄を生きる』などのシリーズのひとつだったよう。
いや別に私も栄西に思い入れある訳じゃないんやけどな。
たまたま目についたのがこれだっただけ…。

ひろさちやさん、30代後半くらいのお坊さんのイメージだったら、1936年生まれで2022年にお亡くなりになられていた。

私、ものごとの位置関係を把握するのが非常に苦手。
人の名前と顔を覚えるのもリアルライフで出来ない(同じ係の人の名前すら忘れるので、座席表をパソコンに貼り付けている…)。
いやもうこれ脳に何かしらの問題生じてるんじゃね?と思ってる。バグ過ぎる…。
空間認識とか数字の概念も弱い。
たとえば数字のどちらが大きいとか、図形のどちらかが広いとかが瞬時に判断できない。
よう仕事して普通に生きていけてんなとたまに思う。



パラレルに存在し、同時並行で進行していくさまざまな事象…。
夥しい数の人名…。(キャラ立ちしている人はまだ覚えられる)
ギャアアアアア…。(蘇る定期テスト前の短期記憶詰め込み学習)

だから「栄西」って聞いても「前にどこかで…?」という程度。
1141~(平安時代末期から鎌倉時代初期)のお坊さん。


この本だとあんまり栄西がこうしました!こんな人でした!というのが分からなかった。
史実があんまり残っていないのか?
歴史書を引用して説明してるのだけど、人としての肉付けではなく淡々としているから「ふーん…?」という感じ。
むしろ面白かったのは、仏教の解説。

「加持祈祷」の「加持」は、仏から衆生に対する働きかけ=親から子供への愛情のようなもの(加)、衆生がそれを受け止めたもつこと=子供は親の愛情を受け止めるだけ(持)のことなんだ!とか、それは密教の専門用語だったんだ!とか。

いやそもそも密教って何よ、と思ってた。
仏さまの悟りを言語化した教え(顕教。経典)に対し、言語化できない真理をその一部でも追体験することを「密教」と言うのだそうだ。
なーるー!

筆者によると、栄西は日本の仏教を「僧物」から「仏物」に変えようとしたのだという。

寺社は誰の物?
というと在家信者は支援者に過ぎない今の仏教では、僧物。
そこでは家主は僧侶なので、信者たちは使用人となる。
しかし寺社が仏の物であるとすれば、仏さまが家主だ。
僧は自ら修行(禅)に励む。

だとしたら、栄西は仏教界の体制を根本から転覆させる可能性があった人物となる。
(結果、今の日本の仏教では「僧物」なのだけど)

ちなみに栄西、中国からお茶っぱを持ち帰って育てはじめた茶の祖らしい。

日本で宗教が必要とされるタイミングって、「冠婚葬祭」なんだよな。
日常のなかにその居場所がない。
それは、言語化された仏教(顕教)、それも和訳されたものではない音だけの経典を有難がってきた(権威化した)というもののなれの果て、なんだろうか。

宗教って、「人が生まれ、生き、死ぬうえで悩み苦しむこと」へのQA集みたいな面あるじゃないですか。
人間やるのはじめてですか?はい、「よくあるお問い合わせはこちら」みたいな。
で、そこにある解答で納得できるかもしれないんですよ。
生老病死だけじゃなくて。

冠婚葬祭も、その見せかけの「システム」だけが必要なのであれば、別に宗教じゃなくていいんだよね。
写真スタジオでの撮影、派遣神父、葬儀会社。
祭礼はまだ宗教と密接に繋がっているかな?

質問の集積が、誰かの悩みに答える。
集合知がよりマクロな視点での導きを示す。
日常における宗教は「寄り添う」のか。「示す」のか。

欧米の映画やドラマだと、よく登場人物が心の中でイエス・キリストに語り掛ける。
日本の宗教は、そういった存在にはなっていない。

これから先、世界は宗教を必要としていかないのか。
小説『天使と悪魔』で、私たちは違う宗教を―――「科学」という名前の新しい宗教をみんなで信じているだけだ、という記載があった。
そうして科学という新しい宗教は、困窮する人々に手を差し伸べないのだ、と。
しかし困っている人を作りだし、痛めつけてきたのもまた、宗教だ。

これまでの関連レビュー


みんな、忙しすぎませんかね? しんどい時は仏教で考える。 [ 釈徹宗 ]




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最終更新日  2022.12.03 23:27:36
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