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2017.09.28
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カテゴリ: 観照 & 探訪
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7月22日、後祭の宵々山の日 に前祭同様、午後の明るいうちに見物に出かけました。
夜の混雑の中を巡ることを避けたいことと、拝見した際に写真を撮ることを優先したかったからです。

今年は神幸祭を重点的に見物しましたので、出かけた時に まず御旅所を訪れました。
冒頭の画像は、四条通南側歩道の東側から、3基の神輿が御旅所に奉安されて並んでいる状態を撮ったものです。

神幸祭・神輿渡御のご紹介の折に、神輿は3基で祭神は3柱というご説明をしました。
神霊と神輿の関係は次のとおりです。
  中御座 素戔嗚尊 (スサノオノミコト)   六角形の神輿  三若神輿会
  東御座 櫛稲田姫命(クシナダヒメノミコト) 四角形の神輿  四若神輿会

中御座と西御座は神輿の屋根の頂上には鳳凰が立ち、東御座は宝珠が載せられています。

神幸祭見物の折、再認識したことを記していました。それは御旅所の御殿の配置のことです。冒頭の画像は、四条通南側で神輿が北面している状態です。そして、この神輿の置かれた空間が、普段は四条センターとして、京都の銘菓・物産が展示販売されている場所であり、この左右、つまり東西に御旅所の御殿があるのです。普段、あまり意識せずこの前を通り過ぎていて、御殿が別れてあることを意識していなかったのです。


河原町通から四条通を西に進んでくると、最初に目にとまるのが、こちらの御殿 「東御殿」 です。通り過ぎて西側から撮ってみました。

正面から眺めた東御殿
神幸祭の後、西御座(神輿)から、この御殿に 八柱御子神 (やつはしらのみこがみ) が遷座されるそうです。


こちらが 「西御殿」 です。前を通り過ぎて、同様に西側から撮ってみました。

正面から東御殿を拝見 したのがこの画像です。


御殿の正面階段の前に、随身(随神)が弓を携えて椅座して護衛の役割を果たしています 。随身の口が向かって右が阿形、左が吽形になっているところが興味深いところです。お寺の仁王門の力士像の阿形・吽形の発想が取り入れられているのでしょうか。

御殿の扉の上には円鏡が掲げられています。東御殿も同様です。
こちらの御殿には、中御座・東御座の2基の神輿から、素戔嗚尊 (すさのおのみこと) と櫛稲田姫命 (くしいなだひめのみこと)

正面の階段の側面中央には、錺金具がつけられています。その草花文様はよく観察するとすべてデザインが異なるのです。一方、上掲の扉の補強を兼ねた錺金具は左右対称の文様のように見えます。

 東御殿の東隣に小社が並んでいます。

冠者殿社 (かんじゃでんしゃ) 」です。官社殿社と表記されることもあるそうです。



御旅所は祇園祭の前祭~後祭の一週間だけ八坂神社の本殿からこちらに祭神が遷座されるだけですので、まさに仮宿だからでしょうか、特に駒札のようなものはなかったと思います。普段は建物があるだけということに戻るのでしょう。
こちらの 「冠者殿社」 は、駒札に記されていますが 、素戔嗚尊の荒魂 が普段も祀られているということになるようです。
説明板によると、「全国の神社の本社には和魂 (にぎみたま) を、荒魂 (あらみたま) は別に社殿を設け祭るという例が多い」とのことで、ここもその典型例といえるようです。もとは、烏丸高辻に八坂神社大政所御旅所があり、そこに鎮座していたとのことですが、その後幾度かの移転を経て、現在地に移されたといいます。

私もそうですが、多くの観光客や見物客は、左右の御殿もさることながら、しばらく立ち止まり、3基の神輿に目を留めて感心している風情が見られます。


神輿が3基並び、ここに一週間仮置きされることを「御駐輿 (ごちゅうれん) 」と言うそうです。冒頭の画像とは逆に、歩道の西側から3基の神輿を撮ってみました。
その後、それぞれの神輿の正面に立ち、八坂神社に近い方、つまり東側から順に神輿を個別に撮りました。
西御座
中御座

東御座

これをまとめている時にあらためて気づいたことがあります。


「神幸祭 神輿渡御」でご紹介したこの画像が記憶に残っていたのです。 これは御旅所に最初に到着した中御座です。それがこの空間の東端に奉安されて、次の東御座の到着待ちの景色でした。

22日に御旅所前に再訪した時は、上掲の状態で御駐輿されているのですから、東御座が西側に奉安された後に、中御座が中央に移されて位置が定められたということでしょう。そして、最後に西御座が到着し、東御殿側での儀式を経て、東側のスペースに西御座が奉安されたと理解せざるをえません。
こんなことも今回初めて知った次第です。過去に祇園祭を見るために四条通に出て来たときは、御旅所に神輿が並んでいる状態しか拝見したことがありません。3基の神輿の違いもほとんど意識していませんでした。

御旅所での神輿の位置からここで改めて、神輿の名称と祭神の関係が気になりました。八坂神社の「御祭神」のページを見て理解できました。神輿の名称は、祭神が神社本殿に鎮座される御座の位置関係なのですね。今頃になって、ナルホド!です。
勿論、本殿では中央に主祭神の素戔嗚尊が南面して鎮座されます。その左側つまり東側に櫛稲田姫命が、右側つまり西側に八柱御子神がそれぞれ鎮座されているということなのです。

八坂神社には現在、祭神として、十三座が祀られているという説明になっています。
そして、東御座の下に、「御同座     神大市比売命(かむおおいちひめのみこと)・佐美良比売命(さみらひめのみこと)」と記され、西御座の下に、「傍御座 稲田宮主須賀之八耳神(いなだのみやぬしすがのやつみみのかみ)」と記されています。これら諸神を合わせて十三座になります。ということは、八坂神社の主祭神は祇園祭の時、御旅所に遷座されますが、たぶん四柱の祭神は本殿にそのまま留まられるということなのでしょうね。祇園祭の前祭・後祭の期間において、八坂神社の祭神が本殿を空っぽにされる訳ではなさそうです。ただし、主祭神にまず祈願したい方は、この期間は御旅所に行くべきという事になるのでしょう。八百万の神々としてあまり気にすることもないのかも知れませんが・・・・・。

素戔嗚尊を中心に左右の祭神の配置が決まるのですから、北面する御旅所では、方位の西に東御座、方位の東に西御座の神輿が奉安されて並ぶのは当然のことになります。


神輿「東御座」の西側は、垂れ幕で囲った区画が設けられ、そこには神幸祭の神輿渡御において、中御座の先導をした 神宝奉持列により運び込まれた「お宝」が陳列されています 。基本は7種のお宝がここに運び込まれているそうです。

資料を参考に、少し推測を交えて確認してみましょう。左の画像で観察すると、一番手前が でしょうか。靭 (ゆき) に入れられた 、十六菊の紋を付けた 楯、弓、剣 が並んでいます。その奧にあるのは、長い柄の付いた団扇のようです。

上掲画像の正面に3つ立て掛けてあるものには、手前に 「御太刀袋」 という説明木札が置かれています。その右側奧には、これも長い柄のついた が並べてあります。一番奥に御帳台のようなものが見えます。神宝奉持列では先頭を行く「 勅板 (ちょくばん) 」は、御旅所について、儀式が終わると、本殿に戻されるとか。
「その勅板には、天延二年(974年)、円融天皇(位:969~989年)の高辻東洞院の地に大政所御旅所を賜り、この地に毎年神幸することとの勅令が記されているという。」 (参照資料より) ものだそうです。
7種のお宝とは、勅板、矛、楯、弓、矢、剣、琴をさす ようです。武具と楽器が神様の携行品として運ばれて、傍に置かれていることになります。武具はそれぞれ3本です。

自分なりにまとめる過程が、学びを深める機会となり、おもしろいものです。

それでは、後祭の宵山見物に参りましょう。

つづく

参照資料
「八坂神社」 ​ホームページ
八坂神社御旅所 ​  :「京都通百科事典」
知られざる祇園祭 神宝奉持列 ​ by 五所光一郎  :「祇園祭」

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Last updated  2017.10.23 00:12:37
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