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2022.05.03
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カテゴリ: 観照 & 探訪
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旧神戸居留地15番館

神戸市立博物館は建物の東側が正面で京町筋に面し、南側は前町通、西側は浪花町筋に面しています。浪花町筋を挟み西側の角地に、冒頭の旧神戸居留地15番館があります。
つまり、 神戸市立博物館は、「神戸旧居留地」と称される地域の中央部に位置しています

事後に調べていて出会った便利な地図があります。「​ オープンストリートマップ ​」です。クリックしていただくと、この神戸旧居留地の地図を自由に閲覧できます。

神戸旧居留地はいつ誕生し、どの範囲の地域なのか?
関心が生まれ、少し調べてみました。


居留地の設計を担当したのはイギリス人のジョン・ウィリアム・ハートだそうです。居留地の中央に約20m幅の南北の道路が通されます。それが現在の京町筋。居留地内には南北路が4本、東西路が2本。居留地の外周を一巡できる道路が設けられます。

一巡できる道路は、現在の地図でみますと、北境が裏町通(花時計線)、東境が東町筋(東町線)、南境が国道2号(海岸通)、西境がメリケンロードになります。
南北路は、西から明石町筋・浪花町筋・京町筋・江戸町筋の4本、東西路は、北が仲町通、南が前町通です。
「居留地全体は23街区、126区に分割されました。海岸通にはグリーンベルト(緑地帯)とプロムナード(遊歩道)が設けられ、各道路には歩車道区別が施され、下水道、ガス灯などの施設も整備されました。」 (資料1)
つまり、 整然としたヨーロッパ風の都市空間が創出された ことになります。

東町筋の東側には、かつては 生田川 が流れていてそこが居留地の東の境界でした。生田川が付け替えられ新生田川ができました。旧生田川の河川敷が現在のフラワーロードになったそうです。西側の一巡する道路の西側に 鯉川 が流れていて、それが居留地との境になっていました。(資料1,2)
その鯉川が暗渠化され、その上が道路になり 鯉川筋 と称されます。さらに、現在の大丸神戸店の所から鯉川筋は メリケンロード と称されることになりました。南端になるところに米国領事館があったことに由来すると言います。メリケン波止場の北に位置します。その米国領事館の跡地は、現在神戸メリケンビル(旧神戸郵船ビル)になっています。 (資料3,4)

居留地の南西角が第1区 です。現在、 兵庫県農業会館があるところ
ここを起点に区画番号が振られて行きます。 (資料5)
参照資料をご覧いただくと、番号がどのように振られているかがお解りいただけます。
一筆書き的に番号を追っていくと、けっこうおもしろい番号づけになっています。

神戸市立博物館のある場所は、第13・14区と第23・24区の南側半分というあたりになります。
北隣りは、地図に「 神戸居留地25番館

博物館の西側で15番になります。

浪花町筋に面した側に、 居留地下水管の遺構 が保存されています。同種の下水管遺構が市立博物館の1階常設展示の一隅にも展示されています。


敷地の南西隅に 「旧神戸居留地十五番館」(国指定重要文化財)の案内板​ が設置されています。
「慶応3年12月7日(1868.1.1)の兵庫開港により、126区、25.8haの外国人居留地が解説され、商館を中心として領事館やホテル、教会などがあつぎつぎに建てられました。
 15番地のこの場所に、明治14年頃に建築されたこの建物は、神戸市内に遺された異人館としては最も古い建物で、木骨煉瓦造2階建、寄棟造、煉瓦葺で2階は南側両端にペジメントをつけ、コロニアルスタイルの開放されたベランダを持ち、外観は石造風意匠となっています。
 神戸の旧居留地に現存する結い医何時の遺構として平成元年に重要文化財に指定され、平成2年7月から5年3月にかけて行われた修理工事により明治の面影を取り戻しましたがあ、平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大地震により全壊してしまいました。
 地震により液状化現象が生じた旧居留地内ではこの建物以外にも、20棟を超すビルが全壊しており、いかに激しい地震であったか窺い知ることができます。
 全壊した15番館でしたが、震災後部材を回収することからはじまった復旧工事は、約3年の月日と関係者の努力と様々な人々の協力医より、震災前の姿を取り戻すことができました。
 最新の耐震技術である免震工法を採用したわが国最初の文化財建築として甦ったこの十五番館は、今後の地震に対して充分耐えられるだけの耐震性能を持ち、今後も旧居留地の歴史を伝える第一の建物として私たちに明治の面影を伝えてくれることでしょう。
                平成11年4月 神戸市教育委員会」  (全文転記)

 目に止まったのが、隣接する 15番館ビル の煉瓦敷の前面広場​ に設けられたこの 童群像ズロンズ像 です。





広場の南西角に朱色の鳥居に 「正一位 稲荷大明神」の扁額 を掲げた 稲荷社 が鎮座します。
この一隅だけが純日本的でおもしろい。いつごろ勧請されたのでしょう・・・。



こちらのビルの南西角に、「 外国人居留地時代の標柱 」と題し、1983年10月に設置された 遺跡説明碑 があります。
「この辺りには安政5年(1858年)締結されたアメリカ合衆国をはじめとする5箇国との修好通商条約により設けられた外国人居留地の跡です。居留地は西洋の都市計画手法により126区画に整然と分けられた敷地に、外国商館の近代洋風建築物が数多く建てられ日本の中の西洋とも言うべき特異な景観を呈していました。この標柱はその第15番と第16番区画の境界を表す石柱で、幢地区の歴史を語る貴重なものです。」 (全文転記)



15番館から少し先に、 中央区播磨町 の住所表示で、 観光案内地図 が設置されています。
要所要所に地図があり、観光客には便利です。


ビル街の所々に 居留地時代の雰囲気を感じさせるプランター が使用されています。

前町通を西に歩み、明石町筋との交差点で右折しました。


北西角で目に止まったのがこの オブジェ です。これも一種の野外彫刻でしょうか。
アスリートのトレーニングシーン? 体操選手のワンシーンを連想しました。

北にワンブロック進みます 。 

 仲町通の北西角がこのビルです。

通りに面して、西端にこれらの表示が出ています。 旧居留地38番館 です。
38番館に対し、 このブロックの南西角に 現在は 三菱UFJ信託銀行神戸ビル があります。 それ以外の敷地は大丸神戸店 です。
このブロックは、居留地時代の区画番号でで示すと
   42 41 40 
   43   39
   36 37 38
こういう割り振りになっていました。

北東角は神戸御幸ビル
角の柱 には、上に 「明石町筋」の道路標識 、下に 「44番」の区画表示 が嵌め込まれています。

明石町筋を挟んだ東側のブロックは
     50
   48 49
   47 46
   44 45
という具合です。番号の振り方がおもしろい。


44番の表示が出ていたビルの東隣りが THE 45TH というビル。正に 第45番区 です。
ここだったと記憶するのですが、通り過ぎるときに 目に止まったのがコレ!
男性の横顔に見えました。


仲町通を東進し、神戸旧居留地中央の南北路にあたる京町筋で左折し、少し北上します。
このブロックの中央辺りのビル 。通り過ぎて 北側から撮った景色 です。
 ビル前の南東隅に立つのがこれです。
外人居留地68番館の門柱 」だそうです。地面に 説明銘板 が設置されています。

明治2年に競売でオランダ人ハルトマン・ヘルツが落札し、ここにレンガ造りの倉庫を建てたと言います。明治10年ごろには、エッチ・ジョニングの住居があり、その門柱だったと推定されているそうです。外国商館と倉庫という組み合わせでしょうか。

仲町通の北には、北町通 が東西の通りとしてありますが、この通りは当初から西端が浪花町通までになっています。外周の道路まで通貫する道としては計画されていませんでした。



京町筋と北町通の交差点の南西角に 三宮第一生命ビルディング があります。このビルの北町通に面した景色です。 ビル敷地の北西隅に 外国商館跡の門柱 」が保存されています。

ここにも上掲の門柱と同じ主旨の保存目的が説明されています。

この北町通を東に進みますと神戸市役所の1号館の南側に出ます。
つまり、市立博物館に行くために、最初に逆方向に歩いた通りになります。
京町筋から一筋東側の南北路は江戸町筋です。

北町通と江戸町筋の交差点の南東角にあるのがこのビルです。  

ここが 旧居留地100番だという住所表示 が掲示されています。

実は、この表示は神戸市役所1号館傍から市立博物館に向かう時、旧居留地地域を歩いていて、一番最初に目に止まった表示でした。そこで、ミイラ展を鑑賞した後に、ふと久しぶりに旧居留地内を少し探訪してみたいと思った次第です。

この辺りで、今回の神戸旧居留地点描を終わります。
事後に調べていて、未訪の史跡等があることを知りました。次の機会に訪れてみるつもりです。

市立博物館を出た時、もう一つ思いつきで歩いたのが市立博物館正面前の京町筋を海の方向へ歩いてみようという探訪でした。

つづく

参照資料
1) ​ 神戸居留地の誕生 ​  神戸歴史年表  :「神戸市文書館」
2) ​ フラワーロードは昔、生田川だった ​ :「KOBE」(神戸市役所)」
3) ​ 神戸外国人居留地 ​  :ウィキペディア
4) ​ 神戸郵船ビル ​  :ウィキペディア
5) ​ 神戸旧外国人居留地のいま~明治・大正・昭和の残影~ ​:「神戸・兵庫の郷土史Web研究館」

補遺
神戸旧居留地 ​ ホームページ
   ​ 旧居留地エリアマップ ​  後で調べていて知った地図。次回は活用してみたい。
ジョン・ウィリアム・ハート ​ :ウィキペディア
生田川 ​  :ウィキペディア
鯉川筋 ​  :ウィキペディア

  ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)

探訪&観照 神戸市中央区 -1 フラワーロードから神戸市立博物館に へ
探訪&観照 神戸市中央区 -2 神戸市立博物館「大英博物館ミイラ展」(1)へ
探訪&観照 神戸市中央区 -3 神戸市立博物館「大英博物館ミイラ展」(2)へ
探訪&観照 神戸市中央区 -5 京町筋を歩く へ
探訪&観照 神戸市中央区 -6 神戸ポートミュージアム(1)へ
探訪&観照 神戸市中央区 -7 神戸ポートミュージアム(2)へ


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Last updated  2022.05.06 21:22:20コメント(0) | コメントを書く


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