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2023.05.29
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カテゴリ: 観照

先週の24日(水)の午後、2つのミュージアムに出かけました。一つは 龍谷ミュージアム
冒頭の左の写真は、堀川通・東側歩道の北から龍谷ミュージアムの正面を部分撮りした景色です。

昨日(28日)までの会期で、 春季特別展「真宗と聖徳太子」 が開催されていました。
会期末直前に鑑賞してきたことになります。


こちらは この春季特別展のPRチラシ
この特別展は 「親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年記念」として企画された​ そうです。
この時期、並行して 京都国立博物館では、特別展「親鸞-生涯と名宝」 (5/21まで)が開催されていました。特別展「親鸞-生涯と名宝」は既にご紹介しています。

龍谷ミュージアムのこの春季特別展は、真宗と、つまり 親鸞聖人と聖徳太子との関わりに焦点を当てた特別展 です。親鸞の聖徳太子への思いは深く、 「和国の教主」と崇めて こられたと言います。それが連綿として、浄土真宗の中で継承され造形化され、木彫像や絵伝・絵像として伝えられてきました。その集積がこの特別展として結実したようです。

PRチラシの右側の絵像 は、岐阜・浄厳寺蔵の 「聖徳太子童形像・六随臣像」 (部分図)で、室町時代の掛幅です。これは前期展示でしたので拝見できませんでした。同種の掛幅として、 福井・秘鍵寺蔵の「聖徳太子童形像・六随臣像」 (室町・天文元年/1532年)を拝見しました。
PRチラシ裏面

ミュージアムを出る前にこの春季特別展の図録を求めたら既に完売ということで、残念ながら入手できませんでした。

この特別展は3階・2階の両会場を使い、3章構成で展示されていました。

<第1章 親鸞聖人と聖徳太子>

これはチラシの表紙に載る 「本願寺聖人親鸞伝絵 巻上」 (大阪・天満定専坊蔵) の部分図
親鸞が六角堂に参籠していた時、夢想に現れた六角堂の救世観音の姿を描いたもののようです。「六角堂の救世菩薩、顔容端厳の聖像の形を示現して、白衲の袈裟を着服せしめ、広大の白蓮華に端座して、善信に告命してにたまわく」(御伝鈔)という場面です。

親鸞の伝記絵のうち、 ​絵巻形式の作品が「伝絵 (でんね) と称されます。
一方で、 「親鸞聖人絵伝」 も展示されていました。 「絵伝」は掛幅形式で伝記絵を描いたもの です。 石川・本誓寺蔵(室町時代)の2幅形式と大阪・正覚寺蔵(桃山・天正16年/1588年)の4幅形式の絵伝 が展示されていました。

聖徳太子の德を親鸞が奉賛した 断簡 も、 これと第三十首の2点 が展示されていました。

印象に残ったのは、「聖徳太子童形像・法然親鸞連坐像」 (愛知・皆幅寺蔵、室町時代)です。聖徳太子と法然・親鸞を描いている一幅です。
また、 「聖徳太子勝鬘経講讃像・震旦和朝高僧先徳連坐像」 (1点)、 「阿弥陀如来・震旦和朝高僧先徳連坐像」 (1点) 「和朝太子先徳連坐像」 (3点)という風に、浄土宗系統の高僧と聖徳太子を一緒に描いた掛幅が展示されていました。聖徳太子がどのように位置づけられているかがうかがえます。


「光明本尊」 (兵庫・高福寺蔵、室町時代)の大きな掛幅です。
阿弥陀仏像と尽十方無礙光如来像の間、蓮華座の上に 「南無不可思議光如来」の九字名号 が記されています。インド、中国、日本の高僧が名号の左右に描かれ、 名号の文字「可思義」の右側に聖徳太子立像 が描かれています。
聖徳太子が崇敬の対象として自然に組み込まれているのです。

<第2章 真宗が生み出した聖徳太子像>
このセクションでは、 木造彫刻像あるいは絵像 の形で、様々な年齢に造形された聖徳太子像を数多く拝見しました。

一例がこの 「木造 南無仏太子像」 (福井・称名寺蔵、南北朝~室町時代)です。
同じ作品名で他に2点。

「木造 聖徳太子童形立像」 (東京・西光寺、南北朝・暦応4年/1341年)。
髪をみずらに結い、右手に笏、左手に柄香炉を持つ立像です。 同じ作品名で、彫刻像が他に1点、絵像が3点、また「木造 聖徳太子孝養立像」が2点 展示されていました。

このセクションで印象深かったのは、実如の裏書があるという 「聖徳太子・法然上人像」 が対になった掛幅です。 奈良・願行寺蔵(室町・永正10年/1513年)と兵庫・本徳寺蔵(室町・文亀3年/1503年)の作品。
この対の掛幅について、会場の説明文にも記されていましたが、以前に入手した図録に願行寺蔵の作品について説明が載っています。それをご紹介します。
「太子と法然の対幅で、法然は念珠を持って礼盤上に坐す通形のすがた、太子は室町後期以降に本願寺から下付される通規の孝養太子立像とする。・・・・そもそも太子と法然を対幅にする遺例は少ないが、これに当初は浄土六高僧像が備わって3幅対であったと考え、本願寺が下付する太子および七高僧像成立の前段階とみなす意見がある」 (資料1)

<第3章 聖徳太子絵伝とその周辺>
1幅から8幅まで、様々な幅数で描かれた 「聖徳太子絵伝」 がズラリと展示されているのは、一種壮観ですらあります。

「聖徳太子絵伝」第4幅の部分図 です。 愛知・勝鬘皇寺蔵 (南北朝時代、14世紀)の作品で、併せて第1~3幅も展示されていました。こちらは室町時代、15世紀の作という組み合わせだとか。描かれた時期がなぜ逆転しているのかについて詳細は不詳。

聖徳太子の伝記絵としてどの場面を表すかは基本的な押さえどころになるでしょう。この伝記絵の構成要素を十分に理解していれば、鑑賞の仕方が深まることと思います。
聖徳太子の一生において、ハイライトになる場面全てという意味では十分な知識を持ち合わせていません。伝記絵のハイライト場面の一部を記憶している程度です。
それ故、絵伝の一部の場面を理解しつつ鑑賞できる程度でした。その点がやはり残念でした。

このセクションで印象に残ったのは、聖徳太子絵伝の他に、 「法然上人絵伝」 の第4・6幀(愛知・光明寺蔵、南北朝時代14世紀)、 「金銅 阿弥陀如来立像・観音菩薩立像(善光寺式)」 (龍谷ミュージアム蔵、鎌倉時代13~14世紀)、 「善光寺如来絵伝」 が2点展示されていたことです。

聖徳太子と善光寺の関係を、後で少し調べてみました。
「善光寺縁起」にその経緯の逸話が記されています。
百済の聖明王が天皇に仏像を献じました。天皇はその仏像を蘇我稲目に預けました。稲目は自宅を「向源寺」という寺にして、仏像に奉仕をしました。だが、ちょうどその頃に熱病が流行。外来の蕃神のせいとして、物部尾輿は向源寺を焼き払います。物部尾輿は蕃神とみなした仏像を最後は難波の堀江に投げ捨てました。その後、物部守屋と聖徳太子・蘇我馬子との争いで、守屋は敗れ、一転して仏教の奨励に転換します。聖徳太子は難波の堀江に捨てられた仏像を宮中にお迎えしようとしたそうですが、尊像は機が熟すまで待つとおっしゃられたとか。
その尊像を信濃国の本田善光が、尊像の導きで信濃国に背負って帰ることになります。善光が自宅に尊像を安置し、善光寺と称して開山したそうです。(資料2)
また、聖徳太子が「善光寺如来に宛てて、自分が観音菩薩の化身として人々を救うのを助けてほしいと依頼する内容」の手紙があり、一方、「これに対する善光寺如来の返書と伝わる文書が、法隆寺に現存する」(資料3)そうです。

親鸞が聖徳太子に抱いた崇敬の念が、真宗の中に連綿と継承されている様子を感じた次第です。

ご覧いただきありがとうございます。

参照資料
*「春季特別展 真宗と聖徳太子 出品リスト」 会場にて入手
*春季特別展 PRチラシ
1) 『釈尊と親鸞 親鸞編 第四期出品 解説』 龍谷ミュージアム p8 2011年10月
2) ​ 善光寺の逸話 善光寺縁起 ​  :「善光寺」
3) ​ 善光寺と常徳太子の関わり ​  :「ウィークリー長野」

補遺
聖徳太子絵伝 ​  :「e國寶」
聖徳太子絵伝 ​  :「文化遺産オンライン」
絹本著色聖徳太子絵伝(法隆寺献納) ​:「文化遺産オンライン」
聖徳太子絵伝 ​  :「文化遺産オンライン」
【絵で見る聖徳太子の一生】#1 六幅の太子絵伝 ​  YouTube
5Gで文化財 国宝『聖徳太子絵伝』 5つのエピソードを深堀り解説 ​  YouTube
5Gで文化財 国宝『聖徳太子絵伝』とは? ​  YouTube

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その点、ご寛恕ください。)

こちらもご覧いただけるとうれしいです。
観照 京都国立博物館 -1 「親鸞 -生涯と名宝」展 へ





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Last updated  2023.05.29 17:44:23 コメント(2) | コメントを書く


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