「僕はロックンロールの未来を見た」。この台詞は音楽評論家だったジョン・ランドウがブルース・スプリングスティーンを形容したものだ。そのランドウがプロデュースに加わった1975年のアルバム『明日なき暴走(Born To Run)』で、スプリングスティーンは一気にブレークし、その地位を不動のものにする。この『明日なき暴走』のキャッチコピーとして広まったのが、上の台詞である。
ここで紹介するのはその一つまえ、1973年に発表された2ndアルバムだ。原題は『The Wild, The Innocent & The E Street Shuffle』。ファーストアルバム(『アズベリー・パークからの挨拶』)がリリースされた時には、スプリングスティーンを「第二のボブ・ディラン」として売り出そうという意図があったため、ある種、無理にフォークロック的サウンドに色づけられた部分があった。それに対して、『青春の叫び』では、デビューまもないスプリングスティーンがやりたかったことをもう少し具体的な形にできた。