音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年08月10日
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大御所メキシカンロックバンドの真骨頂


 EL TRI(読み方は"エル・トリ")は、メキシカンロックの雄。バンドリーダーのアレハンドロ・ローラ(ヴォーカル、ベース、ギター)をリーダーとし、40年近く活動を続けてきた。1970年代はThree Minds In My Mindというバンド名で活動し、当初は英語で歌っていたが、やがて1980年代にEL TRIとしてメジャー・デビュー。その後は現在に至るまでメキシカンロック・シーンを牽引し続けている。

 何枚も推薦したいアルバムはあるのだけれど、最初に聴くなら王道をということで、1997年リリースの『君がいない時―クアンド・トゥ・ノ・エスタス(Cuando Tú No Estás)』を挙げておきたい。EL TRIの作品の中で、90年代終盤以降の彼らの方向性を示すことになった作品であり、サウンド的にも王道ロックを行くものだからだ。

 もともとEL TRIおよびその前身は、ブルース系の曲作りをしていた。なので、後々のアルバムでも典型的なブルースの進行の曲が時々あり、楽器としてもハープ(ハーモニカ)が欠かせない曲が多い。本盤はそうしたベースの上に、アメリカンロック的なストレートなロックサウンドを繰り広げるものだ。

 詞についても簡単にコメントしておきたい。1.「褐色の聖母」は、メキシコの守護聖人、グアダルーペの聖母をテーマにしたもので、カトリック信者の多いメキシコでは大いにうけた。そして、このアルバムの頃から、リーダーであるローラは聖母のTシャツを着てステージに上がるようにもなった。また、EL TRIは以前から政治性や社会性の強い歌詞で知られていたが、本作でも3.「疫病(Epidemia)」のように政治家批判(詞の中では"売国奴"と呼んで批判)を繰り広げている。全体としては、人生のやるせなさを歌ったような詞が多いのだが、結局のところ「何とかなるさ」という人生への希望を歌っているものが多い。あと、もう一つの特徴は、10.「ロックンロールの虜(Esclavo del Rocanrol)」のように、ロック性を強調しているところだ。これは本作の王道ロックサウンドともリンクしているのかもしれない。

 いずれにしても、音的にとっつきやすいので、このバンドへの入口としては最適な一枚だと思う。


注:日本盤は存在しませんので、アルバム名・曲名の邦題は筆者が勝手に訳したものです。


[収録曲]
1. Virgen Morena

3. Parece fácil
4. Epidemia
5. Pastillas del Rocanrol
6. El ritmo del mundo
7. Cuando tú no estás
8. Copias piratas
9. Echa tus broncas a la basura
10. Esclavo del Rocanrol
11. De todos modos Juan te llamas
12. El muchacho chicho

1997年リリース。




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