音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2010年01月19日
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カテゴリ: ジャズ




 本作『ジャズ・フォーザ・キャリッジ・トレード(Jazz For The Carriage Trade)』は、ジョージ・ウォーリントン(George Wallington)率いるクインテットが1956年初頭に吹き込んだもの。ジョージ・ウォーリントンその人については、 『ライヴ・アット・カフェ・ボヘミア』 の項で簡単に触れたので割愛するが、同ライブ録音盤の翌年、時間にしてわずか数ヵ月後の録音ということになる。

 この間にはクインテット(五重奏団)のうちのメンバー二人の交代があった。一人はマイルス・デイヴィスのグループのレギュラーとなったポール・チェンバース(ベース)で、本盤ではテディ・コティックに交代している。もう一人は、アルトサックスのジャッキー・マクリーンで、後任者は白人アルト奏者のフィル・ウッズに替わっている。

 上述のメンバーの変化から、“マクリーンのいないジョージ・ウォーリントン・クインテットは面白くない”という評価も一方にある。けれども、『ライヴ・アット・カフェ・ボヘミア』とこの『ジャズ・フォーザ・キャリッジ・トレード』は、共通点もあるのだけれども、根本的に大きく趣が異なり、どうも比較しづらいように思う。

 その根本的相違とは、『カフェ・ボヘミア』には“勢い”が非常に強く感じられるのに対し、『キャリッジ・トレード』はより洗練された“知性”が前面に出ている点である。あえて“知性”という言葉を使ったが、“より計算されている”と言い直してもよいかもしれない。つまり、ライヴ感溢れる勢いを求めるのか、もう少し落ち着いて耳を傾ける楽しみを優先させるのか。この2つの評価は観点がまったく異なるゆえ、これら2枚のどちらがよいかという選択は困難だと思われるわけである。

 とはいえ、同じウォーリントンのグループの近い時期の録音ということで、共通点も存在する。何よりも、リーダーであるウォーリントンの“手綱の締め方”が両盤には共通する。各自に特徴あるプレイをさせつつも全体のまとまりをしっかりと決めるという、グループ全体のコントロールはやはり見事としか言いようがない。本盤『キャリッジ・トレード』に関して言えば、筆者は1.「アワ・デライト」の一体感が特に好きである。その上で、5.「ホワッツ・ニュー」のような知性溢れる演奏を見せられると、聴き手は一気にノックアウトされるしかない。もう一つ付け加えるならば、新加入のフィル・ウッズによる2曲(4.「トゥゲザー・ウィ・ウェイル」と6.「バット・ジョージ」)が意外にいいと思う。この2曲が含まれているおかげで、21世紀の現在という“未来”から聴くと、“古き良きジャズ時代”の雰囲気がより一層高められるという効果を生んでいる。

 この“雰囲気”を楽しみながら聞き流すのもよし、1曲1曲の細部に散りばめられた“知性”(これがまた聴くたびに新たなところで感心させられる!)を捜しながら聴くのもよし。いずれの聴き方もできる優れた盤だと思う。



[収録曲]


2. Our Love Is Here To Stay
3. Foster Dulles
4. Together We Wail
5. What's New
6. But George

George Wallington (p)
Phil Woods (as)
Donald Byrd (tp)
Teddy Kotick (b)
Arthur Taylor (ds)

録音: 1956年1月20日





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Last updated  2016年01月28日 21時33分47秒 コメントを書く


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