音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010年06月07日
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テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: ジャズ




 短期間しか活動しなかったジャズ・プロフェッツ(ジャズ・メッセンジャーズを抜けたトランペット奏者ケニー・ドーハムKenny Dorhamがリーダーとなって最初に作ったグループ)の演奏で、カフェ・ボヘミアでのライブ演奏を収めたのが本盤『カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム('Round About Midnight At The Cafe Bohemia)』である。1956年のものだが、後にドーハム死後の1980年代になってから、マイケル・カスクーナによる音源発掘が進められ、追加音源がコンプリート版(Vol.1 & 2)として出された。

 ケニー・ドーハムと言えば、彼の“静”の側面を示す、哀愁漂う 『静かなるケニー(Quiet Kenny)』 (1959年)や、逆に彼の“動”の側面を代表する『アフロキューバン(Afro-Cuban)』(1955年)が代表作として取り上げられることが多い。しかし、その一方で、ドーハム盤を1枚だけと言われれば、本当にこれらのいずれかにならなきゃいけないのだろうかという疑問が筆者にはずっとある。個人的には、ドーハムの代表作と言えるアルバムを1枚だけ選べと言われれば、上記2枚のいずれでもなく、きっとこの『カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム』を選ぶ。音色自体は柔らかなのだが、中音域を中心に魅力あふれるフレーズを吹く。聴きやすく、一聴したいた感じは柔和なのだが、やってることはしっかりビ・バップ~ハード・バップへと至るモダン・ジャズの王道。そんな彼の演奏を存分に楽しめる本盤こそ、“1枚だけ”と言われた時のドーハム代表作に相応しいと思う。

 ケニー・ドーハムの演奏が楽しみやすく、なおかつとりわけ冴えているのは、3.の「メキシコ・シティ」。何と言っても超名曲で、筆者は曲そのものからして大好きなのだが、ギターのケニー・バレルとの絡みもなかなかいい。さらに、5.「ニューヨークの秋」はドーハムのワン・ホーンで彼のトランペット演奏が堪能できる。あと、メンバーの中で忘れてはならないのは玄人好みのサックス奏者J・R・モンテローズ。特に2.「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」では、最初がドーハム、次にモンテローズの演奏を落ち着いた雰囲気の中で堪能できる。

 ついでながら、上記「メキシコ・シティ」には別テイクがあり、バレル自身のリーダー作『ケニー・バレルVol. 2』(過去記事・ 前編 後編 を参照)(Blue Note 1543)に収められた。この別テイクは、本盤のコンプリートにも収録され、こちらの方ではドーハムのMCから全部が初めて収録された。

 『静かなる~』は、それはそれで名盤だと思うし、『アフロ・キューバン』も並大抵のレコードではない。けれども、トータルでは本盤が筆者にとってのケニー・ドーハムをもっともよく代表するものであり、デフォルトであるという言い方ができるように思う。





1. Monaco
2. 'Round About Midnight
3. Mexico City
4. A Night In Tunisia
5. Autumn In New York
6. Hill's Edge

パーソネル:
Kenny Dorham (tp)
J.R. Monterose (ts)
Kenny Burrell (g)
Bobby Timmons (p)

Arthur Edgehill (ds)

録音: 1956年5月31日

Blue Note 1524






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