音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010年08月03日
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まだまだ続くブルース・ロックの胎動


 ジョン・メイオール(John Mayall)率いるブルースブレーカーズ(The Bluesbreakers)が1967年に発表したのが本作『ア・ハード・ロード(A Hard Road)』である。1933年生まれのメイオールは50年代から演奏活動を始め、ロンドンを起点にバンド活動をしながら62年にブルースブレーカーズを形成していた。そのブルースブレーカーズの名を一躍とどろかせたのは、1965年のアルバム 『ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン』 であった。

 同作に参加した若きエリック・クラプトンは、ヤードバーズを脱退しての参加だったが、結局はこの一枚だけでバンドを去り、次のステージ(ジャック・ブルース、ジンジャ・ベイカーとクリームを結成、 クリーム参考記事 )に入っていく。そんなクラプトンの脱退後に発表されたのが、この『ア・ハード・ロード』だった。

 実はクラプトンの加入~脱退の間には、その裏面というべき経緯もあった。クラプトンの加入によってギタリストのピーター・グリーン(Peter Green)が一度バンドを去っていた。しかし、短期間でクラプトンが脱退した後、本盤に際して彼が復帰している。そのピーター・グリーンは、本盤でのプレイを高く評価されるとともに、再びブルースブレーカーズを抜けて今度は自身のバンドを形成する。その新バンドとは、本盤でベースを弾いているジョン・マクヴィーに加え、同じブルースブレーカーズと録音経験のあるミック・フリートウッド(ドラム)のリズムセクションが核となり、ピーター・グリーンがリードする、フリートウッド・マック(Fleetwood Mac)なるバンドであった。

 実際、本盤『ア・ハード・ロード』においても、ピーター・グリーンの活躍はめざましい。彼メインのバンドではないので、ずっと前面に出ているわけではないが、本アルバムには、10.「ザ・セイム・ウェイ」と11. 「ザ・スーパーナチュラル」 というグリーンのナンバーが2曲含まれている。とりわけ、11.は後にフリートウッド・マック(ピーター・グリーン在籍中の初期フリートウッド・マック)の代表曲の1つとなる「ブラック・マジック・ウーマン」を思わせる曲調とギター・プレイで、「ブラック・マジック・ウーマン」の原型となったとも言われている曲だ。この曲以外にも、同じくインスト曲の4.「ザ・スタンブル」では、後に自身のバンドで全面的に披露することになるギター演奏が全開で、これだけ単独で聴けば、初期フリートウッド・マックの曲かと思ってしまうような仕上がりである(さらに、8.「ダスト・マイ・ブルース」などもいかにもフリートウッド・マックがやりそうな感じの曲に仕上がっている)。また、上記10.に加えて3.「ユー・ドント・ラヴ・ミー」の計2曲で、ピーター・グリーンがリード・ヴォーカルを務めている。

 このピーター・グリーンの才能と、ブルース・ロックの開拓者たるジョン・メイオールが一緒に盛り込まれたアルバムというのは、実は贅沢極まりない組み合わせのはずである。にもかかわらず、クラプトン参加盤の陰で、現在では半ば忘れ去られたアルバムになっているのは残念な話だ。クラプトン参加盤は確かに、わかりやすいギター・リフもあり、キャッチーに聴き手を引き寄せる部分がある。これに対し、本盤のピーター・グリーンは粘りのあるギタープレイで、クラプトンほどわかりやすく目立った部分がないとも言える。しかしよく聴けば、負けず劣らずの好盤であり、英国発のブルース・ロックのうねりはジョン・メイオールを軸にこの時点においてもまだまだ展開し続けていたことがよくわかる。そして、もちろんそのうねりは新たに結成されるフリートウッド・マックにも受け継がれていくし、“ジョン・メイオール学校”もさらなる人材を輩出していくことになる。





1. A Hard Road
2. It's Over
3. You Don't Love Me
4. The Stumble
5. Another Kinda Love
6. Hit The Highway
7. Leaping Christine
8. Dust My Blues
9. There's Always Work
10. The Same Way
11. The Super-natural

13. Someday After A While (You'll Be Sorry)
14. Living Alone

1967年リリース。

*2003年には22曲追加(CD2枚組)もリリースされている(筆者は未聴)。





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【輸入盤】Hard Road [ John Mayall ]


John Mayall ジョンメイオール / Hard Road 輸入盤 【CD】





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