音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2015年03月15日
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テーマ: Jazz(1967)
カテゴリ: ジャズ
組み合わせの試行錯誤と計算された商売魂?


 トロンボーン奏者のカーティス・フラー(Curtis Fuller)は、ブルーノート1500番台に3枚のリーダー作を残している。最初は 『ジ・オープナー』 (1567)、次が 『ボーン&バリ』 (1572)、そして3枚目が本盤『カーティス・フラーVol. 3(Curtis Fuller Vol. 3)』(1583)である。録音時期はいずれも1957年で、順に6月、8月、12月の録音である。

 数か月おきに録音が行われ、順番通りに順調に発売されたかというと、この3枚目だけは違っていた。1583というカタログ番号だけは維持したまま、数年間凍結され、結局は1961年になってから発売された。そこには楽器の組み合わせの試行錯誤と、その後の展開によるリリース順という背景もあったように察せられる。

 まず、フロントの楽器の組み合わせから見てみたい。『ジ・オープナー』ではテナーサックス、『ボーン&バリ』ではバリトンサックスとの組み合わせだった。本作『Vol. 3』ではトランペットとの組み合わせである。トランペット奏者はアート・ファーマー。ソニー・クラークの盤(『ダイアル・S・フォー・ソニー』)で数か月前に録音していて、その時は、テナー、トランペット、トロンボーンの3管編成だった。ブルーノートからの発売なので、カーティス・フラー名義ではあるのだが、もしかするとこれは、アート・ファーマーとの“双頭版”だったという見方もできるかもしれない。そうだとすれば、後のジャズテットの先駆けという見方もできるか可能だろう。つまりは、ジャズテット成立後にようやく本盤が陽の目を見るという、計算されつくしたリリースだったのではと勘繰りたくもなる。

 ともあれ、全体的にはゆったりと落ち着いた演奏が淡々と繰り広げられる。トランペットとトロンボーンという二管の実験室、そう呼べそうな演奏だと感じる。個人的には、2.「クァントレイル」に代表される(しかもこの演奏はラテン風)、どこかしらまったりした感じが本盤の全体的印象につながっている。そうしたまったり感が最高潮になるのは、4.「カーヴォン」と6.「イッツ・トゥー・レイト・ナウ」。テナーやアルトだけでは、はたまたトランペットだけでは出せない独特の感触。言い換えれば、トロンボーンの真髄みたいなものがここにあると言えるのかもしれないという気がする。


[収録曲]

1. Little Messenger

3. Jeanie
4. Carvon
5. Two Quarters of a Mile
6. It's Too Late Now


[パーソネル、録音]

Curtis Fuller (tb)
Art Farmer (tp)
Sonny Clark (p)
George Tucker (b)
Louis Hayes (ds)

1957年12月1日録音。






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