やっぱり読書おいのこぶみ

< 新しい記事

新着記事一覧(全1817件)

過去の記事 >

2004年05月24日

「人生の阿呆」木々高太郎

(1)

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(91723)

カテゴリ：名作の散歩道

探偵小説で初の直木賞。昭和１１年頃の昔だ。現代ならミステリー系で直木賞はめずらしくないが。

レトロなんだけれど古めかしくない。お菓子の自動販売機が全国津々浦々に置かれて販売拡大したお陰で、主人公の家はお金持ちである、なんてへーと思う。

おばあちゃん子の坊ちゃんで進歩思想に染まり、投獄され親を困らせている主人公良吉の屋敷で殺人事件が起こる。

だが、犯人はすぐ推察してしまえちょっと拍子ぬけるが、探偵小説なんだけれど心に沁み込む文学を作者は目指すと前書きにあるように、含蓄のある文章がちりばめられている。

『自分さえ正しければ、他人はどう思っても差し支えないと考えて、自分だけの優越を誇っていることは、却って逆の運命に陥ることになる。』『人生の阿呆』であった。

たくさんの愛の犠牲にに支えられて、自分で考えて自分で生きていく、積極性にようやく目覚めた主人公、甘ったれでどうしようもないが、こんな坊ちゃんもいたんだろうなー。

また、当時珍しかったであろう、旧ソ連邦の観光案内のような良吉の旅行の部分（写真つき）も楽しかった。

安楽椅子のミステリー愛読者になりきろうとしてる私は、これからもこういう本なども見つけて悠々と読書三昧に浸れればうれしかろうね。

お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう