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尹錫悦韓国大統領とジョー・バイデン米国大統領が4月26日に行なった共同記者会見の内容を批判する声明を朝鮮労働党の金與正中央委員会副部長は28日に発表、「政権の終焉」という表現を問題にしている。 首脳会談の中でアメリカの核兵器を搭載した潜水艦を韓国が受け入れることが決まったが、これは「NCG(核協議グループ)」の創設とリンクしている。アメリカが核兵器を展開する過程において韓国が参加することを保証する仕組みで、アメリカや「オーストラリア」の原子力潜水艦のほか、日本に配備されるミサイルとも無関係ではないだろう。全てアメリカの戦略に基づいている。 アメリカでは外交や安全保障政策をコントロールしているのはネオコン。ジェラルド・フォード政権で台頭してきたシオニストで、イギリスの帝国主義者が源流だと考えられている。必然的にシティ(イギリスの金融資本)やウォール街(アメリカの金融資本)と関係が深い。 フォード大統領はリチャード・ニクソン大統領がウォーターゲート事件で失脚した後、副大統領から昇格した人物で、FBIと関係が深いことで知られていた。ベトナム戦争の敗北で浮上したデタント(緊張緩和)をこの政権は潰す。こうした好戦的な戦略を指揮することになるのはジミー・カーター政権の安全保障補佐官になるズビグネフ・ブレジンスキーだ。 その戦略をブレジンスキーは『グランド・チェスボード』の中で明らかにしているが、その基盤は1904年にハルフォード・マッキンダーが発表したハートランド理論だ。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」も同じ考え方で成り立っている。 ブレジンスキーが1970年代に始めた戦術はワッハーブ派やムスリム同胞団を中心を中心に編成された傭兵システム。資金を調達するためにヘロインで稼いでいるが、これはベトナム戦争におけるヘロイン、中米におけるコカインと同じ手法。 傭兵をアフガニスタンへ送り込んだのはサウジアラビア、その傭兵をCIAが軍事訓練していた。「イスラム原理主義者」とも呼ばれるが、彼らがイスラムの敬虔な信者だとは思えない。 この傭兵システムについてロビン・クックが2005年7月にガーディアン紙で説明、CIAの訓練を受けた「ムジャヒディン(イスラム戦士)」の登録リストが「アル・カイダ」だという。アラビア語でアル・カイダはベースを意味、データベースの訳語としても使われる。なお、クックは2005年8月に心臓発作で死亡した。 アメリカの情報機関は第2次世界大戦の終盤、ソ連軍に対抗するためにイタリアの犯罪組織マフィアと手を組むが、その前からファシストや麻薬業者とは緊密な関係にあった。中東での工作で手先に選ばれたのがワッハーブ派やムスリム同胞団だ。 ブラジンスキーはワッハーブ派やムスリム同胞団を使い、アフガニスタンへソ連を誘い込んで戦争を始めた。そのソ連は1991年12月に消滅するが、その直後の92年2月にDPG(国防計画指針)草案という形で世界制覇計画を作成した。 その草案を作成したのポール・ウォルフォウィッツを中心とするネオコン。アメリカが「唯一の超大国」になったと認識、好き勝手に振る舞える時代になったと考えて侵略戦争を始める。 そのドクトリンは第1の目的を「新たなライバル」の出現を阻止することる。旧ソ連圏だけでなく、西ヨーロッパ、東アジア、東南アジアにアメリカを敵視する勢力が現れることを許さないというわけだ。言うまでもなく、日本がアメリカのライバルになることも許されない。その上でアメリカの戦争マシーンの一部になるということだ。 その時の大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、国防長官はディック・チェイニー、国防次官はウォルフォウィッツ。そのウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから、DPGは「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 そのドクトリンに基づき、ジョセイフ・ナイは1995年2月に「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表した。日本に対し、アメリカの戦争マシーンの一部になれという命令だろうが、当時の日本にはその道を歩こうとしない政治家もいたようだ。 そうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件)た。その10日後には警察庁の國松孝次長官が狙撃されている。8月には日本航空123便の墜落に自衛隊が関与していることを示唆する大きな記事がアメリカ軍の準機関紙とみなされているスターズ・アンド・ストライプ紙に掲載された。 1998年に朝鮮半島での戦争計画「OPLAN 5027」が改訂され、新計画は「OPLAN5027-98」と呼ばれている。当初の計画は朝鮮の軍事侵攻を想定、米韓両軍が「反攻」で平壌を制圧して朝鮮の体制を倒そうという内容だと報道されている。新計画は金正日体制を倒し、国家として朝鮮を消滅させて韓国が主導して新たな国を建設することを目的としていた。この内容は1998年11月に外部へ漏れて問題になった。 2003年11月に策定されたCONPLAN(概念計画) 8022-02には地中深くにある施設を攻撃する戦術核攻撃、コンピュータ・ウイルス、レーダー撹乱技術を利用した先制攻撃などが含まれているという。 ネオコンが世界制覇計画を打ち出してから6年後、アメリカは金正日体制を倒し、国家として朝鮮を消滅させて韓国が主導して新たな国を建設する計画を作成している。それをバイデン大統領は再確認したということだ。アメリカの戦略を「防衛」という視点から語ることは根本的に間違っている。 こうした東アジアでの戦略もウクライナでの戦略と同じように世界制覇計画の一環であり、相互に関係している。4月26日の共同記者会見でウクライナへの強い支援が強調されたのは必然だと言えるだろう。尹大統領がウクライナへ兵器を供与する意向を示していると伝えられているが、それもそうした中から出てきた話だろう。 それに対し、もし韓国がロシアと戦闘状態にあるウクライナへの武器を供与するならそれはロシアに対する敵対行為にほかならないとロシアのドミトリー・メドベージェフ安全保障会議副議長は警告、対抗上、朝鮮へ高性能兵器を供与すると語った。 この発言を共同記者会見で質問されたのだが、バイデン大統領が質疑にわって入り、中国を敵視していないという荒唐無稽なおとぎ話をして妨害、それに続いて発言した尹大統領は質問に答えなかった。米韓首脳会談の合意内容が東アジアでの軍事的な緊張を高めることを両首脳は自覚しているのだろう。
2023.04.30
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は4月21日現在、3万4976名に達した。ただし、VAERSに報告される副作用の件数は全体の1%、あるいは数%にすぎないと言われている。 日本でも「COVID-19ワクチン」の危険性を知る人が増えているようだが、その一方で言論統制は強化されている。4月21日にはFoxニュースのタッカー・カールソンが解雇されたが、ロバート・ケネディ・ジュニアによると、その5日前、有害で効果がない「COVID-19ワクチン」を広告主である医薬品へおもねるためにテレビネットワークが売り込んだとタッカーは認めていたという。 2月8日にはプロジェクト・ベリタスのジェームズ・オキーフが自身の創設した組織から追い出された。1月25日と2月2日にベリタスはファイザーの研究開発ディレクターだというジョーダン・ウォーカーとの会話を隠し撮りし、その映像を公表していた。 今では「COVID-19ワクチン」によって心筋炎や心膜炎になる若者が多いと知られているが、イスラエルから入手したデータに基づき、その事実を早い段階で伝えたのは、ワシントンの政治紙「ザ・ヒル」が制作しているウェブサイト「ライシング」でホストを務めていたキム・イベルセンだ。彼女もさまざまな嫌がらせを受け、2022年7月に辞職している。
2023.04.29
韓国の尹錫悦大統領は4月24日にアメリカへ向かって出発し、26日にジョー・バイデン米大統領と会談した。29日まで滞在の予定だ。首脳会談の中でアメリカの核兵器を搭載した潜水艦を韓国が受け入れることが決まったが、その前に尹大統領はウクライナへ兵器を供与する意向を示している。 アングロ・サクソンの支配者はスエズ運河が建設されて以降、ユーラシア大陸の沿岸部を支配して内陸部を締め上げるという戦略に基づいて政策を決めてきた。当初はイギリスの戦略だったが、途中、アメリカが引き継いでいる。その戦略の中でイギリスやアメリカは「明治維新」を仕掛けた。東アジア諸国と友好的な関係を築いていた徳川体制を倒し、薩摩や長州を中心とする天皇制官僚体制を作り上げたのだ。天皇制官僚体制はアジアを侵略するために作られたとも言える。そのために「反アジア教育」が日本全体で推進された。 現在、アメリカは東アジアを支配するため、イギリスやオーストラリアとAUKUSなる軍事同盟を組織している。アングロ・サクソンによる東アジアの植民地化を狙っていることが露骨に感じられるが、そこへ日本は入りたがっている。 明治体制になってから日本は東アジア侵略をするが、それはアングロ・サクソンの中国(清)侵略への協力でもあった。2度のアヘン戦争でも明らかなように、イギリスは中国を征服するだけの戦力がない。そのための傭兵(戦闘奴隷)として日本人に目をつけたのだろう。そして現在、アングロ・サクソンと日本は同じ道を歩き始めている。 しかし、当時の朝鮮は侵略の手先になることを拒否している。それに対して日本は1872年9月に「琉球藩」をでっちあげて琉球を併合、74年5月に台湾へ派兵、75年9月には李氏朝鮮の首都を守る要衝の江華島へ軍艦を派遣して挑発、「日朝修好条規」を結ばせて清国の宗主権を否定させることに成功した。「征韓論」を実行したとも言えるだろう。 朝鮮の体制が揺らいでいた1894年に明治政府は軍隊を派遣、その一方で朝鮮政府の依頼で清も軍隊を出して日清戦争につながり、日本が勝利して1895年4月に日清講和条約が結ばれた。 さらに日本はロシアと手を組む可能性のあった閔妃を1895年10月に殺害する。三浦梧楼公使が指揮、日本の官憲と「大陸浪人」が実行したと考えられている。襲撃チームは朝鮮の宮廷を襲撃して閔妃を含む女性3名を殺害、その際に性的な陵辱を加えたとされている。その後、三浦は枢密院顧問や宮中顧問官という要職についた。 日本は1904年2月に仁川沖と旅順港を奇襲攻撃、日露戦争が始まる。日本に戦費を用立てたのはロスチャイルド系のクーン・ローブを経営していたジェイコブ・シッフだ。 1905年5月にロシアのバルチック艦隊は「日本海海戦」で日本海軍に敗北するが、そこで登場してくるのが「棍棒外交」のテディ・ルーズベルト米大統領。講和勧告を出したのだ。9月に講和条約が調印されて日本の大陸における基盤ができた。 この当時、日本にはテディ・ルーズベルトと親しい人物がいた。金子堅太郎だ。ふたりともハーバード大学で学んでいる。そのふたりを何者かが引き合わせたのだ。 日本政府の使節としてアメリカにいた金子は1904年にハーバード大学でアングロ・サクソンの価値観を支持するために日本はロシアと戦っていると演説し、同じことをシカゴやニューヨークでも語った。日露戦争の後、ルーズベルトは日本が自分たちのために戦ったと書いている。こうした関係が韓国併合に結びつく。日本の韓国併合はアメリカの戦略でもあった。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015) イギリス、アメリカ、日本のトリオは朝鮮半島を橋頭堡として中国やロシアに戦争を仕掛け、勝利したのだが、現在、同じことをしても同じ結果は得られない。2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されて以降、侵略戦争を本格化させるのだが、計算違いの連続。アメリカは現在、苦境に陥っている。 一方、東アジアでは中国に軍事的な圧力を加えてきたが、2021年9月にオーストラリアがイギリスやアメリカとAUKUSを創設したと発表。それと同時にアメリカとイギリスはオーストラリアに原子力潜水艦の艦隊を建造させるために必要な技術を提供するとも伝えられた。 ジョー・バイデン米大統領はオーストラリアへ売却する3隻のバージニア級原子力潜水艦を2030年代の初めに建造すると語っているが、その潜水艦を動かすためにはアメリカの軍人が乗り込む必要があり、事実上、アメリカ海軍の潜水艦になる。 山上信吾オーストラリア駐在大使はキャンベラのナショナル・プレス・クラブで2022年11月14日、日本がオーストラリアの原子力潜水艦を受け入れる可能性があると表明したが、尹大統領の潜水艦発言はこれとつながる。 尹錫悦は大統領に就任する前、検事総長としてアメリカから嫌われていた文在寅政権を攻撃、文大統領に近い曺国法務部長官をソウル東部地検刑事6部に起訴させ、曺を辞任に追い込んでいる。 文大統領はロシアや中国との関係を強め、2018年4月27日には板門店で朝鮮の金正恩委員長と会談していたが、尹はミルトン・フリードマンの新自由主義を信奉、アメリカの支配層にとって好ましい人物。朝鮮半島の軍事的な緊張を高める発言をしていた。 その尹が大統領に就任してから日本との関係を「修復」した目的は言うまでもないだろう。尹大統領はウクライナへ兵器を供与する意向を示しているが、ロシアのドミトリー・メドベージェフ安全保障会議副議長は、もし韓国がロシアと戦闘状態にあるウクライナへの武器を供与するなら、それはロシアに対する敵対行為にほかならないと警告、対抗上、朝鮮へ高性能兵器を供与すると語った。韓国の現大統領は東アジアの軍事的な緊張を高めている。
2023.04.28
厚生労働省は4月25日、今年2月分の「人口動態統計速報」を発表した。死亡者数は13万5857人で前年同月より2617名減少しているが、昨年は異常に増えているのであり、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の接種が始まる前に比べると大幅に増えている。 2月に死亡者数は例年減少する傾向にあるが、今回の場合、「ワクチン」の接種数が昨年末から大きく減少、その傾向は今でも続いている。「COVID-19ワクチン」の危険性を週刊誌が取り上げたことから、既存のメディアに情報を依存している人も気づいたのかもしれない。 しかし、すでに多くの人が接種済みで、9割程度がプラセボ(偽薬)だったとしても、事態は深刻だ。短期的には血管や内臓への物理的なダメージ、自己免疫疾患、免疫力の低下(エイズ状態)などは今後も続く可能性が高い。 卵巣がダメージを受けることは早い段階から指摘されていたが、精巣の細胞にmRNAが入り込み、精子でなくスパイク・タンパク質を作り続けるケースもあるようだ。少なからぬ人が子孫を残せなくなる可能性がある。
2023.04.27
Foxニュースの人気司会者、タッカー・カールソンが解雇された。この決定は4月21日にFoxコーポレーションのラクラン・マードックCEOとスザンヌ・スコットFoxニュースCEOによってなされたという。ラクランはルパート・マードックの息子だ。 カールソンを解雇した理由は明らかにされていないが、21日の放送で彼は視聴者に対し、次回は24日だと語っている。その24日にFoxニュースのハリス・フォークナーはカールソンとFoxニュースがそれぞれの道を進むということで合意したと伝えた。 Foxニュースはドミニオン投票システムから名誉毀損で訴えられていたが、4月18日に和解が成立、メディア側が7億8750万ドルを支払うことになった。この和解と解雇を結びつける推測もあるが、カールソンはこの件で専門家の意見を伝えただけである。 2020年のアメリカ大統領選挙で激戦州のひとつだったミシガン州で投票をめぐる裁判が行われた。裁判所はドミニオンの投票システムを調査させたのだが、提出された報告書には、投票数を誤魔化して選挙結果に影響を与えるエラーが意図的に組み込まれていると記載されていた。 ドミニオンはカナダのトロントとアメリカのデンバーに本社があるのだが、カナダのオフィスはタイズ財団というソロス系NGOと同居していたと伝えられている。この会社はイギリスを拠点とするSGOスマートマティックという投票システムの会社と協力関係にあり、その会長を務めているのはマーク・マロック・ブラウン。この人物は世界銀行の元副頭取で、ソロス系のオープン・ソサエティ財団やクワンタム基金の役員を務めてきたが、今年の12月にオープン・ソサエティ財団の理事長に就任、ソロスの後継者だと見られている。 ドミニオンとスマートマティックはライバル企業であり、関係はないとする主張もあるが、両者にはソロスという共通項があるわけで、無関係だとは言えない。2016年の大統領選挙でソロスがヒラリー・クリントンに「アドバイス」していたこと、ソロスとビジネス上の関係があるロスチャイルド家の一員、リン・フォスター・ド・ロスチャイルドとヒラリーが頻繁に連絡を取り合っていたことが判明している。なおリン・フォスターの夫はエベリン・ド・ロスチャイルドだ。 アメリカの大統領選挙の投票で不正行為が問題になったのは今回に限らない。例えば、2000年の大統領選挙ではバタフライ型投票用紙が問題の一因になって混乱、出口調査と公式発表との差が大きかったことも疑惑を呼んだ。 この選挙ではネオコン/シオニストに担がれた共和党のジョージ・W・ブッシュと民主党のアル・ゴアが争っていたが、ゴアへの投票を減らすために怪しげなブラック・リストや正体不明の「選挙監視員」による投票妨害があり、正当な選挙権を行使できなかった市民が少なからずいたと報告されている。集計の過程でゴアの得票が減っていると指摘する報道もあった。 しかし、この選挙で最大の闇と呼べる出来事はジョン・F・ケネディ・ジュニア、つまり第35代大統領の息子の死だろう。選挙前の世論調査によると、ブッシュやゴアよりケネディ・ジュニアの人気が高かった。 もしケネディ・ジュニアが立候補した場合、民主党と共和党以外の候補者が大統領になる可能性もあった。強大な資本に支配された2大政党による独裁というシステムが揺らぐことも考えられていたのだが、そうした支配階級の懸念を払拭する出来事が1999年7月16日に起こる。ケネディ・ジュニアを乗せた小型機、パイパー・サラトガが墜落し、本人と妻、その妻の姉が死亡したのだ。自動操縦で飛んでいたはずの地点での墜落だった。 この飛行機にはボイス・レコーダーが搭載され、音声に反応して直前の5分間を記録する仕掛けになっていたが、何も記録されていない。緊急時に位置を通報するためのELTという装置も搭載していたのだが、墜落から発見までに5日間を要している。 オハイオ州でコンピュータ・システムを使った投票操作が裁判になった際、その実態を知る立場にあり、証言が予定されていたマイク・コネルは2008年12月19日、自身が乗ったパイパー・サラトガが墜落して死亡している。生前、コネルはカール・ローブから脅されているとして保護を求めていた。 カールソンはアメリカを支配する私的権力が不愉快に感じるであろう話を番組でしてきた。グレン・グリーンウォルドがツイッターで書いているように、彼はウクライナでアメリカが行なっている代理戦争に反対し、内部告発を支援したことで刑務所で拘束されているジュリアン・アサンジの釈放を主張、キューバの政権転覆工作に反対、ドナルド・トランプ政権の軍国主義を批判している。つまり、彼は近年のアメリカには珍しい「リベラル派」だったのだ。 解任される5日前、有害で効果がない「COVID-19ワクチン」を広告主である医薬品へおもねるためにテレビネットワークが売り込んだとタッカーは認めていたと、ロバート・ケネディ・ジュニアは指摘している。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、第2次世界大戦後に始まったアメリカを中心とする支配システム、第1次世界大戦後に始まった米英金融資本による支配システムがここにきて崩れ始めている。それを食い止めるため、強大な私的権力は言論統制を強めてきた。カールソンの解雇もその一環だと言えるだろう。
2023.04.26
韓国の尹錫悦大統領は4月24日、アメリカへ向かって出発した。26日にジョー・バイデン米大統領と会談、共同記者会見も予定されている。すでに尹大統領はウクライナへ兵器を供与する意向を示しているが、この訪問はアメリカとの軍事的な連携を強める意思を示しているともみられている。 この訪問は中国を指摘しているようだが、ウクライナへの武器供与はロシアからの反発を招いている。ロシアのドミトリー・メドベージェフ安全保障会議副議長は、もし韓国がロシアと戦闘状態にあるウクライナへの武器を供与するなら、それはロシアに対する敵対行為にほかならないと警告、対抗上、朝鮮へ高性能兵器を供与すると語った。韓国の動き次第で朝鮮半島の軍事的な緊張は一気に高まる。 こうした中、アメリカ軍は従属国軍を率いて4月22日から6月23日にかけてアメリカ軍を中心に「ディフェンダー23」を、また6月12日から24日にかけてはドイツ軍を中心とする空軍の演習「エア・ディフェンダー23」をそれぞれ予定している。前者は1万7000人、後者は1万人が参加するようだ。それに対し、ロシア軍はサハリンや千島列島へ敵軍が上陸するという想定の軍事演習を実施している。 日本の自衛隊はアメリカの戦略に基づき、すでに南西諸島でミサイル発射基地を建設している。2016年には与那国島、19年には宮古島と奄美大島、今年3月には石垣島で駐屯地が建設されたが、昨年、アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書には、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画が記載されている。 RANDによると、そうしたミサイルを配備できそうな国は日本だけ。その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があり、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされている。アメリカがウクライナでクーデターを実行、ロシアと中国が急接近した頃にミサイルの配備計画は考えられたのかもしれない。 イギリスやアメリカの支援で明治維新が実現した直後の1872年9月に明治政府は「琉球藩」をでっちあげて琉球を併合、74年5月に台湾へ派兵、75年9月には李氏朝鮮の首都を守る要衝の江華島へ軍艦を派遣して挑発、「日朝修好条規」を結ばせて清国の宗主権を否定させることに成功した。 朝鮮で甲午農民戦争(東学党の乱)が起こり、体制が揺らいでいた1894年に明治政府は軍隊を派遣、その一方で朝鮮政府の依頼で清も軍隊を出して日清戦争につながる。 1895年には日本の官憲と「大陸浪人」が朝鮮の宮廷を襲撃して閔妃を含む女性3名を殺害、その際に性的な陵辱を加えたとされている。その中心にいた三浦梧楼公使はその後、枢密院顧問や宮中顧問官という要職についた。 閔妃惨殺の4年後、中国では義和団を中心とする反帝国主義運動が広がり、この運動を口実にして帝政ロシアは1900年に中国東北部へ15万人の兵を派遣。その翌年には事件を処理するために北京議定書が結ばれて列強は北京郊外に軍隊を駐留させることができるようになった。 イギリスはロシアに対抗するため、1902年に日本と同盟協約を締結し、その日本は04年2月に仁川沖と旅順港を奇襲攻撃、日露戦争が始まる。日本に戦費を用立てたのはロスチャイルド系のクーン・ローブを経営していたジェイコブ・シッフだ。 1905年5月にロシアのバルチック艦隊は「日本海海戦」で日本海軍に敗北するが、そこで登場してくるのが「棍棒外交」のテディ・ルーズベルト米大統領。講和勧告を出したのだ。9月に講和条約が調印されて日本の大陸における基盤ができた。 この条約は韓国における日本の優先的な地位を認め、旅順や大連の租借権や長南と旅順口との間の鉄道の経営権を日本に譲り、サハリンの南半分を日本に割譲し、沿海州やカムチャツカの漁業権を日本に譲渡する等々を定めている。賠償金の支払いは認められていない。 講和条約が結ばれた2カ月後、桂太郎首相はアメリカで「鉄道王」と呼ばれていたエドワード・ハリマンと満鉄の共同経営に合意したが、ポーツマス会議で日本全権を務めた小村寿太郎はこの合意に反対し、覚書は破棄される。日露戦争で獲得した利権をアメリカに取られると主張したのだが、桂首相は利権をアメリカへ渡したかったのだろう。 この当時、日本にはテディ・ルーズベルトと親しい人物がいた。金子堅太郎だ。ふたりともハーバード大学で学んでいる。そのふたりを何者かが引き合わせたのだ。 日本政府の使節としてアメリカにいた金子は1904年にハーバード大学でアングロ・サクソンの価値観を支持するために日本はロシアと戦っていると演説し、同じことをシカゴやニューヨークでも語った。日露戦争の後、ルーズベルトは日本が自分たちのために戦ったと書いている。こうした関係が韓国併合に結びつく。日本の韓国併合はアメリカの戦略でもあった。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015) アメリカやイギリスにとって日本や台湾は大陸を軍事侵略する拠点であり、朝鮮半島は橋頭堡。日本人は彼らの傭兵だった。この構図は今も生きている。
2023.04.25
アメリカやイギリスは従属国を巻き込み、ウクライナのクーデター体制への軍事支援を必死に続けている。すでにNATOが保有する武器弾薬が枯渇しつつあると言われているが、ここにきて韓国に提供を求めているようだ。 そうした状況は現地に入って取材しているジャーナリストが伝えてきたが、西側では偽情報を流布しているとの批判を回避するためなのか、ウォロディミル・ゼレンスキー政権の発表、主張を垂れ流したり、西側のシンクタンクの「分析」を利用してプロパガンダを行なっている。 西側のシンクタンクは基本的に強大な私的権力の影響下にあり、「回転ドア」を通して政府とつながっている。少なからぬシンクタンクがネオコン系であり、軍需産業をスポンサーとする「ISW(戦争研究所)」を創設したキンベリー・ケイガンはネオコン一家の一員。キンベリーの夫はフレデリック・ケイガン、その兄はロバート・ケイガン、ロバートの妻はウクライナのクーデターで中心的な役割を果たしたビクトリア・ヌランド。ロバートとフレデリックの父親にあたるドナルド・ケイガンも有名なネオコンだ。 ヌランドたちが仕掛けたウクライナのクーデターは2013年11月から14年2月にかけて実行された。そのクーデターからウクライナの内戦は始まるが、アメリカのネオコンがクーデターを仕掛けた理由は2010年の大統領選挙でウクライナの東部や南部を支持基盤とするビクトル・ヤヌコビッチが勝利したことにある。 東部や南部はロシア革命以降、ロシアからウクライナへ割譲された地域で、クリミアの場合は1954年までロシア領だった。住民の大半はロシア語を話し、ロシア正教を信じている。ウクライナ語を話し、カトリック教徒が多い西部とは文化的に別だ。ネオコンはロシア文化圏にある東部や南部で「民族浄化」を行い、全地域をヨーロッパ圏にし、ロシア征服を目指そうとしていた。これは19世紀から続くアングロ・サクソンの戦略だ。ISWもそうした戦略を推進しようとしているはずだ。
2023.04.24
スーダンで4月15日にアブデル・ファッター・アル・ブルハーンが率いる正規軍とモハメド・ハムダン・ダガロが率いるRSF(即応支援部隊)が軍事衝突した。ウクライナへアメリカ/NATOが供給してきた武器弾薬の相当部分が闇市場を通じてアフリカへ流れていると言われているので、今後、戦闘が激しくなるかもしれない。 ブルハーンは2021年10月25日に軍事クーデターで実権を握った人物で、クーデターの前日にアメリカのジェフリー・フェルトマン特使に計画を伝えていたと報道されている。フェルトマンは1991年から93年にかけてローレンス・イーグルバーガー国務副長官の下で東/中央ヨーロッパを担当、ユーゴスラビアの解体に関与し、04年から08年にかけてレバノン駐在大使を務めた。 アメリカのバラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてウクライナでネオ・ナチを使ってクーデターを実行したが、その直前にビクトリア・ヌランド国務次官補(当時)とジェオフリー・パイアット大使は電話で次期政権の閣僚について話し合っている。その際、自分たちの仲間として国連事務次長だったフェルトマンの名前が登場する。 西側ではRSFがロシアの傭兵会社ワグナー・グループと関係があると宣伝されているようだが、ロシアがスーダンにおける軍事衝突に関係している可能性は小さい。その理由を元CIA分析官のラリー・ジョンソンが説明している。 ロシアの安全保障にとって重要なウクライナでの戦闘が続き、黒海艦隊の拠点があるクリミアの防衛に力を入れ、またトルコとシリアを和解させようとしている時にスーダンで新たな問題をロシア政府が引き起こすとは思えないとジョンソンはまず指摘する。 また、スーダンのブルハーン体制はロシアが紅海の沿岸に海軍基地を建設することに合意、その協定が発効する前に文民体制へ移行することになっていた。この協定でロシア軍は最大300名が駐留できる海軍基地を建設、4隻のロシア艦船を配備できるようになる。 紅海はスエズ運河を介して地中海へつながっていて、19世紀から続くアングロ・サクソンの世界支配戦略にとって重要な場所。そこにロシア海軍が基地を設けるわけだ。協定の有効期間は25年間で、双方が異議を唱えなければ10年間の自動延長となる。 2022年2月にダガロはスーダン政府の代表としてモスクワでロシアの高官と会談したが、ロシアが紅海のスーダンに海軍基地を建設することに同意した政府を転覆させようとはしないと考えるべきだ。ロシアを訪れた際、ダガロはスーダンの利益になるのであればロシアの軍事基地を建設することに何の障害もないと述べ、アメリカから非難を浴びている。 この基地建設をアングロ・サクソン、つまりアメリカやイギリスが阻止しようと考えることも容易に想像できる。実際、昨年9月にスーダンへアメリカ大使として着任したジョン・ゴッドフリーは紅海の沿岸にロシアが海軍基地を建設することを許すなとスーダン側に警告している。ゴッドフリーに言わせると、「すべての国はどの国のパートナーになるかを決める主権を持っているが、その選択は勿論、結果を伴う。」アメリカ大使はスーダンに対し、ロシアと協力すればスーダンにとって不利な「結果」がもたらされると脅したのだ。 2015年にイエメンへ軍事介入したサウジアラビア軍にスーダン軍は合流、2016年から17年にかけての時期にはRSFから4万人が派遣されたとされている。 イエメンの反政府側にはイランがついているが、サウジアラビアとイランは3月10日に共同声明を発表、中国の仲介で両国は国交を正常化させ、それぞれ大使館を再開させることを明らかにした。この合意はイエメン情勢にも影響、そこへ派遣されているRSFが何らかの行動に出たとしても不思議ではない。 ところで、スーダンは以前から戦乱で苦しんできたが、その原因は石油にある。この油田は1974年にアメリカの巨大石油会社シェブロンが発見したのだが、90年代の終盤にスーダンでは自国の石油企業が成長し、アメリカの石油企業は利権を失う。さらに中国やインドなど新たな国々が影響力を強めていった。自立の道を歩み始めた時期のスーダンを支配していたのがオマル・アル・バシールだ。 そうした中、スーダンの南部ではSPLM(スーダン人民解放軍)が反政府活動を開始する。そのSPLMを率いていたジョン・ガラングはアメリカのジョージア州にあるアメリカ陸軍のフォート・ベニングで訓練を受けた人物である。 スーダンの内戦は1983年から2005年まで続き、11年に南部が独立した。フォート・ベニングにはラテン・アメリカ各国の軍人をアメリカの傭兵として訓練する施設、WHINSEC(かつてはSOAと呼ばれた)も存在している。 その間、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、それを口実としてネオコンに担がれたジョージ・W・ブッシュ政権は侵略戦争を本格化させる。 欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官を務めたウェズリー・クラークによると、9/11から10日ほど後に統合参謀本部で攻撃予定国のリストが存在していた。そこにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが載っていたという。これはネオコンの計画にほかならない。(3月、10月)
2023.04.24
シリアに続き、ウクライナでもネオコンはロシアに敗北した。その事実を誤魔化すために戦闘の継続は有効なのだろう。そのためにアメリカ政府はウクライナのクーデター政権に対する軍事支援を継続しようとしているが、その結果、戦場になった国の人びとは破壊と殺戮の犠牲になる。 2010年の大統領選挙で選ばれたビクトル・ヤヌコビッチ大統領をアメリカのバラク・オバマ政権が2014年2月、ネオ・ナチを使って排除したところからウクライナでの戦乱は始まる。 そのクーデターは2013年11月からキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で始まった抗議集会から始まるが、当初は「カーニバル」的なイベントにすぎず、問題はないように見えた。様相が一変するのは年明け後。ネオ・ナチが前面に出てきたのだ。 ネオ・ナチのメンバーはチェーン、ナイフ、棍棒を手に石や火炎瓶を投げ、トラクターやトラックを持ち出してくる。ピストルやライフルを撃っている様子を撮影した映像がインターネット上に流れた。 ユーロマイダンでは2月中旬から無差別の狙撃が始まり、抗議活動の参加者も警官隊も狙われた。西側ではこの狙撃はヤヌコビッチ政権が実行したと宣伝されたが、2月25日にキエフ入りして事態を調べたエストニアのウルマス・パエト外相はその翌日、逆のことを報告している。バイデン政権を後ろ盾とするネオ・ナチが周辺国の兵士の協力を得て実行したということだ。 7割以上の有権者がヤヌコビッチを支持していたウクライナの東部や南部では反クーデターの機運が高まり、クーデターから間もない3月16日にはクリミアでロシアへの加盟の是非を問う住民投票が実施された。投票率は80%を超え、95%以上が賛成する。 その一方、オデッサでは反クーデター派の住民がネオ・ナチに虐殺される。そうした中、5月11日にドネツクとルガンスクでも住民投票が実施された。ドネツクは自治を、またルガンスクは独立の是非が問われたのだが、ドネツクでは89%が自治に賛成(投票率75%)、ルガンスクでは96%が独立に賛成(投票率75%)している。この結果を受けて両地域の住民はロシア政府の支援を求めたが、ロシア政府は動かない。そして戦闘が始まった。クリミアやドンバス(ドネツクとルガンスク)を制圧できなかったのはアメリカ/NATOにとって大きな誤算だった。 当時、軍や治安機関にもネオ・ナチ体制を許するメンバーは存在、ドンバスの反クーデター軍へ合流したと言われている。そうしたこともあり、ドンバスでの戦闘は反クーデター軍が優勢だった。 そこでドイツやフランスが仲介するかたちで成立したのがミンスク合意だが、キエフのクーデター政権は守らない。アメリカ支配層のやり口を知っている人びとはこの合意について時間稼ぎに過ぎないと言っていたが、その推測は正しかった。アンゲラ・メルケル元独首相は昨年12月7日にツァイトのインタビューで認め、その直後にフランソワ・オランド元仏大統領はメルケルの発言を事実だと語っている。 それから8年、アメリカ/NATOはクーデター体制の軍事力を増強、ソレダルでは岩塩の採掘場を利用して全長200キロメートルという「地下要塞」が築かれたが、同じようの要塞はドンバスの周辺に広がっているようだ。ドンバスへ軍事侵攻して住民を虐殺し始めればロシア軍が介入、それを迎え撃つための地下要塞だと推測する人もいる。 この推測が正しいなら、相当数のロシア軍がドンバスで足止めを食うことになり、クリミアが攻撃されても兵力を割けないということも想定できる。2014年にクーデターがあった直後、ウラジミル・プーチン大統領の側近のひとりはアメリカ/NATOがドンバスを攻撃した後、クリミアへ軍事侵攻するとテレビの討論番組で語っていた。 ウクライナ軍は昨年3月にドンバスへの軍事侵攻を始める予定だったと言われているが、その直前にロシア軍が動く。地上部隊を投入するのではなく、ミサイルを打ち込んだのだ。地上では現地部隊のほか、チェチェンの義勇軍や傭兵会社ワグナー・グループが主に使われている。 ドンバスを攻撃するために集結していたウクライナの軍や親衛隊はミサイル攻撃で大きなダメージを受け、要塞化された拠点も陥落していった。 親衛隊の中核だったアゾフ特殊作戦分遣隊(通称、アゾフ大隊あるいはアゾフ連隊)が拠点にしていたマリウポリもそうした要塞のある場所だったが、ロシア軍か介入した翌月になると親衛隊の人質になっていた住民が解放され始め、実態を証言、それを現地に入っていたジャーナリストが伝える。(例えばココやココやココやココ) その前から、脱出した市民がマリウポリにおけるアゾフ大隊の残虐行為を証言、映像をツイッターに載せていた人もいた。その人のアカウントをツイッターは削除したが、一部の映像はインターネット上に残っている。 フリーランスのジャーナリストのほか、フランスの有力メディアTF1やRFI、あるいはロシアやイタリア人の記者とマウリポリへ入ったとしている。その結果、西側の有力メディアが流す「報道」が偽情報、あるいは作り話だということが明らかになっていく。ウクライナのクーデター体制を支援している西側の私的権力はそうした情報をインターネット上から必死に消してきたが、人びとの気をくすべてを消し去ることはできない。 西側の有力メディアがどのように情報を改竄するかの具体例も明らかにされた。例えば、昨年3月9日にマリウポリの産婦人科病院が破壊された攻撃の場合、西側メディアはロシア軍が実行したと宣伝してた。 その宣伝でアイコン的に使われたマリアナ・ビシェイエルスカヤはその後、報道の裏側について語っている。彼女は3月6日、市内で最も近代的な産婦人科病院へ入院したが、間もなくウクライナ軍が病院を完全に占拠、患者やスタッフは追い出されてしまう。彼女は近くの小さな産院へ移動した。最初に病院には大きな太陽パネルが設置され、電気を使うことができたので、それが目的だろうと彼女は推測している。 そして9日に大きな爆発が2度あり、爆風で彼女も怪我をした。2度目の爆発があった後、地下室へ避難するが、その時にヘルメットを被った兵士のような人物が近づいてきた。のちにAPの記者だとわかる。そこから記者は彼女に密着して撮影を始めた。彼女は「何が起こったのかわからない」が、「空爆はなかった」と話したという。 つまりロシア軍の空爆ではなかったということだが、APだけでなく西側の有力メディアはロシア軍の攻撃で産婦人科病院が破壊され、母親と乳児が死傷しているというストーリーにされてしまった。 問題の病院から患者やスタッフがウクライナ軍に追い出されたことはマリウポリから脱出した市民も異口同音に語っている。その部隊はおそらくアゾフ連隊だろう。脱出した市民によると、脱出しようとした市民をネオ・ナチは銃撃、少なからぬ人が死傷したという。また市民の居住空間に入り込み、ロシア軍の攻撃を避けようとしてきたともしている。 ドイツの雑誌「シュピーゲル」はマリウポリのアゾフスタル製鉄所から脱出した住民のひとり、ナタリア・ウスマノバの証言を3分間の映像付きで5月2日に伝えたのだが、すぐに削除する。ショルツ内閣や米英の政権にとって都合の悪い事実、つまり残虐なウクライナの占領軍からロシア軍が救い出してくれたと話しているからだ。(ノーカット映像) こうした住民の証言を利用し、固有名詞を入れ替えて話を逆にし、ロシア軍を悪者にする「報道」を続けている西側の有力メディアはまだ存在するようだ。 2014年のクーデターで内戦をウクライナで始め、アメリカ/NATO軍とロシア軍を衝突させようとしてきたのはネオコンにほかならない。そのネオコンは遅くとも1992年初めにはアメリカの国防総省を制圧、2001年9月11日の出来事で圧倒的な力を持った。 統合参謀本部は支配しきれていないようだが、国務省やCIAは影響下にあり、宣伝機関として有力メディアも支配している。その有力メディアとも関係するが、多くのシンクタンクも支配されている。そうした仕組みによって人びとに幻影を見せ、彼らは世界を戦乱で破壊しようとしているのだ。
2023.04.23
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は4月14日現在、3万4915名に達した。ただし、VAERSに報告される副作用の件数は全体の1%、あるいは数%にすぎないと言われている。 接種が始まった直後から「COVID-19ワクチン」による深刻な副作用が報告されるようになり、2022年に入ると世界的に接種数が減少したのだが、それでも人類の存続が危ぶまれる事態になっている。そうした中でも日本は接種を推進、mRNA技術を使った薬品の製造工場を建設している。 日本はともかく、世界的に「COVID-19ワクチン」の接種をこれ以上進めることは難しくなっているが、アメリカでは動物へのmRNA薬品接種が進められていたようだ。豚や牛のような家畜だけでなく野生動物も対象になっている。
2023.04.22
ロバート・F・ケネディ・ジュニアが正式に次の大統領選挙へ出馬すると表明した。言うまでもなく、この人物は1968年6月6日に暗殺されたロバート・ケネディの息子であり、63年11月22日に暗殺されたジョン・F・ケネディ大統領の甥であり、99年7月16日に「飛行機事故」で死亡したジョン・F・ケネディ・ジュニアの従兄弟にあたる。 アメリカの大統領選挙は4年に1度であり、1964年、68年、2000年にも実施されている。ジョン・F・ケネディとロバート・ケネディは大統領選挙の有力候補。ジョン・F・ケネディ・ジュニア本人は大統領選への出馬を否定していたが、1999年当時、共和党のジョージ・W・ブッシュや民主党のアル・ゴアより人気があった。立候補すれば当選した可能性が高い。 RFKと親しかったマーチン・ルーサー・キング牧師は1968年4月4日に暗殺されたが、その丁度1年前、ニューヨークのリバーサイド教会で開かれた「ベトナムを憂慮する牧師と信徒」で、「沈黙が背信である時が来ている」という主催者の訴えに賛意を示し、「なぜ私はベトナムにおける戦争に反対するのか」という話をしている。 ロン・ポール元下院議員によると、キング牧師の顧問たちはベトナム戦争に反対するとリンドン・ジョンソン大統領との関係が悪化すると懸念、牧師に対してベトナム戦争に焦点を当てないよう懇願していたというが、牧師はそれを無視したわけだ。 アメリカでは第2次世界大戦後、ソ連を先制核攻撃する作戦が立てられていた。1957年に作成されたドロップショット作戦では300発の核爆弾をソ連の100都市に落とすることになっていた。 テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、統合参謀本部のライマン・レムニッツァー議長やSACの司令官だったカーティス・ルメイなどの好戦派は1963年の後半にソ連を奇襲攻撃る予定だったという。その頃になればアメリカはICBMを配備でき、しかもソ連は配備が間に合わないと見ていた。この攻撃を成功させるためにもアメリカ軍はキューバを制圧する必要があったのだ。キューバからなら中距離ミサイルでアメリカに反撃できる。ソ連もそう考えたようで、キューバへミサイルを運び込んだ。 その事実を知ったレムニッツァーやルメイたちはソ連と戦争を始めるように求めたが、ケネディ政権は海上封鎖を宣言するの止める。これでも現在、ロシアのウラジミル・プーチン政権が行なっていることより強硬だが。 この危機をケネディ大統領は外交的に解決、1963年6月10日にアメリカン大学の卒業式で「平和の戦略」と呼ばれる演説を行う。ソ連と平和共存する道を歩き始めると宣言したのだ。 その演説で彼は軍事力で世界に押しつける「パックス・アメリカーナ(アメリカ支配による平和)」をまず否定、アメリカ市民は「内へ目を向けて、平和の可能性に対する、ソ連に対する、冷戦の経過に対する、また米国内の自由と平和に対する、自分自身の態度を検討しはじめるべき」(長谷川潔訳『英和対訳ケネディ大統領演説集』南雲堂、2007年) ケネディは「互いに寛容な心をもって共存し、その紛争を公正で平和的な解決方法」に委ねるように求めた。ソ連とアメリカとの間で全面戦争が起これば、いずれの国も破壊されるとも主張、冷戦の段階でも「両国はともに無知と貧困と病気を克服するためにあてることができるはずの巨額のカネを、大量の兵器に投じている」と警鐘を鳴らした。「自信を持ち、恐れることなく、われわれは人類壊滅の戦略に向かってではなく、平和の戦略に向かって努力し続けるのです」ともしているのだが、軍事強硬派は怒る。大統領が暗殺されたのは、その演説から5カ月後のことだった。 キング牧師と親しいRFKも兄と基本的に同じ考え方だったろう。それだけでもCIAや軍の強硬派にとって危険なことだったろうが、それ以上の恐怖もあったはずだ。つまり、兄の暗殺を大統領として調べ始めることも予想された。 2001年9月11日はアメリカ、そして世界の歴史における大きな転換点になった。ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されたのだ。それを口実としてジョージ・W・ブッシュ政権は侵略戦争を本格化させた。もしJFKジュニアが大統領だったなら、こうした展開にはならなかっただろう。 そして現在、世界は2001年以上の大きな歴史の転換点にある。ヨーロッパ諸国や日本は依然としてアメリカの属国だが、世界的にアメリカ離れが起こっている。そうした国中にはドル体制やエネルギー政策を支えてきたサウジアラビアも含まれている。そうした時期に実施される大統領選挙でネオコンは負けるわけにはいかない。すでにドナルド・トランプを潰す手を打ちつつあるが、RFKジュニアの登場は彼らにとって厄介だろう。あらゆる手段を使い、RFKジュニア潰しを行うだろう。
2023.04.21
すでに「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の危険性は確認されている。現在、最も広く使われているBioNTech/ファイザーの製品やモデルナの製品はmRNAを利用、本来「ワクチン」の中にDNAは入っていないはずだが、ここにきてそのDNAが発見されているようだ。しかもファイザー製の製品に含まれていたDNAにはSV(シミアン・ウイルス)40の塩基配列の一部が入っていることがわかったのだが、そうした配列が入る必然性はないという。人間の遺伝子に手を加えようとしているとも思えるが、WHOは人間の遺伝子操作を推奨していた。 本ブログでは2020年6月7日に書いたが、SV40は発癌性のウイルス。サルを宿主とするポリオーマウイルスで、人間の体内に入り込むと癌を誘発する。1950年代にポリオ・ワクチンが開発された際、それを投与したサルがポリオを発症することが判明するが、バーニス・エディという研究者はワクチンの中にSV40が混入していることにも気づき、講演会でこのウイルスが人間の体内に入り込むと癌を誘発すると話した。 彼女はNIH(国立衛生研究所)に所属していた研究者だが、その発言にNIHの上司は激怒、組織の幹部は警告を封印し、医薬品メーカーはワクチンの製造を続ける。 1961年7月に製造は止まり、リコールが宣言されたものの、NIHは市場へ出回っている製品全てを回収することを命じなかった。そこでアメリカ人は発癌性のワクチンを1961年から63年にかけて接種されることになる。 ジョン・F・ケネディ大統領の甥に当たるロバート・ケネディ・ジュニアによると、その結果、1996年の時点で健康な男性から採取された血液試料の23%、精子試料の45%からSV40が発見され、80年から95年にかけて生まれた新生児の6%が感染していたという。(Judy Mikovits & Kent Heckenlively, “Plague of Corruption,” Skyhorse, 2020) この発癌性ウイルスの塩基配列の一部を含むDNAが「mRNAワクチン」から発見されたことを不思議に思う人は少なくない。何者かが意図的に入れたと疑われても仕方がないだろう。 「COVID-19ワクチン」は事実上、遺伝子操作薬であり、人間の細胞に病気の原因であるスパイク・タンパク質を作らせる。そうしたことから自己免疫疾患を引き起こし、その一方で人間の免疫力が低下させる。いわばエイズ状態にするのだが、その結果、通常なら問題のない微生物でも病気になり、癌も増える。 それだけでなく、mRNAを人間の細胞内へ送り込むために使われるLNP(脂質ナノ粒子)は人体に有害。体内を傷つける可能性が高いグラフェン誘導体も含まれている。 こうした危険な「COVID-19ワクチン」の接種計画はバラク・オバマ政権の時代(2009年1月から17年1月)にアメリカの国防総省が始めたとも言われている。サーシャ・ラティポワも情報公開法で入手した文書を分析した結果だ。 ロシア軍は昨年2月24日から巡航ミサイルなどでウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設などを攻撃、機密文書を回収した。その中に生物化学兵器に関する約2000文書が含まれていたが、その分析から、アメリカはウクライナで「万能生物兵器」を研究していたことが判明したとしている。 回収文書の分析を指揮してきたロシア軍のイゴール・キリロフ中将によると、ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)が管理する研究施設が約30カ所あり、生物兵器の研究開発を行っていた。ロシア国防省が発表したスライドによると、アメリカの民主党が病原体研究の思想的な支柱であり、その思想を実体化させる役割を負っているのが国防総省やCDCを含むアメリカの政府機関だ。
2023.04.20
ロシア軍は昨年2月24日から巡航ミサイルなどでウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設などを攻撃、機密文書を回収した。その中に生物化学兵器に関する約2000文書が含まれていたが、その分析を終えた。その結果、アメリカはウクライナで「万能生物兵器」を研究していたことが判明したという。 敵兵だけでなく、動物や農作物にもダメージを与えられる生物兵器を開発しているのだという。ロシア軍による攻撃でウクライナ東部にあった研究施設は破壊されたが、西部地域の施設では研究開発がまだ行われているとされている。アメリカ国防総省はそうした拠点をケニア、シンガポール、タイなどへも新たに建設しているようだ。日本に作られていないとは言えないだろう。 回収文書の分析を指揮してきたロシア軍のイゴール・キリロフ中将によると、ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)が管理する研究施設が約30カ所あり、生物兵器の研究開発を行っていた。ロシア国防省が発表したスライドによると、アメリカの民主党を病原体研究の思想的な支柱とし、その思想を実体化させる役割を負っているのが国防総省やCDCを含むアメリカの政府機関だ。 研究開発のための資金はアメリカ政府の予算からも出ているが、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、クリントン財団、ハンター・バイデンのロズモント・セネカ・パートナーズ、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団、ロックフェラー財団、エコヘルス同盟などもスポンサー、つまり私的権力からも提供されている。 こうした研究開発と「SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)」は関係していると考える人も少なくない。SARS-CoV-2はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を引き起こすとされているのだが、感染の実態は不明だ。 COVID-19騒動の幕開きは2019年12月、中国の湖北省武漢の病院でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が発見されたところから始まる。患者から回収されたサンプルが「上海市公共衛生臨床中心」の張永振へ送られて検査したところ、すぐに「新型コロナウイルス」が発見され、そのウイルスが病気の原因だと断定されたとされている。 中国で伝染病対策の責任者を務めている疾病預防控制中心の高福主任は2020年1月22日、国務院新聞弁公室で開かれた記者会見の席上、武漢市内の海鮮市場で売られていた野生動物から人にウイルスが感染したとする見方を示した。この仮説を有力メディアは世界へ拡げた。 高福は1991年にオックスフォード大学へ留学して94年に博士号を取得、99年から2001年までハーバード大学で研究、その後04年までオックスフォード大学で教えている。また、NIAID(国立アレルギー感染症研究所)の所長を務めてきたアンソニー・ファウチの弟子とも言われている。 翌年の2月4日、横浜港から出港しようとしていたクルーズ船の「ダイヤモンド・プリンセス」でも似たような症状の患者が見つかり、人びとを恐怖させることになるが、その後、「SARSと似た重症の肺炎患者」が街にあふれ、死者が急増するという事態にはなっていない。 それにもかかわらずWHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言できたのは、2009年1月から10年8月にかけて「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が流行する直前、パンデミックの定義が変更されていたからだ。定義から「病気の重大さ」、つまり死者数が多いという条件が削られていたのだ。 それでも死者が多い印象を広める必要があると考えたのか、WHOやCDC(疾病予防管理センター)は2020年4月、医学的な矛盾がなく、明白な別の死因がないならば、あるいは適度な確かさがあるならば、死因をCOVID-19としてかまわないと決めた。 アメリカ上院のスコット・ジャンセン議員によると、実際、病院は死人が出ると検査をしないまま死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいたという。その実態を告発する看護師も少なくなかった。患者数は大幅に水増しされたということだ。 また、患者数を大きく見せるためにPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)も仕掛けとして使われた。これは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する分析のための技術だが、増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎず、ウイルス自体を見つけることはできない。 増幅の回数(Ct値)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、偽陽性も増える。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」のCt値は40だ。 アメリカでは検査のため、CDCがFDA(食品医薬品局)に「2019年新型コロナウイルス(2019-nCOV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」のEUA(緊急使用許可)を発行させ、使用していたが、CDCは2021年7月、このパネルを同年12月31日に取り下げると発表した。この診断パネルはインフルエンザA型とインフルエンザB型も検出できるとされていたが、区別できないことを認めざるをえなくなったようだ。 要するに、感染の実態はわからないのだが、パンデミックを口実にして世界的に接種された遺伝子操作薬の危険性は明白になっている。自己免疫疾患を引き起こすだけでなく、mRNAを人間の細胞内へ送り込むために使われる有害なLNP(脂質ナノ粒子)、あるいは体内を傷つける可能性が高いグラフェン誘導体が含まれている。その一方で人間の免疫力が低下、エイズ状態になる。エイズ状態になれば、通常なら問題のない微生物でも病気になり、癌も増える。この遺伝子操作薬にアメリカの国防総省が関係している疑いがある。
2023.04.19
和歌山県の演説会場で金属製とされる筒状の爆発物が投げつけられた翌日から18日にかけて軽井沢町でG7外相会合が開かれた。 アメリカのジョー・バイデン政権は下院議長を台湾へ送り込み、「現状変更の試み」を始めた。リチャード・ニクソン米大統領が1972年2月に中国を訪問、中国を唯一の正当な政府と認め、台湾の独立を支持しないと表明したところから始まった「現状」を潰そうとしているのだ。 その後、アメリカは中国に新自由主義を導入させることに成功、経済界や学界などは西側志向を強めたのだが、政治の分野は共産党によって守られていて、乗っ取れないでいる。 そうした状況の中、アメリカは中国制圧を急いでいる。そこで台湾を中国から引き離し、アメリカ軍の占領下に置こうという工作を始めたわけである。アメリカが懸念しているのは、威嚇、威圧、脅迫で中国を屈服させられないことだ。 しかし、中国とのビジネスなしに存続できないEUや日本は中国とのつながりを維持しようとした。4月に入り、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、林芳正外相、そしてロシアと戦争していると公言したドイツのアンナレーナ・ベアボック外相が中国を訪問している。バイデン政権は怒ったことだろう。 2010年に行われたウクライナの大統領選挙で当選したビクトル・ヤヌコビッチ政権を13年11月から14年2月にかけてのクーデターで倒した。その時に手先として使ったのがネオ・ナチだ。 ヤヌコビッチはウクライナの東部と南部を支持基盤にしていた。ここに住む有権者の7割以上はヤヌコビッチを支持、クーデター体制を拒否する。そこで内戦がはじまったわけだ。この抵抗を許さないとアメリカの支配層は宣言、EUや日本はそのアメリカに従っている。 そうした西側で使われる「法の支配」や「国際秩序」には「アメリカにとっての」という修飾語が隠れている。日米欧にとっての「現状」とはアメリカが支配する世界を意味しているにすぎない。
2023.04.18
中国国防部の李尚福部長(国防大臣)が4月16日にロシアを訪問、セルゲイ・ショイグ国防大臣だけでなくウラジミル・プーチン大統領とも会談し、両国の軍事的な協力関係を称えた。 習近平国家主席が3月20日から22日かけてロシアを訪問していることもあり、何か大きな動きが背後であったと見られているが、言うまでもなく、中国がロシアへ武器弾薬を提供することではない。ウクライナでの戦闘ではロシア軍に兵器がなくなっている様子はなく、武器弾薬の枯渇に苦しんでいるのはウクライナ軍を支援しているアメリカ/NATOである。 ロシアや中国ではこれまで経済界やアカデミーの世界では西側志向が強く、「第五列」と言われることもあった。ところがロシアではそうした人びとのアメリカ離れが見られる。 例えば、アメリカと関係が深いと見られてきたカーネギー国際平和財団のドミトリー・トレーニン所長は(ウクライナでの)戦争が終結した後、ロシアは西側の一部になろうとはしないと発言した。西側の知識人と交流する場として作られたバルダイ・クラブの創設者であるセルゲイ・カラガノフもロシアは西側へ回帰しないと語っている。 ところで、ロシア軍の強さは2008年に示された。この年の8月、イスラエルやアメリカの支援を受けたジョージア軍が南オセチアを奇襲攻撃したが、ロシア軍に完膚なきまで叩きのめされたのだ。ロシア軍は2015年9月にシリア政府の要請で軍事介入したが、その際にも戦闘能力の高さ、そしてロシア製兵器の優秀さを世界へ示している。すでにアメリカの兵器より性能が高いロシアの兵器は中国製兵器よりも高性能だ。 アメリカは台湾、韓国、フィリピン、そして日本を使って中国に軍事的な圧力を加え、戦争勃発の可能性も小さくない。アメリカの戦略に従い、自衛隊は南西諸島に軍事施設を建設、ミサイルを配備しつつある。こうした動きに中国だけでなくロシアも反応している。 アメリカ国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が昨年に発表した報告書によると、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしているが、配備できそうな国は日本だけ。自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設、19年には奄美大島と宮古島、そして今年、石垣島でも完成させた。これもアメリカの軍事戦略の一環だろう。 しかし、日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにしている。そしてASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたという。 日本は軍事拠点を作るだけでなく、高性能兵器の開発にも乗り出していると伝えられている。例えばアメリカと共同で音速の5倍以上で侵入してくるHGV(極超音速滑空体)を迎撃するミサイル技術の研究開発を考え、昨年7月24日には宇宙航空研究開発機構(JAXA)が鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所で迎撃ミサイルに必要な速度に到達することが可能だとされるエンジンの飛行試験を初めて実施した。 極超音速で飛行するミサイル自体も研究だと言われ、HGVではなくエンジンによって推進力を得る極超音速巡航ミサイル(HCM)の開発を目指しているという。2026年には九州や北海道の島々へ配備したいようだ。 政府は国産で陸上自衛隊に配備されている「12式地対艦誘導弾」の射程を現在の百数十キロメートルから1000キロメートル程度に伸ばし、艦艇や戦闘機からも発射できるよう改良を進めていると昨年8月に伝えられているが、その背景にアメリカのGBIRM計画があった。 日本は射程距離が3000キロメートル程度のミサイルを開発し、2030年代の半ばまでに北海道へ配備する計画だとも伝えられている。それが実現するとカムチャツカ半島も射程圏内だ。 日本政府はアメリカから亜音速の巡航ミサイル「トマホーク」を購入する意向だという話もある。トマホークは核弾頭を搭載でき、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートルという。「反撃能力」というタグがつけられているが、実際は先制攻撃能力だ。攻撃する相手は中国だけでなく、その同盟国であるロシアも含まれるだろう。日本もロシアの高性能兵器のターゲットになると覚悟しなければならない。 ここにきてロシア軍の太平洋艦隊はサハリンと千島列島南部へ敵が上陸するという想定の軍事演習を実施するようだが、これは日米の動きに呼応するもの。日本だけでなくEUもアメリカの圧力でロシアと敵対する道を進んでいるが、これは破滅への道でもある。 習近平がロシアを訪問中の3月21日に岸田文雄首相はウクライナを訪問、ラーム・エマニュエル駐日米大使に絶賛されたが、ロシアや中国からは逆の見方をされているだろう。 アメリカの命令に従ったEUや日本は破滅の淵に追いやられた。そこでフランスのエマニュエル・マクロン大統領は2月25日に中国を4月初めに訪問すると発表、ロシアとの戦争を煽ってきたドイツのアンナレーナ・ベアボック外相も4月13日に訪中する。その前、4月1日には林芳正外相も中国を訪れた。ジョー・バイデン政権は怒っただろう。
2023.04.18
医薬品メーカーだけでなく監督官庁も危険性を認識しているにもかかわらず、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」と名付けられた遺伝子操作薬は世界規模で接種された。その理由のひとつが「カネ」であることは否定できない。過去の例から推測すると、公的なプロジェクトが計画されると「根回し」の段階で少なからぬカネが動く。その一部が政治家、官僚、専門家などの懐へ入ってきた。 しかし、「COVID-19ワクチン」の場合、その背後に深い闇が存在していることも事実だ。サーシャ・ラティポワは情報公開法で入手した文書を分析した結果、「COVID-19ワクチン」と称する遺伝子操作薬を摂取させる計画はバラク・オバマ政権の時代(2009年1月から17年1月)にアメリカの国防総省が始めたことがわかったという。 ウクライナでアメリカの国防総省が生物兵器の研究を進めていることをロシア政府は2014年のクーデターより前から知っていて、13年にはアメリカがハリコフ周辺にレベル3のバイオ研究施設を作ろうとしていると批判するリーフレットがまかれている。 ロシア軍は2022年2月24日に巡航ミサイルなどでウクライナに対する攻撃を始め、ハリコフ周辺を一時期制圧していた。その際、施設から機密文書を回収した可能性が高い。その攻撃では軍事基地のほか生物兵器の研究開発を行なっていた施設が破壊されている。 ロシア軍が回収した重要文書を分析しているロシア軍のイゴール・キリロフ中将によると、ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)が管理する研究施設が約30カ所あり、生物兵器の研究開発を行っていた。ロシア国防省が発表したスライドによると、アメリカの民主党を病原体研究の思想的な支柱とし、その思想を実体化させる役割を負っているのが国防総省やCDCを含むアメリカの政府機関だ。 研究開発のための資金はアメリカ政府の予算からも出ているが、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、クリントン財団、ハンター・バイデンのロズモント・セネカ・パートナーズ、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団、ロックフェラー財団、エコヘルス同盟などもスポンサーからも提供されている。 そのほか、生物兵器の研究開発システムにはアメリカ大使館、国防総省の契約企業であるメタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、スカイマウント・メディカル、そしてCH2Mヒルなど、またファイザー、モデルナ、メルク、ギリアドを含む医薬品会社が組み込まれ、ドイツやポーランドも関係する。 こうしたシステムは生物兵器の研究開発だけでなく、医薬品メーカーは安全基準を回避して利益率を上げるためにウクライナの研究施設を利用しているともいう。ファイザーやモデルナといった医薬品会社やエコヘルス同盟が関係していることからウクライナの研究所はCOVID-19にも関係している疑いがある。 キリロフが記者会見でウクライナにおける生物兵器の問題について発表した翌日の3月8日、アメリカの上院外交委員会でビクトリア・ヌランド国務次官はウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について語っている。マルコ・ルビオ上院議員の質問を受け、兵器クラスの危険な病原体がロシア軍に押収されるかもしれないと語ったのだ。つまりウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定しなかった。 ウクライナで生物兵器の研究開発施設が破壊される一方、東アジアでmRNA技術を利用した製品の製造体制が整えられつつある。例えば、中国の医薬品メーカー、石薬集団は3月22日、同社の「mRNAワクチン」が中国の保健当局から緊急使用許可を取得したと発表している。中国は外国製の「mRNAワクチン」の使用を拒否している。 日本の南相馬ではmRNA技術を利用した製品を製造する工場が建設されている。生産はアルカリスとMeiji Seika ファルマが共同で行うようだが、アルカリスはアクセリードがアメリカのアークトゥルスと合弁で設立した会社。アクセリードは武田薬品の湘南研究所がスピンオフして誕生した。 武田薬品はビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団と関係が深く、例えば同社のグローバル・ビジネス・ユニットでプレジデントを務めるラジーブ・ベンカヤはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団でワクチン・デリバリー・ディレクターを務めていた人物。ベンカヤは同財団とも関係の深いワクチン・ロビー団体とも言えるGaviの理事、CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)やIAVI(国際エイズワクチン推進構想)の理事会メンバーを務め、CFR(外交問題評議会)の終身会員でもある。 CEPIを創設したのはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団、WEF(世界経済フォーラム)、ウェルカム・トラストなど。ウェルカム・トラストの理事長を務めていたジェレミー・ファラーはWHOの主任科学者になる。 ウェルカム・トラストは2020年5月にウェルカム・リープを創設、アメリカの国防総省で新技術を研究開発しているDARPA(国防高等研究計画局)の長官を務めていたレジーナ・デューガンを雇い、CEOに据えた。ここでもアメリカの国防総省と結びつく。 武田薬品にはもうひとり、興味深い人物が幹部として在籍していた。同社の研究開発部門を統括、2021年に死亡した山田忠孝である。かれは同社へ入る前、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団でグローバル健康プログラムを指揮していた。その前はグラクソ・スミスクラインの重役だ。 山田忠孝の父親である山田忠義は渋沢敬三の秘書などを経て1952年に八幡製鉄へ入社しているが、戦争中の1940年代の前半、ヨーロッパから日本へ上海経由で逃げてきたユダヤ系の若者、ショール・アイゼンベルグを世話している。渋沢家の命令だろう。神戸へ着いた時、アイゼンベルグは19歳か20歳だった。 日本が敗戦へ向かう中、財界の大物たちに守られたユダヤ人難民は大戦後、アメリカ第8軍のロバート・アイケルバーガー司令官に可愛がられる。そのコネクションを活かし、アイゼンベルグはペニシリンの販売で大儲けしたという。 その後、アイゼンベルグは日本から追い出されるが、イスラエルの情報機関モサドの幹部としてさまざまな秘密工作に関わり、イスラエルと中国を結びつけたと言われている。似た境遇にあったジョージ・ソロスと緊密な関係にあったことでも知られている。 なお、ビル・ゲイツは長野県の別荘地、軽井沢町の千ヶ滝西区に敷地面積2万1969平方メートルという巨大な「個人の別荘」を建てたと言われている。地上1階、地下3階だという。ただ、軽井沢町役場も建設会社も秘密にしているので詳細は不明だ。
2023.04.17
ジョー・バイデン政権を狼狽させた国防総省の情報漏洩はマサチューセッツ州の州兵によってなされたとする話を疑っている人たちがいる。アメリカの軍や情報機関で機密情報を扱った経験のある人びとは州兵がそうした情報にアクセスできるとは思えないというのだ。その推測が正しいなら、ジャック・テイシェイラのほかに情報をリークした人物がいることになる。
2023.04.16
ロシアの経済活動はSCO(上海協力機構/上海合作組織)やBRICSを中心に展開されているが、そのほかEurAsES(ユーラシア経済共同体)もある。EurAsESの域内で行われるエネルギー開発などの投資プロジェクトへ融資するため、EDB(ユーラシア開発銀行)が2006年に創設された。 この銀行のメンバー国はロシアのほか、カザフスタン、ベラルーシ、タジキスタン、キルギスタン、アルメニア。EDBの経営主体である理事会の理事長を務めていたのはロシアのアントン・シルアノフ財務大臣だが、4月15日に彼はEDBロシア代表の職を解かれたのだが、これはロシアのアメリカ離れが次のステージへ移動しはじめたことを示しているのかもしれない。 シルアノフの解任は国際情勢、つまりアメリカを中心とする一極集中勢力とロシアや中国を中心とする多極化勢力の対立激化が影響しているからだという。 シルアノフはドミトリー・メドベージェフやエリヴィラ・ナビウリナ中央銀行総裁と同じように、米英金融資本と結びついていると見られてきた。メドベージェフは西側の勢力から離れ始めているとも言われているが、ロシアの金融経済を担当しているシルアノフとナビウリナは今でも西側の「第五列」と見なされている。 1991年12月のソ連消滅で中心的な役割を果たし、ソ連消滅後に議会を戦車に砲撃させて実権を握ったボリス・エリツィンの周辺には米英金融資本に操られていた腐敗勢力が存在していた。 クレムリンに巣食う腐敗勢力の中心にいたのはエリツィンの娘であるタチアナ。アルコールに溺れた生活を送り、心臓病を抱えていた父親に代わり、政府を動かしていた。ボリスは1996年にタチアナを個人的な顧問に据えている。 2000年にプーチンから解雇された彼女はその翌年、エリツィンの側近で広報担当だったバレンチン・ユマシェフと結婚している。ユマシェフの娘であるポリナ・ユマシェバと結婚したオレグ・デリパスカはロシアのアルミニウム産業に君臨するイスラエル系オリガルヒで、ナット・ロスチャイルドから「アドバス」を受ける一方、ロスチャイルド系の情報会社ディリジェンスの助けで世界銀行から融資を受け、政治面でも西側との関係を強めていたものの、プーチンとの対決は避けた。 エリツィン時代のロシアで経済政策を動かしていたアナトリー・チュバイスはタチアナの利権仲間で、HIID(国際開発ハーバード研究所)と連携、この研究所はCIAの工作資金を流していたUSAIDからカネを得ていた。エリツィンは1992年11月、チュバイスを経済政策の中心に据えている。(Natylie Baldwin & Kermit Heartsong, “Ukraine,” Next Revelation Press, 2015) 昨年2月、ロシアがウクライナに対してミサイル攻撃を始めると、ウラジミル・プーチン露大統領の無給顧問を務めていたユマシェフは辞任し、気候問題特使を務めていたチュバイスが辞任して国外へ脱出した。
2023.04.16
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は4月7日現在、3万4870名に達した。ただし、VAERSに報告される副作用の件数は全体の1%、あるいは数%にすぎないと言われている。 接種が始まって間もない2021年に「COVID-19ワクチン」の危険性が知られるようになり、世界的に接種数は減少したが、日本は例外でだった。その結果、2022年には死亡者数が大きく増えている。 その日本では昨年末から年明け後にかけて「COVID-19ワクチン」の危険性を週刊誌が取り上げると、接種数は大きく減少、今のところ増えていない。今後、接種を望む人が伸びるとは思えないが、その一方で家畜、ペット、そして野生生物に対する「mRNAワクチン」の使用が進められている。 こうした遺伝子操作薬の接種を推進してきた世界の支配者は非支配者を端末化するだけでなく、人口を減らしてAIとロボットへ切り替えようとしているように見える。
2023.04.15
フランスのエマニュエル・マクロン大統領が4月初めに中国を訪問すると発表したのは2月25日のこと。マクロンは4月5日に欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長をともなって訪中、習近平国家主席らと会談した。 EUはロシアや中国とのビジネスなしに存続することはできないが、すでにアメリカやイギリスは関係を断ち切ろうとしている。バラク・オバマ政権が2013年11月から14年2月にかけてネオ・ナチを使ったクーデターをウクライナで実行した理由のひとつは天然ガスの取り引きによるロシアとEUのつながりを断ち切ることにあった。ウクライナを迂回するパイプライン、ノードストリームの爆破はアメリカが実行した可能性が高いが、その目的も同じだ。 こうしたオバマ政権やジョー・バイデン政権の戦略は自国だけでなく「同盟国」にもロシアとの関係を破壊させ、さらに中国との関係も断ち切らせようとするもの。オバマ政権がクーデターを仕掛けた後、ロシアと中国は関係を強化した。EUの製造業は壊滅的なダメージを受けつつあり、アメリカ政府は生産拠点をアメリカへ移動させるように持ちかけているという。拠点をアメリカへ移動させれば、早晩米英の金融資本に乗っ取られるはずだ。 アメリカ政府の命令に従った政策を進めた結果、EU経済はダメージを受け、人びとの生活は劣悪化、フランスでは激しい抗議活動が展開されている。アメリカへの従属は限界に達したとマクロン政権が考えたとしても不思議ではない。 ドイツの受けたダメージも深刻だが、同国で外務大臣を務めるアンナレーナ・ベアボックは2022年8月31日から9月2日にかけてプラハで開かれた「フォーラム2000」で、「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人びとを支援する」と発言、今年1月には欧州議会で「われわれはロシアと戦争している」と公言している。民意は無視するというわけだ。2010年の大統領選挙で当選したビクトル・ヤヌコビッチをクーデターで排除して誕生したウクライナの現体制をベアボックが支持するのは必然だと言えるだろう。 そのベアボックも4月13日に中国を訪問した。中国との関係が悪化すればドイツの経済も崩壊する。ドイツ国内で製造業が存続できないことはアメリカ政府も認識、移転を持ちかけているわけだ。そうした状況にドイツの経済界は不満を持っているはずで、マクロンの中国訪問はそした不満を強めただろう。 日本もフランスやドイツと同じように、アメリカ政府の命令に従ったことで経済がダメージを受けている。4月1日に林芳正外相が中国を訪問した理由もそこにあるだろう。中国海軍の動き、ウクライナ情勢、中国で拘束された日本人の問題は建前の可能性が高い。中国側からの招待という形を取ったのも日本の立場を配慮してのことではないだろうか。何しろ日本は自他ともに許すアメリカの属国だ。
2023.04.15
国防総省の秘密情報を漏洩させた疑いでマサチューセッツ州の州兵、ジャック・テイシェイラが4月13日、FBIに逮捕されたという。この情報漏洩にはウクライナ、中東、東アジアに関するものが含まれ、アメリカ政府は軍事情報の漏洩に狼狽していた。4月10日にNSC(国家安全保障会議)戦略広報調整官のジョン・F・カービーは正当性が文書されていない文書を公にするべきでないと発言した。支配層内部の抗争による漏洩ではなかったようだ。 アメリカの「同盟国」とされているウクライナ、イスラエル、韓国などをCIAがスパイしていたことも示す文書も含まれていたが、その文書を捏造だと主張していた韓国の尹錫悦大統領は少々見苦しいことになった。 もっとも、CIAやNSAのようなアメリカの情報機関が「同盟国」の政府を監視していることは1970年代から知られていること。ランパート誌の1972年8月号に掲載された記事の中でNSAの元分析官はNSAが「全ての政府」を監視していると指摘している。西側の「友好国」もターゲットだということだ。後にドイツの首相だったアンゲラ・メルケル首相は自身の電話が盗聴されていたことを知って驚き、怒って見せたが、白々しい。そんなことは知っていたはずだ。 NSAと緊密な関係にあるイギリスの電子情報機関GCHQの活動が暴露されたのは1976年。ダンカン・キャンベルとマーク・ホゼンボールがタイム・アウト誌で明らかにしたのだが、その結果、アメリカ人だったホゼンボールは国外追放になり、キャンベルは治安機関のMI5から監視されるようになる。 そのキャンベルは1988年にECHELONという全地球規模の通信傍受システムの存在を明らかにした。アメリカのストローム・サーモンド上院議員の電話をNSAが盗聴していたとロッキード・スペース・アンド・ミサイルの従業員だったマーガレット・ニューシャムによる内部告発が基になっている。盗聴に使われたのはイギリスにある巨大通信傍受基地メンウィズ・ヒルだ。(Duncan Campbell, 'Somebody's listerning,' New Statesman, 12 August 1988) このシステムについてはニッキー・ハガーが本(Nicky Hager, "Secret Power," Craig Potton, 1996)にまとめ、ヨーロッパ議会も報告書を出している。報告書の中で監視のターゲットとされているのは反体制派、人権活動家、学生運動指導者、少数派、労働運動指導者、あるいは政敵だとしている。巨大資本やそうした組織に巣くう人びとの利益に反する可能性がある人たちだ。 アメリカなどの情報機関は自国を含む世界の要人を監視するだけでなく、トラップを仕掛けて弱みを握ってきた。例えば、ジェフリー・エプスタインは未成年の女性などを世界の有力者へ提供、その際の行為を秘密裏に撮影して脅しの材料に使っていたと言われている。 エプスタインや彼と親しい関係にあったギスレイン・マクスウェル、ギスレインの父親でミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルはイスラエル軍の情報機関(アマン)に所属していた。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019) エプスタインは性的な目的で未成年者を売買した容疑で2019年7月6日に逮捕され、8月10日にニューヨーク市にあるメトロポリタン更生センターで「自殺」、ギスレインは2020年7月2日に逮捕された。ロバートは1991年11月5日、カナリア諸島沖で自身のヨット「レディ・ギスレイン」の船上から消え、死体となって発見された。当時、CIAを含むアメリカの情報機関人脈はソ連で体制転覆計画を実行中で、ロバートはその計画で買収工作に関係していたと言われている。
2023.04.14
ジョー・バイデン政権は軍事情報の漏洩に狼狽しているようで、NSC(国家安全保障会議)戦略広報調整官のジョン・F・カービーは4月10日の記者会見で、正当性が文書されていない文書を公にするべきでないと発言した。 どうやら漏れた文書は本物のようだ。本物の情報だとするならば、内部にリークした人物がいるわけだが、その人物を守る勢力が存在しているのだろう。目的もあるだろう。つまり権力層の内部で抗争が始まった可能性がある。 例えば、内部告発を支援する活動をしてきたウィキリークスの象徴的な存在であるジュリアン・アッサンジの場合、オーストラリア人でヨーロッパで活動していたにもかかわらず、アメリカ政府はイギリスの司法システムを使って逮捕、拘束、「1917年スパイ活動法」で起訴した。アメリカへ引き渡された場合、彼は懲役175年が言い渡される可能性がある。 そのほか、イラクのアブ・グレイブ刑務所でCIAが行った拷問を告発したジャニス・カルピンスキー所長は停職になり、准将から大佐へ降格になった。同じように拷問を明らかにしたCIAの分析官だったジョン・キリアクは懲役30カ月の判決を受けている。NSAの監視システムに関する情報を明らかにしたエドワード・スノーデンはロシアから出られない状態にある。 ここにきてリークされた軍事情報によると、ウクライナの防空能力は5月23日までに壊滅的な状況になるようだ。防空システムの中心的な存在はSA-10(S-300P)とSA-11(Buk)だが、SA-11は3月31日までに使い果たし、SA-10は5月2日までになくなると分析されている。そのほかの防空システム、例えばSA-3(S-125)、SA-12(S-300V)、アメリカとノルウェーが開発したNASAAM、ドイツ、スイス、イタリアで開発されたIRIS-Tは数量が限られている。スティンガーやアベンジャーなどは近距離用で、ロシア軍機には無力だ。つまり6000メートル以上の高度を飛行するロシア軍機に対する防空能力はないと判断されている。 日本のマスコミはウクライナの戦況についてウクライナ側の発表を垂れ流してきたが、アメリカ軍はそうした情報を評価していない。信頼していないのだ。ウクライナの政府、軍、情報機関はアメリカに対しても正確な情報を伝えてこなかったのだろう。 そのウクライナ政府からも事実が漏れ始めた。例えば、バディム・プリスタイコ英国駐在大使はイギリスのイクスプレス紙に対し、当初から自軍の損害を明らかにしない方針だとしたうえで、死傷者数は身の毛のよだつ数字だと語った。 ウクライナ軍が1日に発射する砲弾の数は約7700発、ロシア軍はその3倍だとウクライナ軍当局者が話しているとも伝えられている。ウクライナ軍の戦死者数は十数万人から二十数万人、ロシア軍の約10倍以上だと推計されていた。そのロシア軍はまだ動員した兵士を事実上、投入していない。 このままロシア軍と戦闘を続けてもウクライナやその後ろ盾であるアメリカ/NATOの置かれた状況は悪くなるだけであり、止め時だと考えても不思議ではないが、ネオコンは抵抗している。 ネオコンの中にはビクトリア・ヌランド国務次官やアントニー・ブリンケン国務長官も含まれている。ヌランドは2014年2月のウクライナにおけるクーデターで中心的な役割を果たした人物で、父方の祖父母がウクライナからの移民。ブリンケンの場合、父方の祖父がウクライナ出身だ。ちなみにポーランド駐在大使を務めているマーク・ブレジンスキーの父親はアメリカの反ロシア戦略で重要な役割を果たしたズビグネフ・ブレジンスキー。この人物はポーランドの生まれだが、一族の出身地ブゼザニは現在、ウクライナに含まれている。 国家安全保障担当大統領補佐官のジェイク・サリバンは2014年当時、ジョー・バイデン副大統領の国家安全保障担当補佐官だった。エール大学時代、ローズ奨学生としてイギリスのオックスフォード大学へ留学している。 2009年にバラク・オバマ政権へ上級顧問として参加、中東から北アフリカにかけての地域で実行された体制転覆工作にも加わり、2012年にはロシアの大統領選挙に介入して反プーチンの工作を指揮したマイケル・マクフォールもローズ奨学生としてオックスフォード大学に留学した。 ちなみに、ヒラリー・クリントンの夫、ビル・クリントンもローズ奨学生だ。 ウクライナでの戦乱でロシアを疲弊させ、世界制覇を実現しようとしていたネオコンはウクライナでの敗北を認められないのだろう。認めたならアメリカでの権力抗争に敗れることになりかねない。 ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は読売新聞に対し、ドンバスでの戦況は「良くない」と認め、APに対し、バフムート(アルチョモフスク)で負けたならロシアに「妥協」しなければならないだろうと語っている。 そのバフムートをロシアのワーグナー・グループは事実上、制圧したとされている。アメリカのネオコン、イギリス政府やポーランド政府、そしてウクライナの治安機関SBUなどはゼレンスキーが敗北を認めることを容認できないはずだ。 そうした中、兵士の首を切っている場面だとする映像が流された。実際のところは不明だが、ワーグナー・グループがウクライナ軍の捕虜を殺害したと説明されている。 ロシア軍が介入した直後にウクライナ軍の敗北は決定的だったことは本ブログでも繰り返し書いてきたが、昨年5月頃には捕虜になったロシア軍を射殺する映像をインターネット上に流すウクライナ兵がいた。 そうした行為はネオ・ナチ(親衛隊)によると見られているが、彼らは住民やロシア兵を殺害するだけでない。ロシア軍の捕虜になったウクライナ兵によると、退却しようとするウクライナ兵も殺されていた。 アメリカ、イギリス、フランスなどは一部のイスラム国と連携してシリアやイランに対する軍事侵攻を2011年春に始めた。その手先になった武装集団はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団が中心だ。 リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制は2011年10月に倒され、カダフィ自身は惨殺された。その後、アメリカ/NATOは戦闘員と武器/兵器をシリアへ移動させるのだが、その際にNATO/アメリカがアル・カイダ系武装集団と連携していることが明確になった。 シリアのバシャール・アル・アサド政権を倒すためにバラク・オバマ政権は軍事援助を強化するが、アメリカ軍の情報機関DIAはそれを危険だと考え、2012年8月にホワイトハウスへ報告書を提出した。2012年当時のDIA局長はマイケル・フリン中将だ。 その報告書はオバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告、この警告は2014年にダーイッシュという形で現実なった。この武装勢力は同年1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にモスルを制圧する。 この新たな武装集団は残虐さを演出、2014年8月には12年11月から行方不明になっていたアメリカ人のジェームズ・フォーリーの首を切る映像をダーイッシュは公開した。実際に殺したのかどうかは不明だが、そうした演出をしたことは確かだ。アメリカ/NATO軍の軍事介入が必要だと欧米の人びとに印象付けることが目的だったとする見方もある。 2014年8月にフリンがDIA局長を解任され、15年2月には国防長官をチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ交代、9月には統合参謀本部議長をマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代させた。デンプシーが退任した5日後、9月30日にロシアはシリア政府の要請で軍事介入、アメリカの手先として活動していたジハード傭兵を敗走させた。ロシア軍の介入がなければ、オバマ政権はアサド政権を倒し、リビアのような無法地帯にするつもりだったのだろう。
2023.04.14
家畜、ペット、そして野生生物に対する「mRNAワクチン」の使用が注目されはじめた。こうした遺伝子操作薬を食肉になる動物へ接種することで食品が「mRNAワクチン」になると主張するする人もいる。 こうした遺伝子操作薬を「ワクチン」として製造販売している会社のひとつであるモデルナの説明を読むと、彼らはコンピュータのオペレーティング・システムと同じようなmRNA技術プラットフォームを作りたいことがわかる。そのプラットフォームによって彼らのmRNA薬を人体で機能させようとしている。 モデルナの最高医療責任者を務めるタル・ザクスは2017年12月、癌を治療するために遺伝子を書き換える技術について説明している。「生命のソフトウェアをハッキングする」というのだ。この技術で「mRNAワクチン」は作られた。 ドイツの巨大化学会社バイエルのステファン・ウールレヒも「mRNAワクチン」は遺伝子治療薬だとしている。その事実を知らせると95%の人が接種を拒否するため、「ワクチン」というタグをつけたという。 ジョセフ・メルコーラによると、ハリスワクチンの開発した豚インフルエンザ用「RNAベースのワクチン」が2012年に認可され、同社は15年に鳥インフルエンザの「mRNAワクチン」を開発した。そのハリスワクチンはメルク・アニマル・ヘルス社に買収される。 2016年にmRNAを基盤にした豚用の狂犬病ワクチンを開発したドイツのCureVacは2020年6月、「SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)用ワクチン」の試験を行うと発表しているが、そのための資金をCEPI(感染症流行対策イノベーション連合)から受け取っている。 CEPIはビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、WEF(世界経済フォーラム)、ウェルカム・トラストなどによって設立された団体。COVID-19の「ワクチン」開発ではCureVacのほか、アメリカのイノビオ・ファーマシューティカルズやモデルナが資金提供先に選ばれた。モデルナはメルクと提携し、2018年に「豚用ワクチン」のプラットフォームを開発したと発表している。またmRNA技術を利用した「ワクチン」が2018年から牛に使用されているという。 西側の私的権力が推進する遺伝子操作薬は人間の細胞にスパイク・タンパク質を生産させるのだが、そのスパイク・タンパク質が病気の原因になることは「COVID-19ワクチン」の接種が始まって間もない2021年3月、カリフォルニア州サンディエゴ郊外にあるソーク研究所が発表している。解説記事も出された。 スパイク・タンパク質は血管へ入り込み、血管にダメージを与えて血栓や出血の原因になるが、脳へも侵入する。神経系の症状が出るのもそのためだと見えられている。 脳に蓄積されたスパイク・タンパク質はそこでも炎症を引き起こし、パーキンソン病、アルツハイマー病、痴呆症などの原因になるとも指摘されている。 カナダのゲルフ大学で免疫について研究、「COVID-19ワクチン」の開発にも参加しているバイラム・ブライドル准教授によると、三角筋に接種された「ワクチン」はそこでスパイク・タンパク質を生産、血液循環システムへ送り込み、ダメージを与えて血栓を作り出したり出血させたりするのだとしている。 心筋炎や心膜炎になる若者が予想以上に多いことが表面化したのは、2021年4月。イスラエルでティーンエージャーを含む若い人びとの間で心筋に炎症を引き起こす事例が見つかり、「ワクチン」との関係が疑われたのだ。 FDAで「ワクチン研究評価室」を室長を務めていたマリオン・グルーバーと生物学的製剤評価研究センターで副センター長を務めてきたフィリップ・クラウスも執筆者に名を連ねる報告が2021年9月、イギリスの医学誌「ランセット」に掲載された。その中でmRNAを利用した製品は「心筋炎」を、またアデノウイルスをベクター(遺伝子の運び屋)に利用したジョンソン・アンド・ジョンソンやオックスフォード/アストラゼネカの製品はギラン・バレー症候群(根神経炎の一種)を引き起こす恐れがあるとしている。 かつて日本の軍医学校は東京帝国大学や京都帝国大学の医学部と共同で生物化学兵器の研究開発を進め、満州(中国東北部)で生体実験を組織的に実施、中国人、モンゴル人、ロシア人、朝鮮人などが犠牲になった。その被験者を日本軍は「マルタ」と呼んだ。 現在、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」と呼ばれる遺伝子操作薬の治験が世界的な規模で行われている。このプロジェクトはアメリカの国防総省が中心になって行われていることが公開された文書の分析から判明した。 接種が始まって間もない段階から深刻な副作用が報告され、その危険性が認識された結果、昨年から接種にブレーキがかかる。例外的に接種を続けているのが日本にほかならない。日本人が「マルタ」になったとも言えるだろう。
2023.04.13
COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動でマスクの着用が習慣化し、外せなくなった人が少なくないようだが、こうしたことはパンデミック騒動が始まる10年前に想定されていた。 ロックフェラー財団とGBN(グローバル・ビジネス・ネットワーク)が2010年5月に発表した「技術の未来と国際的発展のためのシナリオ」の中でそうしたことが見通されているのだ。その報告書では、2012年に新型インフルエンザのパンデミックが起こるという前提でシナリオが展開する。 マスクの着用、公共施設やマーケットの入り口における体温の測定が強制され、パンデミックが去った後も市民に対する独裁的な管理や監視は続き、強化されるとしている。そうすることで支配者は自らの立場を守ることができるわけだが、市民も安全と安定の代償として、自らの意思で主権とプライバシーを放棄すると報告書は見通す。正常とされていた状態には戻らないとする分析はMIT(マサチューセッツ工科大学)の「MITテクノロジー・レビュー」の2020年3月11日号にも掲載された。 パンデミック騒動中にデジタルIDは導入されなかったが、日本では住民基本台帳ネットワークやマイナンバー制度という形でデジタルIDの準備が作られたが、岸田文雄政権は健康保険証を廃止して、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」を発行するとしている。 こうした制度によって個人情報が漏れることを心配する人が少なくないが、その前に個人情報が集中管理されることが最大の問題だ。すでに個人の顔を識別するシステムが試験的に導入されているようだが、全ての人間がどこで何をしているかを逐次追跡できるようにしたのである。 こうした政策は世界規模で進められている。中でも2015年9月に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が重要だ。その背後には、言うまでもなく、欧米の強大な私的権力が存在する。 そのアジェンダによると、「SDGs(持続可能な開発目標)」を実現するため、個人を特定するためのシステムに記録されていない人びとを管理する必要があるとされ、デジタルIDの導入が進められることになった。2016年5月には国連本部でどのように導入を進めるかが話し合われ、「ID2020」というNGOが設立されている。 COVID-19騒動が始まって間もなくしてデジタルIDを導入する動きが出てくる。この騒動は遺伝子操作だけでなく、人間のデジタル管理の実現に利用されてきた。 EUではCOVID-19騒動が起こる前から、「ワクチン・カード/パスポート」を2022年に実現することを予定していた。タイミング良く騒動が始まったとも言える。こうしたデジタルIDは電子的な監視システムだけでなくデジタル通貨とリンクされ、全ての人の銀行口座も監視対象になるだろう。 また、デジタルIDをマイクロチップ化して皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合するという計画をWEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組で語っている。量子コンピュータが実用化されたなら、人間は「端末化」、あるいは「ロボット化」されるのだろう。
2023.04.12
ウクライナ軍の敗北が決定的だということは昨年2月末から3月の初めにかけての時点で明確だった。この事実はイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットの証言でも明らかだ。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はドンバスでの戦況は「良くない」と読売新聞に対して認め、ロシア軍は連日ウクライナ軍の約3倍の弾薬を発射していると語っている。3月29日にはAPに対し、バフムートで負けたならロシアに「妥協」しなければならないだろうと大統領は語ったという。 バディム・プリスタイコ英国駐在ウクライナ大使はイギリスのイクスプレス紙に対し、当初から自軍の損害を明らかにしない方針だとしたうえで、死傷者数は身の毛のよだつ数字だと語っている。ウクライナ軍の戦死者数は十数万人から二十数万人だと推計されている。ロシア軍の約10倍。そのロシア軍はまだ動員した兵士を事実上、投入していない。 日本のマスコミはウクライナ軍の敗北に「反転攻勢」というタグをつけているようだが、かつて日本の大本営が撤退を「転進」と表現していたことを思い起こさせる。ネオコンに支えられているジョー・バイデンは大統領に就任した後、「ルビコン」を渡った。回帰不能点を超えたということであり、敗北は破滅につながる。敗北は受け入れられない。ネオコンに従属している日本の「エリート」も同じ心情だろう。 追い詰められたネオコンは軍事演習を計画している。4月22日から6月23日にかけてアメリカ軍を中心に「ディフェンダー23」を、また6月12日から24日にかけてはドイツ軍を中心とする空軍の演習「エア・ディフェンダー23」をそれぞれ予定している。前者は1万7000人、後者は1万人が参加するようだが、これでは虚勢と言われても仕方がない。
2023.04.11
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は4月5日にポーランドを訪問、同国のアンジェイ・ドゥダ大統領と会談した。ドゥダはゼレンスキーに対して軍事支援の継続を約束、今後、保有する全てのMig-29を提供する用意があると語り、両国の間から国境をなくすとも話している。 ポーランドは日露戦争の前から反ロシア感情が強く、反ロシア運動の中心的な存在だったユゼフ・ピウスツキが1904年に来日し、彼の運動に協力するよう、日本側を説得している。その運動は1925年に「プロメテウス同盟」という地下組織を生み出した。 ロシアでは十月革命でボルシェビキ体制が成立すると、東部と南部へロシアの領土を割譲している。西部はカトリックの影響下にあり、反ロシア感情が強いため、東方正教会の影響下にある地域を譲る形にしたのだろう。それ以降、ウクライナにはふたつの国が存在している。アメリカのネオコンはネオ・ナチを使い、キエフでクーデターを実行して東部と南部からロシア語を話す東方正教会の信者を排除、「民族浄化」しようとしたのだ。 ポーランドは16世紀から18世紀にかけて、リトアニアと「ポーランド・リトアニア連邦」を構成、その領土が最も広かった1600年当時の復活を夢見る人びとがポーランドにはいた。この連邦はバルト海と黒海に挟まれ、カトリック教徒が多い。そしてカトリックの帝国を作ろうという動きとつながった。これが「インテルマリウム」だ。この構想はアメリカやイギリスの支配層が19世紀から計画している世界制覇戦略と利害が一致、ナチスとも連携する。 ナチスをウォール街やシティ、つまり米英の金融資本が支援していたことは本ブログでも繰り返し書いてきた。そのナチスが支配するドイツは1941年6月に軍の約4分の3をソ連へ侵攻させるが、ソ連軍の激しい抵抗にあう。1942年8月にスターリングラード市内へ突入して市街戦が始まるが、11月にドイツ軍25万人は完全包囲され、43年1月に降伏。 それまで動かなかったイギリスとアメリカはその月に動く。イギリスのウィンストン・チャーチル首相とアメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領がモロッコのカサブランカで協議、シチリア島上陸作戦が決まったのだ。この作戦は1943年7月に実行されるが、これは対ドイツ戦ではなく、対ソ連戦の始まりだ。ハリウッド映画で有名になったノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)は1944年6月になってからである。 1942年の冬にドイツのSS(ナチ親衛隊)はアメリカとの単独講和への道を探りはじめ、実業家のマックス・エゴン・フォン・ホヘンローヘをスイスにいたOSS(戦略事務局)のアレン・ダレスの下へ派遣している。そこからダレスはドイツ側との接触を繰り返したが、これは大統領に無断で行われていた。 ダレスたちは1945年初頭にカール・ウルフというナチ親衛隊の高官でハインリッヒ・ヒムラーの側近だった人物に隠れ家を提供した。ウルフはハインリッヒ・ヒムラーの側近で、ナチ親衛隊の高官。北イタリアにおけるドイツ将兵の降伏についての秘密会談も行われている。そして始まったのが「サンライズ作戦だ。(Christopher Simpson, “The Splendid Blond Beast”, Common Courage, 1995 / Eri Lichtblau, “The Nazis Next Door,” Houghton Mifflin Harcourt, 2014) 1945年に大戦が終わると、ジョバンニ・バティスタ・モンティニというローマ教皇庁の高官がナチスの大物にバチカン市国のパスポートを提供し、逃走を助けはじめた。この高官は後にローマ教皇パウロ6世と呼ばれるようになった。 逃走のために作られたルートが「ラットライン」だが、このルートを1947年から動かしていたのはアメリカの第430CICのジェームズ・ミラノ少佐。ミラノに逃走支援工作を任された人物がポール・リオンズ中尉で、リオンズの接触した相手がインテルマリウムのクルノスラフ・ドラガノビッチ神父だ。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) その間、「プロメテウス同盟」はポーランド人のグループとウクライナ人のグループで分裂、ポーランド側はウラジスラフ・シコルスキーが率い、ウクライナ側ではOUN(ウクライナ民族主義者機構)が組織された。OUNの中で暴力志向の強い人びとはステパン・バンデラを中心に集まる。いわゆるOUN-Bだ。ネオコンが2013年11月から14年2月にかけてのクーデターで使ったグループはOUN-Bの流れだ。 ポーランドのドゥダ大統領はアメリカやイギリスの政府と同じようにウクライナでの戦闘を長期化させようとしてきた。それはウクライナの破壊を意味するが、その先にウクライナの併合を見ていると推測する人もいる。
2023.04.10
陸上自衛隊のUH-60JAヘリコプターが宮古島の北西海域でレーダーから機影が消え、胴体前方下部や側面ドア、回転翼の羽根などが見つかったという。墜落したと見られているが、原因は不明のようだ。パイロットが空間識失調、あるいは心臓発作で操縦できなくなったのかもしれない。 宮古島には2019年に陸上自衛隊の駐屯地が建設されている。同じ年に奄美大島で、また2016年には与那国島、そして今年3月16日には石垣島でも自衛隊の施設ができている。 これらの軍事施設がアメリカの戦略と深く関係していることはアメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が昨年に発表している。アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしているが、配備できそうな国は日本だけ。その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされている。 アメリカは中国だけでなくロシアとの国境沿いにミサイルを配備してきた。両国を軍事的に威圧し、場合によっては先制攻撃することが目的である。「防衛」というタグを付けようと意味はない。 アメリカの偵察機U2がキューバで8カ所の対空ミサイルSA2の発射施設を発見、9月には3カ所の地対空ミサイル発射装置を確認(Jeffrey T. Richelson, "The Wizards of Langley," Westview Press, 2001)、10月には戦艦と戦闘機でキューバを海上封鎖した。「キューバ危機」だ。 ソ連がキューバへミサイルを運び込んだ理由はアメリカの核攻撃計画にあったと見られている。SAC(戦略空軍総司令部)は1954年、600発から700発の核爆弾をソ連に投下して118都市に住む住民の80%、つまり約6000万人を殺すという作戦を作成、さらに300発の核爆弾をソ連の100都市で使うという「ドロップショット作戦」も計画していたのだ。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012) テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、統合参謀本部のライマン・レムニッツァー議長やSAC(戦略空軍総司令部)の司令官だったカーティス・ルメイなど好戦派は1963年の後半にソ連を奇襲攻撃る予定だったという。その頃になればアメリカはICBMを配備でき、しかもソ連は配備が間に合わないと見ていた。ソ連が反撃するためにはアメリカの近くから中距離ミサイルを発射するしかない。 キューバ危機でケネディ大統領は10月22日キューバの海上封鎖を宣言したが、ライマン・レムニッツァー統合参謀本部議長やカーティス・ルメイ空軍参謀長など統合参謀本部の好戦派は即日ソ連を攻撃するべきだと詰め寄っていたという。 その好戦派はソ連の反撃能力を過小評価、SACはDEFCON3(通常より高度な防衛準備態勢)へ引き上げ、22日には一段階上のDEFCON2にする一方、ソ連を空爆する準備をしている。 その一方、10月27日にはアメリカ海軍の空母ランドルフを中心とする艦隊の駆逐艦ビールがソ連の潜水艦をカリブ海で発見、対潜爆雷を投下している。攻撃を受けて潜水艦の副長は参謀へ連絡しようとするが失敗、アメリカとソ連の戦争が始まったと判断した艦長はふたりの将校に核魚雷の発射準備への同意を求めた。 核魚雷は発射されなかったのは、たまたま乗り合わせていた旅団参謀が発射の同意を拒否したからだ。この核魚雷の威力は広島に落とされた原子爆弾と同程度で、もし発射されていたなら、現場にいたアメリカの艦隊は全滅、核戦争に突入した可能性が高い。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012 / Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury USA, 2017) アメリカ軍がヨーロッパや日本で行っていることは、キューバ危機においてソ連が行ったことよりも挑発的だ。なぜ陸上自衛隊のヘリコプターが宮古島の周辺を飛行していたのかを考えなければならない。
2023.04.09
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は3月31日現在、3万4828名に達した。VAERSに報告される副作用の件数は全体の1%、あるいは数%にすぎないと言われている。 ロシア軍の核生物化学防護部隊を率いているイゴール・キリロフ中将によると、アメリカはエネルギー省と国防総省を中心にして、ウクライナで病原体に関するプロジェクトを再開、生物に関する研究施設を建設し、ウクライナ人生物学者の訓練規模を拡大しているという。 サーシャ・ラティポワも情報公開法で入手した文書を分析した結果、「COVID-19ワクチン」の接種計画はバラク・オバマ政権の時代(2009年1月から17年1月)にアメリカの国防総省が始めているとしている。「COVID-19ワクチン」と称する遺伝子操作薬は生物兵器である可能性が高いと言えるだろうが、なぜエネルギー省が中心的な役割を演じているのかは疑問だ。 すでに「COVID-19ワクチン」の危険性は明確になっている。日本でも少なからぬ人が死亡し、人類存続さえ危ぶまれている。さすがに少なからぬ人が「ワクチン」の危険性に気づき、政治家、官僚、医療関係者、マスコミなどは責任を取らされる可能性を考えているだろう。それにもかかわらず強引にmRNA技術を使った製品の研究開発と製造体制の整備が急がれている。大多数の人びとが気づいていない「何か」が進行中なのかもしれない。
2023.04.08
フィンランドが4月4日に「NATO(北大西洋条約機構)」へ正式に加盟した。NATOは1949年4月に締結された北大西洋条約に基づいて設立された軍事組織。ソ連の脅威に備えるとされているが、実際はヨーロッパを支配する仕組みであり、1991年12月にソ連が消滅した後、NATOは東へ拡大しはじめ、ロシアに軍事的な圧力を加えてきた。これは新たな「バルバロッサ作戦」と考えることもできる。 言うまでもなく、バルバロッサ作戦とはドイツ軍が1941年6月に始めたソ連侵攻作戦だ。この時に東へ向かったドイツ兵は約300万人、西部戦線に残ったドイツ軍は90万人だけだと言われている。西からの攻撃をアドルフ・ヒトラーは気にしていなかった。イギリスは攻撃してこないと考えていたかのようだ。侵攻作戦が始まる前月、ヒトラーの忠実な部下だったルドルフ・ヘスが単身飛行機でスコットランドへ渡っている。 軍事侵攻の準備には半年から1年必要だったろうが、ドイツ軍は1940年9月7日から41年5月11日にかけてロンドンを空襲し、4万人から4万3000名の市民が死亡したというが、イギリスへの軍事侵攻を計画していたようには見えない。空爆の時期はバルバロッサ作戦の準備をしていたであろう時期と重なる。 バルバロッサ作戦にフィンランド人も参加していた。フィンランド政府が2019年2月に発表した報告書によると、ナチスがソ連を攻撃していた1941年から43年にかけての時期、1408名以上のフィンランド人義勇兵が「SS(親衛隊)装甲師団」に所属、ユダヤ人虐殺を含む残虐行為を行っていたという。フィンランドの正規軍も1941年にはレニングラード(現在のサンクト・ペテルブルク)に近いカレリア地方へ軍事侵攻していた。 ヨーロッパが世界大戦へ向かって動き始める切っ掛けは1938年9月に調印されたミュンヘン協定だとも言われている。ドイツ、イギリス、フランス、イタリアがミュンヘンに集まってチェコスロバキアのズデーテン地方の帰属問題について討議、ヒトラーの要求通り、チェコスロバキアを無視して同地方をドイツに属させることにしたのだ。 10月1日からドイツ軍によるズデーテン地方の占領が始まるが、その一方でポーランド軍がチェシン・シレジアへ、またハンガリー軍がカルパティア・ルテニアへ侵攻した。 ズデーテンがチェコスロバキア領になったのは第1次世界大戦の後。それまではドイツ領で、1930年代には住民の約8割がドイツ系だったという。同じように失った領土があるドイツはそれらを奪い返そうとする可能性がある。 ソ連とドイツの間にあるポーランドもドイツとの領土問題を抱えていた。ドイツ本国と東プロイセンの間にポーランド領(ポーランド回廊)ができ、東プロイセンは飛び地になっていたのだ。 しかし、その当時、ドイツとポーランドの関係は悪くない。すでにドイツはソ連への軍事侵攻を計画、ポーランドとの関係を良くしておきたかったとも言われている。 領土問題を解決するため、ドイツはひとつの案を示した。住民投票を実施してドイツへ回廊を返還する意見が多ければ返還、その際にドイツはポーランドに鉄道やバルト海へ通じる高速道路を渡すというものだ。 そうした条件で交渉はほぼ合意に達し、1939年3月21日にポーランドのジョセフ・ベック外相がドイツの首都ベルリンを訪問することになったのだが、姿を現さない。ロンドンへ向かったのである。その日、ロンドンではヒトラーをどうするか決めるため、各国の指導者が集まっていた。そして26日、ポーランドはドイツに対し、回廊をドイツに返還しないと通告する。その際、イギリス政府はポーランド政府に独立を保証していた。 同年7月23日にイギリスはソ連に交渉を申し入れるが、交渉が始まったのは8月11日。しかもイギリスは書類に署名できる立場の人間を送り込んでこなかった。 その際、ソ連のクリメント・ボロシロフ国防相(国防人民委員)とボリス・シャポシニコフ参謀総長は、ポーランドの反対が解決されればドイツを封じ込めるために軍隊をドイツとの国境へ派遣する用意があるとイギリスやフランスの代表に提案している。 イギリスのテレグラフ紙によると、ソ連が提案した部隊の規模は120歩兵師団と16騎兵師団。それに対し、イギリスの代表だったレジナルド・ドラクス提督は交渉する権限がないという理由から回答を拒否し、1939年8月23日にソ連とドイツは不可侵条約を結ぶ。 イギリス政府とポーランド政府の武器調達に関する交渉を見ていたヒトラーはイギリスがポーランドを支援する意志がないと判断、同年9月1日にドイツ軍はポーランドへ軍事侵攻した。 チェコスロバキアのケースでは黙認したイギリス、フランス、オーストラリア、ニュージーランドは9月3日に宣戦布告するが、ドイツは半年の間、目立った戦闘を行なっていない。イギリスやフランスもドイツとの本格的な戦闘を始めない。いわゆる「奇妙な戦争」の期間だ。 ドイツ軍がポーランドへ軍事侵攻した直後、イギリスとフランスは爆撃機でソ連のカフカスにある油田地帯を攻撃する計画を立てた。パイク作戦だ。1940年3月にはマークを消したイギリスの偵察機がイラクの飛行場を離陸し、バクーやバトゥーミの世紀湯施設を撮影している。イギリス側の目的はソ連を崩壊させることにあったと見られている。 ソ連は1939年9月にエストニアと、また同年10月にはリトアニアとラトビアと互助条約を結んでいるが、フィンランドには拒否されている。その当時、フィンランドで大きな影響力を持っていたリスト・ヘイッキ・リュティ首相と国防軍のカール・グスタフ・エミール・マンネルヘイム最高司令官の意志だった。 フィンランドとの条約締結に失敗したソ連は1939年11月に軍事侵攻を決断、フィンランドは2万人の兵士が戦死、領土の11%を失うことになる。そこでドイツと軍事的に結びつくことになった。マンネルヘイムは1942年6月、ヒトラーの秘密訪問を受ける。マンネルヘイムの誕生日を祝うためだった。 フィンランドのエリート社会にはアーリア人主義のカルトが広がっていたが、ドイツでは似た考え方の「トゥーレ協会」が生まれた。協会の名前は北方神話の土地、ウルチマ・トゥーレに由来し、そのシンボルはナチスと同じ鉤十字だ。 フィンランド空軍が現在でも鉤十字を使っている背景にはヨーロッパのカルトが存在していると言え、ナチスと無関係とは言えない。そうしたことを考慮しなくても、ナチスと連合してソ連軍と戦ったフィンランドの軍隊が今でも鉤十字を使っているのは無神経すぎる。いや、確信犯なのかもしれない。 イギリスでは19世紀に優生学が誕生している。チャールズ・ダーウィンの従兄弟にあたるフランシス・ゴールトンが創始者で、トーマス・マルサスの『人口論』から影響を受け、「自然淘汰」を主張していた。 そうした思想の信者にはセシル・ローズも含まれていたが、彼は自身が書いた『信仰告白』の中でアングロ・サクソンを最も優秀な人種だと位置づけ、その領土が広がれば広がるほど人類にとって良いことだと主張している。大英帝国を繁栄させることは自分たちの義務であり、領土の拡大はアングロ・サクソンが増えることを意味するというのだ。(Cecil Rhodes, “Confession of Faith,” 1877) イギリスで生まれた優生学はアメリカの支配層へ広まり、イギリス以上に社会へ大きな影響を与えることになる。支援者の中心はカーネギー財団、ロックフェラー財団、そしてマリー・ハリマンで、優生学に基づく法律も作られた。 マリーは鉄道で有名なE・H・ハリマンの妻だが、ハリマン家は金融の世界でも有名。ハリマン家の銀行で重役を務めていたジョージ・ハーバート・ウォーカーの娘と結婚したのがプレスコット・ブッシュだ。 プレスコットはウォーカーの下でブラウン・ブラザーズ・ハリマンやユニオン・バンキング・コーポレーションの重役を務めていたが、いずれもウォール街からナチスへ資金を供給する重要なルートだ。同僚のひとりにW・アベレル・ハリマンがいる。シティやウォール街から資金がドイツへ流れ込んでいる。(Christopher Simpson, "The Splendid Blond Beast," Common Courage, 1995)
2023.04.07
フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領はアメリカ軍に使用を許す同国の4基地を明らかにした。北部のカミロ・オシアス海軍基地、ラル・ロ飛行場、キャンプ・メルチョー・F・デラ・クルーズ、そして南部にあるバラバク島だ。 アメリカは1991年にスービック海軍基地やクラーク空軍基地から追い出された。ベニグノ・アキノ3世政権は2012年から両基地を再びアメリカ軍に使わせ始めたが、フィリピン国内の反アメリカ感情が強いこともあり、アメリカ軍の使用再開は慎重に行われてきたようだ。ベニグノは母親のコラソンと同じようにアメリカ支配層の代理人である。 2016年6月から大統領を務めたロドリゴ・ドゥテルテはアメリカに従属することを拒否、中国と友好的な関係を結ぼうと積極的に動く。アメリカは1998年にフィリピンへVFA(訪問軍協定)を押しつけたが、この協定の破棄をドゥテルテ大統領は2020年2月にアメリカへ通告している。 そのロドリゴ・ドゥテルテ大統領の娘であるサラ・ドゥテルテが現政権の副大統領を務めているが、アメリカの要求を受け入れることになった。 ロドリゴによると、2016年9月の段階でフィリピンの情報機関からアメリカが彼を殺したがっているという報告を受け、17年5月にはフィリピン南部にあるミンダナオ島のマラウィ市をダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)系だというマウテ・グループやアブ・サヤフが制圧している。 この地域は以前からダーイッシュが活発に動いていて、市内には500名程度の戦闘員がいると見られていたが、アメリカ軍は活動を容認してきた。ダーイッシュを傭兵として作り上げたのはバラク・オバマ政権だということは本ブログでも繰り返し書いてきた。 実は、元大統領の父親であるフェルディナンド・マルコスも1980年代に自立の道を探り始めていた。マルコスはリチャード・ニクソン政権が中国と国交を正常化する際に協力しているが、1980年代に入ると独自の政策を進めるようになり、アメリカの支配層はコントロールできなくなったマルコスを排除することにする。そして1986年2月、アメリカ軍はマルコスを拉致し、国外へ連れ出した。その工作の黒幕はネオコンのポール・ウォルフォウィッツだと言われている 当時、ネオコンはソ連の体制転覆を目的とするハンマー作戦を計画していて、資金が必要だった。数百億ドルが投入されたと推測されているが、その出所は旧日本軍が東アジアを侵略していた際に略奪した財宝を元にした資金だという。この略奪作戦は「金の百合」と呼ばれている。 マルコスはこの資金の一部を使い、権力を握ったと言われている。彼が結婚したイメルダ・ロムアルデスはアメリカ軍の情報将校と深い関係にあり、その将校は日本軍が隠した財宝の調査を行っていた。その将校の上官がエドワード・ランズデール。後にCIAの幹部として様々な秘密工作を指揮、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺でも名前が出てきた。 調査結果をランズデールはワシントンDCや東京へ報告、財宝はドイツが略奪していた「ナチ・ゴールド」と一体化して管理、後に一部は日本に引き渡されたと言われている。こうした情報はマルコスがフィリピンから連れ出された後、裁判になって浮上してきた。 フィリピンにまだ財宝が埋まっているかどうかは不明だが、もし残っているならば、それを利用してソ連を崩壊させたような作戦を再び実行しようとするかもしれない。
2023.04.06
アッサンジと豪政府 オーストラリアのアンソニー・アルバニージ―首相は3月13日にアメリカのジョー・バイデン大統領とカリフォルニア州サン・ディエゴで会談、AUKUSやQuadについて話し合ったようだ。 この訪問について緑の党のデイビッド・シューブリッジ上院議員は議場でペニー・ウォン外相に対し、アルバニージ―首相がバイデン大統領にジュリアン・アッサンジの問題を質問したかと尋ねた。 アッサンジはオーストラリア人で、ウィキリークスの象徴として内部告発を支援する活動をしていた。世界を支配するために反民主主義的なことを行ってきたアメリカの支配層にとっても目障りな存在だが、そのアッサンジをイギリスのロンドン警視庁は2019年4月11日、エクアドル大使館の中で逮捕、イギリス版グアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所で拘束。ウェストミンスター治安判事裁判所は2022年4月20日、アッサンジをアメリカへ引き渡すように命じた。 ヨーロッパを活動拠点にしてきたオーストラリア人をアメリカ政府はイギリスに逮捕させ、自国へ引き渡させようとしている。その命令にイギリスは従っている。 アメリカの当局はアッサンジをハッキングのほか「1917年スパイ活動法」で起訴している。本ブログでは繰り返し書いてきたが、ハッキング容疑はでっち上げだ。アッサンジがアメリカへ引き渡された場合、懲役175年が言い渡される可能性がある。 こうしたアメリカの「法手続き」にウォン外相は介入できないと答弁したが、外国の法手続きに介入し、拘束されたオーストラリア人を解放させた前例は複数存在する。アッサンジの場合、アメリカで逮捕されたわけではなく、イギリスも同罪だ。軍事同盟 アメリカ、イギリス、オーストラリアはAUKUSを組織している。これはインド・太平洋地域をカバーする軍事同盟で、2021年9月の創設が発表された。 その際、アメリカとイギリスはオーストラリアに原子力潜水艦の艦隊を建造させるために必要な技術を提供するとも伝えられた。ジョー・バイデン米大統領はオーストラリアへ売却する3隻のバージニア級原子力潜水艦を2030年代の初めに建造すると語っている。 その潜水艦を動かすためにはアメリカの軍人が乗り込む必要があり、事実上、アメリカ海軍の潜水艦になる。山上信吾オーストラリア駐在大使はキャンベラのナショナル・プレス・クラブで2022年11月14日、日本がオーストラリアの原子力潜水艦を受け入れる可能性があると表明した。 アメリカは2018年5月に「太平洋軍」を「インド・太平洋軍」へ変更、インド洋から太平洋にかけての海域を一体として扱うことを示した。太平洋側の拠点を日本、インド洋側の拠点をインド、そしてインドネシアで領海域をつなごうという構想で、中国が進めている一帯一路政策のうち、いわゆる「海のシルクロード」を意識しているだろう。この戦略とAUKUSは密接に結びついている。米英金融資本 金融の世界を見ると、アメリカとイギリスは一心同体の関係にある。歴史を振り返ると、アメリカの金融はJPモルガンが中心的な存在、イギリスではロスチャイルドが中心的な存在だが、両者はつがなっているのだ。 19世紀の中頃、ジュニアス・モルガンなる人物がロンドンでジョージー・ピーボディーと銀行を経営していたのだが、1857年にその銀行の業績が悪化、倒産寸前になる。そのときにピーボディーと親しかったロスチャイルド一族が救いの手を差し伸べている。 ピーボディーは1864年に引退し、ジュニアスが引き継ぐ。ロスチャイルドはジュニアスの息子であるジョン・ピアポント・モルガンに目をつけ、ロスチャイルド系金融機関のアメリカにおける代理人に据えるが、この人物がモルガン財閥の祖と言われている。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013) 1837年から1901年にかけて、イギリスを統治していたのはビクトリア女王。1840年にザクセン-コーブルク-ゴータのアルベルトと結婚すると、この夫が助言者になるが、1861年に42歳で死亡してしまう。1890年代からはネイサン・ロスチャイルド(ロスチャイルド男爵)、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット、そしてセシル・ローズらが助言者になった。 ローズは1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出し、大儲けした人物。1877年に書いた「信仰告白」の中で、アングロ・サクソンを世界で最も高貴な人種だと表現、その人種が支配地域を広げることは義務だと考えていた。要するに、優生学の信奉者だ。 彼らは世界を支配するため、ユーラシア大陸の周辺部を支配して内陸部を締め上げるという戦略を立てた。その戦略をまとめたのが地理学者ハルフォード・マッキンダー。1904年に「歴史における地理的要件」というタイトルでプランを発表している。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もマッキンダーの理論に基づく。 イギリスがインドを植民地にしたのは1757年にプラッシーの戦いで東インド会社が勝利してからだが、その前から東南アジア侵略は行われている。日本では15世紀から16世紀にかけての戦国時代、敗者は殺されるだけでなく奴隷として売買されていた。その一部は国外へ売られ、若い男は戦闘奴隷になっている。その戦闘奴隷をヨーロッパ諸国は傭兵として使っていた。 豊臣秀吉は1592年と96年に朝鮮半島を軍事侵略している。いわゆる「文禄の役」と「慶長の役」だが、その際、豊臣軍が朝鮮半島で行ったこと、つまり殺戮、略奪、拉致などは戦国時代の日本列島で行われていたことだ。米英の戦闘奴隷 そうした歴史のある日本に19世紀のイギリスは目をつけた。 イギリスは経済力では太刀打ちできない中国(清)から富を奪うため、アヘンを売りつける。麻薬取引を清が取り締まるとイギリスは戦争を仕掛けた。1840年から42年にかけての「アヘン戦争」と56年から60年にかけては「第2次アヘン戦争(アロー戦争)」だ。 戦争でイギリスは勝利したものの、征服できない。戦力が足りなかったからだ。そこで目をつけたのが日本というわけだ。彼らは長州と薩摩を利用して徳川体制を倒し、明治体制を樹立させた。いわゆる明治維新だ。 明治維新で暗躍したトーマス・グラバーは1859年、ジャーディン・マセソンのエージェントとしてウィリアム・ケズウィックと共に来日している。横浜を拠点にしたケズウィックの祖母は同社を創設したひとりであるウィリアム・ジャーディンの姉である。 ジャーディン・マセソンは中国の茶や絹をイギリスへ運び、インドで仕入れたアヘンを中国へ持ち込むという商売を行っていたが、儲けの大半はアヘンの取り引きによるもので、事実上、麻薬業者だった。 グラバーとケズウィックが来日した1859年にイギリスのラザフォード・オールコック駐日総領事は長州から5名の若者をイギリスへ留学させることを決める。選ばれたのは井上聞多(馨)、遠藤謹助、山尾庸三、伊藤俊輔(博文)、野村弥吉(井上勝)。5名は1863年にロンドンへ向かうが、この時に船の手配をしたのがジャーディン・マセソンにほかならない。 明治政権は琉球を併合した後、1874年5月に台湾へ軍事侵攻、75年9月に李氏朝鮮の首都を守る要衝の江華島へ軍艦を派遣して挑発、「日朝修好条規」を結ばせて清国の宗主権を否定させることに成功した。 1894年に甲午農民戦争(東学党の乱)で体制が揺らぐと日本政府は「邦人保護」を名目にして軍隊を派遣、その一方で朝鮮政府の依頼で清も軍隊を出して日清戦争につながった。 この戦争で勝利した日本はロシアへ接近することが予想された閔妃を1895年に暗殺する。三浦梧楼公使の下、日本の官憲と「大陸浪人」をが宮廷を襲撃し、閔妃を含む女性3名を殺害したのだが、その際に性的な陵辱を加えたとされている。その中心にいた三浦梧楼公使はその後、枢密院顧問や宮中顧問官という要職についた。 閔妃惨殺の4年後、中国では義和団を中心とする反帝国主義運動が広がり、この運動を口実にして帝政ロシアは1900年に中国東北部へ15万人の兵を派遣。その翌年には事件を処理するために北京議定書が結ばれ、列強は北京郊外に軍隊を駐留させることができるようになった。 イギリスはロシアに対抗するため、1902年に日本と同盟協約を締結し、その日本は04年2月に仁川沖と旅順港を奇襲攻撃、日露戦争が始まる。日本に戦費を用立てたジェイコブ・シッフはクーン・ローブを経営していた人物。 クーン・ローブはドイツ系移民、アブラハム・クーンとソロモン・ローブがニューヨークで設立した金融機関だが、その経営を任されたジェイコブ・シッフはロスチャイルド家に近かった。ポール・ウォーバーグとフェリックス・ウォーバーグはシッフの甥にあたる。またシッフはジョン・ロックフェラーの会社、スタンダード石油の金融戦略を担当していた。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013) 1905年5月にロシアのバルチック艦隊は「日本海海戦」で日本海軍に敗北するが、そこで登場してくるのが「棍棒外交」のテディ・ルーズベルト米大統領。講和勧告を出したのだ。9月に講和条約が調印されて日本の大陸における基盤ができた。 この条約は韓国における日本の優先的な地位を認め、旅順や大連の租借権や長南と旅順口との間の鉄道の経営権を日本に譲り、サハリンの南半分を日本に割譲し、沿海州やカムチャツカの漁業権を日本に譲渡する等々を定めている。賠償金の支払いは認められていない。 講和条約が結ばれた2カ月後、桂太郎首相はアメリカで「鉄道王」と呼ばれていたエドワード・ハリマンと満鉄の共同経営に合意したが、ポーツマス会議で日本全権を務めた小村寿太郎はこの合意に反対し、覚書は破棄される。日露戦争で獲得した利権をアメリカに取られると主張したのだが、桂首相は利権をアメリカへ渡したかったのだろう。 この当時、日本にはテディ・ルーズベルトと親しい人物がいた。金子堅太郎だ。ふたりともハーバード大学で学んでいる。そのふたりを何者かが引き合わせたのだ。 日本政府の使節としてアメリカにいた金子は1904年にハーバード大学でアングロ・サクソンの価値観を支持するために日本はロシアと戦っていると演説し、同じことをシカゴやニューヨークでも語った。日露戦争の後、ルーズベルトは日本が自分たちのために戦ったと書いている。こうした関係が韓国併合に結びつく。日本の韓国併合はアメリカの戦略でもあった。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015) 1923年に起こった関東大震災の復興資金調達が切っ掛けになって日本はウォール街、特にJPモルガンの影響下に入る。そのJPモルガンは1932年にジョセフ・グルーを駐日大使として日本へ送り込んできた。 1932年にアメリカでは大統領選挙があり、ニューディール派のフランクリン・ルーズベルトが当選している。この結果を憂慮したウォール街の大物たちがファシズム体制の樹立を目指してクーデターを計画したことは本ブログでも繰り返し書いてきた。このクーデターを潰したのが伝説的な軍人であるアメリカ海兵隊のスメドリー・バトラーだ。 グルーは松平恒雄宮内大臣、徳川家達公爵、秩父宮雍仁親王、近衛文麿公爵、樺山愛輔伯爵、吉田茂、牧野伸顕伯爵、幣原喜重郎男爵らと親しかったが、その中でも特に緊密だったのは松岡洋右だという。松岡の妹が結婚した佐藤松介は岸信介や佐藤栄作の叔父にあたる人物だ。 1941年12月7日に日本軍はハワイの真珠湾を奇襲攻撃、日本とアメリカは戦争に突入する。翌年の6月にグルーは離日するが、その直前に商工大臣だった岸信介からゴルフを誘われてプレーしたという。(Tim Weiner, "Legacy of Ashes," Doubledy, 2007)植民地 オーストラリアは1770年にイギリス人のジェームズ・クックがオーストラリアに上陸、勝手に領有を宣言して以来、イギリスの植民地だったが、1901年にイギリスの自治領になる。現在の元首はイギリス国王のチャールズ3世で、デイビッド・ハーレーが連邦総督を務めている。 オーストラリアが米英の植民地だということを示す出来事が1975年にあった。当時の首相、ゴフ・ホイットラムがイギリス女王エリザベス2世の総督だったジョン・カーに解任されたのだ。 ホイットラムは1972年12月の総選挙で勝利して首相に就任すると、自国の対外情報機関ASISに対してCIAとの協力関係を断つように命令、アメリカの情報機関は危機感を募らせる。 イギリスのジャーナリスト、デイビッド・レイによると、ウイットラムはチリのクーデターに関する情報を入手、チリでASISがCIAと共同でサルバドール・アジェンデ政権を崩壊させる工作を実行していたことを知っていたという。(David Leigh, "The Wilson Plot," Pantheon, 1988) また、オーストラリアのパイン・ギャップにはCIAの通信傍受施設があるのだが、その使用期限が迫っていたこともアメリカ側を懸念させていた。 この施設は1966年12月に結ばれた秘密協定に基づいて建設されたもので、協定の有効期限は10年。1976年までに更新しないと基地を閉鎖しなければならない。ホイットラムが更新を拒否することをアメリカ側は懸念していた。 そこでCIAは1975年11月、ジョン・カーにホイットラム首相を解任させたのだ。実際に動いたのはアメリカのCIAやイギリスのMI6だが、総督がいなければ解任できなかった。総督は名誉職だと考えられていたが、そうではなかったのである。 アメリカのジャーナリスト、ジョナサン・ウイットニーによるとカーは第2次世界大戦中の1944年、オーストラリア政府の命令でアメリカへ派遣されてCIAの前身であるOSS(戦略事務局)と一緒に仕事をしている。大戦後もCIAと深い関係にあった。(Jonathan Kwitny, "The Crimes of Patriots," Norton, 1987)
2023.04.05
東アジアでの軍事的な緊張が急速に高まっているが、そうした状況を作り出しているのはネオコンをはじめとするアメリカの好戦派にほかならない。岸田文雄、菅義偉、安倍晋三、野田佳彦、菅直人・・・いずれの内閣ともネオコンの操り人形にすぎない。日本の政治家に焦点を合わせた議論は無意味だ。 日本は中国やロシアと戦争する準備を進めているが、それはアメリカの支配層から命令されてのこと。アメリカ政府も背後の強大な私的権力に操られている。その私的権力は19世紀に作成した世界制覇計画に基づいて動いてきた。「軍産複合体の利益」は副産物にすぎない。 日本は明治維新以来、イギリスとアメリカの私的権力、より具体的に言うならば米英金融資本に支配されてきた。その支配システムが天皇制官僚体制であり、この構図は第2次世界大戦の前も後も基本的に変化していない。明治体制が続いているのだ。 勿論、そうした流れの中にも波はある。直近の波は1991年12月にソ連が消滅した時に始まった。その波の性格は1992年2月に国防総省で作成されたDPG(国防計画指針)草案に書かれている。 20世紀の前半からアメリカの国務省はファシストの巣窟だったが、その背後には金融資本が存在していた。ナチスの資金源がウォール街やシティ、つまりアメリカやイギリスの金融資本だということは本ブログでも繰り返し書いてきた通り。 近代ヨーロッパは南北アメリカ大陸、アフリカ、アジア、オーストラリアなどから資源、財宝、知識を略奪して始まった。 まず、11世紀から15世紀にかけて中東を軍事侵略(十字軍)、財宝や知識を手に入れ、スペインやポルトガルは15世紀になると世界各地で略奪を開始する。1521年にはエルナン・コルテスが武力でアステカ王国(現在のメキシコ周辺)を滅ぼして莫大な金銀を奪い、それ以降、金、銀、エメラルドなどを略奪、先住民を使って鉱山を開発した。 そうして手に入れた財宝を海賊に奪わせていたのがイギリス。14世紀から16世紀にかけて起こったルネサンスはそうした略奪と殺戮の上に成り立っている。 インドへの侵略と略奪で大儲けしたイギリスは中国(清)に手を伸ばすが、経済力では太刀打ちできない。そこで中国にアヘンを売りつけ、1839年から42年にかけて「アヘン戦争」を仕掛けた。1856年から60年にかけては「第2次アヘン戦争(アロー戦争)」。この戦争でイギリスが手に入れた香港はその後、秘密工作や麻薬取引の拠点になる。犯罪都市になったとも言える。 こうした戦争でイギリスは勝利したものの、征服はできなかった。戦力が足りなかったからだ。そこで目をつけたのが侵略拠点としての日本列島であり、傭兵としての日本人だ。イギリスは長州と薩摩を利用して徳川体制を倒す。これが明治維新であり、天皇制官僚体制の始まりだ。 こうした仕組みを揺るがす出来事が1932年にアメリカで起こる。巨大資本の意向通りに動かないニューディール派のフランクリン・ルーズベルト(FDR)が大統領に選ばれたのだ。そこでウォール街の大物たちがクーデターを計画したことは本ブログでも繰り返し書いてきた。FDRの立場は反ファシズム、そして反帝国主義でもあり、そのために帝国主義者のウィンストン・チャーチルとは関係が良くなかった。 ウォール街やシティはナチスへ資金を提供、ナチスが実権を握るとドイツとロシアとの関係は悪化する。1941年5月にはアドルフ・ヒトラーの忠実な部下だったルドルフ・ヘスが単身飛行機でスコットランドへ飛んび、イギリス政府と何らかの話し合いを持つ。ドイツ軍がソ連に対する侵攻作戦を始めたのはその翌月だ。この侵攻作戦はバルバロッサ作戦と呼ばれているが、この時に東へ向かったドイツ兵は約300万人、西部戦線に残ったドイツ軍は90万人だけだと言われている。 これだけの作戦を実行するためには半年から1年の準備期間が必要であり、1940年夏から41年初頭から準備を始めていたと推測できる。その時期、つまり1940年9月7日から41年5月11日にかけてドイツ軍はロンドンを空襲していた。4万人から4万3000名のロンドン市民が死亡したという。ドイツ軍によるロンドン空襲は陽動作戦と考えることができる。 ソ連の外交官や情報機関は1941年1月の段階でドイツ軍がその年の6月からソ連侵攻作戦を始めるとクレムリンに警告していたが、ヨシフ・スターリンは動かなかった。ロシア革命以降、ソ連軍とドイツ軍の関係は良く、スターリンはその関係を警戒していたとも言われている。 実際、ドイツ軍は1941年6月にソ連に対する軍事侵略を開始、7月にはレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)を包囲、9月にはモスクワまで80キロメートルの地点まで迫った。イギリスは動かない。 アドルフ・ヒトラーは10月3日、ソ連軍は敗北して再び立ち上がることはないとベルリンで語り、またチャーチル英首相の軍事首席補佐官を務めていたヘイスティングス・イスメイは3週間以内にモスクワは陥落すると推測していた。(Susan Butler, “Roosevelt And Stalin,” Alfred A. Knopf, 2015) 1941年12月に日本軍はマレー半島と真珠湾を奇襲攻撃してイギリスだけでなくアメリカとも戦争を始めるが、その翌月、1942年1月にドイツ軍はモスクワでソ連軍に降伏する。この段階でドイツの敗北は決定的だった。アメリカが参戦しなくてもヨーロッパではドイツが敗北し、ソ連が勝利することは確定的だった。 ドイツ軍は1942年8月にスターリングラード市内へ突入して市街戦が始まる。当初はドイツ軍が優勢に見えたが、11月になるとソ連軍が猛反撃に転じ、ドイツ軍25万人はソ連軍に完全包囲された。そして1943年1月にドイツ軍は降伏。その月にFDRとチャーチルはモロッコのカサブランカで協議、シチリア島上陸作戦が決まる。この作戦は1943年7月に実行されるが、これは対ソ連戦の始まりだ。ハリウッド映画で有名なノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)は1944年6月になってからである。 この年の11月にアメリカでは大統領選挙があり、FDRが勝利した。すでにドイツの敗北は決定的であり、必然的に日本の敗北も視野に入っていた。戦争終結後にもFDRが大統領を務めるということは、ウォール街とファシズムとの関係が追及される。 金融資本にとって危機的な状況だと言えるが、こうした事態にはならなかった。FDRが1945年4月12日に急死したからだ。中心人物を失ったニューディール派の影響力は急速に弱まり、「赤狩り」もあってホワイトハウスの政策が帝国主義に戻る。 ドイツはFDRが死亡した翌月の1945年5月に降伏、チャーチルをすぐにソ連への奇襲攻撃を目論み、JPS(合同作戦本部)に対して作戦を立案を命令、5月22日に提出された案が「アンシンカブル作戦」だ。 その作戦によると、攻撃を始めるのは1945年7月1日。アメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始める想定になっていた。この作戦は発動しなかったのは、参謀本部が5月31日に計画を拒否したからである。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) この作戦を無用にした別の理由が7月16日にニューメキシコ州のトリニティ実験場で実施されたプルトニウム原爆の爆発実験。この実験の成功で原爆製造への道が開け、正規軍による奇襲攻撃の必要がなくなったのである。爆発実験の実施日は当初、7月18日と21日の間とされていたが、ハリー・トルーマン大統領の意向でポツダム会談が始まる前日に行われた。 トリニティでの実験成功を受けてトルーマン大統領は原子爆弾の投下を7月24日に許可。そして26日にアメリカ、イギリス、中国はポツダム宣言を発表、8月6日に広島へウラン型を投下、その3日後に長崎へプルトニウム型を落としている。 原子爆弾の研究開発プロジェクトはマンハッタン計画と呼ばれているが、その計画を統括していた陸軍のレスニー・グルーブス少将(当時)は1944年、同計画に参加していたポーランドの物理学者ジョセフ・ロートブラットに対し、その計画は最初からソ連との対決が意図されていると語ったという。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017) 8月6日に広島へ原爆を投下しなければならない理由もあった。1945年2月、クリミアのヤルタ近くで開かれたアメリカ、イギリス、ソ連の首脳による話し合いでソ連の参戦が決まっていたのだ。ドイツが降伏し、ヨーロッパでの戦争が終結してから2カ月から3カ月後にソ連が日本に宣戦布告するという取り決めがあった。 この時のアメリカ大統領はルーズベルト。ソ連が参戦して中国東北部へ軍事侵攻、そのまま居座る事態をトルーマン政権は避けたい。中国を国民党に支配させようとしていたからだ。ソ連に撤退させる「何か」が必要だった。 ナチスによるソ連征服が失敗し、大戦は終結、チャーチルは1946年3月にアメリカのフルトンで「鉄のカーテン演説」を行い、「冷戦」の幕開けを宣言した。公開されたFBIの文書によると、チャーチルは1947年にアメリカのスタイルズ・ブリッジス上院議員に対し、ソ連を核攻撃するようハリー・トルーマン大統領を説得してほしいと求めている。(Daniel Bates, “Winston Churchill’s ‘bid to nuke Russia’ to win Cold War - uncovered in secret FBI files,” Daily Mail, 8 November 2014) このチャーチルを「最初のネオコン」と呼ぶ人もいるが、ネオコンは1992年2月にDPG(国防計画指針)草案という形で世界制覇計画を作成した。「唯一の超大国」になったアメリカは他国に配慮することなく単独で好き勝手に行動できる時代が来たと考えたのだ。 そのドクトリンは第1の目的を「新たなライバル」の出現を阻止することだとしている。旧ソ連圏だけでなく、西ヨーロッパ、東アジア、東南アジアにアメリカを敵視する勢力が現れることを許さないというわけだ。言うまでもなく、日本がアメリカのライバルになることも許されない。その上でアメリカの戦争マシーンの一部になるということだ。 その時の国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツだ。そのウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから、DPGは「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 そのドクトリンに基づき、ジョセイフ・ナイは1995年2月に「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表した。日本に対し、アメリカの戦争マシーンの一部になれという命令だろうが、当時の日本にはその道を歩こうとしない政治家もいたようだ。 そうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件)た。その10日後には警察庁の國松孝次長官が狙撃されている。8月には日本航空123便の墜落に自衛隊が関与していることを示唆する大きな記事がアメリカ軍の準機関紙とみなされているスターズ・アンド・ストライプ紙に掲載された。 結局、日本は戦争への道を歩み始め、自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設、19年には奄美大島と宮古島にも作り、23年には石垣島でも完成させた。 アメリカの国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が昨年に発表した報告書によると、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしているが、配備できそうな国は日本だけ。その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにする。そしてASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたという。 岸田政権は昨年12月16日に「国家安全保障戦略(NSS)」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」の軍事関連3文書を閣議決定し、2023年度から5年間の軍事費を現行計画の1.5倍以上にあたる43兆円に増額し、「敵基地攻撃能力」を保有することを明らかにした。日本政府が言う「敵基地」には軍事基地のほか工業地帯やインフラも含まれている。
2023.04.04
ロシア軍は昨年2月24日から巡航ミサイルの「カリブル」などでウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設などを攻撃し始め、機密文書を回収している。この攻撃でウクライナにおける生物化学兵器の研究開発は難しくなり、アメリカ国防総省は拠点をケニア、シンガポール、タイなどへ移動させているようだ。日本でも研究開発を行う可能性は否定できない。 現在、ウクライナで行われている戦乱の直接的な原因は2013年11月から14年2月にかけて行われたクーデターだ。その黒幕はアメリカのバラク・オバマ政権。2014年2月に入るとNATOの訓練を受けたネオ・ナチがチェーン、ナイフ、棍棒を手にしながら石や火炎瓶を投げはじめ、ブルドーザーなども持ち出してきた。 キエフのクーデターで2014年2月にビクトル・ヤヌコビッチ大統領が排除されるが、ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部では住民が反クーデターで立ち上がる。いち早く動いた南部のクリミアでは住民がロシアとの一体化を選んだが、オデッサでは反クーデター派の住民がネオ・ナチに惨殺され、東部のドンバスでは内戦が始まった。 ウクライナの軍や治安機関の一部メンバーもドンバスの反クーデター軍に参加したこともあり、戦況は反クーデター軍が優勢だった。オバマ政権は内務省にネオ・ナチを主体とする親衛隊を設立、キエフにCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み、傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名もウクライナ東部の作戦へ参加させた。2015年からCIAはウクライナ軍の特殊部隊をアメリカの南部で訓練し始めたともいう。 しかし、それでもクーデター軍の劣勢は変わらない。そこでドイツやフランスを仲介役として停戦交渉が始まり、ミンスク合意が成立するのだが、キエフのクーデター政権は合意を守らなかった。 その当時から指摘されていたが、この合意はクーデター政権の戦力を増強するための時間稼ぎに過ぎず、キエフ政権が合意を守らないのは当然だったのだ。 この事実はアンゲラ・メルケル元独首相が昨年12月7日にツァイトのインタビューで認めている。その直後にフランソワ・オランド元仏大統領はメルケルの発言を事実だと語っている。1インチたりともNATOを東へ拡大させないという約束が嘘だったように、ミンスク合意も嘘だった。 アメリカ/NATOの軍事力増強計画が達成されたと思われる2022年2月、ロシア軍は先手を打った。そして現在の戦闘が始まったわけだ。 その直後にウォロディミル・ゼレンスキー政権はウラジミル・プーチン政権と和平交渉を始める。仲介役はイスラエルのナフタリ・ベネット首相(当時)だ。ベネットによると、話し合いで双方は妥協に応じ、停戦は実現しそうだった。それを壊したのはアメリカとイギリスだ。 ゼレンスキー政権はアメリカやイギリスの圧力でロシアと戦う道を進まざるをえなくなった。その代償としてアメリカ/NATOは兵器を提供し、兵士を訓練してきたのだが、その戦闘によってウクライナは国として機能しなくなり、十数万人から二十数万人が戦死したと推測されている。 そして、ワーグナー・グループを率いるイェフゲニー・プリゴジンがバフムート(アルチョモフスク)を事実上、制圧したと発表した3月29日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はAPに対し、バフムートで負けたならロシアに「妥協」しなければならないだろうと語ったという。その前にゼレンスキー大統領は読売新聞に対し、ドンバスでの戦況は「良くない」と認め、ロシア軍は連日ウクライナ軍の約3倍の弾薬を発射していると語っている。 アメリカの支配層はロシアや中国の周辺にある自分たちの属国に核兵器を配備しているが、ウクライナにも配備を予定していただろう。これは実現しなかったようだが、約30カ所に生物化学兵器の研究開発施設を建設した。ロシア政府は遅くとも2013年にはこうした施設の建設を批判している。つまり、クーデターの前からアメリカはウクライナで生物化学兵器の研究開発を始めていたわけだ。 その施設が2022年2月に始まったロシア軍の攻撃で使えなくなった可能性が高く、別の国に新たな施設を作ることになる。その国がケニア、シンガポール、タイなどだが、日本にはアメリカの国防総省が計画したと言われているmRNA技術を使った製品を製造する工場が作られつつある。この製品は生物化学兵器だとも言われている。 アメリカでは1943年にUSBWL(陸軍生物兵器研究所)がキャンプ・デトリック(後のフォート・デトリック)を建設し、生物化学兵器の研究開発が始まるが、本格化するのは第2次世界大戦後のことだと言われている。ドイツや日本の研究資料や研究者を押さえてからだ。 日本では1933年に軍医学校が東京帝国大学や京都帝国大学の医学部と共同で生物化学兵器の研究開発を始めたが、正確なデータを得るため、日本では生体実験が組織的に実施されている。犠牲になったのは主に中国人、モンゴル人、ロシア人、朝鮮人。こうした人びとを日本軍は「マルタ」と呼んだ。 生体実験を実施するため、軍の内部に特別な部隊が占領地である中国で編成される。当初は加茂部隊や東郷部隊と呼ばれたが、1941年からは第731部隊と呼ばれている。第731部隊の隊長は1936年から42年、そして45年3月から敗戦までが石井四郎、その間、42年から45年2月までを北野政次が務めた。 1945年8月には関東軍司令官の山田乙三大将の名前で部隊に関連した建物は破壊され、貴重な資料や菌株は運び出された。捕虜の多くは食事に混ぜた青酸カリで毒殺される。事態に気づいて食事をとならなかった捕虜は射殺され、死体は本館の中庭で焼かれ、穴の中に埋められたという。 石井たち第731部隊の幹部は大半が日本へ逃げ帰るが、日本の生物化学兵器に関する情報はアメリカ軍も入手していた。1946年に入ると石井たちアメリカ軍の対諜報部隊CICの尋問を受けることになるが、厳しいものではなく、資料はアメリカ側へ引き渡された。 尋問の過程でGHQ/SCAPの情報部門G2の部長を務めていたチャールズ・ウィロビー少将と石井は親しくなり、隊の幹部たちはアメリカの保護を受けるようになる。日本が提供した資料や研究員はドイツから提供された知識と同じように、アメリカにおける生物化学兵器開発の基盤になった。 1950年6月に朝鮮戦争が勃発、52年2月に朝鮮の外務大臣はアメリカ軍が細菌兵器を使用していると国連に抗議した。アメリカ側は事実無根だと主張したが、1970年代にウィリアム・コルビーCIA長官は議会証言の中で、1952年にアメリカ軍が生物化学兵器を使ったと認めている。 朝鮮戦争が始まると、アメリカ軍は輸血体制を増強しなければならなくなり、「日本ブラッドバンク」が設立されたが、北野政次が顧問に就任するなど、この会社は第731部隊と深い関係がある。後に社名は「ミドリ十字」へ変更され、「薬害エイズ」を引き起こすことになる。現在は田辺三菱製薬の一部だ。 第731部隊を含む日本の生物化学兵器人脈は「伝染病対策」の中枢を形成することになる。その拠点として1947年には国立予防衛生研究所(予研)が創設された。当初は厚生省の所管だったが、1949年には国立になる。1997年には国立感染症研究所(感染研)に改名された。
2023.04.03
ウラル山脈の中にある都市、エカテリンブルグでウォール・ストリート・ジャーナルの記者、エバン・ゲルシュコビッチが3月29日、あるいは30日にロシアのFSB(連邦安全保障局)に逮捕されたようだ。アメリカの記者が逮捕されたのは冷戦以来、初めてだという。ゲルシュコビッチはウクライナでの戦争やワーグナー・グループを調査、ロシア当局によると、記者の立場を利用して軍需企業に関する機密情報を入手していたようだ。 ゲルシュコビッチ個人の話ではないが、ウォール・ストリート・ジャーナルを含む西側の有力メディアはウクライナの戦況やロシアの状況について正しい情報は伝えてこなかった。アメリカ/NATOの好戦派が人びとに信じさせたい話を流してきたわけで、ゲルシュコビッチがジャーナリストとしての仕事をしていたとは言い切れない。 そもそもジャーナリストの仕事は情報機関の仕事と似ている。違いは誰のために隠された情報を調べるのかということだ。ジャーナリストは情報を公にするのだが、情報機関は権力者に情報を知らせる。権力者と癒着し、重要な情報を庶民に伝えないならば、「ジャーナリスト」というタグをつけていようと、情報機関のエージェント、あるいは手先にすぎない。 日本でもマスコミは基本的に支配体制のために存在している。かつては気骨ある記者が活躍する余地が存在していたが、1980年代にそうした記者は駆逐された。東電福島第一原発の炉心溶融事故やCOVID-19に関する「報道」を見るだけでもわかるだろう。 ウクライナ東部のドンバスでは2014年からクーデター軍と反クーデター軍との間で内戦が続いている。クーデター軍の主体はネオ・ナチであり、後ろ盾はアメリカ/NATOだ。地元の記者によると、アメリカ/NATOの情報機関が好んで利用する隠れ蓑は援助隊員、OSCE(欧州安全保障協力機構)、ジャーナリストだ。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、アメリカの支配層は第2次世界大戦が終わって間もない頃から情報操作を目的とするプロジェクトを始めた。「モッキンバード」である。 このプロジェクトをCIAで担当していたのはコード・メイヤーで、実際の活動を指揮していたのはアレン・ダレス、ダレスの側近だったフランク・ウィズナーとリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムだとされている。(Deborah Davis, “Katharine The Great”, Sheridan Square Press, 1979) グラハムは第2次世界大戦中、陸軍情報部に所属、中国で国民党を支援する活動に従事していた。その時の仲間のひとりがヘルムズ。そのほか後にCIA副長官になり、CSISの創設に関わったレイ・クライン、グアテマラのクーデターなどに参加し、ウォーターゲート事件で逮捕されたE・ハワード・ハント、そしてさまざまな秘密工作に関与し、駐韓米軍の司令官を務め、WACL(世界反共連盟)の議長を務めたことジョン・シングローブも含まれる。 ワシントン・ポスト紙の記者として「ウォーターゲート事件」を暴いたカール・バーンスタインはリチャード・ニクソン大統領が辞任した3年後の1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書いている。 その記事によると、1977年までの20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは400名以上に達し、1950年から66年にかけてニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供したとバーンスタインにCIAの高官は語ったという。ニューズウィーク誌の編集者だったマルコム・ミュアは、責任ある立場にある全記者と緊密な関係をCIAは維持していたと思うと述べたとしている。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977) CIAのメディア支配はアメリカ国内に留まらない。例えば、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)紙の編集者だったウド・ウルフコテは2014年2月、ドイツにおけるCIAとメディアとの関係をテーマにした本を出版、その中で多くの国のジャーナリストがCIAに買収されていて、そうした工作が危険な状況を作り出していると告発している。 CIAに買収されたジャーナリストは人びとがロシアに敵意を持つように誘導するプロパガンダを展開し、ロシアとの戦争へと導いて引き返すことのできないところまで来ていると彼は警鐘を鳴らしていた。彼の警告通り、アメリカ/NATOはロシアと核戦争する寸前まできている。なお、ウルフコテは2017年1月に心臓麻痺で死亡した。 西側で権力犯罪を暴くとどうなるかはジュリアン・アッサンジの例をみるだけでもわかる。彼は内部告発を支援してきたウィキリークスの象徴的な人物だ。アメリカの支配層にとって都合の悪い情報を明らかにしたわけである。 アッサンジは2019年4月11日、ロンドンのエクアドル大使館でロンドン警視庁の捜査官に逮捕された。それ以降、イギリス版グアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所で拘束されている。容疑はハッキングのほか「1917年スパイ活動法」に違反したとしているが、ハッキングはでっち上げだったことが明らかになっている。 ハッキングで最も重要なアメリカ側の証人はシギ・トールダルソン。2010年当時、ウィキリークスの活動にボランティアとして参加していたが、後にFBIへの情報提供者になった。ウィキリークスはこの人物が寄付のうち5万ドルを横領したと疑っていた。 トールダルソンはアッサンジが2010年の初めにアイスランド政府のコンピュータに侵入して情報を盗むように指示したなどと主張したが、後にそれは嘘だとメディアに証言している。トールダルソンは第三者から書類を受け取り、チェックしないままアッサンジに渡したという。 その当時、トールダルソンは「サブ」と呼ばれていたヘクター・ザビエル・モンセガーと接触していた。この人物はハッキング・グループのリーダーだが、逮捕され、懲役124年が言い渡される可能性があった。そこで司法取引に応じ、FBIの情報提供者になったのだ。 アメリカの当局はアッサンジがスパイ行為を働いたとしているが、彼はオーストラリア人であり、活動の中心はヨーロッパ。アメリカがアッサンジを国外で拘束し、処罰できるということになると、世界のどこにいてもアメリカの犯罪的な行為を明らかにするとアメリカの刑務所へ入れられることになる。 アメリカの支配層を怒らせたであろうウィキリークスが発表した情報のひとつはイラク戦争における行為。イラク戦争においてアメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターが2007年7月、ロイターの特派員2名を含む非武装の一団を銃撃して十数名を殺害する場面を撮影した映像を公開したのだ。 また、2016年のアメリカ大統領選挙でDNC(民主党全国委員会)がヒラリー・クリントンを勝たすためにバーニー・サンダースの足を引っ張ったことも明るみにだした。その実態を明らかにする電子メールをウィキリークスが明らかにしたのである。それを誤魔化すためにアメリカの有力メディアがCIAやFBIと共謀して引き起こしたのが「ロシアゲート」騒動だ。 ゲルシュコビッチのケースは情報が少ないので何とも言えないが、有力メディアの対応がアッサンジのケースと違いすぎる。
2023.04.02
東京琉球館で4月21日午後7時から「中露を中心に動き始めた世界でアメリカ帝国は生き残れるか?」というテーマで話す予定ですが、満席になり、受け付けを終了したそうです。ありがとうございます。 アメリカとイギリスの金融資本を中心とする支配システムが崩れ始めていますが、そのスピードが予想より早く、アメリカ、イギリス、ポーランド、ドイツなどの反ロシア勢力は焦っているようです。イギリスは劣化ウラン弾を供給すると宣言したのに対し、ロシア政府はベラルーシに核兵器を配備する計画を明らかにしました。 ネオコンなどの反ロシア勢力は「脅せば屈する」という思い込みで傲慢なことを行ってきましたが、話し合いは無理だと判断したロシアは受けて立つ決断をしたように見えます。そのロシアは中国と同盟関係を強化、経済面だけでなく軍事面の結びつきも強まりそうです。 ウクライナで敗北したアメリカ/NATOは東アジアへの「転進」を目論み、日本はその手先になろうとしているようですが、これは破滅への道以外の何ものでもありません。
2023.04.02
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は3月24日現在、3万4747名に達した。VAERSに報告される副作用の件数は全体の1%、あるいは数%にすぎないと言われている。 医薬品業界で四半世紀にわたって研究開発に携わってきたサーシャ・ラティポワによると、「COVID-19ワクチン」と称する遺伝子操作薬を摂取させる計画はバラク・オバマ政権の時代(2009年1月から17年1月)にアメリカの国防総省が始めている。彼女が情報公開法で入手した文書を分析した結果だ。 ウクライナでは東部ドンバスの反クーデター派を攻撃する準備をキエフ政権は進めていたが、その計画が実行される直前の2022年2月24日にロシア軍はウクライナに対するミサイル攻撃を始めた。 巡航ミサイル「カリブル」などで航空基地が破壊されたと言われているが、その際にウクライナの生物兵器研究開発施設も狙われている。その際、ロシア軍はウクライナ/アメリカ側の機密文書を回収したが、その中には研究開発施設からのものも含まれている。 ロシア軍の核生物化学防護部隊を率いているイゴール・キリロフ中将は同年3月7日に記者会見を開き、ウクライナの生物兵器の研究開発施設から回収した文書について語っている。それによると、ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あり、生物兵器の研究開発を行っていたとしている。文書の一部も公表した。 3月8日には上院外交委員会でビクトリア・ヌランド国務次官はウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について質問され、ロシア軍に押収されるかもしれないと懸念している。つまり、ウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定しなかった。 ウクライナにおける生物兵器の研究開発にはCOVID-19も関係している疑いがあり、ラティポワの分析と矛盾しない。 COVID-19騒動の幕開きは2019年12月の終わりだった。中国の湖北省武漢の病院でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が発見され、サンプルが「上海市公共衛生臨床中心」の張永振へ送られて検査、すぐに「新型コロナウイルス」が発見され、そのウイルスが病気の原因だと断定される。 中国で伝染病対策の責任者を務めている疾病預防控制中心の高福主任は2020年1月22日、国務院新聞弁公室で開かれた記者会見の席上、武漢市内の海鮮市場で売られていた野生動物から人にウイルスが感染したとする見方を示した。この仮説を有力メディアは世界へ拡げた。 高福は1991年にオックスフォード大学へ留学して94年に博士号を取得、99年から2001年までハーバード大学で研究、その後04年までオックスフォード大学で教えている。また、NIAID(国立アレルギー感染症研究所)の所長を務めてきたアンソニー・ファウチの弟子とも言われている。 1972年2月にアメリカとの国交を正常化させた中国では新自由主義を導入、1980年9月には新自由主義の教祖的な存在であるミルトン・フリードマンが中国を訪問している。 1980年代の後半になると社会の歪みが深刻化、88年に実施した新自由主義的な「経済改革」は深刻なインフレを招いて社会は不安定化するが、ビジネスやアカデミーの世界はアメリカをはじめとする西側への従属度を強めていく。その力が政治の世界へ浸透することを防いできたのが共産党のシステムに他ならない。西側が中国共産党を憎悪するのはそのためだ。 NIAIDは2014年からコロナウイルスの研究費としてエコヘルス連合へ数百万ドルを提供、その一部は「武漢病毒研究所(WIV)」の研究員へ提供されていたと伝えられている。エコヘルス連合はWHO(世界保健機関)へアドバイスする立場にあり、NIAIDの上部機関であるNIH(国立衛生研究所)からWIVの石正麗へ研究費として370万ドルが提供されていたとも伝えられた。これに似た構図の仕組みがウクライナにもあった。 石正麗を中心とするチームはSARSに似たコロナウイルスのスパイク・タンパク質が人間などの細胞のACE2(アンジオテンシン変換酵素2)と結びつくメカニズムを研究、石はノースカロライナ大学のラフル・バリックとも協力関係にあった。 石とバリックは2015年11月にSARSウイルスのスパイク・タンパク質をコウモリのウイルス(SHC014-CoV)のものと取り替えて新しいウイルスを作り出すことに成功したとも言われている。またコウモリのコロナウイルスを操作してほかの種を攻撃させる方法をバリックは石に教えたともいう。 WIVと同じように注目されている武漢大学動物実験センターはアメリカのデューク大学を関係が深く、両大学は2013年に昆山杜克大学を創設した。デューク大学はアメリカ国防総省の「DARPA(国防高等研究計画局)」と協力関係にあり、そのDARPAは2018年からコウモリからヒトへコロナウイルスを伝染させる研究を開始、中国との国境近くに研究施設を建設している。 中国のアカデミーとアメリカの富豪との関係を示す一例は中国科学院大学でも見られる。ここは教育省によって承認された高等教育機関で、中国科学院に所属、疾病預防控制中心やビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団と共同でCNVC(中国ワクチン学コース)を開設した。 中国政府は2020年2月からCOVID-19対策を中国軍の陳薇に指揮させている。疾病預防控制中心など米英との関係が深い部署には任せなかったわけだが、その理由は明らかだろう。信頼していないのだ。 陳は生物化学兵器の専門家で、2002年から中国で広まったSARSを押さえ込んだのも彼女のチーム。その時の経験からインターフェロン・アルファ2bを使ったところ、2019年のケースでも効果があり、早い段階で沈静化させることに成功した。 インターフェロン・アルファ2bはキューバで研究が進んでいる医薬品で、リンパ球を刺激して免疫能力を高める働きがあるとされている。吉林省長春にも製造工場があり、中国の国内で供給できた。この事実は中国やキューバなどで報道され、中国の習近平国家主席がキューバのミゲル・ディアス-カネル大統領に謝意を述べたとも伝えられている。 2020年2月4日にFDAは「2019-nCoVリアルタイムRT-PCR診断パネル」のCDCによるEUA(緊急使用許可)を発行したが、SARS-CoV-2は単離されていない。その未確認のウイルスに国際ウイルス分類委員会は2月11日、「SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)」という名称をつけた。 アメリカのカリフォルニア州サンディエゴ郊外にあるソーク研究所は2021年3月、「スパイク・タンパク質」自体が病気の原因になっている可能性があると発表している。解説記事も出された。スパイク・タンパクが血管へ入り込むことで血管にダメージを与え、血栓や出血の原因になるということであり、脳へウイルスが侵入した形跡がないにもかかわらず、神経系の症状が出るのもそのためだと見えられている。 カナダのゲルフ大学で免疫について研究、「COVID-19ワクチン」の開発にも参加しているバイラム・ブライドル准教授によると、三角筋に接種された「ワクチン」はそこでスパイク・タンパク質を生産、血液循環システムへ送り込み、ダメージを与えて血栓を作り出したり出血させたりするのだとしている。 心筋炎や心膜炎になる若者が予想以上に多いことが表面化したのは、2021年4月だった。イスラエルでティーンエージャーを含む若い人びとの間で心筋に炎症を引き起こす事例が見つかり、「ワクチン」との関係が疑われたのだ。 同じことがアメリカでも起こっている。CDCのACIP(予防接種実施に関する諮問委員会)も「mRNAワクチン」と「穏やかな」心筋炎との間に関連がありそうだと言わざるをえなくなった。 FDAで「ワクチン研究評価室」を室長を務めていたマリオン・グルーバーと生物学的製剤評価研究センターで副センター長を務めてきたフィリップ・クラウスも執筆者に名を連ねる報告が2021年9月、イギリスの医学誌「ランセット」に掲載された。その中でmRNAを利用した製品は「心筋炎」を、またアデノウイルスをベクター(遺伝子の運び屋)に利用したジョンソン・アンド・ジョンソンやオックスフォード/アストラゼネカの製品はギラン・バレー症候群(根神経炎の一種)を引き起こす恐れがあるとしている。 言うまでもなく、「COVID-19ワクチン」が引き起こす深刻な副作用はこれ以外にもある。生殖能力を破壊する可能性もあり、人類は存続の危機に直面しているとも言われている。そうした事態を西側の私的権力が推進しているのだ。
2023.04.01
ロシアの傭兵会社、ワーグナー・グループを率いるイェフゲニー・プリゴジンによると、3月29日に彼らはバフムート(アルチョモフスク)を事実上、制圧したという。その日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はAPに対し、バフムートで負けたならロシアに「妥協」しなければならないだろうと語っている。 ゼレンスキー大統領は読売新聞に対し、ドンバスでの戦況は「良くない」と認め、ロシア軍は連日ウクライナ軍の約3倍の弾薬を発射していると語っている。西側の有力メディアはロシア軍の武器弾薬が枯渇していると宣伝してきたが、枯渇しているのはアメリカ/NATO。それをゼレンスキーも認めたと言えるだろう。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、ロシア軍がウクライナをミサイル攻撃しはじめて間もない頃、ゼレンスキー政権はロシア政府と停戦交渉を始めていた。その仲介役だったのがイスラエルの首相だったナフタリ・ベネット。 そのベネットによると、ウクライナ政府とロシア政府は話し合いで双方が妥協、停戦は実現しそうだったという。2022年3月5日にベネットはモスクワでプーチンと数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけ、その足でベネットはドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会っている。 ところが、ウクライナの治安機関SBUはその3月5日、キエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺した。SBUは2014年のクーデター以来、事実上、CIAの下部機関として機能している。停戦を許さないという強いメッセージをアメリカのジョー・バイデン政権はゼレンスキー政権に伝えたということだろう。 昨年4月、西側の有力メディアはロシア軍がブチャで住民を虐殺したと宣伝し始める。マクサー・テクノロジーズなる会社から提供された上空から撮影された写真を持ち出し、3月19日に死体が路上に存在していたと主張しているが、疑問が噴出する。 この主張が正しいなら、19日から約2週間、道路上に死体は放置されていたことになるが、その間、氷点下になったのは28日の早朝だけである。29日には17度まで上昇した。つまり死体は腐敗が進んだはずだが、そうしたことにはなっていない。 4月2日にはネオ・ナチを主体に編成された親衛隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)がブチャに入っているとニューヨーク・タイムズ紙には報じたが、アゾフと同じネオ・ナチでライバル関係にあるというボッツマンのチームも4月2日には現場へウクライナ警察の特殊部隊と一緒に入っているという。ボッツマンのチームはウクライナ軍を示す青い腕章をつけいない人物の射殺を許可されていたとされている。 その2日、ウクライナ国家警察は自分たちが行った掃討作戦の様子をインターネット上に公開した。そこには大破した自動車の中に死体が映っていたものの、そのほかに死体は見当たらない。そこで、国家警察は死体を隠したのではないかと疑う人もいる。国家警察はブチャで親衛隊と行動をともにしていたので何が起こったかを知っていたはずだが、その死体を親衛隊が何に使うつもりかを知らなかった可能性がある。 つまり、ブチャでの住民虐殺はロシア軍と友好的に接した住民を親衛隊が殺した可能性が高いのだが、ベネットによると、その事件によってロシア政府とウクライナ政府の停戦交渉は壊れた。 そして4月9日、ボリス・ジョンソン英首相はキエフへ乗り込んでロシアとの停戦交渉を止めるように命令。4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対し、ウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めている戦闘を継続させたのはゼレンスキー政権でなく、アメリカ/NATOだということである。 すでにウクライナ軍の戦死者はロシア軍の10倍以上、十数万人から二十数万人だと推計されている。兵器だけでなく兵士も足りない。それを傭兵でカバーしているのだが、その出身国はポーランドやイスラエルが多いことが通信の傍受で明らかになった。さらにチェチェンでロシア軍と戦い、シリアでアメリカの傭兵として戦っている戦闘員、あるいはベラルーシの傭兵もいる。アメリカ/NATOはウクライナで敗北した後、ロシアでテロ活動を始める準備をしているとも言われている。
2023.04.01
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