2013年11月07日
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                     いちじょう じ     あそ         いとう  じんさい 
一乗寺に遊ぶ     伊藤 仁斎

  しゅうしょく  そうぼう   すいび   のぼ       くも   ろうじゅ  まじ   かり はじ     と
  秋色  蒼茫  翆微に上り    雲は老樹に交わり雁 初めて飛ぶ

   さんえん かき じゅく からす ふく    さ      けいかん きのこ おお  ひと  お     かえ
  山園  柿 熟し 鳥 銜んで去り   渓澗 蕈  椆 く 人 負うて帰る

  まち とお      み   ちり  ばくばく       はやし ふか     ただみ  きり   ひひ
 市遠ければ看ず塵の漠々たるを  林 深ければ只見る霧の霏々たるを

  たず     ほっ  たじつ み  す        ところ     ひえい さんぜん  やすい  いそ
 尋ねんと欲す他日身を棲ましむる処    比叡  山前 野水の磯

雁の群れ 林 烏柿食う
                 (詩文に合わせた挿入写真を作る)
1、秋に気配を感じる瓜生山に上り中腹から初めて雁の群れを見た。

2、更に進むと山園の柿をカラスがつついていたが、そのうち柿を銜えて飛んで行
  った。羽音が耳をつく。
3、進むにつれ林は深くなっていった。

 詩文説明
瓜生山(京都一乗寺)の広く青々として秋の気配が満ちている中を中腹位まで登ってきた。さらに
上方を見ると、雲は老樹の木立と絡み空には、今年初めて見る雁が列をなして飛んでくる。更に
進んでいくと、山園に、柿が赤く熟れ、柿をつついて食していた鳥が羽音とともに飛び去って行った。
谷川付近では茸類が多く採れるとみえ、それを背中のかごに入れて帰る村人たちを見かけた。この
一乗寺辺りの村は、街から遠く離れているので、塵や埃はなく、空気がきれいだ。見える物
といえば、林が深い為、立ち込めた霧だけである。将来、静かに暮らす処とすれば、比叡山の麓、
つまり、この清澄な水をたたえた河原のある一乗寺村の辺りだろう。

比叡山 京都瑞巌寺 
1、霧の中、谷川付近で椎茸を入れた籠を背負っていく村人に出会った。湿地の
  為、茸類が採れるのだろう。
2、此処は比叡山の近くで、人里離れていて空気も水も澄んでいる。
3、瑞厳山園光寺(京都一乗寺)

近江の水 清澄な川
◎将来 棲む処といえば、比叡山の麓でこうゆう塵埃のない野水のきれいな一乗
  寺辺りに住みたいとなあ。

 作者  伊藤仁斎  1627~1705 (寛永4~宝永) 江戸初期の儒者。幼名は源七・源蔵。名は維貞。字は源佐、号は仁斎。別号古義堂・棠隠。
京都の人。古義学派の創始者。その塾古義堂に全国より集まる門弟3000余、学界の一方の勢力と
なった。
一生仕官せず、貧苦の中に学問に努め、寛文(1661~1673)初年朱子学を宋儒の独断論
として、直接孔孟の原点に聖人の本旨を求める復古学を主張。朱子学の理気説と現実を無視する静
的世界観に対して、宇宙人道の活動的立場をとる一元気論を唱えた。学風は道徳論が中心で、
仁と義の解明を通して政治論が展開された。死後、弟子たちから古学先生と諡された。以後、
長男東涯が古義堂を守り、江戸の荻生徂徠と拮抗し学界を動かした。
主著「孟子古義」「童子問」「語孟宇義」など 
(角川書店.日本史辞典)








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最終更新日  2014年03月10日 12時07分05秒
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