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30日報道によれば、トヨタ労組が今年のベースアップ要求を出さないと決めたそうです。。これは、もう春闘という日本的な風物詩の終焉ではないだろうか?ビル・トッテンさんが、春闘を推進するような大手の組合そのものに対して疑問を呈しています。大企業の組合はこれまでのような認識では生きて行けないことを、自戒すべきなんでは? デフレ脱却を目指す安部政権下で春闘が始まった、結果は多くの人の賃金に影響するが、非正規労働者など、賃上げに縁の無い人もいる。春闘は私たちの暮らしを豊にできるのか。 ビル・トッテンさんが朝日オピニオンで「組合いらぬ会社が理想」と説いているので、紹介します。(デジタル朝日ではこの記事が見えないので、1/30朝日から転記しました・・・そのうち朝日からお咎めがあるかも) 春闘ですか?私は来日して43年半になりますが、後半にあたるこの20年間は、春闘は世間で大きな話題になっていないような気がします。 私が日本で会社を立ち上げた1970年代から80年代にかけては、労使が激しくやりあって、春闘も注目の的でした。強かった組合は賃上げを勝ち取っていました。 しかし、経済が失速し「失われた20年」と言われている、この期間は逆です。組合は弱くなり、経営者の意見ばかりが通っているように思います。 日本は終身雇用制度を中心とした家族的な雇用形態を守るべきでした。それが、日本企業の強みだったからです。しかし、米国式の能力給や雇用の流動化を目指した。っそのため労組は弱体化し、優秀な労働者が切り捨てられることが起きて、企業の元気もなくなったのです。 経営者がそこで働く人を本当に大切にしていたら、労働者は組合を作る必要はありません。理想論かもしれませんが、春闘なんてなくなるんです。 家族的経営を掲げている従業員830人ほどの私の会社では組合はありません。従業員に「組合つくったら」と言ったこともありますが、必要ないようです。実際、我が社は2000年代に入って大きな組織改革をしましたが、ボトムアップで意見が出て実行できました。 今、多くの経営者は株主の方ばかり見て、目先の利益ばかり追い求めています。そして、簡単に利益を出しやすい、給与カットかリストラに走る。国や社会に奉仕するという理念を持つ創業者があ去り、サラリーマン社長ばかりになったから、昨今はなおさらこの傾向が強い。 しかも、これからもっと労働者には厳しい社会が来るかもしれません。安部信三首相はアベノミクスと言われる経済対策を掲げていますが、消費税増税でさらに景気が冷え込むでしょう。 日本全体の景気が落ち込めば、我が社の利益も減ってしまう。私の給料も減額する。また、中長期的に考えて、エネルギーを浪費し、ゴミを出す経済自体が続くとも思えません。 だから、私は自分を守るため、自給自足に近い生活ができるように動いています。窓の外の庭を見て下さい。かつてテニスコートだったところを手入れして、ネギ、ニンニク、大根などを植えています。蜂蜜も採取するし、昨年からは鶏を飼い始めました。かなりの食料をまかなえます。 我が社では06年から、家庭菜園用の農地を借りる社員に年間2万円を補助しています。全社員の一割ほどにあたる80人ほどが利用しています。彼らは本気ですし、私も「晴耕雨読」の生活を続けていきます。
2013.01.31
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日曜日の朝日新聞に読書欄があるので、ときどき切り取ってスクラップで残していたのだが、これを一歩進めて、無料デジタル版のデータで残すことにしたのです。・・・・で、1/27のお奨めです。・あふれる「○○力」牧野智和さんが選ぶ本・こころ朗らなれ、誰もみなさっそく、図書館に借り出し予約するのもいいかもね。********************************************************************************あふれる「○○力」牧野智和さんが選ぶ本より「○○力」小史<生き方の定番が揺らいで:牧野智和(早稲田大非常勤講師)> 昨年のベストセラー1位は阿川佐和子『聞く力』(文春新書・840円)だとのこと。「○○力」ものはもう出尽くしたと思っていたのだが、まだこのブームは続く、いや、一つの定番と化したのかもしれない。 『聞く力』以前にも、渡辺淳一『鈍感力』、姜尚中『悩む力』、池上彰『伝える力』など、「○○力」もののベストセラーはあった。この系譜はどこから続いているのだろうか。 私の見立てでは、1998年に刊行された赤瀬川原平『老人力』が有力な「起源」だ。老いの兆候だとネガティブに捉えがちなことを「老人力」と言い換えることで、機知とユーモアをもって老いとつきあえるようになる。「老人」と「力」という意外な言葉の掛けあわせに、そんな効果があると知らしめた本だ。 言葉の掛けあわせによる化学反応を狙って、「○○力」はこの頃から増え始める。女性誌「anan」では同じく98年に「恋愛力」特集が組まれ、ビジネス誌では2000年以後に「仕事力」等の特集が次々と組まれるようになる。その動きは書籍へ、そして「人間力」(内閣府03年)、「社会人基礎力」(経済産業省06年)等の中央省庁による提言へと広がっていく。■自分を操作する 恋愛ではなく、恋愛力。こう言い換えられるとき、何が起こるのだろうか。「一歩引く」ことになるのだと私は思う。つまり、ただ恋愛に没入するのではなく、「恋愛力は意識的に高められる」として、自らの振る舞いを一歩引いて観察し、また操作しようというモードになるのだ。 「○○力」が次々と生まれ、世の中に広がることは、今まで漫然と見過ごされてきたさまざまな事柄が、「実はそれってコントロールできるものなんですよ」と書き換えられていくことなのではないか。日常はこうして、自己啓発の実験場になる。このような議論の先駆としては、森真一『自己コントロールの檻』を参照されたい。 今まで気づかなかったことに意識的になった結果、目の前の悩みが解決するかもしれない。それはそれでいいことだ。だが、自己コントロールのチェックポイントが増えるというのは、自分を窮屈にしてしまいかねない。鈍感であることをあえてコントロールする、日々の言葉一つ一つに気を配る、異性に愛されるような振る舞いを意識的に行う、等々。これらは、自分の心の内に「あそび」をなくしてしまうような気がするのだ。■私たちの現地点 ところで、なぜ次々と「○○力」が生まれ続けるのだろうか。包括的な説明を試みるならばこうだろう。かつて世の人々に共有されていた生き方や働き方についての「定番」が揺らぎ、人々は自らの力で、人生のさまざまな局面をサバイバルしていかねばならなくなった。そのような変化の対応物が世にあふれる「○○力」なのだ、と。こうした「揺らぎ」については、ジグムント・バウマン『リキッド・ライフ』が参考になるだろう。 このとき、人生における失敗は「○○力」を高められなかった個々人の責任になる。嫌な時代になったものだ、と思うかもしれない。だが逆に、世に喧伝(けんでん)される「○○力」とは、いま何が揺らぎ、何が新たに作り直されようとしているのかをまさに示しているのだとも考えられないか。そう観察するならば、世にあふれる「○○力」は、私たち(の社会)の現地点を教えてくれる「ナビ」に姿を変えるのだ。 ◇【代表例:聞く力】 阿川佐和子著、文藝春秋、2013年刊<「BOOK」データベースより>頑固オヤジから普通の小学生まで、つい本音を語ってしまうのはなぜか。インタビューが苦手だったアガワが、1000人ちかい出会い、30回以上のお見合いで掴んだコミュニケーション術を初めて披露する―。 <「○○力」について:大使寸評>「○○力」ものとしては、赤瀬川原平『老人力』を嚆矢とするが、歴代「○○力」もののトップだと思うわけで、やはり言った者勝ちというか・・・コロンブスの卵のような衝撃があったのです(笑)昨年のベストセラー1位は阿川佐和子『聞く力』だったそうだが、まだやっていたのか・・・このような「柳の下のドジョウ」式販売戦略について牧野智和さんは、どのように考察(断罪)するのか?という興味があるわけです。・赤瀬川原平『老人力』・渡辺淳一『鈍感力』・姜尚中『悩む力』・池上彰『伝える力』・経済産業省「社会人基礎力」・阿川佐和子『聞く力』牧野智和さん曰く・・・「自己コントロールのチェックポイントが増えるというのは、自分を窮屈にしてしまいかねない。鈍感であることをあえてコントロールする、日々の言葉一つ一つに気を配る、異性に愛されるような振る舞いを意識的に行う、等々。これらは、自分の心の内に「あそび」をなくしてしまうような気がするのだ」・・・・卓見ですね。だったら、「あそび」そのもののような「老人力」が1枚上ということでしょうか(笑)冗談はさておいて・・・「○○力」や「○○道」にいそしむ日本人の拘り、凝り性が見えるような気がします。『聞く力』vs『老人力』byドングリこころ朗らなれ、誰もみなより<優しく暖か 新たな作家像:福岡伸一(青山学院大学教授)> まず、なんといってもこのタイトルが実にすがすがしく、かっこいいではないか。原題は、God Rest You Merry,Gentlemen。新潮文庫の高見浩訳では「神よ、男たちを楽しく憩わしめたまえ」となっている。ともすれば、マッチョなイメージの強いヘミングウェイだが、翻訳の名手、柴田元幸は一風変わった物語ばかり19を選び、軽やかに訳してみせた。 柴田訳の極意は、原文の言葉をできるだけその出現順に忠実に日本語に置き換える、というところにあると思う。英語と日本語の構文の差の性格上、その操作は短い文の連なりとなって表れる。それが自然に、シンプルなリズム、やわらかな情感、そこはかとないユーモア、暖かい空気となって立ち上がってくる。 クリスマスに病院に集うどこか壊れた人々に注がれる優しい眼差し。ヘミングウェイはほんとうはこういう作家だったのかもしれない。そんなことを気づかせてくれる素敵な短編集。 ◇アーネスト・ヘミングウェイ著、スイッチパブリッシング、2012年刊<内容紹介より>名翻訳家、柴田元幸の選と訳により、アメリカを代表する作家、ヘミングウェイの決定版となる短篇集。 戦争後遺症、釣り、男女の恋愛、旅など様々なテーマで70以上の短篇を残したヘミングウェイ。その中から、傑作と言われる「殺し屋たち」「清潔な明かりの心地よい場所」、小説家ガルシア=マルケスが最も影響を受けたという「雨のなかの猫」、亡くなる直前に書かれた未完の「最後の原野」を含む19の短篇を収録。<読む前の大使寸評>今さらヘミングウェイでもないだろう、という気がしないでもないが・・・福岡伸一さんの書評はどんなだろう?と興味がわくのです。なるほど、翻訳者、翻訳構文に注目するわけか♪・・・・とにかく、朝日デジタルの書評では福岡伸一さんから目が離せないのです♪<asahi.comのインデックス>最新の書評を読むベストセラー解読売れてる本著者に会いたい福岡伸一教授の書評(新聞紙面のデジタル版はだいたい2~3日後にUPされています。)朝日デジタルの書評から4朝日デジタルの書評から3
2013.01.30
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かつてフォークソングというブームがあった。歌っている最中には、まさか一過性のブームで終わるとは思っていなかったな~。ボブデュラン、ジョーンバエズ、ブラザーズフォア、PPM、ピートシーガー、高石友也、岡林信康などいたけど・・・・後続が続かず、みごとに世界中の団塊世代のナツメロになってしまったな~。歌のブームは25歳以下の世代がつくると言われるが…そのブームを次の世代が継ぐという保証は一切ないし、そんな義理もない!でも・・・TPPもとい!PPMの悲惨な戦争はどないだ♪フォークソングのプロテストソングとしてのメッセージは不滅なはずである。.Joan Baez Where Have All The Flowers Gone ..七つの水仙 Seven Daffodils Brothers Four.Pete Seeger - This Land is Your Landおや 観衆のなかにカーク・ダグラス、ジョージ・ルーカス、オバマの顔が見えるやんけ。心ならずも、アメリカ賛歌になっているが・・・・ま いいか♪
2013.01.29
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今回借りた5冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば「短編小説」でしょうか。「リヴィエラを撃て」という長編を読んだあとの疲れが出たのでしょうか(笑)<市立図書館>・ディアスポラ・フィッシュストーリー<大学図書館>・脳と日本人・貧困旅行記・魚河岸マグロ経済学*************************************************************百田さんはマルチタレントの人であるが・・・先行していた勝谷さんもかなりマルチな人である。言いたいほうだいの新書をよく出しているが、短編小説まで出していたとは♪【ディアスポラ】勝谷誠彦著、文藝春秋、2011年刊<「BOOK」データベースより>国土を失っても日本人は日本人たりえるのか?“あの事故”で居住不能となった日本。十年前に描かれていたポスト・フクシマの世界。<大使寸評>2001年「文学界」初出誌で描かれた勝谷誠彦の世界であるが・・・時代を先取りした感性がすごいではないか。日本人が亡国の民に陥った経緯は最後まで語られることはなかったが(多分、米中による核戦争後、または原発事故と類推するしかないのだが)チベットに難民として移住させられた日本人グループを国連職員が定期調査に訪れるのです。日本人、漢人、チベット人、ユダヤ人が登場するが・・・ディアスポラの先輩とも言えるユダヤ人調査員やチベットの若者が示す悲哀と強靭さが印象的である。この本は2編構成であって、もう1編は「水のゆくえ」rakutenディアスポラ朝日デジタルに福岡伸一さんの『ディアスポラ』評があったので併せて紹介します。理系の学者が説く書評にしては異例の感覚が、魅力的ですね。ディアスポラより<予言、そして民族の意味問う書:福岡伸一> この物語の通奏低音には、私たちの五感をたえず逆撫でするものが流れている。鼻をつく排泄物の臭気。薄い酸素。冷えた空気。肌を焼く紫外線。腐敗物にまみれたゴミ捨て場。そこから先は、高濃度の塩分と苛性ソーダからなる死んだ湖が広がる。空高く禿鷲(チャゴエ)が旋回する。中国政府が受け入れた日本人グループのひとつが粗末なあばら屋に押し込められている。 チベット・チャンタン高原。「キャンプ」と呼ばれるその場所に、国連難民高等弁務官事務所から派遣された調査員として「私」は訪れている。そう、ここでは日本人は難民となっているのだ。 「私たちが有史以来くぐり抜けてきた災厄など語るほどのことですらないと思われる、あの出来事」。難民キャンプの人々は、それをただ「事故」と呼んでいる。彼らは、近くに駐屯する中国軍の監視の目を気にしながら、身を寄せ合うように暮らし、元に戻れる日を心待ちにしている。日本列島の惨状からすれば、帰国などあり得ないことを知る「私」は困惑する。 まもなくキャンプの中で人が死ぬ。遺体は鳥葬にふされる。白く光るカイラス山を遠く見渡す峠で、国土を失った日本人が、切れ切れの断片となって自然に還るこのシーンは研ぎすまされた美しさに満ちている。 「事故」とは一体どんなものだったのか。日本はどうなってしまったのか。「私」の調査の目的はなんなのか。最後まで、著者はそれを詳らかにはしない。 おそらくこの小説はもっと大きな構造を持った物語の一部なのだろう。初出は今から10年も前のことである。予言の書であり、民族の意味を問う書である。そして、著者の隠された屈折をうかがわせる物語でもある。それは詩人になりそこねた詩人とでもいうべき屈折である。屈折がなければきっと美しい文章など書けないのだ。伊坂幸太郎は短編の名手であり、日本のオー・ヘンリーといえば褒めすぎか♪(褒めすぎです)【フィッシュストーリー】伊坂幸太郎著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベースより>最後のレコーディングに臨んだ、売れないロックバンド。「いい曲なんだよ。届けよ、誰かに」テープに記録された言葉は、未来に届いて世界を救う。時空をまたいでリンクした出来事が、胸のすくエンディングへと一閃に向かう瞠目の表題作ほか、伊坂ワールドの人気者・黒澤が大活躍の「サクリファイス」「ポテチ」など、変幻自在の筆致で繰り出される中篇四連打。爽快感溢れる作品集。【目次】動物園のエンジン/サクリファイス/フィッシュストーリー/ポテチ<大使寸評>ポテチが映画化されたがまだ観ていないのです。で・・・小説を先に読んで、そのあと観るのも一興かと思ったので、借りたのです。伊坂幸太郎の小説には、周りの空気が読めない正義、勇気がよく出てくるが・・・ドンキホーテのようなツッパリがわりと好きである。rakutenフィッシュストーリー【脳と日本人】松岡正剛×茂木健一郎著、文藝春秋、2007年刊<「BOOK」データベースより>二人の賢者が夜を徹してここまで語った。人間とは何か? 21世紀の日本人はどこへ向かってゆくのか? 編集工学、脳科学からあらゆる事象にアプローチした豊穣なる対話。 <大使寸評>編集工学という領域があるのか。こんな言葉を勝手に造語してくれるなよ!と思わないでもないが・・・松岡正剛の特質を表すキーワードなのかも。松岡正剛と茂木健一郎との取り合わせが、いいですね♪松岡正剛ひとりの独演では何かしら鼻につくわけです。その何かはいわく言い難いけど。rakuten脳と日本人松岡正剛の世界【貧困旅行記】つげ義春著、新潮社; 新版、1995年刊<「BOOK」データベースより>日々鬱陶しく息苦しく、そんな日常や現世から、人知れずそっと蒸発してみたい―やむにやまれぬ漂泊の思いを胸に、鄙びた温泉宿をめぐり、人影途絶えた街道で、夕闇よぎる風音を聞く。窓辺の洗濯物や場末のストリップ小屋に郷愁を感じ、俯きかげんの女や寂しげな男の背に共感を覚える…。主に昭和40年代から50年代を、眺め、佇み、感じながら旅した、つげ式紀行エッセイ決定版。 <大使寸評>人類学的紀行も魅力的であるが・・・漂白願望が濃く出た、つげさんの貧困旅行も捨てがたいですね♪冒頭の「蒸発旅日記」が面白い。顔も知らない文通相手との結婚をもくろんで小倉を目ざして漂白の旅に出るわけで・・・わりと行動力があるというか、人生をなめきった面もあるようです。写真も多く、つげ義春旅マップなど地図も豊富で、ビジュアル的にもいい味でています。もちろん、鄙びた温泉宿とか侘しさなど、つげさんの基本を押さえています。rakuten貧困旅行記【魚河岸マグロ経済学】上田武司著、集英社、2003年刊<「BOOK」データベースより>日本人が大好きなマグロ。これはまた世界経済の縮図でもある。マグロの大消費地である日本をめがけ、北はアイスランドからアメリカ、ヨーロッパ、南はバリにアフリカと、各地からマグロが集まってくる。そして「黒いダイヤ」と呼ばれる超高級品の生のクロマグロ。なかでも人気の青森・大間産をはじめとする高級マグロを扱わせたら築地一と言われる男がいる…。築地に生きて四十余年、仲卸『内藤』の主、上田武司。マグロの裏も表も知り尽くした名仲買人が江戸っ子の闊達な口調で明かす、マグロのすべて。マグロを見れば経済がわかる。そしてグルメ話や河岸の内緒話もたっぷり。 <大使寸評>正月の初セリで、1億円のマグロが登場した・・・ついに来るものが来たか。マグロ経済を学ぶ必用があるようですね、笑ってる場合では、ないで!2003年刊行の本なので、正月初セリのご祝儀相場は1匹、2000万円になっています。それが今年は1億円とは。アホな中国富裕層目当ての相場のようだが…メンツ命の富裕層とは言えマイド!(アホやで)今では世界中から日本目当てのマグロが輸入されているが…高値があるところ、放っといても経済は回るわけで、イタリアではマフィアの利権が絡んでいるとか。rakuten魚河岸マグロ経済学*************************************************************とまあ・・・・抜き打ちのように、関心の切り口を残しておくことも自分史的には有意義ではないかと思ったわけです。1/08図書館大好き2112/24図書館大好き20楽天ブログでは、他のアフェリエイトを受け付けなくなっったので楽天ブックスデータを使っています。(Amazonデータの方はミラーサイトを見てください)
2013.01.28
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日本の常識が欧米の常識からかけ離れているようだが、フランスの戦略専門家の意見を聞いてみましょう。「テロ抑止に協調を」と言われても、言われるままに十字軍連合に加わるのが良いとは思えないのですが・・・アルジェリアの人質事件で日本人10人の死亡が確認された。テロや制圧作戦の背景に何があったのか。フランスと日本の専門家に聞いた。グローバル化で働く場が世界各国に広がる中、日本人は何を教訓とするべきか。 仏戦略研究財団副所長のジャンフランソワ・ダギュザンさんが朝日オピニオンで「日本も標的、テロ抑止に協調を」と説いているので、紹介します。(デジタル朝日ではこの記事が見えないので、1/26朝日から転記しました・・・そのうち朝日からお咎めがあるかも) 地域の情勢に精通しているアルジェリア政府がなぜ、テロを事前に察知し、封じ込めることができなかったのだろうか。まず考えられるのは治安当局の過信だ。アルジェリア国内でガスや石油の関連施設が大規模なテロの標的になった前例はなく、タブー視されていた。特にイナメナスの施設の警備は甘かったとみられ、治安当局が警戒を怠った可能性が高い。 テロの要因のひとつは、アルジェリアと国境を接するマリの政治不安だ。マリ政府は北部を勢力圏に置いていた遊牧民のトウアレグ族を冷遇した。不満を募らせたトウアレグ族はイスラム武装勢力に近づき、反政府闘争を勢いづけるための道具として過激なイスラム思想を利用した。北部で政府軍を瞬く間に撃退し、サハラ砂漠の一帯に無政府状態が生まれた。 アルジェリアの政治指導層はフランスのマリへの軍事介入に後ろ向きで、フランスが求める国境管理を適切に行っていないかもしれない。西アフリカの小さな国の政治不安は、グローバルな問題に一気に拡大する脅威を内に秘めていたのだ。<人命は後回しに> 10年間に及ぶ内戦を経験し、数千人がテロの犠牲になったアルジェリアは、欧米や日本の感覚とはまったく違う対応をするのが常だ。主権へのこだわりは尋常ではない。今回も英国やフランスは人質を救出するための特殊部隊の派遣を持ちかけたようだが、アルジェリア側が優先したのはテロリストを壊滅することだった。国の権威を守ろうと強硬策にふみきり、人質の命は後回しにされた。 もっとも、アルジェリア治安当局者の一部が、マリでの軍事作戦に消極的な政治指導層を揺さぶるために、テロを黙認したという陰謀節も排除できない。「テロとの戦い」に深く関与する意志を固めるよう迫り、マリなどで活動するイスラム過激派への燃料や武器の供給路を細らせ、兵糧攻めにするというシナリオも透けて見える。 また、忘れてはならないのはアルジェリアは、イスラム過激派の武装集団発祥の地だということだ。1980年代後半から国内でテロ活動が先鋭化し、テロリストの一部は、後に国際テロ組織アルカイダの拠点となるアフガニスタンへと渡り、軍事訓練などを重ねた。アルカイダはまるで、スーパーが系列店を増やすように世界各地に勢力を拡散していった。 今回の事件の首謀者とされるモフタル・ベルモフタル司令官もアルジェリア人。アフガニスタンでも活動し、「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」の分派を率いている。アルジェリア政府軍の掃討作戦により南部へと追いやられ、サハラ砂漠の一帯を主戦場にしていた。<リビアから武器> 地域の不安定化にさらに拍車をかけたのが、リビアのカダフィ政権の崩壊だった。カダフィ大佐の雇い兵だったトウアレグ族が解き放たれ、保管庫から強奪した武器を流出。イスラム武装勢力側は大規模テロを実行できるだけの武器を手に入れ、周到な準備を進め、決行の日を待っていたのだろう。 チュニジアやエジプトなどへと飛び火した「アラブの春」の結果、穏健派のイスラム勢力が次々と政権を握った。武装闘争は行わないものの、イスラムの宗教的価値を重んじる政治を目指している。人々が新政権に託しているのは、疲弊した政治の立て直しだ。しかし、それが実現できなかった場合、混沌が深まるおそれがある。独裁制に戻ることは考えにくく、イスラム過激派がさらに増殖しかねない。「我こそが未完の革命を成し遂げる」という声は今も絶えない。 人質事件という悲劇は、テロリストが日本人を欧米人と同じ「イスラムの冒涜者」とみなしている現実を突きつけた。今こそ、イスラム過激派の軍事力をできるだけ小さくするために協調しなければならない。フランスのマリでの軍事作戦を支援するだけでなく、北部のトウアレグ族の自治権拡大など政治的手段による解決を試みる努力も必要だ。テロリストの人質捕獲プランは、英仏日で2、2、1人だったと報道されています。これは仏軍のマリ侵攻作戦への反発だったのか、BPへの反発だったのか、身代金の胸算用だったのか、宗教的報復だったのか・・・微妙なところではないでしょうか。シェールガスが出たので石油目当ての対中東戦争から手を引こうとしているオバマ政権であるが・・・アラブの武装化を進めた当事国として身勝手かつ無責任である。このように世界の警察官がフェイドアウトしていく中で・・・日本がこれからも世界で商売を続けるのであれば、自前の情報組織、防衛組織を組み上げることが必要だろう。臨戦態勢のようなアルジェリア政府は、今後も、人質の生命よりテロ鎮圧という方針を貫くでしょうね。アルジェリア政府と対話チャンネルが無きにも等しい日本政府である。たとえ、チャンネルがある場合でも、このような政府との交渉カードを持っていないので、情報すらもらえないという状況が今後も続くのではないだろうか。このような情報貧国ニッポンの状況に鑑み、孫崎さんの日本の「情報と外交」を読み返しております。アフリカのリスクを地図で見る。本当に危険な場所はどこ?十字軍のような組織ではなく理不尽な巻き添え
2013.01.27
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パクリが当然、知的所有権という文化がない中国との激突を描くドラマが今日(26日)から始まります。期待と怒りを込めて、予告ページを作ってみました。・「メイドインジャパン」のみどころ・井上久男氏へのインタビュー・「メイド イン ジャパン 驕りの代償」・大陸のヘッドハンティング <「メイドインジャパン」のみどころ>NHKドラマ「メイドインジャパン」よりだが彼らの前に、一人の日本人技術者が立ちはだかる。男は営業マンの盟友だったが、会社をリストラされ壮絶な過去を経ていた。今、男は己のリチウムイオン電池技術を武器に、自分を切り捨てた友へ宣戦布告する。「技術は誰のものか」という争いの中、日中の巨大企業の激突が始まる・・・。日本人にとって、会社とは、人とは何なのか?「メイドインジャパン」は生き残ることができるのか? <井上久男氏へのインタビュー>このドラマの取材協力者の井上久男氏へのインタビューを番組公式サイトより紹介します。中国のヘッドハンティングより、日本の経営者のほうが良くなかったという発言に重いものがあります。フリージャーナリスト井上久男氏へのインタビューよりQ:電機メーカー取材での印象的なエピソードはありますか 井上:エンジニアの意欲が下がっている。どういう現象かというと、日本の経営者がうまく使いこなせなかったエンジニアが海外にヘッドハントされていることです。では日本と海外の経営者の違いは何かと聞くと、「決断を下すスピードの速さと責任の取り方」ということをよく聞きます。当たり前ですが、立場が上に行けば行くほど責任が重くなり、赤字などにでもなれば一夜にしてトップが更迭されることもあるそうです。向こうに行った方は誇りと自信を取り戻し、人間としてもリバイバルして、もう一度やる気になって生き生きとやっている人もいます。 Q:そういう意味で海外流出は止められないのでしょうか 井上:止められるものではないです。いま国では知的財産の管理強化をしようという意見がかなり出ていますし、中国に技術を取られるんじゃないかと言う人もいますが、出て行こうとする人を日本は抱え込めていないですよね。それは単純に給料を高くするという問題ではなく、エンジニアの心に火をつけていない経営者がよくないと思います。やりがいや居場所を提供できていないということですね。 Q:MADE IN JAPAN が衰退してきた背景には中国や韓国に追いつかれ、アメリカの先端企業のように新しいものを作る力が日本になくなってきていることがあると思いますが… 井上:韓国や中国、東南アジアなど追い上げてくる国の企業と同じ土俵で競争すると負けますが、広い意味でのものづくりで日本はまだ強い力を持っていると思います。だからこそ経営者の問題で、リスクを取って試行錯誤を重ねながらも新しいことへの挑戦が必要なんだと思います。 <メイド イン ジャパン 驕りの代償>本屋でこの本を見かけたのですが・・・放送前に発刊されるとは、手回しがいいではないですか。【メイド イン ジャパン 驕りの代償】井上久男著、NHK出版、2013年刊<内容紹介より>2013年1月放送予定の、テレビ放送60年記念ドラマ『メイドインジャパン』の原点がここに――。苦悩する家電・自動車業界の現状と裏側を、ドラマの取材協力者である経済ジャーナリストが先鋭に浮き彫りにする。企業、そして日本経済再生への道を探る渾身のノンフィクション。<大使寸評>1月17日発刊というできたてホヤホヤの本です。放送前に原作のような本が発刊されるとは、手回しがいいというか商売上手ではないですか。著者のプロフィールや発言が番組の公式サイトで見られるのも、宣伝効果が出ています。amazonメイド イン ジャパン 驕りの代償 <大陸のヘッドハンティング>このところの技術流出には、大陸のヘッドハンティングが絡んでいるが、節操の無い日本人エンジニアが悪いのか?それとも・・・・とにかく大陸のヘッドハンティングは、言い換えれば産業スパイであるが、大陸やな~(ハー)10/8スパイ活動、特許…日本企業の技術情報が韓国企業にダダ漏れ!?より<サムスンの工場は日本人技術者だらけ!?> サムスンはじめ韓国企業や中国企業に、バブル崩壊以降、選択と集中の名の下に早期退職などで放逐された日本人技術者が、多数ヘッドハンティングされ、働いていることはよく知られている。雇用期間は2年とか4年とか比較的短期だが、年俸は1000万円、2000万円といったケースも少なくないという。 そうした1人でサムスン電子に誘われたある大手家電メーカーのOBは、韓国内の工場に行ってみて驚いたという。そこにはかつての同僚たち、それも開発エンジニアだけでなく、生産関係の技術者までワンセットでスカウトされていたからである。 2004年に、ソニーが経済産業省等の反対を押し切り、液晶生産でサムスンと提携した結果、ソニーの技術が大量に韓国に流出したという話も家電業界ではもっぱらである。 こうしてみると特許から、製品開発、そして製造まで、日本の技術はほぼ完璧に、韓国メーカーに流出していることがわかる。 しかしここまでは、少なくとも合法的である。実は技術流出という点では、もっとリアルでそれこそ産業スパイ的な行為が行われた、あるいは行われているのではないかと疑う関係者も少なくない。 例えば、実際に日本国内の工作機メーカーで働く中国人技術者が、先端工作機技術の設計図をコピーして中国に送ったとして逮捕された事件などが起きている。そんな中で、やっぱりな、と多くの論者が注目している技術流出事件がこの4月に明らかになり、東京地裁に持ち込まれている。 新日鉄が虎の子としてきた技術のひとつに「方向性電磁鋼板」の製造技術がある。「鉄の芸術品」とも呼ばれるこの鋼板製造技術は、アメリカで開発され、新日鉄が性能を飛躍的に高め、量産化にも成功したものだ。 以降、新日鉄はこの分野で圧倒的なシェアを占めてきた。ところがここ数年、韓国の鉄鋼大手ポスコ(旧浦項総合製鉄)が低価格で急激に追いかけ、世界シェアは今や新日鉄30%に対し、ポスコ20%まで接近しているといわれる。<韓国ポスコ元社員「ポスコの技術は新日鉄のもの」>ところが5年前、ポスコが韓国内で裁判を起こした。訴えた相手は同社の元社員で、方向性電磁鋼板の製造技術を中国の鉄鋼メーカーに売ったという内容だった。ところが裁判において元社員は「売り渡したのは新日鉄の技術」だと証言、思わぬところからポスコの産業スパイ行為が表面化したのである。 現在、伝わっているところによれば、ポスコにこの技術を漏らしたのは、新日鉄の開発担当者ら数人のグループだとされており、グループのリーダーと目される人物が、ポスコとともに東京地裁に提訴されているのである。 この過程で、新日鉄はポスコのスパイ行為の動かぬ証拠を押さえたとされており、裁判の結果次第ではポスコは、1000億円の損害賠償に加え、成長分野である方向性電磁鋼板分野からの撤退も余儀なくされ、企業存続の危機にさえ立たされるといわれている。 それにしても、こうも簡単に虎の子の技術が盗まれるところに、日本企業の甘さがあると指摘する論者は多い。経営に窮しての韓国、台湾勢との提携、短期収益だけを視野に入れた人材の垂れ流し、サブマリン特許で痛い目に遭いながら、依然として続く特許戦略の無策などなど。 こんなところにも、戦後の日本人の「平和ボケ」というか、世界には悪い人などいないというお人よしが影響しているということかもしれない。尖閣の問題ひとつとってみても、その当否はわかるだろう。 とはいうものの、日本企業も日本人も感情的に対応するのではなく、技術(研究開発から生産に至るまで)もまた重要な財産であり、盗まれることのないようしっかりガードすべきだということである。新幹線技術でさえ、中国が押さえにかかっているという、笑えない現実があるのだから。 メイカーズ革命の最前線を見ると、アメリカの製造業もバカにならないようで・・・日本のライバルは中韓台ばかりではないようです。とにかくTsuchiyaさんがツイートしているように・・・・お役所はやる気のある者の起業を邪魔しないでほしいものです。@gold_sf: これまでは、伸びそうな産業が登場すると、政府が「ここは新たな天下り先になる」とよこしまな思惑を抱いて干渉。補助金や租税特別措置という名の減税の見返りに、業界団体を作り役所のOBを専務理事として送り込んだ。然し、今後は護送船団では、経済は回復しない。競争力を高める必要がある。
2013.01.26
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お天気良~し♪ 痛みな~し・・・ということで、右足捻挫の後、25日ぶりに練習再開となりました。練習といっても24分(4km弱くらい)の軽いジョギングでしたが、体がなまっているので息が上がりました。でも、ロウバイが咲き始めた田舎道は、日の光が溢れ、気分は爽快でんな♪練習計画がくるったので、宿毛マラソンは今回パスで・・・以下を狙っています。・4月 伊勢志摩ハーフ・5月 浜坂ハーフ・6~9月 近場の10K、ハーフ・10月 淀川ハーフ・11月 神戸マラソン・12月 三田ハーフそれはそうと、27日の大阪国際女子マラソンが楽しみでんな♪福士はいけるやろか?(口ばっかりやしなぁ)
2013.01.25
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アベノミクスって期待できるのか?という不安と期待が入り混じっている大使である。おりしも24日から始まったダボス会議でも、あのスティグリッツ教授からもアベノミクスは肯定的に評価されています。だが、しかし・・・TPPの今後はどうなるのか?竹中さんの動きは要注意だと思うのです。思いがけない円安が進むなか、産業競争力会議が初会合とのことです。1/23産業競争力会議が初会合、6月めどに成長戦略を策定より 政府は23日、日本経済再生本部の下に設置した産業競争力会議(議長:安倍晋三首相)の初会合を開いた。安倍政権がデフレ脱却のために掲げる「3本の矢」の中のひとつである成長戦略を、6月をめどに策定する。ただ、会議で浮かび上がった課題で早急に取り組むべきものについては、取りまとめを待たずに行動に移すとしており、スピード感重視で進める考えだ。安倍首相は会議の中で「いよいよ3番目の矢、成長戦略だ」と述べ、緊急経済対策の策定、22日に発表した政府・日銀の金融政策に関する共同声明に続き、成長戦略の具体化に意気込みを示した。その上で「百の言葉よりも意味のあるひとつの行動が重要だと思う。この会議で洗い出された真の重要課題について戦略の取りまとめを待つことなく、矢継ぎ早に行動を起こしていきたいと考えている」とした。成長戦略は、将来のあるべき姿に向けて課題解決や規制改革を進める「戦略市場創造プラン」、産業競争力を高めるための「産業再興プラン」、産業や人材の海外展開を支援する「国際展開戦略」の3つが柱となる。会議終了後に会見した甘利明経済財政・経済再生担当相は、2030年ごろのあるべき姿実現に向けて「国民の健康寿命の延伸」「グリーンで経済的なエネルギー需給の実現」「安全・便利で経済的な次世代インフラの構築」「世界を惹きつける地域資源」という4つの分野を戦略目標として設定したことを明らかにした。産業競争力会議は、安倍首相、麻生太郎副総理兼財務相、茂木敏充経済産業相など関係閣僚と竹中平蔵慶応大学教授、長谷川閑史・武田薬品工業社長、佐藤康博・みずほフィナンシャルグループ社長、三木谷浩史・楽天会長兼社長など民間議員10人が参加している。ああ言えばこう言う竹中さんやクルーグマン氏の例を出すまでもなく、とかく経済学は言った者勝ちのようで・・・ここで、アベノミクスについて新進気鋭の若手経済評論家:三橋貴明さんの論説を聞いて見ましょう。1/20「金融万能論」の罠 クルーグマン教授がアベノミクスを絶賛する理由より ノーベル経済学賞受賞者である米プリンストン大学のポール・クルーグマン教授が14日付のニューヨーク・タイムズ紙に寄稿したコラムで、アベノミクスを絶賛していた。クルーグマン教授がアベノミクスを評価しているのは、本政策が「金融政策と財政政策のパッケージ」になっているためだ。 主流派である新古典派経済学者たちは、政府の財政出動による所得、雇用の創出を否定しようとする。政府が雇用を創らず、どのように失業率を下げるのかといえば、「金融緩和を続ければ、いずれはインフレ率がプラス化し、雇用が改善する」という。いわば「金融万能説」である。 別に、筆者は「金融緩和を続ければ、いずれはインフレになる」が間違っていると言いたいわけではない。とはいえ、日本銀行が通貨発行(=国債買い取り)という金融緩和を続けたとしても、インフレ率がプラスに転じるまでは、複数の越えなければならないハードルがあるのも確かだ。 まずは、銀行側が金利のつく国債を手放し、日本銀行に売ってくれるか否かである。昨年の日本では「民間銀行が日銀に国債を売らない『札割れ』」という、大変珍し現象が発生していた。 さらに、民間銀行が国債を日銀に売却し、日本円という通貨(日銀預け金)を得たとして、それが民間に貸し出されるかどうかである。日銀がどれだけ金融緩和しても、新たに発行された日本円が民間に借り入れられなければ、物価には何の影響も与えない。 さらに、日本銀行が民間銀行に供給した日本円が民間に借りられても、物価が上がらないケースもある。例えば、民間銀行から借りられた日本円が土地の購入に向かうと、「物価」には何の影響も与えない。FXや先物取引など、金融商品に日本円が向かった場合も同様だ。 日銀が発行した日本円が、モノの生産やサービスの供給を増やすように使われなければ、インフレ率はプラス化せず、雇用は改善しないのである。昨今の日本では、銀行からの貸し出しが増え、マネーストックが拡大してさえ、コアコアCPI(食糧、エネルギーを除いた消費者物価指数)は下落を続けていた。 結局のところ、少なくとも当初の段階では、政府は日銀が発行した日本円を自ら借り入れ(国債発行)、国内で所得や雇用を生み出すように使わなければならないのだ。すなわち、財政出動である。 アベノミクスは金融万能論の罠にはまっておらず、中央銀行が発行した通貨の「使われ方」にまで踏み込んでいる。だからこそ、クルーグマン教授が「完璧に正しい」と絶賛しているわけである。 (経済評論家・三橋貴明)円安・ウォン高の日韓企業収益への影響に注目なんか見ると、血を吐くような日本企業の努力は何だったのか?と思うのだが・・・・「アベノミクス」、最大の被害国は韓国とのこと。今まではFRBなんかの陰謀があったと思うが、今回の円安をアメリカは座視していたのだろうか?・・・わからん。とにかく金融に関しては・・・・鬼畜米英の旗幟だけは鮮明な大使である。「三橋貴明の「新」日本経済新聞」ところで、アベノミクスで金の価格が高騰(約2倍)しているらしいが・・・今から買っても遅いだろうな~(泣)
2013.01.25
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<松岡正剛の世界>図書館で松岡正剛×茂木健一郎著「脳と日本人」という本を借りてきた。松岡正剛といえば千夜千冊で知られるが、ある意味、知の巨人なんだろう。この本で「編集工学」という気になる造語を知ったけど・・・・大使がいま取り組んでいる蔵書録、図書館大好きシリーズ、朝日デジタル書評シリーズも、ある意味、編集工学に則っているのかも知れないな~♪とにかく、東洋史学とか海外文学の書評に関しては、まず松岡正剛さんに訊いてみる必用がありますね(笑)・脳と日本人・松岡正剛『岡村秀典 夏王朝』・本屋サバイバル・編集工学的なヒント<脳と日本人>「脳と日本人」という本、および内容の一部を紹介します。中国、日本、ケルトあたりを抜粋しています。【脳と日本人】松岡正剛×茂木健一郎著、文藝春秋、2007年刊<「BOOK」データベースより>二人の賢者が夜を徹してここまで語った。人間とは何か?21世紀の日本人はどこへ向かってゆくのか? 編集工学、脳科学からあらゆる事象にアプローチした豊穣なる対話。 <読む前の大使寸評>編集工学という領域があるのか。こんな言葉を勝手に造語してくれるなよ!と思わないでもないが・・・松岡正剛の特質を表すキーワードなのかも。Amazon脳と日本人豊饒な東洋史学が語られています。<異質性礼賛>p51~55茂木:ぼくに一番見えにくいのは東洋史学なのです。たとえば、日本の古代を、古代中国と関連づけて見る視座を自分の中では引き受けにくい。その向こうに途轍もない豊饒さがあることは予感できるのですが。松岡:白川静さんの世界観はそこでしたね。古代中国と古代日本が分裂していない。でも、茂木さんは、科学研究者でありながら文献や実証主義にこだわらないで、たとえば、急にプライベートなことを説明に含めたりして科学主義の突破を試みているじゃないですか。それが東洋とか古代とかにある多様性にフワっとつながることとは、決して無縁ではないですよ。茂木:ぼくは、ハングルというと、韓流ドラマとか、江戸時代の朝鮮通信使とかのイメージがあったのですけれど、ある時、ある場所で、韓国人の二人の女性が話しているのを聞いたのです。その話し声が朝、小鳥がさざめくような、すごく静かで、かそけき音でした。それを聞いて、もの凄く心惹かれるものがあったのです。言葉の風情は、日本語圏のものはネイティブとして読めるけれども、ハングル圏、中国語圏にもそれぞれの風情はあるわけですね。それを不可視のままに「おもかげ」としてかんじているというだけでも、とりあえずは仕方ないなと思えるようになったのです。松岡:東洋は細部に向かって多様化してきましたからね。茂木:最近、世界がつくづく厄介な場所だなと思うようになって・・・。たとえば、京都などあはほんとにわからないことだらけで、フラっと入った居酒屋のおやじさんがいきなり「にいちゃん、刹那ってわかるか」って論争を吹っかけてくるのですね(笑)。 ぼくは、40歳を過ぎて孔子に関心を抱くようになりましてね。孔子に「七十従心」という言葉がありますね。普通にいうと、欲望が枯れ、何も欲しくなくなったから矩を超えなくなったということでしょうが、実は、孔子の言っている意味は、もっと過激なものだと思うのです。自分が欲することに従って矩を超えないという状態がありうるのですね。孔子がその状態に達したかどうかは別にして、そういうことを想定できると『論語』の中で言っているのだと思います。ぼくは、古今東西を問わず、語られた人間の言葉の中で、もっともすごい言葉の一つだなあと。松岡:孔子が生まれた紀元前6世紀の半ばは、中国では春秋戦国の途中ですね。すでに社会は古代封建的にマネージされていた。そこで孔子は、「もう社会はマネージされている。だから、そのマネージの中で思索しろ」と説いたんです。それが孔子の法で、則というものです。つまり、すでに出来上がっている言語や表現された概念(名辞)にもとづいて思考することに徹したんですね。そうすると、良法であれ悪法であれ、いったんルールになった法には社会と個人のあいだの「一線」というものがあると見なせるわけです。それなら法に対して、自分がどんな心境をもったかということが一番重要になる。それしか社会的思考はないということを、孔子はものすごく確信していたでしょうね「多様性の爆発」が語られています。<普遍性をめぐって>p97~105(文字数制約のため省略)思考のメカニズムが語られています。<日本という方法>p128~129(文字数制約のため省略)消えゆく言語について語られています。<国家とは何ものか>p175~176(文字数制約のため省略)一神教の生い立ち、21世紀の世界観が語られています。<新しい関係の発見へ>p214~224(文字数制約のため省略)<松岡正剛『岡村秀典 夏王朝』>NHKスペシャル「中国文明の謎」はなかなか見ごたえがあったが・・・・夏王朝を調べている際に、松岡正剛『岡村秀典 夏王朝』にぶち当たったのです。とにかく松岡正剛が示す中国古代史への造詣に感じ入ったのです。<NHKスペシャル「中国文明の謎」>NHKスペシャル「中国文明の謎」3回シリーズが始まった。臍が曲がった大使はどうしても「奢る中華も久しからず」という見方になるのだが・・・・先ず番組HPを覗いてみましょう。中国文明の謎より二里頭遺跡の宮殿復元模型広大な国土と膨大な人口。ますます存在感を高める中国。世界の古代「四大文明」の中でも、ただ一つ中国文明だけは、4000年以上にわたってほぼ同じ地域で同じ文明を維持して繁栄を続けてきた。その謎を、王朝の誕生から始皇帝の統一までの文明揺籃の時代に探るシリーズ。第一集は最古の王朝「夏」。「中華」という言葉は、かつて「中夏」とも書かれた。「中華」の源流である「夏」王朝は、中国のいわば邪馬台国とも言える。今まで、最古の王朝と考えられていたのは「殷」だった。「夏」は「史記」などの文献に登場するものの考古学の裏付けがないことから、多くの研究者は「幻」と考えてきたが、近年の発掘で、ついに実在が確認された。二里頭出土の青銅爵ここで、松岡正剛『岡村秀典 夏王朝』から、中国の歴史教育を見てみましょう。夏王朝より教科書にはまた「中国歴史王朝順序歌」というものが載っていて、王朝の歴史をおぼえやすいような歌にしてある。こういうものだ。 夏商と西周、東周は二期に分かれ、 春秋と戦国、一統して秦・両漢、 (三分して魏・蜀・呉) 両晋は前後に延びて、南北朝並立す、 陏唐五代と伝わり、宋・元・明・清のあと、 (王朝はここに至って終わる)中国の小学生が「夏商と西周、東周は二期に分かれ‥」というふうに、王朝の歴史を夏と商(殷)から暗記させられているのは、中国政府が夏王朝を紀元前2300年前後に成立した最初の王朝として、正式認知しているということである。 しかし、その夏王朝が書物のなかに記されるのは、夏が殷(商)によって滅ぼされ、さらに1000年以上たった春秋戦国後半期の紀元前4世紀前後のことだった。 夏・殷(商)・周と続いた周王朝が衰え、諸国が覇権をめぐって争いあった時代、戦国七雄(秦・趙・燕・斉・魏・韓・楚)の各国の王たちは自分の国こそが最も正当な中国であることを主張するため、祖先の系譜をどんどん古くさかのぼらせて、伝説的聖王にむすびつけていったのである。夏王朝の遺跡が発掘されているからには、中国4千年の歴史は荒唐無稽とは言えないわけで・・・・中国の歴史教育は単なる国威発揚では無かったわけで、少なくとも日本の戦前の神話教育より科学的と言えるようですね。だけど・・・清王朝から中国共産党への権力移行により、人民は民主主義を手に入れる絶好のチャンスを失ったわけで、中国4千年の歴史を通じて一度も民主主義を経験できなかったという事実が、凄いと思うのです。(文字数制約のため省略) <本屋サバイバル>暇な大使は電子本を読むほど慌しくはないのだが、巷では「町の本屋」の危機が取りざたされています。もし、紙の本の凋落があるとすれば、それはコンテンツのせい、売り方のせいだと思うわけで・・・・紙の本を愛する層は消えることはないはずである。 “書評の鬼”ともいえる松岡正剛さんが、朝日オピニオン欄で「セレクトショップの発想が鍵」と説いているので、拝聴してみまよう。(文字数制約のため省略)<編集工学的なヒント>工事中編集工学的なヒントをアットランダムにメモしておきます。・朝日デジタル書評、千夜千冊、Amzon,図書館予約ネットなどを結ぶ個人的ツールの構築・ツイッターのハッシュタグ#は、まさに編集工学的な機能である。・百科事典のような松岡の弱点はどこだ?(サブカル、漫画くらいか?)編集工学研究所のコンセプト千夜千冊:全読譜センセイの書斎:松岡正剛の千夜千冊電子書籍事情はどんなかな?神戸市立図書館週間ブックレビュー1日の文字数制限で一部削除しましたが、全文は松岡正剛の世界に入れておきます。
2013.01.24
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<朝日デジタルの書評から4>日曜日の朝日新聞に読書欄があるので、ときどき切り取ってスクラップで残していたのだが、これを一歩進めて、無料デジタル版のデータで残すことにしたのです。・・・・で、1/6~1/20のお奨めです。・冷血〈上・下〉・トクヴィルが見たアメリカ―現代デモクラシーの誕生・地球温暖化との闘いさっそく、図書館に借り出し予約するのもいいかもね。********************************************************************************冷血〈上・下〉より<言葉寄せ付けぬ、むきだしの生命:中島岳志(北海道大学准教授)>東京の住宅地で、一家惨殺事件が起こる。犯人はネットで知り合った男性2人。あやふやな苛立ちと無根拠な昂揚感の中で殺人を犯す。明確な犯行理由はない。すべてが行き当たりばったり。いったいなぜ2人は、いとも簡単に残酷な殺人犯となったのか。 逮捕された犯人に迫るのは、合田刑事。事件の検証は緻密で、犯行時の微細な行動までもが明らかになる。しかし、捜査は行き詰まる。いくら供述をとっても、犯意が見当たらないのだ。 犯人は言う。「歯が痛かった」「ずるずると勢いで」「何も考えていなかった」「目が合ったから」……。どれも、裁判で通用する言語になっていない。これでは調書は作れない。尋問は暗礁に乗り上げ、空転する。しかし、犯人たちが何かを隠しているそぶりはない。嘘の気配もない。なのに、なぜ事件が起きたのかがわからない。 合田は「司法の言葉」の限界に直面する。そもそも人間の行動に、合理的な根拠などあるのか。世間が理解できるような筋道など、本当に存在するのか。 しかし、刑事裁判では常に「理由」が問われる。「真の動機」がなければ、最終的な解決には至らない。すると、無理な作文が生まれ、ありもしない物語が構成される。常識の及ばない反社会的人格として、辻褄を合わせる。これは一体、何なんだ。これで解決したことになるのか。 合田の問いは、次第に自己へと向けられる。自分の行動や人生に、明確な目的は存在するのか。自己の生の意味を、調書や判決文のように表現できるのか。 問いは、事件から人間存在の本質的な方向へと脱線していく。すると次第に、自己の根拠のあいまいさが露わになる。追及のベクトルがねじれる。 人は「なぜ生きているのか」を簡単に言葉にはできない。明確に表現しようとすると、どうしても空虚になり、嘘くさくなる。わかりやすさを追求すると、強引な単純化が生じ、本質がより空洞化してしまうのだ。 しかし、人は生きている。そして、間違いなく死ぬ。そのプロセスには、抽象化された意味を超えて、「むきだしの生命」が存在する。生の叫びが存在する。 物語は、人間の本源に迫りながら、圧巻のエピローグを迎える。犯人に死期が迫ると、生の衝動が疼き始める。「生きよ、生きよ」という声が聞こえてくるのだ。 身もふたもない世界に、我々は否応なく生きている。その存在の事実をどう引き受けるべきか。読み終えてから、しばらく胸の震えが止まらなかった。 生の意味を問う傑作だ。 ◇高村薫 著、毎日新聞社、2012年刊<「BOOK」データベースより>クリスマス前夜の「一家四人殺し」―数多の痕跡を残しながら、逃走する犯人たち。翻弄される警察組織の中で、合田がふたたび動き出す。 <読む前の大使寸評>「人はなぜ生きているのか」…哲学的なミステリーなのか?最近読んだ『リヴィエラを撃て』は、北アイルランドのテロリストが絡むスパイ小説だったので、興味深く読んだが・・・・この本は、ちょっと難物なんではないか?と読む前から、やや引けている大使である。でも、圧巻のエピローグを迎えるんだそうです。トクヴィルが見たアメリカ―現代デモクラシーの誕生より<旅と思索の軌跡、リアルに追体験:渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学) > 1831年春、仏貴族出身の判事修習生トクヴィルは友人ボモンと共に9カ月間の米国旅行に出発した。弱冠25歳。刑務所視察というのはあくまで口実。市民が大国を統治するという、人類初の試みから40年余りを経た米国の実情を探るのが真の目的だった。 そのときの観察記『アメリカのデモクラシー』は高評価を受け、1841年には仏知識人の殿堂アカデミー・フランセーズの会員に選ばれた。 米国でも自国の本質を捉えた不朽の名著とされ、今でも保守・リベラル双方が主張の箔付けに好んで引用している。 本書は当時の関係者の草稿や覚書、書簡をもとに『デモクラシー』の舞台裏を再構成した、いわばメイキング版である。 馬車や蒸気船に揺られ、北米大陸の大自然に抱かれ、先住民の長からボストンの名士、さらには現職大統領まで貪欲に交わりながら米国理解という「生死をかけた真剣勝負」に挑んだトクヴィル。 最良の映像評伝を観ているかのごとく、本書はその旅と思索の軌跡を追体験させてくれる。 黒人奴隷や先住民の境遇への憤り。階級・地域・人種の切迫した関係への懸念。ロシアと米国が「いつの日か世界の半分の運命を手中に収める」のではという予感。 民主政と貴族政の狭間で心が揺れ動くなか、喜怒哀楽に満ちた米国体験を自らの思想に結実させていくトクヴィルの姿は実にスリリングだ。『デモクラシー』の核をなす「心の習慣」や「多数派の専制」といった概念に込めた彼の想いがひしひしと胸に響いてくる。 欲を言えば、「アメリカ人の重大な特典は……欠点を自ら矯正する能力をもっていることにある」という『デモクラシー』のなかの重要な指摘、すなわち米国の復元力をめぐる考察の背景にもっと迫っても良かったと思う。 民族・宗教・言語の多様化、連邦政府の肥大化、党派対立の先鋭化、市場主義の遍在化、軍事大国化……。当時と今とでは米国も大きく様変わりした。 トクヴィルはある草稿にこう書き留めている。「政府にとってもっとも難しい課題とは、統治することではなく、人びとにみずからを統治する方法を教えることだ」 彼が賞讃した米国の市民精神をオバマ大統領は現代の文脈においてどう解釈し、人びとをどう鼓舞してゆくのだろうか。 『デモクラシー』の冒頭には「私はアメリカのなかにアメリカを超えるものを見た」という有名な一文がある。 もしトクヴィルが今日の日本を訪れたのなら、この社会を、そしてこの国のデモクラシーをどう評価するのだろうか。 ◇レオ・ダムロッシュ著、白水社、2012年刊<「BOOK」データベースより>初めての大衆的な大統領ジャクソンの治世、西へと膨張を続ける一方、はやくも人種問題が顕在化して分裂の兆候を示すアメリカ。1831年、この地を旅したトクヴィルは何を見たのか?デモクラシーを生きるためのアメリカという実験。 <読む前の大使寸評>大使がイザベラ・バードの「日本奥地紀行」読んだときの感想が、「リアルに追体験」だったが・・・渡辺教授が説くこの本の書評には、そそられるのです。地球温暖化との闘いより<原発事故より深刻か、適応も考えるべきか:川端裕人(作家) > 地球温暖化についての話題が消えた。直接原因は大地震、津波、原発事故だろう。我々が一時に持ち得る関心は有限なのである。また、原発がほとんど停止している今、火力発電に寛容にならざるを得ないことも関係しているかもしれない。ただ、いつまでも無関心を貫くわけにもいくまい。同じ版元から立て続けに出版された対照的な2冊がヒントをくれる。 『地球温暖化との闘い』は温暖化の危険を説いた「言い出しっぺ」の一人、ジェイムズ・ハンセンの著作。活動家でもある彼は「気候の安定化や環境保護のための行動を何もとらない」政府の態度を舌鋒(ぜっぽう)鋭く批判する。事態は後戻りできない「転換点」を迎えており、我々はありとあらゆる策で二酸化炭素排出を抑えなければならない。彼のシナリオでは、海水面が最悪70メートル超上昇することもありうるという。とにかく化石燃料を使うのをやめること。そのためには原子力発電、それも未完の技術、高速増殖炉を使えという。彼の観点からは原発事故よりも気候変動の方が大問題なのだ。 『10万年の未来地球史』の著者は、研究者とジャーナリストを兼ねた立ち位置のカート・ステージャ。我々が既に地球環境に与えてしまった(与えつつある)影響は甚大で「総排出量を控えめの数値に抑えたとしても、5万年後に来る次の氷河期はすっ飛ばされることになる」と述べる。極地や高山の生態系が壊滅するのはもちろん、二酸化炭素が海に溶け酸性化することで、石灰質の「体」を持つカニ、エビなど甲殻類、アワビなど貝類、更には美しいサンゴ礁も滅びるかもしれない。未来ビジョンは厳しい。ただ、ステージャは全く違う提言をする。「慌てない、そしてあきらめない!」と。(中略) ハンセンの緩和策とステージャの適応策の間のどこに、着地点を見いだせるだろう。難問だ。ただ確実に言えることもある。日本では、二酸化炭素の排出削減など緩和策ばかり表だって議論されてきた。実はこれだけでは空疎。例えば、豪雨による洪水・土砂災害が頻発する近未来が想定される時、どう適応するか? このような適応策を実際の施策で、排出削減と同等に扱うことが必要ではないか。 ◇ジェイムズ・ハンセン著、日経BP社、2012年刊<内容紹介より>地球温暖化議論は、この学者から始まった! 「地球環境を守るため、彼ほど行動し、力強く声をあげた科学者はいない」――アル・ゴア(アメリカ元副大統領)"闘う科学者"ハンセンはなぜ、市民とデモに参加し、危機を訴え続けるのか。<読む前の大使寸評>ゴア元副大統領推薦の本とくれば、かなり眉に唾して読む必要があるかもしれないが、川端裕人の書評がいいので、この本をとりあげた次第です。見合いの相手より、紹介してくれたおばちゃんに惹かれる様なものか♪(喩えがよくない)<asahi.comのインデックス>最新の書評を読むベストセラー解読売れてる本著者に会いたい福岡伸一教授の書評(新聞紙面のデジタル版はだいたい2~3日後にUPされています。)朝日デジタルの書評から3朝日デジタルの書評から2朝日デジタルの書評から1ベストセラー解剖:週間文春
2013.01.23
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<中国包囲網ニュース4> 伸び率が2桁にもおよぶ軍拡を進める人民解放軍は、押込まれる国の防衛策を中国包囲網と捉えて、警戒感をあらわにしています。自分の振る舞いを自覚できないのか?自覚した上で押込んでいるのか?不透明であり、そのところがなんとも不気味なんですね。この状況では、周辺国は包囲網を形成して防衛を図るのが、採るべき戦略になるわけで・・・・中国包囲網関連のニュースを集めています。真珠の首飾り戦略山口代表の「尖閣棚上げ」発言は日本側が自重し、中国側の得点になるのだが…まあ、やむを得ないか。1/22山口公明代表、中国へ出発=「尖閣棚上げ」は軌道修正より 公明党の山口那津男代表は22日午前、羽田発の日航機で北京に向けて出発した。山口氏は安倍晋三首相から託された習近平・中国共産党総書記宛ての親書を持参。中日友好協会会長の唐家セン前国務委員と会談し、沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題で冷却化した日中関係について意見交換する。習氏との会談も調整している。帰国は25日の予定。 山口氏は出発に先立ち、都内で記者団に「大局観に立った(日中)関係正常化の扉を開く一歩にしたい」と強調。尖閣問題の棚上げに言及したことについては、「尖閣諸島はわが国固有の領土で、領土問題は存在しない。それは政府・与党共通した認識だ」と述べ、自らの発言を軌道修正した。中国要人に問題の棚上げを伝えるか問われると、「話題にするかどうかは、今後十分考えたい」と述べた。 俺様報道官には、いろんな発言パターンがあるのだが・・・・今回のはそうとうな苛立ちがみられますね。1/21中国外務省「米国は言行を慎め」日本支持に反発より中国外務省の秦剛報道官は20日、クリントン米国務長官が先の日米外相会談後の記者会見で「日本の施政権を害そうとするいかなる行為にも反対する」と述べ、沖縄県・尖閣諸島をめぐり中国に強く自制を求めたことに対し、「強い不満と断固とした反対」を表明、「米国は言行を慎むように」などとする談話を発表した。 秦報道官は尖閣諸島について「中国固有の領土だ。歴史を証拠とし、法律を根拠とする。これは何人も否定できない」と主張。尖閣諸島をめぐる日中間の対立の根本的原因が、日本政府による国有化と挑発行為にあると、一方的に日本側に責任を押し付けた。 その上で、尖閣諸島をめぐる問題に関し「米国は歴史上の逃れられない責任がある」と米国の戦後処理の問題を指摘しつつ、「責任ある態度で対応することを促す」と、米国が積極的に関与することを牽制した。 秦報道官は「米国が実際の行動によって、(アジア)地域の平和と安定、中米関係の大局を維持し、中国国民の信用を得るよう促す」とも強調。尖閣問題で米国が日本を支持することに、強い危機感を抱いていることをうかがわせた。1/19日米外相会談で米、日本側を破格の待遇 F35も初めて議題により 18日の日米外相会談で米側は、アルジェリア人質事件に関し、軍事機密情報についての説明を行う国務省内でのインテリジェンス・ブリーフィングに岸田文雄外相を招待した。 日本の民主党政権下で首脳や外相訪米時にこうした米側の配慮はなかった。極秘情報に関する会議に初会談の相手を招待したのは安倍政権を厚遇する姿勢を示したものといえ、沖縄県・尖閣諸島で挑発行為を活発化させる中国に向け、緊密な同盟関係をアピールする狙いが背景にある。 実際、インテリジェンス・ブリーフィングへの参加だけでなく、米側は尖閣諸島に関する従来の政府方針から大きく踏み込み、中国のいかなる挑発行為について「反対する」(クリントン国務長官)姿勢を初めて示したのも、中国を牽制する狙いがあったからだ。 会談の中身とは別の形で日米同盟の緊密さをアピールした形だが、両国に影を落とす懸案問題も初めて議題となった。日本政府が導入を決めたが、開発の遅れと価格高騰が問題化した次期主力戦闘機F35の契約についてだ。複数の外相同行筋が議題になったことを否定しなかった。 同盟国で共同開発国のカナダやオーストラリア、英国、イタリア、トルコが導入の先送りや導入計画の見直しを決めており、日本だけが2017年3月に最初の4機を完成した形で導入するとしている。 日本政府は民主党政権時代に2013年度概算要求でF35を1機約150億円で2機、日本国内での最終組み立て費として1168億円を計上。安倍政権下で見直しの有無が注目されている。日米関係筋は、「開発の遅れと価格高騰が日米の契約違反となることが明らかになったため、米側から状況の説明があったようだ」としている。過去の中露国境問題は、中国の紛争終結の参考例だと思うわけです。1/14ウラジオストクは「中国固有の領土」か=始まった極東奪還闘争 - Foresightより 近隣諸国との国境問題で、プーチン政権はまず中国との懸案に取り組んだ。中露国境問題は長い歴史を持ち、1960年代末にはウスリー川の川中島の領有権をめぐって中ソ両軍が武力衝突し、数百人が死亡。中国が圧倒的なソ連軍の兵力の前に敗北し、以後、中国は米中接近に動いた。両国は80年代後半のゴルバチョフ時代に国境交渉を再開。91年に中ソ国境協定を結んで東部国境をほぼ確定。94年にエリツイン政権との間で西部国境を画定した。しかし、極東のアングル川のボリショイ島、ウスリー川のタラバロフ島、大ウスリー島の三つの川中島をめぐる総面積375平方キロの境界線だけが未確定で、積み残された。<領土折半で合意> プーチン政権はこの3島の帰属交渉を中国側と秘密裏に進め、04年10月、北京での中露首脳会談で、(1)タラバロフ島は中国領(2)大ウスリー島とボリショイ島はほぼ2分割―という形で電撃的に決着。国境追加協定が締結され、05年に批准書を交換、08年に議定書に署名、係争地の半分が中国に引き渡された。 プーチン大統領は合意に際し、「中露の40年間にわたる国境問題に終止符が打たれた。両国は英知を集め、相互利益に沿って、互いに受入れ可能な決断を下した。専門家レベルでは対立した問題を首脳間で政治決着させた」と自讃した。 中露交渉は極秘裏に進められ、線引きの詳しい地図も公表されていない。どちらが先に折半を言い出したのかなど、交渉の内幕も不明だ。ハバロフスクなどで、領土割譲への反対デモが議会や住民の間から出たが、プーチン政権は押し切った。極東では「中国側がプーチン政権幹部に賄賂を贈った」といった噂も流れた。当初は、相互割譲が喧伝されたが、ロシアは領土を半分割譲し、中国も半分しか獲得できなかった敗北感が残り、近年は互いに言及を避けている。1/14「戦争の準備をせよ」対日想定…中国軍指導部が全軍に指示より 【北京=矢板明夫】中国人民解放軍を指揮する総参謀部が全軍に対し、2013年の任務について「戦争の準備をせよ」との指示を出していたことが明らかになった。14日付の軍機関紙、解放軍報などが伝えた。また、国営中央テレビ(CCTV)など官製メディアは最近、連日のように日本との戦争を想定した特集番組を放送し、軍事的緊張感をあおっている。 沖縄県・尖閣諸島周辺での自衛隊との軍事衝突を意識して、習近平新指導部がその準備と雰囲気作りに着手し始めた可能性がある。 解放軍報によれば、総参謀部が全軍に向けて出した2013年の「軍事訓練に関する指示」の中で、「戦争準備をしっかりと行い、実戦に対応できるよう部隊の訓練の困難度を高め、厳しく行うこと」と記されている。総参謀部は昨年も訓練指示を出していたが、「軍の情報化や部隊間の横の連携の重要性」などを強調する内容が中心で、今年のような戦争を直接連想させる表現はなかった。中国指導部が戦争準備に向けて大きく一歩踏み込んだことがうかがえる。 同紙は今年の訓練目標について、昨年11月に就任した習近平・中央軍事委員会主席の重要指示に基づいて作成したと解説している。 また、中国の主要メディアは今年に入って、「尖閣戦争」を想定した番組を連日のように放送している。中国軍事科学学会の副秘書長、羅援少将や、元海軍戦略研究所長の尹卓少将ら多くの軍関係者が出演し、主戦論を繰り広げている。そのほとんどは習総書記と同じく太子党(元高級幹部の子弟)のメンバーで、習総書記の意向が反映している可能性が高い。 一方、日本と外交交渉を通じて尖閣問題の解決を主張する学者らはほとんどメディアに呼ばれなくなったという。ある日本研究者によると、最近北京で行われた尖閣問題に関するシンポジウムで、「論争の中心は対日戦争を小規模にとどめるか、全面戦争に突入するかが焦点になりつつある。小規模戦争を主張する人はハト派と呼ばれ、批判されるようになった」という。 共産党筋によれば、習近平総書記は昨年11月の党大会で、軍人事の主導権を胡錦濤国家主席が率いる派閥に奪われた。習氏は現在、軍内の保守派と連携して、日本との軍事的緊張を高めることで、自身の求心力を高め、主導権を取り返そうとしているとみられる。1/11日中の無人機競争が熾烈化 上空で衝突の恐れも=英紙より 中国網日本語版(チャイナネット)によれば、英ガーディアン(電子版)は8日、島嶼問題を巡る緊張激化にともない、日中の無人機競争が熾烈化していると伝えた。以下は同記事より。 中国と日本が東シナ海の島嶼に対する各自の統治権を主張するなか、熾烈化する軍備競争において無人機がその中心となっている。 中国が経験の浅い無人機計画を急ピッチで拡張する一方、日本は米国からの先進機種購入の準備を進めている。いずれも無人機を海上監視に使うとしているが、今後、同海域上空で小規模な衝突が発生する可能性が非常に高いと専門家は警告する。 2012年12月の衆院選で圧勝後、安倍晋三首相の新保守政府は尖閣諸島(中国名:釣魚島)の脅威に対抗することを優先課題としている。首相就任後すぐ安倍氏は中期防衛計画を見直したが、これは米無人機購入を早急に進めるためだ。 中国の国有メディアは11年10月、15年までに沿岸に11の無人機基地を建設すると報道。中国国際放送局は、「釣魚島(尖閣諸島の中国側呼称)など争いのある島嶼の区域において、われわれの巡視船の数や巡視回数は劣勢ではない。問題はわれわれの航空監視能力だ」と杜文竜大佐の言葉を伝えている。中国包囲網ニュース3
2013.01.22
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右足捻挫で、もう18日間も練習できずにいるが・・・やっと復調してきたので、明日あたりはジョギングを再開しようと思っているのです。NHKのサンデースポーツを見ながらツイートしたんですが・・・気持ちが前向きになってきたのかも♪@mdonguri: 手術後であるが、愛ちゃんの2連覇達成がすごいのです。パワーと気持ちがさえわたっていたが・・・・心技一体という武芸者のような言葉を彷彿とします。@mdonguri: 「夢は無い、有るのは目標と課題だけだ」優勝後の愛ちゃん語録の一つです。@mdonguri: やった♪ 兵庫県勢の2年連続優勝だ。5秒差でも勝ちは勝ちであるが・・・・駅伝での戦い方を熟知していたんでしょうね。@mdonguri: 47歳の山本投手・・・プロ野球で現役というのが信じがたいが、もうギネス級の偉業が進行中である。1/20愛ちゃん、伸び伸びプレーで連覇!ひじ手術乗り越え、石川佳純を撃破よりそれでも不安から解放された右腕からは、これまで以上に力強いボールが繰り出された。ライバル石川を下し、優勝という最高の結果に「不安な打ち方がなくなった。今回どれだけ勝てるかで、どれだけ戻っているかが分かると思っていた。『帰ってこれたな』という気持ちです」と、“完全復活”を宣言した。 前年の、涙の初優勝との違いを「前回は『今回獲れなかったら、二度と獲れない』という切羽詰まった感じだった。今回は本当に伸び伸びとプレーできました」と笑顔で話した福原。「24歳は新たなスタート。今日、優勝できたことはすごく大きな自信になる」。16年リオデジャネイロ五輪も視野に入れながら、福原愛の第2章が始まった。3/17宿毛花へんろマラソンに向けて長距離走を始めようとしていたやさきの、右足捻挫であったが・・・・練習計画がくるってしまったので、4月のハーフマラソンに切り替えようと思っています。
2013.01.21
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北朝鮮が核実験カードを切ろうとしている今、韓国には中国寄りのスタンスが垣間見えますね。韓国のパク・クネ大統領は、難しい立場にあるのかもしれないが・・・・Tsuchiya さんが、19日ツイッターでパク・クネ大統領は中国寄りとツイートしています。やはり、そうなのか。@gold_sf: 日本の陸軍士官学校を卒業した父、パク・チョンヒ大統領の娘ということで親日派と期待されるパク・クネ大統領。しかし彼女は、日本語が話せない。一方、彼女は、英語、中国語、フランス語、スペイン語に堪能。中国人脈も豊富。韓国にとって経済から安全保障まで中国が最重要国家。折りしも、18日の日米外相会談で、尖閣問題ではクリントン国務長官から日米安保での米国の防衛義務を認め、「日本の施政権を損なういかなる一方的な行為にも反対する」旨の発言があり、岸田外相は「高く評価する」と語り、また「米国とは原子力協力のパートナーとして連携していきたい」と伝えたそうです。米政府が尖閣をめぐる他国の行為に具体的に言及したのは初めてとのこと。このとおり中国を牽制して日米関係は良好であるが・・・・パク・クネ大統領の立場はますます難しくなったのではないか。ここで・・・韓国ウォッチャーでもあり、02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞した鈴置高史(日本経済新聞社編集委員)さんの中韓関係を拝聴してみましょう。 1/17韓国は中国の「核のワナ」にはまるのかより 北朝鮮が近く核実験するという噂が流れた。焦る韓国に中国は親切に言った。「私が止めてみようか」。韓国は思わず中国を頼む心境に陥った――。しかし「中国の協力」は毒まんじゅうだ。韓国が安全保障を米国ではなく、中国に頼る第一歩となるからだ。 <「1月20日までに北が核実験」> 2013年1月12日、中央日報は“特ダネ”を載せた。見出しは「北朝鮮、13-20日に核実験強行の情報」。記事によると「在北京の北朝鮮の役人が中国の関係者に『13-20日に核実験を実施予定』と話したという情報を韓国政府が入手した」。そして「(別の)北京の対北朝鮮消息筋も『新たな核実験は核弾頭の小型化・軽量化のためのものと聞いている』と説明した」と付け加えた。 この報道を受け、朴槿恵・次期大統領は12日「挑発には断固として対応する。北朝鮮は無謀な核実験計画を中断しなければならない」と述べた(中央日報、1月13日付)。 もし、北朝鮮が核実験を実施し成功すれば韓国は大変な痛手を受ける。核保有国となった北朝鮮は恐ろしく強腰となり、韓国に無理難題を吹っ掛けるようになるに違いない。 北の核保有を防げなかった米国は韓国には「我が国の核があるから大丈夫」と言ってみせるだろうが、北を大事に扱うようになるかもしれない。北朝鮮が核兵器をテロリストに売らず、また、ミサイルを米国に向けないなら、自身に大きな問題は波及しないからだ。<韓国の国論は分裂へ> 韓国は分裂する。右派は北朝鮮への強硬策を叫び、核開発を進めろと政府に要求するだろう。極左派は北朝鮮との融和策をとれば核の脅威は消える、と主張するに違いない。結構多くの韓国人が「民族の核」に誇りを持つだろうから、その主張に賛同する人も出てくるかもしれない。 市場の地合いにもよるが、韓国から外貨が一気に流れ出る可能性がある。レームダック化した李明博大統領はもう動けない。朴槿恵氏は大統領就任前にも北の核実験に神経を配らざるを得ない。 北の核実験説が流れる前から中国は韓国に対し「北朝鮮への共同対処」を誘っていた。10日、中国の特使として朴槿恵・次期大統領を表敬した張志軍・外務次官は「朝鮮半島を含む地域と国際問題について、両国間の調整を強化していくことを希望する」と述べた。 短い発言だから分かりにくいが、中国の本音を露骨に語った記事がある。中央日報の10日付に掲載された楚樹龍・清華大学国際研究所副所長の主張だ。 見出しは「中国・清華大学副所長『北が挑発しない場合は……』」で、聞き書きの形をとっている。楚樹龍・副所長はしばしば韓国紙に「中国からのアドバイス」を寄稿する学者だ。この記事の北朝鮮に関連する部分の要旨は以下の通りだ。 <対北政策は硬軟とも失敗> 朴槿恵・次期大統領にとって北朝鮮は外交の最大の難題になる。金大中、盧武鉉の両政権は包容政策で(緊張緩和に関し)若干の効果をあげた。しかし、北朝鮮の核兵器(開発)は防げなかった。李明博政権は強硬策をとったがやはり肯定的な効果をあげられなかった。硬軟両策が失敗したのは北朝鮮に変わる気がないからで、その現実を受け入れて政策をたてるしかない。具体的には、北朝鮮が追加の核実験や新たなミサイル発射をしないなら、韓国と中国、米国が北に人道的援助をしようということだ。 この記事が主張するように、韓国が硬軟両策ともに失敗し対北政策で手詰まりになっているのは事実だ。しかし「援助すれば北朝鮮が核開発を止める」というくだりに疑問を持つ人も多いだろう。韓国の左派は勝手にそう思い込んで、何度も北に騙されてきたのだ。 実は、それを解決する方法がないわけでもない。北の核実験中止を中国に担保してもらう手だ。韓国の融和策が失敗したのは北の「悪い行い」を矯正する力を韓国が持たなかったからだ。韓国の後見人たる米国も、北朝鮮の非核化への意志と関心を減らし、せいぜい経済制裁ぐらいしか北に課して来なかった。 <次期大統領も中国に期待> だが、北朝鮮に食糧とエネルギーのほとんどを供給する中国なら、絶対とは言わないまでも北朝鮮の核実験を食い止められる可能性が相当程度にある。楚樹龍・副所長も「中国が担保する」とは言い切っていないものの「韓国・中国・米国が協力して対北和解策を展開すればよい」と、さりげなく「中国の力」を示唆している。 朴槿恵・次期大統領も「中国への期待」を隠さない。北問題の解決に向け、彼女も6カ国協議と「関連国との協力強化」を強調してきた。 Daily NKは1月11日に企画記事「朴槿恵、北の核・ミサイルで『プランB』を本格準備せよ」を掲載。彼女の「中国への期待」を指摘したうえで「6カ国協議は北の核計画を防ぐ狙いだったのに、核を作るための遮蔽幕になった」との専門家の意見を紹介した。プランAたる「6カ国協議」は捨てて、プランBたる「中国の役割」に期待しようとの主張だ。 <中韓協商が成功すれば「米韓」にヒビ> 朝鮮日報の池海範・論説委員は1月1日付のコラム「習近平と朴槿恵が手を携えれば」でこう書いた。「朴槿恵・次期大統領が提示した『朝鮮半島信頼プロセス』は北朝鮮に対する抑止力の基盤のうえで、南北間の民間経済交流から活性化するものだ。この点では中国と一致する部分が多い。(韓中の)2人の指導者が手を携えて北の挑発を抑えながら経済改革に誘導する解決策を見いだした時、両国は真の『戦略的協力同伴者時代』を開くだろう」 中国が持ちかける前から韓国では「中国頼みの北朝鮮政策」が浮上していたのだ。朴槿恵政権は中国と協力し、米国を形式的には入れた「中韓米3国協商による北朝鮮融和網」を作ろうとするかもしれない。 ただ、それは成功するほどに米韓同盟にヒビを入れていくことになろう。なぜなら、米国の軍事的威嚇にも屈せず核ミサイル開発を進めて来た北朝鮮が、中国の言うことは聞くことが明らかになってしまうからだ。 それはとりもなおさず、韓国の安全を担保できるのが米韓同盟ではなく、中韓同盟であることを意味する。ちなみに、韓国の仮想敵は北朝鮮であって、中国ではない。 <韓国は中米間で等距離外交を> 心配性の日本人が「中韓協商がうまくいった時に米韓同盟はどうするのか?」と韓国人に聞くと、こんな答えが返ってくる。「そんな大げさな話ではない。ちょっと中国の力を借りるだけだ」「米国の圧倒的な軍事力で北朝鮮の正面を抑える。後ろからは中国に羽交い締めにしてもらう。米中双方に助けてもらえばいい」。彼らの口裏からは2つの超大国を使いこなす快感も感じとれる。 そうだろうか。そんな簡単な話だろうか――。楚樹龍・副所長の記事の後半は中韓・米韓関係に関しての「アドバイス」だ。そこには中国の本心がはっきりと書いてある。ポイントは以下の通りだ。 ・韓国は中国と米国の間で等距離外交をすべきだ。・韓国は経済、地理、歴史、文化的に米国よりも中国にはるかに近いからだ。・韓国は安保を除きすべての部門で中国から利益を得ながら、外交は米国に偏しているとの認識も中国の一部にはある。 もう、韓国の従中はここまで来たのか、という感じだ。安保で米国だけに助けて貰っている現時点でさえ、中国は「中米の間の等距離」を要求した。今後、北の核実験などを巡り中国にも世話になったら「中国により近い位置」に来いと言いだすだろう。そして、こうした上から目線の中国の要求が、韓国の新聞にちゃんと載るようになったのだ。 <日韓分断に成功した後は……> 2012年、李明博政権は中国の圧力に屈し、米国の求めた日韓軍事協定の締結を放棄した。半面、中国には同じ協定を申し込んだ(「中国に『日本と軍事協定を結ぶな』と脅される韓国」参照)。 2013年1月には、靖国神社への放火容疑者である中国人を日韓間の協定を無視して中国に送り返した。もちろん中国の要求を受け入れてのことだ。 ちなみに、楚樹龍・副所長の記事の中ほどは日韓関係に関する「アドバイス」だ。 ・中国と日本は今後数年間、緊張関係、部分的には対立関係を続けるだろう。韓国は(中日間で)中立政策を維持するのがよい。・中日両国に対する(韓国の)政策は自ら選んで決めた戦略に基づくべきと考える。 以上の要約を読めば、日本に関して李明博政権が中国の要求に実に素直に従い、あるいは要求以上に従ってきたことが分かる。日韓分断に成功した中国は、そろそろ本丸の米韓分断に動くだろう。その手始めが次期政権への「北の核実験を中韓協商で抑える」という提案になる可能性が高い。 2013年2月末から政権を担う朴槿恵氏は、中国からの引力が猛烈に強まる中、どう舵をとるのか。安倍晋三首相が予想外に韓国に低姿勢に出ているのも、韓国が今、中国の手に落ちんとしているからに違いない。 1月15日、米国務省のヌランド報道官は定例会見で、北朝鮮政策を見直す計画はないと明らかにした。聯合ニュースによると、朴槿恵・次期大統領が大統領選挙期間中に北朝鮮政策を変える考えを示したことに対応した。ヌランド報道官は、北東アジアの安全を確保するために、米日韓で2国間、3国間協議を続けることが重要だと強調した。 韓国が「中韓協商」に動かないよう、米国はクギを刺したのだ。 北朝鮮の核といっても狙いは対米交渉であり、日韓関係も米中のくびきを抜きにして語れないわけで・・・・鈴置高史さんの語り口は、まさにこの勘所を押さえていますね♪また、韓国に思い入れのある大使であっても、より中国寄りになる韓国は見たくもない気がするのです。日米外相会談でのクリントンさんの言葉に安堵したけど・・・日米安保とTPP交渉とは、また話は別であり・・・反TPPは堅持すべきでしょう。
2013.01.20
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アメリカ嫌いの大使であっても・・・Google、Amazonが実証したロングテール現象は革命的だったと思うわけです。いま好調のAmazonは、迅速な物流とロングテールを効果的に使って、楽天と競っているわけですね。書籍のネット販売に関しては、先行したAmazonが使い勝手の良さで1日の長があるのだが・・・・このたび、楽天ブログでは17日からAmazonデータを受け付けなくなったのです。(楽天ブログではH25.1.17から、楽天以外のアフェリエイトのデータを受け付けなくなった)えらいこっちゃ、ついに来たか。大使の蔵書録は全面的にAmazonに依存していたので、今後の追加購入書籍はAmazonデータで記入できず、楽天ブックデータで記入するしかないのです。楽天ブックはロングテールの長さ、輸入書籍データなどでいまいちで・・・困ってしまう。しゃーないので、蔵書録の避難計画を以下のとおり模索しています。斯様に・・・・Amazonの長い尾っぽをこよなく愛する大使なんです。<蔵書録の対応>蔵書録は全面的にAmazonデータで作成済みなので、今後は以下3案のどちらかで対応するすることになります。A:蔵書録はAmazonデータのままとし、ミラーサイトで運用する。B:既成蔵書録を楽天ブックのデータに書き換える。C:追加購入書籍のみ楽天ブックデータで記入する。【A案問題点】・ミラーサイトでフリーページ機能の代案を作る。・追加購入書籍をAmazonデータで作成すると、楽天ブログに転記できない。【B案問題点】・既成データの楽天ブック書き換えは可能ではあるが、労力が大きい。・楽天ブックの取り扱い数がAmazonより少ない?【C案問題点】・追加購入書籍のみ楽天ブックデータで記入する。(可能かどうかテスト要)ちなみに、Amazonデータと楽天ブックデータを比較してみます。【これから20年、三極化する衰退日本人】Amazon中野雅至著、扶桑社、2012年刊<「BOOK」データベースより>生活保護、増税、資産フライト。2030年、日本人の生活レベルを大胆予測!“負け組”ばかりを生み出す衰退社会から抜け出すために必要なスキルとは何か。 <大使寸評>2003年にキャリア官僚から転職し、現在は大学の準教授の著者とのこと。三極化とは、依存する人、搾取される人、脱出する人なんだそうです。・・・まったく夢も希望もない2030年を予想している本であるが、ほっとけばアメリカのような社会になるわけで・・・・とりあえず、目先のTPPに反対しようではないか。Amazonこれから20年、三極化する衰退日本人【これから20年、三極化する衰退日本人】楽天ブック中野雅至著、扶桑社、2012年刊<「BOOK」データベースより>生活保護、増税、資産フライト。2030年、日本人の生活レベルを大胆予測!“負け組”ばかりを生み出す衰退社会から抜け出すために必要なスキルとは何か。 目次データ有り。<大使寸評>2003年にキャリア官僚から転職し、現在は大学の準教授の著者とのこと。三極化とは、依存する人、搾取される人、脱出する人なんだそうです。・・・まったく夢も希望もない2030年を予想している本であるが、ほっとけばアメリカのような社会になるわけで・・・・とりあえず、目先のTPPに反対しようではないか。rakutenこれから20年、三極化する衰退日本人楽天ブックで書籍を購入して楽天ポイントを貯めるというメリットもあります。ただ、現状のところポイント集めに一切無頓着な大使である。蔵書録の一部として、サイバラの本を紹介します。・・・・この調子で蔵書録の引越しを続ける予定です。
2013.01.19
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このところ故障頻発中の787型機であるが・・・人命がかかっているだけに初期不良で済む話ではないのだ。787型機は運行コスト削減を重視して、「電気飛行機」と言われるまで軽量化を実現した機体のようですね。その革新的特徴を挙げると、およそ次のようです。・油圧駆動から電気信号+モータ駆動へ転換・機体をアルミ合金からカーボンファイバーへ転換・リチウムイオン電池式の軽量バッテリー採用報道ではバッテリーの脆弱性が槍玉に挙がっているが、もともと脆弱性は織り込み済みで安全装置でカバーしていたはずである。大使思うに・・・バッテリー自体よりも、電気系統の基本設計と電気計装材料に問題があったのではないか?という気がするのですが。最新のAFP報道です。フランスの報道だから米国製飛行機にきつくあたっています(笑)1/17B787、世界で運航停止に アナリストはボーイングの対応を注視より【1月17日 AFP】米航空機大手ボーイングが社運をかけて開発した新世代ジェット旅客機B787「ドリームライナー」のバッテリーが飛行中に発火する恐れがある問題で、世界各国の航空当局は17日、相次いで同型機の運航停止を命じた。 米連邦航空局(FAA)がバッテリーの問題が解決されるまでドリームライナーの運航停止を命じたのに続き、日本、インド、チリ、欧州の航空当局も17日、同様の措置を発表。世界のドリームライナーのほとんどが運航を取りやめた。 航空アナリストらは、この1週間に続発したトラブルでドリームライナーの安全性に懸念が出ていた中で起きた16日の全日空機の高松空港への緊急着陸について、ボーイングには慎重な危機管理が求められていると指摘する。 ボーイングのジム・マックナーニ最高経営責任者(CEO)は17日、一連のトラブルについて「非常に遺憾に思う」とのコメントを発表。FAAと連携して「あらゆる必要な措置を取る」と約束する一方、「787の安全性には自信を持っている」と主張した。 超軽量複合材を用いて機体の大幅な軽量化を実現し、各航空会社の負担となっている燃料コストを削減した画期的な新型機ドリームライナーは、従来機では油圧制御だったブレーキにリチウムイオン電池による電子制御を採用している。機体部品の製造は世界各国のメーカーに外注しており、バッテリーは電源装置を手掛ける日本のメーカー、ジーエス・ユアサ製だ。ユアサによると、バッテリーは仏タレス・グループに納品し、同社で組み立てられたという。 投資家向け情報サイト「24/7WallSt.com」のダグラス・マッキンタイア氏は、「ボーイングの技術者や航空機専門家、一部の米金融アナリストらは一連の問題を新型機に付きもののトラブルだと弁解している。だが、もはやこれらの弁解に弁解に効力はない」と述べている。リュウさんのブログから引用します。1/15日本と縁の深いボーイング787より Wikipediaで見ると、開発経緯には随分とトラブルのあった様に見える。2009年6月の報道によると、「主翼と胴体の結合部分に補強の必要性が現れた」としてテスト飛行が延期された「Section 12」と呼ばれ部分は、日本の三菱重工業が担当の部分だった。そんなトラブルや延期を経て、日本航空が新規開設となる成田 - ボストン線に787-8(JA827J)を就航させたのは2012年4月22日の事で、まだ最近のことだ。2012年より航空会社に引き渡されたが、その後もバッテリーからの出火、燃料漏れ、潤滑油漏れ、操縦席の窓ガラスの破損、などが相次いでいる。 ボーイング787は機体の70%近くを海外メーカーを含めた約70社に開発させる国際共同事業である。日本からも三菱重工業を始めとして数十社が参加、日本企業の担当比率は合計で35%と過去最大である(767は15%、777は20%を担当)。三菱が主翼、川崎が前方胴体・主翼固定後縁・主脚格納庫、富士が中央翼・主脚格納庫の組立てと中央翼との結合を担当している。機体重量比の半分以上に日本が得意分野とする炭素繊維複合材料(1機あたり炭素繊維複合材料で35t以上、炭素繊維で23t以上)が採用されており、炭素繊維メーカー東レは、ボーイングと一次構造材料向けに2006年から2021年迄の16年間の長期供給契約に調印し、使用される炭素繊維材料の全量を供給する。参照記事米連邦航空局(FAA)はすでに11日、電気系統などでトラブルが相次いでいるボーイング787型機について、設計や製造工程などの包括的な再調査に乗り出すと発表している。コクピットの窓ガラスにヒビが入ったようだが・・・カーボンファイバー製機体の剛性なんかに問題があったのかも?あと、リチウムイオン電池の脆弱性について調べてみます。え~と、岡目八目の勝手な憶測になってしまったかも(暇なこっちゃで)ジーエス・ユアサの受注時広報を見てみましょう。米ボーイングの次世代主力旅客機「787」向けリチウムイオン電池システムを受注よりタレス社はボーイング787向けに最も安全で信頼性の高いパワーシステムの開発を目指しており、ジーエス・ユアサ グループが開発したリチウムイオン電池のメンテナンスフリー性と長寿命が航空会社にとって運行コストの軽減と安全性の向上につながる技術であるとして高く評価し、長期供給契約の締結に至りました。 今回契約したリチウムイオン電池は補助動力ユニットの始動と非常時のバックアップ用途に使用され、機内の電力供給に大変重要な役割を果たします。契約の第1段階として、弊社は2005年に試作品を、2007年から量産品を納入いたします。【リチウムイオン電池の特長】1.高エネルギー密度 従来から民間航空機に使用されているニカド電池に比べ、エネルギー密度が2倍あるため、同じ寸法であれば2倍の電力を供給することができる。2.75分間で90%充電が可能3.管理装置を搭載し、二重の安全性を保証4.角形密閉(メンテナンスフリー)構造 航空機の通常の使用環境よりもはるかに厳しい環境にも耐える設計となっている。<ご参考:タレス社について> 防衛・航空・セキュリティービジネスを提供する世界でも有数のエレクトロニクスシステムグループ。グループ従業員は全世界で61,500人、2004年の売上高は1兆3000億円。
2013.01.19
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やっと『リヴィエラを撃て』を読破したので・・・・こんどは孫崎さんの『日本の「情報と外交」』にとっかかっています。『リヴィエラを撃て』には、やたらMI6、MI5が頻出するけど、この種の謀略機関が日本にないので、もうひとつピンとこないわけで・・・・これではあかんと『日本の「情報と外交」』を買ってきて読み出したわけです。<CIA・MI6(スパイ)とFBI・MI5(防諜)>という、そのものズバリの章があるので・・・・・よく読んでスパイ小説を読むリテラシーを築くことにいたしましょう(汗)<CIA・MI6(スパイ)とFBI・MI5(防諜)>p251~254 国家の情報機関をつくるときは、上記の分類の機能を別々にもつ必用がある。「情報」という言葉で、すべてが括れるわけでない。 外国の情報を入手するほう(CIAやMI6タイプ)と、敵の工作を防御するほう(FBIやMI5)とは、多くの点で逆である。 CIAやMI6タイプは、相手国から情報をとる必要がある。相手国の社会に入らなければならない。危険だから控えるというわけにいかない。FBI・MI5タイプは、外国人は危険だ、できるだけ接触するなと説く。 CIAやMI6タイプは、基本的に一人で動く。優れた個人プレーが必要だ。防御側は、しばしばチームで動く。尾行でも重要なときには5、6名が交互に、かつ、しばしば服装を変え、できるだけ相手に気づかれないように動く。CIAやMI6タイプは、相手に強い印象を与え、自分は特別に情報を提供してもよい人物であることを説得しなければならない。目立たないだけでは困る。 CIAやMI6タイプは、音楽を聴き、絵画を見、本を読み、幅広い人間性を築き、相手に入るきっかけの持ち駒を増やす。FBIやMI5には、これは必要ない。 CIAやMI6タイプは、戦略を考え、外交、安全保障を学び、入手する情報の価値が分からなければならない。ハーバード大学などの教授は、CIAに積極的に関与した。FBIやMI5には、ハーバード大学教授は必要ない。 優劣の問題ではない。種類、タイプが異なる。日本の情報組織を構築する際、この違いを理解する必要がある。 日本では「情報コミュニティ」と呼ばれる、情報に特化している五つの組織のなかで、FBI・MI5は警察庁、公安調査庁、内閣情報調査室。CIAやMI6タイプは、外務省国際情報統括組織(元国際情報局)、防衛省情報本部である。 私は研修時代を含め英国勤務が4年で、どちらかというと英国のシステムに通じている。ここで英国のシステムを見てみよう。 英国情報機関のうち、MI5(Military Intelligence section 5)は内務大臣、MI6(Military Intelligence section 6)と政府通信本部は外務大臣、国防情報本部(DIS)は国防大臣の管轄下にある。首相は情報機関全体の責任をもつ。情報機関全体のとりまとめとして、合同情報会議がある。情報は需要者と密接関係する。本章の「インテリジェンスとは何か」の項で、「インテリジェンスとは行動のための情報である」とのロバート・ボウイの言葉を見た。情報は行動を取る官庁と密接な関係を保つ必用がある。その意味で、MI6が責任者を外務大臣とし、外務省と最も密接な関係にあるのは、きわめて自然である。 合同情報会議の構成は、情報需要サイドとして、外務省、国防省、通商産業省、首相府等であり、情報提供サイドとして上記情報機関がある。(中略) 米国で1990年代、経済分野でCIA等が日本をターゲットとして動くのを見た。FBIから、米国の経済情報を集める人物として注意すべきとされた人物がいたとしよう。CIAはこれを利用し、自分の組織の協力者に仕立てあげることができる。同じ人物でも、一つの組織は敵と見なし、一つの組織は自分たちの使える駒と見なす。物の見方が違うのである。 米国では対外情報のCIAと防諜のFBIは、まったく別組織である。英国でもMI6とMI5は別組織である。日本にはCIA、MI6、SVRに類した組織がないことに配慮して、組織づくり、人づくりを考えるべきである。孫崎さんは外務省在職中はMI6に相当する部署で、お国のために働いたわけで・・・・ジェームス・ボンドのような役割(例えがよくない?)だったようですね。冗談はさておいて・・・日本では、CIAとかFBIの役割に無頓着なままTPPに突き進む勢力がいるが、アメリカの戦略(謀略)は柔ではないはずで・・・危なっかしい限りである。【日本の「情報と外交」】孫崎享著、 PHP研究所、2012年刊<「BOOK」データベースより>なぜ日本は、尖閣問題で厳しい岐路に立たされたのか?政策決定において、論理よりも空気が重んじられる傾向は、「戦艦大和の最後の出撃」と重なるのではないか―。本書は、CIA、旧KGB、MI6等々、数多くの情報機関と交流した著者の実体験を交えて、情報とは何か、情報体制はどうあるべきかを提言する。外務省は、なぜニクソン・ショックを予測できなかったのか?なぜ石油ショックやイラン・イラク戦争の終結、ベルリンの壁崩壊を捉えきれなかったのか?元・外務省国際情報局長が国際諜報戦争と外務省の真実を明らかにする。 <大使寸評>『リヴィエラを撃て』を読んだ後に、この本を読んだのだが、ジェームズ・ボンドの世界がよくわかりました(笑)、冗談はさておいて・・・「アメリカ依存の戦略を脱し、自立した情報政策をめざせ」という著者の強い思いが伝わります。rakuten日本の「情報と外交」日本のインテリジェンスってbyドングリ【リヴィエラを撃て】高村薫著、新潮社、1992年刊<「BOOK」データベースより>国際政治の楽屋裏を発狂させた男〈リヴィエラ〉。夥しい諜報戦士たちの血を吸込んだこのコードネームは、一人の天才ピアニストに死を賭した東京公演を決意させる。顔のない東洋人スパイをめぐって、東京・ロンドン・ベルファストに繰り広げる、流血の頭脳ゲーム。<大使寸評>この本では、歴史的背景、政治的背景もアクションもしっかり描いてあるので、なかなかマッチョというかハードボイルドなわけです♪特に、中華の闇で揺れる日米英の政府中枢など、もろに大使のツボを突いています。rakutenリヴィエラを撃て(注)楽天ブログではAmazonデータを受け付けなくなったので、しかたなく今日から楽天ブックスデータを使っています。
2013.01.18
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今日は、阪神淡路大震災の18周年記念日である。やはり、神戸市民として、また震災体験者として追悼せなあかんで・・・ということで、三宮の東遊園地のメーン会場に出向いたのです。有志の人がロウソク代を寄付して、献火していました。メッセージを書き込んだ風車がたくさん回っていました。その他に、東日本大震災ボランティアのパネル展示など見られました。兵庫県、神戸市のボランティアは、同じ被災者ということでフットワークが軽いわけですね。それにつけても・・・東日本大震災地への国の支援の遅いことは何なんでしょうね。阪神淡路大震災メモリアルモニュメントと1.17希望の灯りにいろんなモニュメントが見られるが・・・こんなにたくさんモニュメントが有ることを、初めて知ったのです(汗)
2013.01.17
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週刊文春に小林信彦がエッセイを連載しているが、映画評が面白いのです。特にアメリカ映画に対する膨大な薀蓄がすごいのだが、彼の好みに頷くこともあるが、そうでないことも多い。だいたいこの人は戦中派なんで、映画評のターゲットがやや古く、ついていけないのだ。小林信彦の「気になる日本語」というエッセイ本のなかで、2009年度洋画のベスト1として「グラン・トリノ」を挙げていた。おお イーストウッドが好きなのか、大使の好みと同じではないか♪このエッセイ本より、イーストウッド監督の「ヒアアフター」を紹介します。<暗い時代のイーストウッドの最新作>p244~248 あいかわらず机に向かっている。小説はもうすぐ完成する予定だが・・・。 しかし、これがわからない。電車のプラットフォームから落ちて・・・ということがないとはいえない。ラジオを聞いていると、東京ではおびただしい人身事故がおこっている。 人間ドックでは、この1年で、体重が1キロ増えたと注意された。なるべく歩くようにしなければならない。 気が弱くなる日は、もう充分生きた、という気がする。友人たちは病いの床にあるか、亡くなっている。特に2010年は、友人知己がバタバタと倒れた。 政治のニュースを聞くと、これはもう、どうしようもない。タクシーの運転手さでさえ、「小沢一郎さんはどうなりますか」と訊く。1年前にはなかったことだ。 「検察がデキる人間を働かさないようにしている」 私は答える。鈴木宗男も収監された。日本はに占拠され、今のところ、光はまったくない。 戦後の65年を見てきたぼくは、最悪の時代に突入したと思っている。 検察と政治家が悪いだけではない。ダマされる国民がもっとも悪い、とぼくは気づいていた。 すべてが、ユルんでいる。 例―NHKの「龍馬伝」の最終回を観た。龍馬の暗殺には諸説があるが、このドラマでは犯人設定がどうなっているか、興味があったからである。11月28日夜の放送を観た方は呆れたに違いない。1時間に200件もの苦情が局に寄せられたという。 龍馬が暗殺者の奇妙な気配に気づいた瞬間、福山雅治(龍馬)の顔のアップにこういう文字が重なる。―このテロップが26秒出た。 故トリュフォー監督が日本にきた時、テレビで映画を観ていて、そこに何かのテロップが出て、怒り狂ったという話を読んだことがある。 愛知県知事選のテロップを26秒も出すことはないのである。ドラマを作った人たちの側に立てば、このドラマの真のクライマックスはここにあるのだ。テロップは、少しあとで出せばいいのである。 ドラマなどどうでもいいというユルみ―これはNHKに限らず、民放各局にもあるが、11月28日夜のNHKはひどかった。しかも、ドラマのあとに詫び一つないのである。国民は改めて受信料を問題にするべきだ。 外出をしないので目方が増えるのだが、12月3日の夜にパーティがあるので、その前に、クリント・イーストウッド監督の「ヒアアフター(Hereafter)」の試写を見せていただいた。映画を観に出かけるのは7月以来である。 宣伝関係の人が「いつものイーストウッドとちがうので・・・」と困ったように言う。ぼくはストーリーを知らないが、漠然とした紹介文を読んでいたので、そうですか、と言って試写室に入った。 映画はスピルバーグ製作総指揮らしく、すさまじい津波で始まる。場所はタイということになっているが、ロケ地はハワイのマウイ島だ。津波が海岸近くの町まで押し寄せ、人々や自動車を呑みこんでしまう。恋人と休みにきていたパリのテレビ局のキャスターのマリー(セシル・ドウ・フランス)は水の中で奇妙な光景を見る。呼吸停止状態になった彼女は、やがて回復するが、そのを忘れられない。パリのスタジオに戻った彼女は仕事が困難になり、臨死体験を本にまとめようとする。 サンフランシスコ かつては霊能者として活躍していたジョージ(マット・デーモン)は、あの世の人々との対話に疲れ、工場で働いている。人生を変えようとして、夜はイタリア料理の教室に通い始め、そこでメラニーという女性と知り合うが、メラニーのお過去が見えてしまったため、二人は会えなくなっる。メラニーにともなうは、以後、説明がなく、彼女は消えてしまう。 ロンドン 双子の兄と母親と暮らす少年マーカスは、突然の事故で兄を亡くす。問題のある母親と引き離され、里親にあずけられたマーカスは、もう一度、兄に会いたいと思い、たちを訪ね歩くが、いずれもインチキである。インターネットをチェックするうちに、マーカスはジョージの古いウェブサイトにぶつかる。 本を書き上げたマリーは、ロンドンのブックフェアに参加し、自分の本を説明する。ジョージは思いきってロンドンに渡り、大好きなディケンズ(伏線あり)の博物館を訪ねる。 こうして、パリ、サンフランシスコ、ロンドンの三つの生がロンドンに集まり・・・という成り行きで、これからあとは書くのをやめよう。 霊能者が出てくるのはイーストウッドらしくない、というのはどうだろうか。「荒野のストレンジャー」や「ペイルライダー」の主人公は亡霊であり、「チェンジリング」のヒロインもまたではなかった。 5月に80歳になったイーストウッドが、、またはを考えるのは当然であり、そこに持ち込まれていたのがこの脚本と考えれば、映画の方向はきわめてわかり易いが、そうだろうか?をと訳すと、別な意味が生じるが、この題名はと考えていいのではないか。 きわめてイーストウッドらしいショットと感じたのは、少年マーカスが地下鉄のチャリングクロス駅のホームで落とした帽子をなかなかひろえず、電車に乗りそこなう。数秒後にトンネルの中で電車が爆発し、煙が吹き出してくる。 この成り行きにも意味があるのだが、よく考えるとおそろしい。監督第一作「恐怖のメロディ」以来、ヒッチコックが興味を持つようなテーマとイースットウッドがすれちがってきたことを、ぼくたちは了解していたはずだ。ついでに、大使の「ヒアアフター」評を述べるが、霊能者テーマにはもうひとつのりきれない大使である。【ヒアアフター】クリント・イーストウッド監督、2010年制作、H24.5.9観賞<大使寸評>クリント・イーストウッド監督の最新作ということで観たのだが・・・・とにかく冒頭の津波の場面がリアルである。(津波の場面があったので、東日本大震災のあと公開中止になったとか?) 米英には、わりと霊能者テーマの作品が多いようだが、ご贔屓にしていたシャーリー・マクレーンが神掛かってしまい、いたく幻滅したように・・・・クリント・イーストウッド監督作品であっても、霊能者テーマにはもうひとつのりきれない大使である。goo映画ヒアアフター【気になる日本語】小林信彦著、文藝春秋、2011年刊<「BOOK」データベースより>アマチュアの時代はこまったものだ―徹底した個人主義を守りつつ、世間にきっぱり物申す。映画の話題も満載。「週刊文春」好評連載単行本化第13弾。 <大使寸評>週刊誌の連載エッセイの単行本である。週刊誌の連載エッセイと言えば、買わせるエッセイであり、なかなかええでぇ♪アメリカ映画に対する膨大な薀蓄がすごいのだが・・・彼の好みに頷くこともあるが、そうでないことも多い。Amazon気になる日本語本エントリーもクリント・イーストウッド監督作品集に収めておきます。今日は、阪神大震災の記念日なので・・・・東公園に追悼に行ってきます。
2013.01.17
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中華のプロパガンダ報道が過熱しています。いくら政権内の引締め、主導権争いと言っても、ちょっと異常ではないか。それだけ、政権の危機は大きいのかもしれないが・・・とばっちりで尖閣開戦となる危険性は増しているのだろう。1/14「戦争の準備をせよ」対日想定…中国軍指導部が全軍に指示より 中国人民解放軍を指揮する総参謀部が全軍に対し、2013年の任務について「戦争の準備をせよ」との指示を出していたことが明らかになった。14日付の軍機関紙、解放軍報などが伝えた。また、国営中央テレビ(CCTV)など官製メディアは最近、連日のように日本との戦争を想定した特集番組を放送し、軍事的緊張感をあおっている。 沖縄県・尖閣諸島周辺での自衛隊との軍事衝突を意識して、習近平新指導部がその準備と雰囲気作りに着手し始めた可能性がある。あの百田尚樹さんが、尖閣問題で愛郷的ツイートを続けています。この鮮明な旗幟を見て国内の左翼層がネットウヨと同類視するようだが・・・・中国の危うい権力闘争、文民統制を見れば、左翼層のバイアスの方がアホというべきではないか。作家の読書道:百田尚樹さんより尚、ほんとは、愛国的と書きたかったが、いろいろとバイアスがかかった言葉なので愛郷的と書いた次第です。【1/16】@hyakutanaoki: 中国の人民解放軍の総参謀部が全軍に対して、「戦争準備をせよ」という指示をしていたことが明らかになった。今のところは「脅し」だが、こんな「脅し」をやるような国がまともな国家のはずがない! しかも、いずれ本気で戦争を仕掛けてくる狂気もはらんだ国である。我々も覚悟が必要だ。@hyakutanaoki: 「(日本に対して)戦争準備をせよ!」と全軍に指令する隣国があるのに、私が「国防軍が必要」と言うだけで、「百田尚樹は極右の作家」と罵られるのは、本当に情けなくなる。自国を隣国の侵略から守ろうと発言するだけで、「極右」のレッテルを貼られる国なのか、日本は。【12/24】@hyakutanaoki: 尖閣や国防についてツイートするたびに、大量の「アンチ百田」が生まれ、読者が減っていく。尖閣のことなんか知らん顔をして、自分の本が売れるようなツイートだけをしているほうが賢いんだろうけどね。…って、本なんか売れんでもええわい。言わないといけないことは言う^^; @hyakutanaoki: 長年テレビ局で働いているが、テレビ局の報道の連中には本当にサヨクが多い!ただ、彼らは驚くほど知識がない。近代史もアジア史も何も知らないで、ファッションのようにサヨクを気取る。厄介なのは、そういうバカが40過ぎると部長とかになって、知識のないまま、思想だけが固まる。@hyakutanaoki: 日本の領土を奪うことを公言し、着々と軍備を整え段階的に領海侵犯を起こしている中国の行動に対して、国防の要を説く人たちを「ネトウヨ」とレッテルを貼ってバカにする人たちが少なくないのが悲しい。またテレビ局はそんなコメンテーターを使うから、視聴者も国防を考えなくなる。@hyakutanaoki: 仮に中国が尖閣を奪っても、沖縄を手中に収めるのは簡単にはいかない。しかし何十年か先、アメリカの国力が落ちるか、沖縄から米軍が撤退するような事態になれば、沖縄は中国に占領される。そうなれば、あっというまに日本全土が占領される。僕たちの孫はチベット人やウイグル人のように殺される。@hyakutanaoki: 20世紀以後における全体主義国家や共産主義国家が見せる残虐性は想像を絶する。彼らは自:18国政府に異議を唱える国民を虐殺し、征服した他民族を虐殺する。人民解放軍の軍外でのビジネス、汚職が蔓延しているそうだが、これが今後どんな方向に噴出するか予測不能で・・・・怖いのである。Tsuchiyaさんの以下ツイートをリツイートしました。 @gold_sf: 中国人民解放軍を指揮する総参謀部が全軍に対し、「日本との戦争の準備をせよ」との指示を出している。軍機関紙、解放軍報が伝えた。また、国営中央テレビCCTVは最近、連日のように日本との戦争を想定した特集番組を放送し、軍事的緊張感をあおっている。日本企業は中国から撤退しよう。@gold_sf: 日本が右傾化しているという印象を与えるのではなく、中国共産党支配に正統性を与える「愛国教育」こそが反日感情をエスカレートさせ、尖閣諸島をめぐるナショナリズムをあおっていることを国際社会に浸透させるべき。そして、自衛隊の島嶼防衛力強化に努めるべき。
2013.01.16
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<メイカーズ革命の最前線>日本型製造業の危機が続いています。その原因は陰謀のような円高メカニズムとコモディティ化のせいであり、拘りの職人技は揺るがないと大使はタカかをくくっていたのだが・・・・ 確かに、ガラケーがアップルの新製品に完敗したように、ニーズを先取りする新製品に関してはアメリカにかなわない気はするのだが・・・アメリカ製掃除機はたいしたことはないが、3Dプリンタとなると、これは玄人好みの優れものである。若しかしたら、アメリカ流物作りは革命的なのかも?と大使に不安がよぎるのである。で、昨今のアメリカ流物作りとはどんなものか?調べてみます。・米国を支えるメイカーズ革命・21世紀の産業革命・NHKドラマ「メイドインジャパン」・3Dプリンタの衝撃・米国流の物流改革<米国を支えるメイカーズ革命>アメリカには市民工房発の起業、日本には既成工場発の職人技という特色があるのではないか。でも、スペースXなど大法螺かと思うほどで、アメリカの夢が大きいのは確かである。スペースX12/13世界に遅れる日本のモノづくり 最先端技術で火星移住も!?メイカーズ革命の最前線より「週刊東洋経済 01/12号」の特集は『製造業が根底から変わり始めた メイカーズ革命』だ。 3Dプリンタやレーザーカッターによるデジタルなものづくり。そして、世界中を結びつけるインターネットエコノミーの発展。こうした波がぶつかり合ったところに新しい「メイカーズ(製造者)」が次々に生まれている。その中からは、アップルを引き継ぐような、創造性あふれるスターも育ち始めている。米国のメイカーズに迫った特集だ。●ベンチャー大国・米国を支えるメイカーズ革命 メイカーズの定義とは2種類あるが、ひとつ目の定義は「企業の枠を超えたオープンイノベーション、国境を乗り越えるイーコマースなどウェブの世界で実現したものをリアルワールドにも応用していく人々のこと」、これは米国が誇るものづくり企業・アップルをイメージしてもらえればいい。 ふたつ目の定義は「小型3Dプリンタなどのデジタルツールを応用し、ものづくりをする人々のこと」だ。 必要なものは自ら作っていこうという「メイカーズムーブメント」の動きにつらなるものだ。「メイカーズムーブメント」はものづくりによる自己の確立を説き、世界中に市民工房「FabLab(ファブラボ)」のネットワークを広げている。 今回の特集では米国発の「メイカーズ・アイドル」というべき3人を紹介している。電気自動車に挑むイーロン・マスク、小さなカードリーダーで決済を変えるジャック・ドーシー、小型カメラで新しい映像の世界を切り開くニック・ウッドマンだ。 3人のなかでもすごいのが記事『新・ものづくりのフロントランナー イーロン・マスク 電気自動車も火星移住も! “先端技術”で壁は壊せる』で紹介されるイーロン・マスクだ。現在41歳の彼は「大学生のとき、将来人類にとって最も重要になるものは何か考えた。答えはインターネット、持続可能エネルギー、そして複数の惑星での生活の3つだった。 そのうち持続可能エネルギーのカギを握るのは持続的に発電し、持続的に消費するという点で」電気自動車(EV)を開発。念願のEVベンチャー・テスラ・モーターズは大手に先駆けてEVを打ち出し自動車業界に衝撃を与えた。現在は、初の量産車となる中型セダン「モデルS」の生産を急ピッチに進めており、2013年には2万台を生産する予定だ。 イーロン・マスクにはテスラの経営のほかに、もう一つの顔がある。「複数の惑星での生活」を目指すべく、宇宙ベンチャー・スペースXの指揮もとっているのだ。スペースXといえば、究極的には「将来的に8万人を火星に移住させること」が目標だ。12年5月には、民間宇宙船会社として初めて宇宙船「ドラゴン」を搭載した「ファルコン9」の打ち上げに成功。10月末には米航空宇宙局(NASA)との契約に基づく物資輸送ミッションをこなし、地球に帰還するなど快挙を成し遂げている。13年には7回の打ち上げ、いずれは宇宙旅行を手がける計画だ。 非現実ともいえる壮大なビジネスプランの背景には、化石燃料の枯渇と地球温暖化への強烈な危機感がある。 彼は言う。「EVのアイデア自体はかなり古くからあったのに、なぜ誰も作らなかったのか。それはアイデアを実行することが思いつくより難しいからだ」。ソーラー発電も手がけ、まずは「実行」ありきで既存の業界に衝撃を与える。 <21世紀の産業革命>21世紀の産業革命とは、プレゼンが得意なアメリカのキャッチコピーである。米国を支えるメイカーズ革命について、クリス・アンダーソンの新刊を覗いてみましょう。MAKERS:NHK出版サイトが面白いでぇ♪MAKERS―21世紀の産業革命が始まるより<誰でも製造業を起こせる時代に:原真人> インターネットがもたらす経済の構造変化を解き明かしたベストセラー『ロングテール』『フリー』に続き、著者が今回、世に問うキーワードは「メイカームーブメント」つまり、ものづくり革命だ。 ネット産業の勃興は、蒸気機関や自動車を生んだ第1次、第2次産業革命に次ぐ、時代の節目と言われる。だが著者は、それはまだ画面上の世界の小さな変化にすぎず、現実社会を大きく変える第3次産業革命はむしろこれから起きるのだ、と予測する。 その原動力が、誰でも製造業を起こせる技術の進化だ。大企業のように資金や工場がなく熟練工でないとしても、いまやアイデアや才覚ひとつで製造業を起こせる。 たとえば、自宅のパソコンでオリジナル食器を立体デザインする。ファイルを3Dプリンターに送れば、自動的に樹脂が塗り重ねられ、設計図通りの食器が完成する。3Dプリンターとはいわば紙にインクを吹きつけて印刷する家庭用プリンターの立体版だ。素材をチタンやガラス、金属などで作ることもできる。 技術的にはそこまで来た。となれば、本書が指摘するように、ものづくりが資本集約型の大量生産だけでなく、個人や小企業によるニッチ産業モデルに回帰する可能性は十分ある。目の肥えた消費者だけのために、新しいアイデアや技術を盛り込んだ商品を作る企業が数千、数万の単位で続々と生まれても、けっしておかしくないだろう。 そこまでは著者の見立てに賛成だが、この潮流が新興国に雇用を奪われている先進国の製造業を復活させ、雇用を後押しする、との見解はやや楽観的すぎるのではないか。 労賃の安い中国から製造業を取り戻したとしても、熟練工いらずのデジタル工作機械が生むメイカーズがどれほどの雇用を生むだろう。ネット革命が必ずしも雇用増をもたらしていないように、製造業革命も、そこが気がかりだ。 ◇クリス・アンダーソン著、NHK出版、2012年刊<「BOOK」データベースより>『ワイアード』US版編集長で世界的ベストセラー『フリー』『ロングテール』の著者クリス・アンダーソンが、新産業革命の最前線へと読者を誘う。今日の起業家は、オープンソースのデザインと3Dプリンタを使って製造業をデスクトップ上で展開している。カスタム製造とDIYによる製品デザインや開発を武器に、ガレージでもの作りに励む何百万人という「メイカーズ」世代が、製造業の復活を後押しする。ウェブのイノベーション・モデルをリアルなもの作りに持ち込むことで、グローバル経済の次の大きな波を起こすのだ。世界規模で進行する「メイカームーブメント」を決定づける一冊。 <大使寸評>個人的には、googleが生み出すロングテールの概念が衝撃的だったが『ロングテール』の著者が説く「メイカーズ」は興味深いのです。日本人はメイカーズ気質なんだけど、メイカーズ復権をアメリカ人に言われるまで気づかないのが辛いところか。<NHKドラマ「メイドインジャパン」>日本型製造業の危機に着目したNHKドラマの予告が放映されているが、これは要チェックですね。NHKドラマ「メイドインジャパン」のみどころより今、男は己のリチウムイオン電池技術を武器に、自分を切り捨てた友へ宣戦布告する。「技術は誰のものか」という争いの中、日中の巨大企業の激突が始まる・・・。紐付き補助金という日本的慣行があるが・・・・もしかして、お役人が起業を邪魔する、あるいは発展分野におんぶするような日本の慣行が発展を阻害しているのかも。1/07虚構の「まいど1号」が持ち上げられ、意義ある「はやぶさ2」がつぶされる現実が気がかりなので、この後、読んでみます。工専ロボコンがアジアの技術マインドを底上げしているように、地味な努力はしているんですけどね~・・・・アメリカの開拓魂は、日本人とは異質なのかも。<3Dプリンタの衝撃> 仕事柄、3D CADや3D計測機に接してきた大使であるが・・・・3Dプリンタとなると、物作り方法を変える、夢のような器具である。wikipedia3Dプリンタより 3Dプリンタとは、通常の紙に平面的に印刷するプリンターに対して、3D CAD、3D CGデータを元に立体を造形するデバイスを指す。通常は積層造形法によるものを指し、切削造形法によるものは3Dプロッタと呼ぶ。3次元のオブジェクトを造形することを、3Dプリンティングと呼ぶ。 3次元造形機の中でも小型かつ低価格で後処理が少ない装置を示す。メーカーによって多少の違いはあるが、基本的な仕組みは、コンピュータ上で作った3Dデータを設計図として、断面形状を積層していくことで立体物を作成する。液状の樹脂に紫外線などを照射し少しずつ硬化させていく、熱で融解した樹脂を少しずつ積み重ねていく、粉末の樹脂に接着剤を吹きつけていく、などの方法がある。<3Dプリンタの用途> (1エントリー文字数制約により省略)開発プロセス改革における“勘どころ”<米国流の物流改革>物流改革といえば、日本の弱点であるが・・・・物流最前線をAmazonにみてみましょう。10/31Amazonが買収した倉庫ロボットの自動システムが一体どれほどスゴイのかよくわかるムービーより(1エントリー文字数制約により省略)
2013.01.16
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年越し用に借りたぶ厚い「リヴィエラを撃て」を、半月ほどかけてやっと読破しました。で、最後の感想をしたためておこうと思うのです。ネタバレになるが、香港返還交渉とか、ワシントンでのロビー工作資金がこの小説の鍵になるわけで・・・・極めて今日的なテーマを扱っていたわけです。(ああ もろにネタバレでんがな)97年以降の香港は、中国官僚にとって賄賂のなる木なんだそうで・・・・今、ジャーナリストがここをつつくと、命がいくつあっても足りないのでは(笑)【リヴィエラを撃て】高村薫著、新潮社、1992年刊<「BOOK」データベースより>国際政治の楽屋裏を発狂させた男〈リヴィエラ〉。夥しい諜報戦士たちの血を吸込んだこのコードネームは、一人の天才ピアニストに死を賭した東京公演を決意させる。顔のない東洋人スパイをめぐって、東京・ロンドン・ベルファストに繰り広げる、流血の頭脳ゲーム。<大使寸評>この本では、歴史的背景、政治的背景もアクションもしっかり描いてあるので、なかなかマッチョというかハードボイルドなわけです♪特に、中華の闇で揺れる日米英の政府中枢など、もろに大使のツボを突いています。Amazonリヴィエラを撃て著者の語り口を味わう意味もあるので、一部を転記して紹介します。p512~513 「閣下。失礼ですが、殺人の捜査権は警察にあります。一人の市民が路上で蜂の巣にされたのが殺人でないというなら、この国に警察はいらないことになります。捜査は警察が厳正に行い、結果を報告します。公表するか伏せるかを決めるのは、内閣です。しかし、その前に何よりまず捜査です」 もう1秒タイミングが遅れたら、ブーイングの応酬になっていただろう。だが、一瞬早く、首相がこくりと一つ頭を縦に振ったのだった。 「分かった・・・。分かったよ。バーキン殺害の捜査は警察がやりたまえ。正直なところ、私もいろいろな意味で興味はある。しかし、だ。ともかく国というものは、すべての機関が協力しあって機能しているものだということを、ここにいる諸君全員がもう少し考えてもらいたい。正義はけっこう。機密もけっこう。しかし、ケンカは最悪だ。何より重要なのは、国政がスムースに運ぶことなのだ。どこからどのような報告が来ようと、私は首相の立場で判断させてもらう。そういうことで、情報部も了解してもらいたい」 「あの手島修三は、私どもの活動にとって有害な人物です」と《6》が言った。 「公爵夫人の旅券違反を捜査しに来たというのは、たしかに困ったことだ」と首相。 「いえ。東京の警視庁はそんな捜査は行っていません。先日申し上げたように、彼は日本外務省の要請を受けてバーキンの情報を探りにきた男です。86年から3年間、こちらの日本大使館に一等書記官として赴任していたが、中身は諜報担当です。ペルソナ・ノングラータとして、国外退去処分にしたいと思います」と《6》は抵抗した。 「判断するのは私だ。で、君の方は?」首相は《5》の長官に首を振った。 「確かに、手島はバーキンから機密に関する情報を入手している可能性があります。追放する前に尋問の必要があります」と《5》は答えた。 「警察は?」と首相。 「追放などとんでもない。尋問など、さらにとんでもない。わが警視庁の威信にかかわります。手島は現時点で、バーキンの事件の捜査に不可欠の証人です。こちらの捜査が終わるまで、指一本触れてもらっては困ります」 首相は四人の男を見渡して何度目かの溜息を吐いた。 「・・・よし。私が決める。追放などという不穏当な話は無しだ。そういう特殊な目的で派遣されてきた人物なら、尋問も効果は期待出来ないだろう。だが、情報部の懸案も分かるので、警察は責任をもって手島某を日本行きの飛行機に乗せたまえ。本日の便が間に合わなければ、明日の早い便で、分かったかね?」日本では、《5》や《6》が存在しないので、このような応酬にはならないだろうが・・・公安警察、警視庁の対立はあるのかもしれないですね。組織の詳細はよく知らないけど。この本で公僕の正義が語られるあたりです。p521~522 「手島さんを評価しない奴らが、この国をこんなふうにしたんだ」と坂上は呟いた。 「違う」と手島は首を横に振った。「坂上、それは違う。・・・僕はただ敗北したのだ。僕は今回、痛切に感じたことがある。当たり前のことなのだが、不正も権力なら、不正を暴くのも権力だということだ。僕はイギリスで友人をひとり失った。素晴らしい能力と正義感の持主だったが、不幸にして彼は権力は持っていなかった。だから殺されたんだ。力を持たない正義ほど虚しいものはない。多分、一介の個人の正義は敗北するしかないのかも知れない。・・・とはいえ、たとえそうであっても戦うことをやめないのが、人間の良心なのだろうけどね」 「手島さんの良心と正義感は、私たち課員の道標なんです。信じて下さい」 「カカシじゃなかったのか」と手島は照れ笑いした。 「まあ、道標だと言ってもらえて僕は嬉しい。だが、道標に従って先へ進むのは君だ。坂上、今は僕の忠告を聞いてほしい。まず《リヴィエラ》を忘れてくれ。それから、上級職のキャリアを無駄にするな。権力を目指せ。最後に・・・僕をもう上司だとは思わないでくれ」ネタバレになるので書きませんが・・・・小説は、北アイルランドでの穏やかな後日譚で終わることになります。国家とはつまるところ権力なんだろう。その権力には正義もあるし不正義もある。不正義を見逃すことのできない頑固な人間が、多かれ少なかれどの国にもいるのが救いと言うか、希望でしょうね。・・・・すべからく文学は、希望を描いてほしいものです。スパイ小説を紡ぐには国家観とか、国益とか、ロビー工作とか、防諜組織に関する知識とか、外せない業界的知識が必要なわけだが・・・・女性作家で、この難行に挑戦した蛮勇・・・・というか作家魂がすごいですね♪amazon高村薫より1953(昭和28)年、大阪市生れ。1990(平成2)年『黄金を抱いて翔べ』で日本推理サスペンス大賞を受賞。1993年『リヴィエラを撃て』で日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。同年『マークスの山』で直木賞を受賞する。1998年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞を受賞。2006年『新リア王』で親鸞賞を受賞。2010年『太陽を曳く馬』で読売文学賞を受賞する。他の著作に『神の火』『照柿』『晴子情歌』などがある。フィリップ・マーロウがつなぐ輪『リヴィエラを撃て』1『リヴィエラを撃て』2『リヴィエラを撃て』3
2013.01.15
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図書館で借りた「世界の民族地図」を読んでいて・・・昔見た「アラビアのロレンス」という映画を思い出した。 大英帝国史から言えば、「サイクス・ピコ協定」という大英帝国末期のしたたかな帝国主義的謀略が描かれた映画であったとも言えるわけですね。 1916年5月、イギリスは仏・露とともに、秘密裏に「サイクス・ピコ協定」というトルコ領の分割協定を結んでいた。【アラビアのロレンス】デイヴィッド・リーン監督、1962年英制作<goo映画解説>より 1916年、英国陸軍カイロ司令部に勤務中のロレンス少尉(ピーター・オトゥール)は、3カ月の欠勤許可をもらった。理由は、現在トルコに対して反乱を起しつつあるアラブ民族の情勢を確かめることにあった。 早速ロレンスは灼熱の砂漠の中を反乱軍の指揮者フェイサル王子(アレック・ギネス)の陣営に旅立ったが、途中、同じ民族が血を流しあうのを見て愛想をつかし、ハリス族首長アリの案内申し出を断った。 陣営近くで英軍の連絡将校ブライトン大佐に逢ったが、陣営につくや突如トルコ空軍の爆撃を受けた。そこでロレンスは近代武力の前に暴露されたアラブ反乱軍の無力さをまざまざと見せつけられた。 ブライトン大佐は彼らに英軍の武器による指導と訓練を提案したが、ロレンスはゲリラ戦を主張した。つまり、トルコ軍の重要地点アカバの反対側にいるアウダ(アンソニー・クイン)を首長とするホウエイタット族と手を結び、背後から敵連絡網などを叩いて撹乱させるという作戦だった。 アカバでの戦いは苛烈をきわめた。燃えるものは全て焼き尽され、ロレンスが意識を回復したときにはトルコ兵の姿はなく、アウダが役にも立たない秘宝の箱を抱えているだけだった。ロレンスはアカバ攻略を告げるためカイロに向った。 カイロに着くと司令官が変りアレンビー将軍になっていた。ロレンスは、新たな任務を与えられた。ゲリラ戦の指導者である。 何回目かの鉄道爆破のとき、部下のファラジが重傷を負った。ロレンスは秘密のもれるのを恐れ、その場で射殺した。 エルサレムに行ったロレンスは、すでに英仏両国間にアラブとトルコの土地を二等分するというサイクス=ピコット条約が結ばれているのを知り愕然とした。が、ロレンスのゲリラ部隊は再編成され、アリもアウダも参加していた。 部隊がロレンス支持者の集落へ来たとき、すでに集落はトルコ軍の襲撃を受け燃え上り眼前に悲惨な光景が待っていた。怒ったロレンスはトルコ兵を最後の一人までも追って殺害した。 アレンビー将軍の司令部でも、やがてシリアの王となるフェイサルにとっても、ロレンスは無用の者となりつつあった。彼は態のいい追放を受けた。その時はじめて彼の心に孤独感がしみわたった。 大佐への進級と、英国への帰還船に個室が用意されたことだけが、ロレンスの砂漠での功績に対する感謝の印だった。軍用乗用車でダマスカスを発ったロレンスは、窓外に顔なじみを探したが、誰一人として彼に気づく者はいなかった。 ロレンスを覚えているのは荒漠たる砂漠の広がりだけかも知れなかった。 ◆T・E・ロレンス自伝『知恵の七柱』からロバート・ボルトが脚色し、「戦場にかける橋」のデイヴィッド・リーンが監督した70ミリスペクタクル。撮影はフレデリック・A・ヤング、音楽はモーリス・ジャール。<大使寸評>イギリス、トルコそしてアラブ民族との歴史的情勢など無知のまま見た映画であったが・・・この映画で、ただひたすら、ロレンスの格好良さと、沙漠の美しさに酔いしれたのである。goo映画アラビアのロレンス「サイクス・ピコ協定」という歴史的知識は、もちろん「世界の民族地図」という本から得た後追いの知識である。この本では更に、次のような重要な指摘がありました。《第一次大戦で示したイギリスの二重外交こそが、今日まで続く「パレスティナ問題」という悲劇の最大の要因である》この本からイギリス、トルコ、アラブ諸族の関係を紹介します。<東方問題>p389~390 このオスマン帝国解体期の領内民族運動を巡って生じた国際政治上の諸問題を、ヨーロッパの政治家、外交官たちはと呼んだ。とは、19世紀のオスマン朝内外の問題を、あくまでもヨーロッパという外部社会から認識する概念であり、列強がキリスト教徒保護に名を借りて干渉をはかることを正当化する視点に立つものである。 列強は、この寛容な多民族国家オスマン帝国に民族的対立を生み出し、その対立を利用して進出をはかった。列強のへの介入は、パレスティナ問題に限らず、トルコ・アルメニア紛争、レバノン問題、キプロス紛争からバルカン半島の民族問題に至る今日の諸民族抗争に深い影を落としているのである。 列強のへの介入が、アラブ民族主義の強力な抵抗にさらされた19世紀末、列強の、とくにイギリスの中東進出に寄生しつつ、ユダヤ人の殖民運動を進めようとしたのが、シオニズムであった。また逆からみた西欧列強のシオニズム運動支援は、西欧社会が解決しえなかったをアラブ社会に押し付けるものであった。<イギリスの二重外交>p390~391 第一次大戦中の1917年11月、イギリス政府は、シオニズムに対して初めて公式に支援を与えた。イギリスは外相バルフォアの名で、イギリス・シオニスト連盟会長ロスチャイルドに書簡を送り、そのなかで「パレスティナにユダヤ人の民族的郷土を設立する」ことに同意するのである。これがいわゆる「バルフォア宣言」である。バルフォア宣言は、イギリスが大戦を遂行するうえで、ヨーロッパやアメリカ在住のユダヤ人の支持を獲得し、あるいはユダヤ系財閥の財政的支援をとりつけるためのものであった。また、戦後、イギリスがシオニズム運動を通してパレスティナを単独支配するための布石でもあった。 このバルフォア宣言は、1915年から1916年にかけてなされた対アラブ公約を破るものであると同時に、イギリスの帝国主義的意図に便乗したシオニストにユダヤ国家建設の糸口を与えるものでもあった。 第一次大戦で、オスマン・トルコは独・墺側に立って参戦していた。イギリスは大部分がトルコ支配下にある中東での戦局を有利に運ぶため、アラブ勢力に接近し、アラブ人の対トルコ独立反乱と交換に戦後のアラブ人国家の独立を承認していた。これが「フサイン・マクマホン協定」と呼ばれる。アラブ人は同協定にもとづき1916年6月、トルコに対する反乱に立ち上がった。イギリスはこの「アラブ反乱」の最中にアラブ人を裏切り、アラブ人との協定と両立し得ない約束をユダヤ人に対して行ったということである。 このような二枚舌を弄するイギリスの二重外交こそが、今日まで続く「パレスティナ問題」という悲劇の最大の要因である。 パレスティナについてのイギリス政府の舌は、実はもう一枚あって、1916年5月、仏・露とともに、秘密裏に「サイクス・ピコ協定」というトルコ領の分割協定を結んでいた。この秘密協定は、1917年11月のロシア革命成就直後に、ボルシェヴィキ政権により暴露され、アラブ人を大いに憤激させた。<アラブ人とユダヤ人の対立>p391~392 第一次大戦後、パレスティナはイギリスの委任統治下に置かれた。そして、バルフォア宣言に鼓舞されたユダヤ人が欧米各地から各国政府の政策的後援をうけながら、パレスティナに移住してきた。ナチス・ドイツすらが、1941年春までは強力にユダヤ人のパレスティナ移住策を進めたこともすでに述べた。 が、ユダヤ人のパレスティナ移住が進むと、それはたちまち現地のアラブ系住民の反発を招来する。現地アラブ人の抵抗は1920年代初めから始まってはいたが、当初は、イギリス政府の懐柔策が効を奏し、またアラブの地主層も土地代金の入手で潤い、大きな騒動にはなり得なかった。 1929年、エルサレムの嘆きの壁を巡って、ユダヤ人とアラブ人の最初の大規模な衝突事件が起こり、30年代に入ると、入植者の急増やシオニストのアラブ住民排除策に抗してパレスティナのアラブ人の反乱が続発するようになる。30年代末以降、イギリスはパレスティナのアラブ住民の反乱には徹底的に弾圧を加える一方、周辺のアラブ諸国の支配層に働きかけ、シオニストの独走に対する牽制策を採りはじめた。また、パレスティナへの移住制限も始めた。 このようなイギリスの「バランス政策」に失望したシオニストたちは、第2次大戦中に、新たな庇護者を求め、その役割をアメリカ合衆国に見出す。つまりシオニストは、最大のディアスポラ(さまよえるユダヤ人)を抱えるアメリカ合衆国をよりどころに、ユダヤ国家完成をめざすのである。 第2次大戦後、こうしてシオニストの新しいパトロンとして登場したアメリカ合衆国が、パレスティナ問題を巡る国際政治の舞台で主導権を握るに至る。【世界の民族地図】高崎通浩著、作品社、1994年刊<「MARC」データベースより>現代世界は、野放図に噴出する民族的エネルギーに覆われている。人種、民族、語族、宗教…これらの複雑な民族問題を一冊に集約した。 1997年刊の改訂版有り。<大使寸評>これ1冊で、世界の民族問題とか、紛争、テロ活動がわかる優れものです。個人的にはチベット、内モンゴル、新疆ウイグル自治区、北アイルランド、バスク、パレスティナ、朝鮮半島に関心があるんですが。Amazon世界の民族地図1冊の本とネット情報(goo映画解説)があれば、昔見た映画の背景を後追いで調べることが出来るわけで・・・・便利な世の中になったものです。ロレンスの個人的魅力は、このあとwikipediaで読んでみます。wikipediaトーマス・エドワード・ロレンスよりトーマス・エドワード・ロレンス(Thomas Edward Lawrence、1888年8月16日 - 1935年5月19日)は、イギリスの軍人、考古学者。オスマン帝国に対するアラブ人の反乱(アラブ反乱)を支援した人物で、映画『アラビアのロレンス』の主人公のモデルとして知られる。
2013.01.14
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ミステリー小説といえば、フィリップ・マーロウものぐらいしか読んだことがないのだが・・・スパイ小説の『リヴィエラを撃て』は、また別の趣きがあり、これもええでぇと見直しているところです。この本では、歴史的背景、政治的背景もアクションもしっかり描いてあるので、なかなかマッチョというかハードボイルドなわけです♪特に、中華の闇で揺れる日米英の政府中枢など、もろに大使のツボを突いています。だけど、この小説に、やたら《5》とか《6》が出てきて、「何のこっちゃ」なわけで・・・スパイ小説を読む素養が足りないわけですね。それから、後半にはCIAとMI5が撃ち合う複雑なお話に変わってきて、登場人物の名前や相関をメモしておかないと訳が分からなくなってくるわけで・・・・こんな複雑な話を紡ぐ高村さんの緻密さが罪というか、すごいのです(笑)【リヴィエラを撃て】高村薫著、新潮社、1992年刊<「BOOK」データベースより>国際政治の楽屋裏を発狂させた男〈リヴィエラ〉。夥しい諜報戦士たちの血を吸込んだこのコードネームは、一人の天才ピアニストに死を賭した東京公演を決意させる。顔のない東洋人スパイをめぐって、東京・ロンドン・ベルファストに繰り広げる、流血の頭脳ゲーム。<大使寸評>この本では、歴史的背景、政治的背景もアクションもしっかり描いてあるので、なかなかマッチョというかハードボイルドなわけです♪特に、中華の闇で揺れる日米英の政府中枢など、もろに大使のツボを突いています。Amazonリヴィエラを撃て著者の語り口を味わう意味もあるので、一部を転記して紹介します。p373~374 「私たちは手榴弾を投げ込まれたんです!CIAが投げ込んできたんだ!」 出ない声を振り絞って、キムは苦痛のため動かない身体をよじった。潤んだ目が剥き出しの怒りでさらに潤んでいた。M・Gは、静かに応えた。 「私たちもCIAの現職の男を、卑劣な手段で拷問した。これはおあいこだ。彼らには彼らの守るべき国益があり、私たちには私たちの守るべき国益がある。君とジェンキンズが危険をおかして得た情報は、事態の把握になくてはならないものだ。起こることを正確に掴んでおくことが、今私たちに出来る最大の仕事だ。手を出して、事態をぶち壊すことではない」 「モーガンはどうなります・・・・」 「彼がケリーと別行動を取るなら、警察の出番もあるだろうが、この八日間モーガンを見つけられなかった警察が、今日明日に何が出来る?彼のことはひとまず忘れよう」 M・Gは、先刻カーゾン・ストリートの上司に話した自分の言質とは、あえて少し異なったことを話した。 「・・・そうそう、こういう事情だから、ケリーの電話はもう待つ必用はない。君の携帯電話は回収したから。そのつもりで」 「ケリーは、モーガンを逮捕させるために電話をかけてくるんです・・・」 「ケリーとの接触は厳禁だと言ったろう?」 M・Gは、自分自身、突然糖尿病を宣告された男のように肩を落としているのを知っていたが、長年の習性になってきた無表情な喋り方は、他人にそれと分かるほどの変化は受けていなかった。だが、その無表情こそ、部下を教え、鍛え、守ってきたもの、そのものだった。そいいうことを、キムが分かる日もそう遠くはないだろう。 そういうことを考えながら、M・Gは、憤慨に満ちた目で天井を睨んでいるキムの顔を眺めた。 「キム。私たちはそれぞれ、人生のそれぞれの時点で、最終的に何を優先するかを決めていかなければならない。だが仮に今、君がどういう形であれ職場を去るようなことがあったら、《リヴィエラ》の追求は誰がやる?僕はもう歳だが、君にはまだ山ほどやることが残ってる」 M・Gはそう言い残して腰を上げた。短いノックとともに、ちらりとモナガン警視監が顔を覗かせたからだった。天井を睨んでいたキムの目が、今は自分の背に向かっているのを感じた。「M・G」とキムが呼んだ。M・Gは振り返り、ウィンク一つ返して病室を出た。《リヴィエラ》を追うジャックがあえなく亡くなり、ヒーローがキム、手島へと変わっていくことにやや驚くけど・・・・《リヴィエラ》というアンチ・ヒーローが主題なんでしょうか。それとも組織をも上回る誇りを描こうとしているのか。MI6とMI5が何たるかをほったらかしで、読み進めていたけど・・・・これではあかんと、孫崎亨さんの新刊の新書『日本の「情報と外交」』を買ってきて読み出したところです。この新書には<CIA・MI6(スパイ)とFBI・MI5(防諜)>という章があったりするので・・・・・よく読んでスパイ小説を読む土台を築くことにいたしましょう(汗)スパイ小説を紡ぐには国家観とか、現実の防諜組織に関する知識とか、外せない制約が多いわけだが・・・・女性作家で、この制約に挑戦した蛮勇というか、作家魂がすごいですね♪amazon高村薫より1953(昭和28)年、大阪市生れ。1990(平成2)年『黄金を抱いて翔べ』で日本推理サスペンス大賞を受賞。1993年『リヴィエラを撃て』で日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。同年『マークスの山』で直木賞を受賞する。1998年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞を受賞。2006年『新リア王』で親鸞賞を受賞。2010年『太陽を曳く馬』で読売文学賞を受賞する。他の著作に『神の火』『照柿』『晴子情歌』などがある。フィリップ・マーロウがつなぐ輪『リヴィエラを撃て』1『リヴィエラを撃て』2
2013.01.13
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<大漢族主義の陥穽について>図書館で借りた「世界の民族地図」を読んでいるのだが・・・・この本を借りた主なわけは、中国の少数民族問題、言い替えれば大漢族主義を究明することにあったわけですね。(大使はしつこいのである)昨今では尖閣諸島沖で領空侵犯も目に余るようで、口だけで大漢族主義を批判している場合ではないのですが。で、報道、書籍、ネット論調から大漢族主義の陥穽について集めてみました。・チベット族の焼身自殺防止のため・世界の民族地図・大東亜共栄圏論の出来の悪いコピー・北アイルランド紛争について <チベット族の焼身自殺防止のため>青海省では、焼身自殺を現場で防いだ人に、黄南チベット自治州政府から20万元(約280万円)の報奨金が出るそうです。・・・・人道的というよりは、金で鎮静化をはかるところが、いかにも漢族ですね。12/29テレビは没収、衛星受信機器は破壊、チベット族の焼身自殺防止のため300の寺院から―青海省より 12月27日、米華字メディア・多維新聞によると、中国・青海省人民政府はチベット族による政府に対する抗議の焼身自殺を阻止するため、軍による警戒を強化するだけでなく、同省黄南チベット族自治州にある300の仏教寺院が所有するテレビを没収し、使用されていた衛星放送受信機器を破壊したという。 (1エントリー文字数制約により省略)【世界の民族地図】高崎通浩著、作品社、1994年刊<「MARC」データベースより>現代世界は、野放図に噴出する民族的エネルギーに覆われている。人種、民族、語族、宗教…これらの複雑な民族問題を一冊に集約した。 1997年刊の改訂版有り。<読む前の大使寸評>これ1冊で、世界の民族問題とか、紛争、テロ活動がわかる優れものです。個人的にはチベット、内モンゴル、新疆ウイグル自治区、北アイルランド、バスク、パレスティナ、朝鮮半島に関心があるんですが。Amazon世界の民族地図この本から大漢族主義の部分を紹介します。<「大漢族主義」と「地方民族主義」>p306 大躍進期(1958-62)以降は、「民族融合」論が唱えられ、漢族が唱えられ、漢族が少数民族居住地に大量に移住し、漢族への同化策が推進された。漢族の大量移民が最も精力的に展開されたのは、新疆ウイグル自治区に対してである。表に見られる通り、1955年当時、新疆の総人口487万人のうち30万人を占めるに過ぎなかった漢族は、82年には、500万人を越え、人口比で40.2%に達している。 27年間で470万人以上の漢族がこの地へ移住(あるいは出生)したことになる。この間、新疆ウイグル自治区で人口比70%を超す多数派住民であったウイグル族は、もはや過半数を占める住民ではなくなっているのである。 1958年から59年にかけて新疆ウイグル自治区で昂揚した少数民族運動は、中央政府より「東トルキスタン共和国」の分離・独立をはかる「地方民族主義」として断罪され、多くの少数民族指導者が党を除名され、あるいは公職を追われた。この運動の背景には、漢族の大量進出に対するウイグル族側の危機感があったと思われる。また、進出してきた漢族による、生産資源の組織的開発や農地の管理強化に対するウイグル系住民の反漢ナショナリズムがあったことが容易に想像される。 以上述べてきたように中国の民族政策の展開は、各地で少数民族側の不満を醸成し、「地方民族主義」的傾向を生み出す一方、民族政策に孕まれる「大漢族主義」的傾向が、中ソ対立以降のソ連などから批判を浴びてきた。 また、文化大革命期には、民族政策は階級闘争のなかに解消され、結果的に中国の少数民族は災厄の10年を送ることになる。すなわち<民族問題がまだ解決されないのは、民族に反動勢力が残存しているからであり、その解決は、階級闘争によってのみなされ得る>とされ、結果的には少数民族の伝統的文化の破壊、急激な漢民族同化策が進められ、少数民族住民の多くが迫害され、殺害されることになるのである。 1976年の「四人組」の打倒、77年のトウ小平の復権を経て、70年代末からの「四つの現代化」路線の確定のなかで、中国の民族政策にも転機が訪れ、少数民族地区経済の回復・発展がはかられている。<少数民族の置かれた状況>p306~308 この項の冒頭で触れたように、中国の少数民族は漢族との比で圧倒的に少数派であること、また「大分散・小集居」状況であること等に加えて、彼らの居住地は、いずれも経済的後進地域であることが、問題をさらに困難なものにしている。(1エントリー文字数制約により省略) <大東亜共栄圏論の出来の悪いコピー>中国共産党は、文化大革命というイデオロギー偏重を見直して大漢族主義にたちかえった。そして、この先祖がえりのような変化も、少数民族にとっては、なんら改善をもたらすことはなかった。チャイナ・ウォッチャー平野聡さんは「大漢族主義は、大東亜共栄圏論の出来の悪いコピーに過ぎない」と鋭く指摘しています。中国が中国である限り 真の民主はありえない(後編)より<極点に達する漢人と少数民族> しかし中国の国家統一問題は、単に台湾のみを対象としたものではない。中華人民共和国の圧政に長年来あえぎ、現状への問題意識を表明するだけで「国外勢力の影響を受けた分裂主義分子」として厳しく弾圧され続けている内陸アジアの少数民族をめぐる問題でもある。 中華人民共和国がもし本当に「統一された多民族国家」であるのならば、その一部分で始められた民主的な地方自治の試み=烏坎モデル(?)は速やかに全国へと広げられるべきであり、当然の前提として政治的な意見表明の自由も認められるべきであろう。しかしそのようなことになれば、少数民族が即座に中国からの独立を求めることになるのは、2008年以後のチベット問題、09年夏のウルムチ事件、そして11年の内モンゴル抗議運動など、漢人と少数民族対立が極点に達している状況からして余りにも明らかである。 では、漢人社会には自由で民主的な自治を認め、少数民族には一切それを認めず、相変わらず森厳たる軍事力や警察力で抑圧を続け、少数民族地域の経済的利益を漢人(及び中国語を母語とするムスリムの回族)資本がほしいままにするのであれば、それは中国が激しく憎む日本帝国主義の植民地支配と同じようなものに過ぎないだろう。いやそもそも、 「漢族は56の兄弟民族からなる祖国大家庭における最も先進的な存在であり、漢族がおくれた少数民族を発展の道に導くことは中国の特色ある社会主義の先進性のあらわれ」なる言説が何らの躊躇いもなく横行すること自体、この国家を国家たらしめるものは大漢族主義そのものであり、大東亜共栄圏論の出来の悪いコピーに過ぎない。したがって、既に明白に漢人優位となっている国家において、さらに「祖国中華」への忠誠心の度合いに応じて政治的権利の付与に差をつけるとすれば、それは改めて明白に「少数民族は能力と忠誠心の両面で劣っているので二等・三等国民に過ぎない」と宣言するようなものである。そのあかつきには、さらに少数民族の怒りを激発することになろう。<このままでは少数民族との大混乱は避けられない>(1エントリー文字数制約により省略)<中国人に突き付けられる究極の選択肢> かくして、中国の人々には究極の選択肢が待ち受けていることになる。 中国における真の自由と民主の実現と国際的な尊敬を望むのであれば、「大漢族主義」の矛盾が根深い現状では少数民族の独立論は抑えられない以上、中国地図が今のかたちであることを諦めなければならない。これは中国近現代史における中国ナショナリズムと少数民族の不幸な関係の絶対的帰結である。 中国の巨大な領域と、漢人主導の共産党が「おくれた」少数民族を多数従えて「正しい」発展に導いていることを誇りに思い、「偉大な祖国」への忠誠を覚えるナショナリストであり続けるのであれば、それらの価値に比べて自らの自由と民主などは全く大したことはないと諦めなければならない。それではもう一つの選択肢として「大漢族主義」を捨て、完全に各民族が平等な社会をつくれば良いではないか? しかしそれは、漢族優位の価値観と不可分な近代中国ナショナリズムと抵触する。 そもそも漢字文化を共有しない少数民族にとって、「中国」という文字が発する価値自体が不明である以上、「漢字文明の偉大さや先進性」なるものとともに立ち現れ自らを圧迫する「中国」に従う理由などない。モンゴルやチベットが清に従っていたのは、満洲人皇帝が草原世界共通の信仰であるチベット仏教のパトロンであったからであり、東トルキスタンのトルコ系ムスリムが清の領域に組み込まれたのは、この地を支配していたモンゴル系の王国ジュンガルが清に滅ぼされ、満洲人皇帝はイスラーム信仰を認めたからである。だからこそ辛亥革命による清の崩壊以後モンゴルは独立に走り、チベットや東トルキスタンも独立しようとして失敗したのである。 辛亥革命が近現代中国の一大慶事であるなどという議論は、清から受け継いだ領域の安定的維持という立場からすれば著しい誤謬であり、むしろ昨年の辛亥革命100周年は清の崩壊による領域不安定化100周年として記憶されるべきある。<中国問題は日本問題でもある>(1エントリー文字数制約により省略) <北アイルランド紛争について>「世界の民族地図」を読んだ後に北アイルランド紛争についてとして、読書感想を書いたので・・・・今回のエントリーは読書感想(その2)とも言えるのです。ここで、はたと考えるのであるが・・・アイルランドと新疆ウイグルとの違いは何だったのだろう?容貌については、ウイグル族と漢族の違いは1目瞭然であるが・・・アイリッシュとアングロ・サクソン族の場合、日本人では判別できませんね。現在の状況は・・・曲がりなりにも、アイルランドが独立できたのは、アングロ・サクソン族との戦いが人口数で拮抗していたので、辛うじて得た独立だったのかもしれないのです。しかし、人口数で圧倒的に少数であったウイグル族は、同化、迫害の憂き目に甘んじるしかなかったようで・・・・ここに過酷な「大漢族主義」が見られるのです。ラビア・カーディルさんが抗議して止まないのも、分かる気がします。なお、内モンゴル人の見解は辛亥革命ってに表れています。
2013.01.12
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昨日は久々に封切館に出かけて「モンサントの不自然な食べもの」を見たのです。モンサントの酷いやり口は先刻承知であるが、一方・・・日本の数多くのGM認可例を見れば・・・圧倒的というか、既に壊滅的である。日本の役所は伝統的にアメリカの圧力に弱いが、ここまで酷い事例は他に知らないのだ。【モンサントの不自然な食べもの】マリー=モニク・ロバン監督、2008年仏・カナダ・独制作<goo映画解説>よりフランスのジャーナリスト、マリー=モニク・ロバンは、取材で世界各国を飛び回る日々を送っていた。行く先々で耳にする巨大多国籍企業「モンサント社」の黒い噂。その真偽を確かめるために、インターネットを使って情報を集め、アメリカ、インド、パラグアイ、イギリスなど現地に赴き、3年間にわたり証言を集めていった。本作は、「モンサント社」の1世紀にわたる歴史を語ると共に、現在のモンサントとその主張を、多くの証言と機密文書によって検証していく。「1ドルたりとも、儲けを失ってはならない」、その企業体質は、はたしてどんな犠牲を私たちに強いるのだろうか。<大使寸評>ロバン監督の痛烈かつ的確な情報収集はジャーナリストの鑑ではないか♪全編にわたり引き込まれる編集も過不足がなく、プロパガンダ映画として秀逸である。goo映画モンサントの不自然な食べものアメリカでは食品パッケージにGM表示義務は撤廃されたので・・・・もうモンサントの天下であり、アメリカの庶民は食品テストのモルモットになってしまったような有様である。もし日本がTPP交渉に参加すれば、モンサントの利益を代弁するような米通商代表部(USTR)との交渉となるが・・・・交渉という土俵に上がらないのがベストだろう。2012年6月衆議院議員会館でのロバン監督のメッセージを紹介します。ロバン監督のメッセージより当会場にお集まりの国会議員の皆様、本日は日本を代表する皆様がたに私個人の私見をお伝えする機会をいただき大変光栄に存じます。現在、日本は、環太平洋経済連携協定、いわゆる《TPP》への参加にむけて大きく舵を切られたとうかがっております。当協定は非常に重要な意味をもつアメリカ主導の協定です。本日、皆様がたにお伝えしたいのは、北米自由貿易協定に関して、私が実際に見聞した事実です。ご存じのように北米自由貿易協定は1992年にアメリカ、カナダ、メキシコの3国間で署名され、1994年1月1日に発効された自由貿易協定です。実は私はつい先頃、この北米自由貿易協定に関するドキュメンタリー作品を制作しました。現地で取材をしながら私が目にしたのは、当協定がメキシコ経済およびメキシコ社会に及ぼした多大なる悪影響です。中でも最悪の被害を今から申し上げます。メキシコはトウモロコシの原産国ですが、この協定によってメキシコは一夜にしてアメリカの多国籍企業モンサントが送り込む遺伝子組み換えトウモロコシに侵略されてしまいました。なぜなら、北米産のトウモロコシはアメリカの非常に手厚い補助金制度のおかげで生産費を19%も下回る破格の値段で市場に出回ったからです。このダンピング(=破格値販売)によって、300万人ものメキシコの小規模農家の人達が農業を捨てざるを得ない状況に追い込まれました。アメリカの巨大な穀物メーカーにはもはや太刀打ちできなかったからです。離農したメキシコ人の多くがひそかに、つまり不法にリオ・グランデ川を越えました。推定では1994年から2008年にかけて不法越境したメキシコ人は毎年50万人と言われています。北米自由貿易協定が締結される以前、メキシコは食糧に関しては自給自足の国でしたが、現在では食糧の40%以上を輸入に頼っています。そして2008年にはメキシコの歴史始まって以来の飢餓暴動が勃発しました。なぜなら、国民の主食の原料であるトウモロコシの流通が、全世界のマーケットで農産物に投機を仕掛けるカーギルやモンサントといった食品業界の多国籍企業に牛耳られてしまったからです。輸入によってメキシコに入った遺伝子組み換えトウモロコシは地元の在来種を汚染しました。その結果、いずれ国内の在来種の全滅も危惧されます。それはまさに食料主権の要である生物多様性が劇的な形で失われることを意味するのです。自由貿易の《比較優位》という概念があります。これは各国が自由貿易協定によって自身の得意分野を活かして得をするという希望をもたせる概念ですが、これはまやかしです。農業のみならず産業分野についても同じことです。もちろん日本の経済力はメキシコ経済に比べてはるかに強大です。それでもなお、あえてわたくしが皆様の注意を促したいのは、TPP参加によって日本の農業、日本で消費される食品のクオリティーにどういう影響がもたらされうるかという点です。どう考えても、TPPへの参加は食糧供給において日本がアメリカへの依存を深めることになるのは明らかです。現在、世界中で地球温暖化が進行し、異常気象に伴う農作物の不安定な供給を受けた価格の乱高下(らんこうげ)が顕著です。そうした状況をかんがみると、TPP参加は今後日本を非常に脆弱な国、立場の弱い国にしてしまいかねません。私は現在、新作ドキュメンタリーを制作中です。同時に同じテーマで関係書も執筆しています。その撮影のため私はすでに4大陸を駆け巡り、今こうして日本にいます。その結果、確信したことがあります。私たちはこの21世紀、様々な問題に直面しています。地球温暖化、想定される化石資源の枯渇、あるいは生物多様性の危機といった難問です。もし世界各国がこうした問題に果敢に取り組み、乗り越えたいと願うのであれば、世界的にグローバル化するマーケットから食料品だけは何としても引き離すべきです。同時に、輸入ではなく自国での生産体制に戻すこと、有機農業という農業モデルに力を注ぐことです。有機農業は、天然資源を大切にし、気候の不順に対しても順応性の高い農業モデルなのです。環太平洋経済連携協定、TPPは、今、私が推奨させていただいた方向性のまさに逆方向を行くものなのです。皆様、最後までご静聴どうもありがとうございました。(2012年6月14日 衆議院議員会館にて)米通商代表が13年中のTPP交渉妥結を楽観視、課題も認識が、聞き捨てならないのです。条約は国内法に優先する為にTPPで話をまとめれば法改正よりも早く変更ができてしまう。アメリカの交渉力に、日本の官僚は太刀打ちできないだろう。
2013.01.11
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図書館で借りた「リヴィエラを撃て」と「世界の民族地図」を同時進行で読んでいるが・・・「ケルト人が住む妖精の国で、爆弾テロが起きるのは何故か?」というお馬鹿な疑問に答える為というか(笑)、北アイルランド紛争についても知りたいと思うわけです。ということで、北アイルランド紛争関連について集めてみました。・世界の民族地図(1994年)・リヴィエラを撃て(1992年)・麦の穂をゆらす風(2006年)【世界の民族地図】高崎通浩著、作品社、1994年刊<「MARC」データベースより>現代世界は、野放図に噴出する民族的エネルギーに覆われている。人種、民族、語族、宗教…これらの複雑な民族問題を一冊に集約した。 1997年刊の改訂版有り。<読む前の大使寸評>これ1冊で、世界の民族問題とか、紛争、テロ活動がわかる優れものです。個人的にはチベット、内モンゴル、新疆ウイグル自治区、北アイルランド、バスク、パレスティナ、朝鮮半島に関心があるんですが。Amazon世界の民族地図ケルト系言語分布(民族学博物館)この本からケルトの部分を紹介します。<ケルトの復権>p102~104 ゲルマン移動が開始されると、ローマは、大陸防衛という軍事的観点からブリタニア駐留軍を引き揚げ、410年には、西ローマ皇帝ホノリウスが、ブリタニアの放棄を宣言し、ここに、ローマのブリタニア支配は終了する。ブリタニアには、再びケルト人の小部族国家が分立するが、それも束の間、5世紀中葉には、アングル族、サクソン族などの西ゲルマン諸部族が、ブリタニアに進出してくるのである。彼らは、ケルト人を駆逐しつつ、占領地を拡大し、6世紀末までにはブリテン島中・南部に7~10の小国家を成立させる。 これがイギリス史上の七王国時代である。この七王国はエグベルトにより統一されイングランド王国の歴史が始まる。イングランドという地方名は、むろん、アングル族に由来する。 ローマ帝国の侵攻に耐えぬいたブリテン島北部(スコットランド)や、西部(ウェールズ)のケルト系ブリトン人は、アングロ・サクソンの侵攻にももちこたえた。 アングロ・サクソン族のこのブリテン島侵略=支配地拡大の過程において、ブリテン島を逃れた一部のケルト人部族がヨーロッパ大陸に渡り、フランス西部のブルターニュ地方に入るが、彼らこそが、現在、ブルターニュ分離運動を進めているブルターニュの住民の先祖である。 以上、見てきたように、大陸のケルト社会はブルターニュ地方を除き消滅し、そのブルターニュも16世紀にフランス王国に併合され、島のケルトも、ウェールズが13世紀に、スコットランドも18世紀初めに、イングランドに組み込まれ、アイルランドもまた、17世紀に植民地化された後、1801年、大ブリテン・アイルランド連合王国として、イギリス支配下に置かれた。残存してきたケルト社会が「民族国家」フランス、イギリスに組み込まれていくに伴い、ケルト人の社会と文化の独自性は、しだいに希薄になっていく。 このケルト人の社会および文化への注目が唱えられ、その復権が語られるようになるのは、19世紀以降のことであり、それは、ケルト系アイルランド人の自治権獲得・民族独立を求める動きに触発されていく。19世紀後半の「アイルランド文芸復興」と呼ばれるケルトの民族文化運動が進められ、20世紀にアイルランドの独立がなし遂げられた後には、ウェールズやスコットランドやブルターニュにおける地域主義、分離主義の動きが高まっていくのである。この本から北アイルランドの部分を紹介します。<イギリスのアイルランド併合>p351~352 1801年、アイルランドはイギリスに併合され、グレートブリテン・アンド・アイルランド連合王国が成立する。以降1921年まで、アイルランドはイギリスの直接統治下に置かれる。この間、プロテスタント(アングロ・アイリッシュ)の多い北部のアルスター地方では、産業革命が進行し、リネン工業、造船業を中心に産業の近代化が進められた。 一方、現在のアイルランド共和国のある残余の6分の5の地域は、不在地主制の下の貧しい農業社会のままに置かれる。 1827年、審査律が廃止され、非国教徒も公職に就けることになるが、カトリックはその対象から除外された。ちょうどその年、アイルランドの民族運動家ダニエル・オーコンネルが、下院議員の補欠選挙に当選するが、カトリックのオーコンネルは国会の議席に就くことを阻まれる。イギリス政府は反乱の危機を回避すべく、翌1829年、カトリック解放令を成立させる。これによりカトリック教徒は、参政権、公職に就く権利などの公民権を獲得し、アイルランド人は宗教上の差別からは、ほぼ解放された。 オーコンネルは以後、併合法撤回をめざす大衆運動を組織する。オーコンネルは今でもアイルランドの「解放者」として尊敬されているが、彼自身はその活動の議会主義的、合法主義的限界のために、アイルランド民族運動の主流からは脱落してゆく。 <アイルランド共和国の誕生>p354~355 1918年のイギリスの総選挙で、多数のシン・フェーン党員が当選するが、彼らはウェストミンスター議会(英国議会)に出席することを拒み、翌19年、ダブリンで第一回アイルランド国民議会を開催し、独立宣言を発する。独立宣言を認めないイギリスとの間に、独立戦争が開始され、アイルランド義勇軍は、今やIRAと呼ばれる正規軍として出動する。 この独立戦争は、結局のところ、両者の妥協の産物としての「現実的解決策」により終息する。すなわち、北部のアルスター地方の6州をイギリス連合王国領にとどめ、残りの26州を自治領としてアイルランド自由国を発足させることで妥結するのである。 こうして、1922年アイルランド自由国が成立するが、この事態を巡ってアイルランド民族運動内部に大きな亀裂が生じることになる。つまり、この「現実的解決策」を支持する勢力と、あくまでも全島の共和国としての完全独立を求める反対派との間の対立である。この亀裂はシン・フェーン党組織内にもIRAにも発生し、両組織を割ることになる。 22年から23年にかけて、IRA内の反対派と賛成派との間に内戦が展開され、前者は鎮圧され組織そのものは壊滅していく。が、IRAは政治的主張を同じくする人たちにより、やがて再建され、30年代には非合法化されるが、北アイルランド駐留軍などへのテロ闘争を続行した。 またシン・フェーン党も内部分裂し、一時勢力は弱まるが、30、40年代には北アイルランドからのイギリス軍の撤退と全島の再統合を主張し、組織を再編強化した。 第2次大戦後、シン・フェーン党内において、IRAの影響力が強まり、現在同党は非公然軍事組織IRAの公然組織という性格をもつ。それゆえ、IRAの爆弾テロがあるごとに、その非合法化が問題として浮上している。【リヴィエラを撃て】高村薫著、新潮社、1992年刊<「BOOK」データベースより>国際政治の楽屋裏を発狂させた男〈リヴィエラ〉。夥しい諜報戦士たちの血を吸込んだこのコードネームは、一人の天才ピアニストに死を賭した東京公演を決意させる。顔のない東洋人スパイをめぐって、東京・ロンドン・ベルファストに繰り広げる、流血の頭脳ゲーム。<読む前の大使寸評>タイトルがかっこいいので気になっていた本です。ぶ厚い本なので躊躇していたけど、年末スペシャルということで、この本を借りたわけです。Amazonリヴィエラを撃てアイルランドの内戦を描いた「麦の穂をゆらす風」という映画が、忘れがたいのです。【麦の穂をゆらす風】ケン・ローチ監督、2006年制作、H23.12.26観賞<goo映画解説より>講和条約は依然としてイギリスに都合のいいものだった。アイルランドの中で条約に賛成する者と反対する者に分かれて対立が始まった。それはやがてアイルランド人同志が戦う内戦へと向かってしまう。条約に賛成する兄・テディは政府軍へ、完全な自由を求めて条約に反対する弟・デミアンは再びゲリラ活動へ。<大使寸評>アイルランドの悲哀や、思想を貫くとはどういうことか考えさせられます。goo映画麦の穂をゆらす風麦の穂をゆらす風byドングリwikipediaアイルランド共和軍より 1970年代から1990年代にかけての一般に「北アイルランド紛争」と呼ばれる事態において最重要視される勢力である。IRA暫定派は、1971年に導入された治安当局による一斉拘留(インターンメント)や1972年1月30日にデリー(ロンドンデリー)で発生した「血の日曜日事件」など、「イギリスによるアイルランドへの暴力的抑圧」を背景に人員と規模を拡大させ、プロテスタント系武装組織や北アイルランドに駐留する英軍や北アイルランド警察(警察のほとんどがプロテスタントであった)にゲリラ攻撃を加えた。なお、「大漢族主義」にひたる中国共産党が、体制維持のために少数民族の同化・迫害を止められない歴史的経緯については・・・・この後、「世界の民族地図」を読み進めるものとします。
2013.01.10
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<横尾忠則の世界> 横尾忠則について集めてみました。60年代に、村上隆より早く世界に打って出た横尾忠則はパイオニアとも言えますね♪・横尾忠則現代美術館・クロスメディア・アーティスト・未完の横尾忠則 TADANORI YOKOO OFFICIAL WEBSITE西脇市岡之山美術館 <横尾忠則現代美術館> 横尾忠則といえば、兵庫県が生んだ世界的なアーティストであるが・・・今月3日に横尾忠則現代美術館がオープンしたので、週日であれば混雑もないだろうということで、開幕日の3日を外して出かけたのです。おお♪さすがに現代的な美術館である。展示作品はいわゆる絵画に絞っているので、イラストやポスターは除外されていました。館内の展示絵画の写真撮影は不許可とのことなので・・・・4階の図書コーナーの本から、好きな作品を撮りました。初期のイラストです。和田誠さんと連れ立ってヨーロッパ旅行に出かけたようですね。おお 健さんやでぇ♪ 横尾さんがもっとも元気な頃でしょうか(今でも元気やけど)そう言えば、同じ題材を繰り返して描くのが横尾さんの特徴ですね。(今回は記念展:反反復復反復となっていました)ピカソとかルソーなど著名画家の絵を題材にした作品も多くあります。温泉大好きだったようです。県内の城之崎温泉、湯村温泉…それから鬼怒川温泉の絵もあります。この美術館のすぐ近くに王子動物園があるのですが、大使の歳では無料になるので・・・・冷やかしに入場し、パンダを見たり、ベンチで本を読んだりして帰途についた訳です。・・・・芸術の秋やでぇ♪横尾さんの6日のツイートです。@tadanoriyokoo: 以前も観たが韓国映画「春夏秋冬、そして春」をまた観た。哲学的な映画だが好きな映画だ。ラスト辺りは教条的で観念的になっていくが、生死を儒教的にとらえた一種の成長物語。最後のアリラン峠を越えるのは監督自身。 <クロスメディア・アーティスト> ちょっと古くなるが、クロスメディア・アーティストとしてベン・シャーンが知られているが・・・・どっこい!本邦では横尾忠則がクロスメディアの先駆者である。イラストレーター、画家、アニメーター、映画俳優、作家、実業家など老いてますますで・・・amazon横尾忠則を覗くと、その著作は多彩である。wikipedia横尾忠則よりメディア型美術家と評されるほど、各種メディアへの登場頻度が高い。自身の公式サイトにて発表している、ひと言風の日記「YOKOO'S VISION(横尾忠則 昨夜・今日・明日)」は更新頻度も高く、訪問数も高い。『週刊少年マガジン』の表紙や、マイルス・デイビスのアルバム『アガルタ』、サンタナのアルバム『ロータスの伝説』『アミーゴ』などのジャケット、1979年貴乃花・1981年千代の富士貢の化粧廻し、宝塚歌劇団のポスター、マツダ・コスモスポーツの海外向けカタログなどもデザインしている。また、多くの異なるジャンルの作家と交流を持ち、共同で仕事をしている。岡本太郎、谷内六郎、高倉健、三島由紀夫らを敬愛している。ATG作品といえば横尾忠則主演「新宿泥棒日記」があったな~。【新宿泥棒日記】大島渚監督、1969年制作<goo映画解説>より真夏の新宿。蒸し蒸しする雑踏の中から、突然「泥棒だ!」という声が起った。捕った少年は、追手の前で素裸になり、ひらきなおった。その有様を見ていた一の人学生が、紀伊国屋書店へ入ると、数冊の本を抜きとった。その手首をしっかりとつかんだのは厳しい表情の女店員だった。紀伊国屋書店の社長田辺氏は叱りもせず学生を許し、女店員は三度目までは大目にみるのだと笑った。学生は再び、万引を宣言し、実行した。ところが田辺氏は、岡ノ上鳥男という学生を許したばかりか金まで与えた。出演者: 横尾忠則/横山リエ/田辺茂一/高橋鐡/佐藤慶/渡辺文雄/戸浦六宏/唐十郎/麿赤兒/大久保鷹/四谷シモン/不破万作/九頭登/藤原マキ/李礼仙 <大使寸評>横尾忠則主演とあれば、メディア型美術家、クロスメディア・アーティストと言われる由縁ですね。goo映画新宿泥棒日記 <未完の横尾忠則> 未完とは、言い替えれば現在進行中ということで・・・・老いてますますの横尾忠則にとっては、褒め言葉になるのでしょうね♪創作する魂が融通無碍であり、その若々しさに驚きます。【未完の横尾忠則】横尾忠則著、美術出版社、2009年刊<「BOOK」データベースより>何事も結末を迎えて初めて完成に至るわけで、生きているかぎり、制作しているかぎり、「未完」という「生々しい」状態にある。「未完」をキーワードに横尾ワールドを捉えてみると、さまざまなスタイルが同時に混在する稀な存在であることに気付く。そして、芸術の「生」の力を体感させてくれる。<大使寸評>きれいな装丁で、小粋で、内容が充実していて、さすがアートの本である。Amazon未完の横尾忠則この本の一部を紹介します<Y字路公開制作>p110~125 2000年、郷里の兵庫県西脇市での「発見」以来、「Y字路」は、横尾の主要なシリーズの一つになった。 少年時代の思い出の模型店の不在により、初めて浮かびあがった「Y字路」の存在は、意識と無意識の関係にも似ている。発見当初、無意識の中に存在していた「Y字路」を主体とし、写真を忠実に描写することで、横尾は自我を極力排除しようとした。しかし、9年を経て、「Y字路」は横尾の旺盛なイメージの受け皿となり、横尾自身と同化し始めている。 Y字路シリーズの制作は、「PCPPP」というパフォーマンス型の公開制作に発展した。それは、横尾によれば、周囲のプレッシャーを利用して自身を極限状態に置き、無心の状態を得るための環境づくりであるという。 「どうしてPCPPPをやるのかといったら、制服などの衣装を着ることで自分がある程度消されるからです。自分を消して絵を描くことの快感は過去何回もやった公開制作で僕は知っているわけです。」 横尾は、創造活動における自我との向き合い方を追求し続けている。<未完のY字路>p129~130 2000年の発見から9年、「Y字路」は、横尾自身が蓄積してきたイメージや様式を吸収して拡大し続けている。 イメージの複製により際限なく拡大し連鎖する表現が、横尾芸術を特徴づけているのはいうまでもないが、それらがコンセプチュアルな洋式に陥らず、作品としての強さを持つのは、横尾が、描くという行為への要求を自身に確認し続けているからであろう。公開制作において、写真を片手に、一つ一つのモチーフを入念に描写する様子は、描くことに没頭したという少年時代を連想させる。 横尾の、大胆かつ緻密な画面の構成を支えるのは、描くことへの情熱ではないだろうか。そこには直感的・肉体的に描く横尾と、理性的・精神的に考える横尾が同時に存在する。2人の横尾は表裏一体であり、常に入れ替わる。ゆえに、作品は瞬間完成しては次の瞬間には解体され、決して完成しない。作品、洋式、思想・・・完成に向かうあらゆるものを壊すことこそ横尾の創造であり、その破壊への衝動が横尾の創造の根源にあるのだろう。
2013.01.09
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尖閣諸島沖では中華の領海侵犯、領空侵犯が目に余る昨今であるが、気の早い大使は、気分的には開戦前夜みたいなものである。ただいま高村薫の『リヴィエラを撃て』を読んでいるところだが・・・この本にMI6、MI5が頻出するけど、この種の謀略機関が日本にないので、もうひとつピンとこないわけです。また、日本では、CIAとかFBIの役割に無頓着なままTPPに突き進む勢力がいるが、アメリカの戦略(謀略)は柔ではないはずで・・・危なっかしい限りである。たまたま、本屋で孫崎さんの『日本の「情報と外交」』を手にしたが・・・・孫崎さんこそ謀略機関のような部署を歩んできた第一人者なんですね。外務省に入省直後に、英国陸軍学校に留学し、その後、ロンドン大学でソ連情勢を勉強したそうで、まるでスパイ養成みたいなスタートをきっています。で、例の如く・・・・大使の病気(中華嫌い)がうずいて、この本を衝動買いした次第です。この際、日本のインテリジェンスにからむ本を集めてみました。・日本の「情報と外交」(2012年)・テロリズムの罠 左巻(2009年)・外交なき戦争の終末(1995年)・日中もし戦わば(2011年)・中国の海洋戦略にどう対処すべきか(2011年)【日本の「情報と外交」】孫崎享著、 PHP研究所、2012年刊<「BOOK」データベースより>なぜ日本は、尖閣問題で厳しい岐路に立たされたのか?政策決定において、論理よりも空気が重んじられる傾向は、「戦艦大和の最後の出撃」と重なるのではないか―。本書は、CIA、旧KGB、MI6等々、数多くの情報機関と交流した著者の実体験を交えて、情報とは何か、情報体制はどうあるべきかを提言する。外務省は、なぜニクソン・ショックを予測できなかったのか?なぜ石油ショックやイラン・イラク戦争の終結、ベルリンの壁崩壊を捉えきれなかったのか?元・外務省国際情報局長が国際諜報戦争と外務省の真実を明らかにする。 <大使寸評>ただいま、鋭意読書中でおま。Amazon日本の「情報と外交」【テロリズムの罠 左巻】 佐藤優著、角川学芸出版、2009年刊<「BOOK」データベース>より秋原原無差別殺傷事件、うち続く政権崩壊…。2007年から「最悪の年」2008年にかけて起きた国内の数々の事件・出来事、そして一大ブームとなった『蟹工船』の犀利な読解・分析を通じ、日本国家を弱体化すると共に暴力化し、日本社会の中に絶対的貧困とテロリズムへの期待を生み出した新自由主義の内在論理を徹底的に解読する。 <大使寸評>博識の著者が、インテリジェンスというツールを駆使して外交、経済、国家を解明するもの。国家の罠におちた元官僚ということで、この範疇に並べてみました。Amazonテロリズムの罠 左巻【外交なき戦争の終末】NHK取材班編、角川書店、1995年刊<「BOOK」データベース>より絶対国防圏の戦略拠点が次々に陥落、日本の上空が米軍機に完全に支配され、敗戦は必至とみえた昭和二十年一月、大本営は「本土決戦計画」を決めた。本土での地上戦ならば一度は勝てる。一矢を報いれば、無条件降伏だけは…。沖縄が本土決戦の捨て石とされ、住民もろとも焦士と化していた時、日本が和平工作の全てを託そうとしたソ連は、「ヤルタの密約」通りに、米ソ共同の軍事訓練を行っていた。 <大使寸評>太平洋戦争日本の敗因シリーズ6Amazon外交なき戦争の終末【日中もし戦わば】マイケル・グリーン×張宇燕×春原剛×富阪聰、文春新書、2011年刊<amazon紹介>より緊張高まる日中両国だが、実際に戦ったらどうなるのか。日米中を代表する専門家・ジャーナリストが一堂に会し激論を交わした。<大使寸評>人民解放軍の暴走を抑えることのできるのは共産党中枢9人のうち2人だけという、薄氷を踏むような文民統制システムが怖いわけで・・・・その中華のシステムを究明したいわけだけど、日米の専門家にしても不透明さは変わらないようです。Amazon日中もし戦わば【中国の海洋戦略にどう対処すべきか】太田文雄×吉田真著、芙蓉書房出版、2011年刊<「BOOK」データベースより>中国の海洋覇権の脅威はアジア全域に迫っている!急激に変化しているアジアの安全保障環境の中で日本のとるべき方策を提言する。 <大使寸評>この本は、防衛大学校の海防のプロが個人的見解として述べたものであるが・・・・タカ派の習近平が登場した今こそ、座右の書とするのが時代的ニーズではないだろうか。Amazon中国の海洋戦略にどう対処すべきか中国の海洋戦略にどう対処すべきかbyドングリ
2013.01.09
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<図書館大好き21>今回借りた6冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば「民族」でしょうか。なお、「リヴィエラを撃て」は前回からの延長借り出しです。<市立図書館>・未完の横尾忠則・宇宙観測図鑑・気になる日本語・リヴィエラを撃て<大学図書館>・世界の民族地図・構造・神話・労働 *************************************************************【未完の横尾忠則】横尾忠則著、美術出版社、2009年刊<「BOOK」データベースより>何事も結末を迎えて初めて完成に至るわけで、生きているかぎり、制作しているかぎり、「未完」という「生々しい」状態にある。「未完」をキーワードに横尾ワールドを捉えてみると、さまざまなスタイルが同時に混在する稀な存在であることに気付く。そして、芸術の「生」の力を体感させてくれる。<読む前の大使寸評>きれいな装丁で、小粋で、内容が充実していて、さすがアートの本である。Amazon未完の横尾忠則【宇宙観測図鑑】沼澤 茂美×脇屋 奈々代著、誠文堂新光社、2012年刊<内容紹介より>本書は、最先端で研究されている宇宙について、最新の宇宙探査機が撮影した、おどろくほど詳細な画像を使って紐解こう、というものです。画像は、ハッブル宇宙望遠鏡はもちろんですが、チャンドラー、スピッツァーなど、最前線で活躍しているものを主に掲載します。太陽系の直接探査はもちろんビッグバンやブラックホールなどの、だんだんわかってきた宇宙の謎に迫ります。<読む前の大使寸評>図鑑と銘打っているだけあって、鮮明な画像がすばらしい。内容も分かりやすくて・・・・宇宙の謎へのかっこうなガイドブックになっています。Amazon宇宙観測図鑑ブラックホールを見たいbyドングリ【気になる日本語】小林信彦著、文藝春秋、2011年刊<「BOOK」データベースより>アマチュアの時代はこまったものだ―徹底した個人主義を守りつつ、世間にきっぱり物申す。映画の話題も満載。「週刊文春」好評連載単行本化第13弾。 <読む前の大使寸評>週刊誌の連載エッセイの単行本である。週刊誌の連載エッセイと言えば、買わせるエッセイであり、なかなかええでぇ♪特に小林信彦の場合は映画についての薀蓄があふれ、それでいて衒学臭さもなく、飄々とした感じが、いい塩梅である。Amazon気になる日本語【リヴィエラを撃て】高村薫著、新潮社、1992年刊<「BOOK」データベースより>国際政治の楽屋裏を発狂させた男〈リヴィエラ〉。夥しい諜報戦士たちの血を吸込んだこのコードネームは、一人の天才ピアニストに死を賭した東京公演を決意させる。顔のない東洋人スパイをめぐって、東京・ロンドン・ベルファストに繰り広げる、流血の頭脳ゲーム。<読む前の大使寸評>タイトルがかっこいいので気になっていた本です。ぶ厚い本なので躊躇していたけど、年末スペシャルということで、この本を借りたわけです。Amazonリヴィエラを撃て【世界の民族地図】高崎通浩著、作品社、1994年刊<「MARC」データベースより>現代世界は、野放図に噴出する民族的エネルギーに覆われている。人種、民族、語族、宗教…これらの複雑な民族問題を一冊に集約した。 1997年刊の改訂版有り。<読む前の大使寸評>これ1冊で、世界の民族問題とか、紛争、テロ活動がわかる優れものです。個人的にはチベット、内モンゴル、新疆ウイグル自治区、北アイルランド、バスク、朝鮮半島に関心があるんですが。Amazon世界の民族地図【構造・神話・労働】クロード・レヴィ=ストロース著、みすず書房、1979年刊<「BOOK」データベースより>1977年、レヴィ=ストロースは、国際交流基金の招きにより初めて来日し、6週間滞在した。本書は、滞日中に行った講演、対話をすべて収録し、非公開のシンポジウムの記録を加える。民族学がはらむ問題を語った「民族学者の責任」ほか、「構造主義」「神話論」という、構造主義人類学の方法論をわかりやすい言語で語る。<読書途中の大使寸評>初来日時の講演で、日本に対する見方が的確なところが、さすがに世界的な民族学者ですね。「構造主義」はよくわからないけど講演の内容は分かりやすいので、図らずも良質のレヴィ=ストロース入門書になっています。Amazon構造・神話・労働この本から、一部を紹介します。<伝統と現代の調和>p158~161レヴィ=ストロース:もちろん伝統的な手工業が行き続けている鍵の一つに、製造法の近代化を行って、それを昔からの技術にうまく調和させていることがあります。たとえば蒔絵に使う金箔を作るっところを見せてもらいましたが、そこでは金箔製造に使う紙の作り方には、いろいろ秘伝があるんです。ところが金箔を打つのはエアハンマーでやっている。輪島塗の木地作りも同じで、大ざっぱな仕事は電動のロクロで片づけて、そのあと微妙なところを手でやるわけですね。 しかしながら、重要なもう一つの鍵は、生産過程の家族的構造にあるのではありませんか。漆器でしたら、夫婦のほかに、見習を含めて若い人たちが2,3人加わる程度で、しかも若い人は住み込みが多く、家族の一員のように扱われている。そして主人はその人たちの修養にも責任をもつ。まあこういう型があるでしょう。ですから漆器製造業といっても、建物はふつうの民家か、それよりも少し大きい程度ですね。訪問しますと、まず一しきり説明して下さって「さて工場を見ていただきましょうか」ということになる。「工場」というから何十人も働いている人がいるのかと思うと、そうではないのです。しかし、そういう単位が集まって漆器製造が成り立っているわけです。 一般的に言えば、ヨーロッパの人間が日本に来てまず驚くのは、まず第一に人間の多さ、人口密度の高さですけれども、それをそのまま単に労働力として見てしまうだけではいけません。その中にどのような小さな単位があって、それがどのようにうまく機能しているのかということを見なくてはならないのではないかと思います。そのような社会的単位を維持してゆくキャパシティに日本の独自性があるのではないですか。大橋:いま輪島塗についておっしゃられたことは、ヨーロッパの手工業についても同様に見られるのではありませんか。レヴィ=ストロース:いや、もうありませんね。ヨーロッパでは、19世紀にはまだ見られたでしょうが、今では、労働はすでに完全に個人に分解してしまっています。私は職人をたくさん知っていますけれども、もう誰も弟子をとろうとはしません。一つには、社会保障費の雇用者負担が重いことも理由になっています。(文字数制約のため省略)大橋:きものは伝統文化と現代生活との関係を説明するのにとてもわかりやすい例です。現代のように洋装が普及している中で、和服を着るということは、単に前時代の遺物とか、保守性とか、あるいは過去への郷愁ということではなく、昔とは違った意味をもつようになっています。新しい衣装のシステムができ、その中で和服に新しい機能が与えられているのです。レヴィ=ストロース:よくわかります。私の言いたいのもそういうことです。もちろんフランスでも、すぐれた伝統工芸の技術者が残っていないわけではありませんし、また尊重されています。しかし、それを組み込んだ社会構造はありません。ところが、日本は伝統産業の存在を可能にし、かつ維持してゆくような社会構造をもっている。それが大切です。 日本では、伝統工芸に限らず、一般に、過去の文化と現在との間に安定した関係、一種の均衡が保たれていると思います。私がとくに関心をもつのは、その点なのです。*************************************************************とまあ・・・・抜き打ちのように、関心の切り口を残しておくことも自分史的には有意義ではないかと思ったわけです。12/24図書館大好き2012/12図書館大好き19
2013.01.08
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<ブラックホールを見たい>リタイアして以降、自由時間が増えたというか暇になったせいかもしれないが・・・・晴れた夜にはベランダの椅子にすわって、星座を眺めることが多くなった。図書館でも宇宙・天体関連の本をいろいろと借りて読んでいるが・・・・つきつめると、パルサーとかブラックホールを見てみたいわけですね。wikipediaブラックホールよりブラックホール (black hole) とは、極めて高密度かつ大質量で、強い重力のために物質だけでなく光さえ脱出出来ない天体である。名称は、アメリカの物理学者ジョン・ホイーラーが1967年にこうした天体を呼ぶために命名した。図書館で借りた本を並べてみます。・宇宙観測図鑑(2012年)・宇宙はどうやって誕生したのか(2010年)・ブラックホールとタイムトラベル(2011年)・みるみる理解できる宇宙論(2008年)・星と暮らす。(2012年)【宇宙観測図鑑】沼澤 茂美×脇屋 奈々代著、誠文堂新光社、2012年刊<内容紹介より>本書は、最先端で研究されている宇宙について、最新の宇宙探査機が撮影した、おどろくほど詳細な画像を使って紐解こう、というものです。画像は、ハッブル宇宙望遠鏡はもちろんですが、チャンドラー、スピッツァーなど、最前線で活躍しているものを主に掲載します。太陽系の直接探査はもちろんビッグバンやブラックホールなどの、だんだんわかってきた宇宙の謎に迫ります。<大使寸評>図鑑と銘打っているだけあって、鮮明な画像がすばらしい。内容も分かりやすくて・・・・宇宙の謎へのかっこうなガイドブックになっています。Amazon宇宙観測図鑑【宇宙はどうやって誕生したのか】ムック本、ニュートンプレス、2010年刊amazonの<内容紹介>は無し。<大使寸評>この本に、パルサーを称して「巨大な原子核」という表現が載っているが・・・宇宙物理学の本質を表しているような言葉ですね。極小から極大をつなぐ「巨大な原子核」というヒントがすご~い♪Amazon宇宙はどうやって誕生したのかこの本の一部を紹介します。<佐藤博士はまず、中性子星の研究からはじめた>p38~40 のちにインフレーション宇宙論の誕生につながる、佐藤勝彦博士の研究人生の“遠回り”を追っていきましょう。佐藤博士が研究テーマとして選んだのはパルサーという天体です。 パルサーの正体は「中性子星」という天体です。中性子は、陽子とともに原子核を構成する粒子であり、電荷をもちません。中性子星は、ほとんど中性子だけでできた天体であり、いわば「巨大な原子核」といえます。 大学院時代の佐藤博士は、「中性子星がどうやって形成されるのか?」というテーマを研究の中心にすえました。中性子星は当時、次のような過程で形成されることがわかっていました。重い恒星は、生涯の最後に「超新星爆発」をおこします。そのときに残される恒星のコア(中心核)が自らの強い重力で収縮し、中性子星となるのです。しかし当時は、なぜ恒星がこのようなはげしい大爆発をおこせるのかが、よくわかっていません。 佐藤博士はこの難問を解くために、「ワインバーグ=サラム理論(電弱統一理論)」という素粒子物理学の理論を使うことを考えつきます。この理論を使えば、恒星のコア(できたての熱い中性子星)で発生するニュートリノという素粒子が、どのように恒星のガスなどと相互作用するかがわかります。 この理論で計算すると、瞬時に恒星のコアから外部にもれ出すと考えられていたニュートリノが、短時間ですが閉じ込められて恒星のガスに圧力を及ぼし、爆発の“後押し”をすることがわかりました。超新星爆発は、ニュートリノの後押しのおかげで爆発できるのです。 そして、この理論は大マゼラン星雲で偶然に発生した「超新星1987A」の観測で裏づけられました。1987年、小柴昌俊博士(2002年度ノーベル物理学賞受賞)のグループが、この超新星からやってきたニュートリノを岐阜県神岡鉱山にある実験装置「カミオカンデ」でとらえ、その分析から佐藤博士の理論が実証されたのです。【ブラックホールとタイムトラベル】福江純監修、ニュートンプレス、2011年刊amazonの<内容紹介>は無し。<大使寸評>パルサー(中性子星)が500個以上確認されているそうだが、まだ可視光による観測写真が撮られていないようです。この本は、ブラックホール、ホワイトホール、ワームホール、タイムトラベルなどに触れているが・・・・どこまでが現実で、どれが大法螺か判然としないのです(笑)でも、ブラックホールの想像図を見るだけでも・・・面白いでぇ♪Amazonブラックホールとタイムトラベル【みるみる理解できる宇宙論】ムック、ニュートンプレス、2008年刊<商品の説明>よりみるみる理解できる宇宙論―宇宙に果てはある?どのように誕生した?宇宙は永遠なのか?消滅するのか? (ニュートンムック Newton別冊) <大使寸評>ブラックホールとかダークマターがSFではなくて、現実味を帯びてきたが・・・ヨーロッパ原子核研究機構(CERN)でヒックス粒子の影が見えたとなると、少なくともブラックホールは現実なのでしょうね。Amazonみるみる理解できる宇宙論この本の一部を紹介します。<星を光らせるしくみ>p72~34 現在では、太陽の年齢は約46億年と考えられていますから、重力のエネルギーの解放だけでは、とても太陽の一生を理解することのできないことは明らかです。そして、それに代わる太陽や星のエネルギー源として、原子核のエネルギーの解放が1910年代の終わり頃から考えられていましたが、この解放の過程が最初に正しく理解されたのは1938年のことで、すでに20年ほどたってからのことでした。この過程は現在ではCNOサイクルと呼ばれています。これは炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)を仲立ちとして、水素の原子核(陽子)4個が融合してヘリウム核1個になる過程ですが、このときに減少した質量が、光のエネルギーとして解放され、これが星を輝かすエネルギーになるのです。 (中略) 以上のように、星の中心部で、水素からヘリウムが合成され、その結合エネルギーが原子核エネルギーとして開放され、それで星のエネルギーがまかなわれることは十分可能です。このようなことが実際に可能なためには、星の中心部に水素が豊富になければなりません。これについては、太陽の場合は図に示したように、ヘリウムに比べて水素の方が数にして10倍も多くあるのですから、中心部で水素からヘリウムが合成され、輝くことは十分にありうることなのです。 ですから、他の星々についても、そのエネルギー源は水素核4個からヘリウム核1個を合成するいわゆる熱核融合反応が重要な役割を果たしているものと推定されます。【星と暮らす。】藤井旭著、誠文堂新光社、2012年刊<内容説明>より星空とともに風景をとらえた美しい星景写真をメインとして、星や星座と文明の歴史、暮らしとのかかわりを紹介します。占星術や星座神話に代表される星にまつわる文化、流星やほうき星、隕石など世界各地で古い記録が残る天文現象が当時の人達にあたえた影響、枕草子など文学作品に見る星空を思う人間の心、地動説から天動説、最新の天文学へと続く人類の星や宇宙への挑戦の歴史など、様々な観点から星と人の関わりを紹介し、現代の暮らしの中に星の存在を取り入れてより豊かに生きることを提案します。<大使寸評>天文学入門書としていいかも。時節柄、「冬の星座の見つけ方」から読み始めたのです。冬の大三角、オリオン座、おうし座などが見られて・・・・一年中で一番豪華な夜空ではないでしょうか。Amazon星と暮らす。冬の星座byドングリ
2013.01.07
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尖閣諸島事件とそれに連動するようなレアアース禁輸があって以降、以下に示す情報収集を思いつき次第に試みてきたが・・・・重複、欠落などあったりするので、この際、最新情報を一括して並べてみました。(今後も不定期に掲載予定とします)それだけ、尖閣諸島事件が衝撃的であったわけであるが・・・この事件は日本政府が対応を間違ったというよりも、むしろ中国政府のオウンゴールであったのかもしれません。少なくとも、それまでは比較的冷静だった大使を嫌中に変えてしまったことは確かです。「中国の『核心的利益』をどう解釈するか」海国防衛ジャーナル軍事・人民解放軍/サーチナ<対中最新情報(2013,1,6)>・孔子批判6(含:少数民族ニュース、経済摩擦)・中国のレアアース統制5(含:レアアース関連ニュース)・テクノナショナリズムに目覚めた5(含:空洞化/海外進出情報)・資源保護関連ニュース・様変わりの人民解放軍3(含:中国包囲網ニュース)・「悪の枢軸」情報********************************************************************* <孔子批判6>儒教、体制あるいは孔子的なものに弾圧される少数民族が居ると思うので、注視しています。なお、日本も少数民族としてとりあげます。日中双方の庶民の連帯を阻害しているのは、双方のナショナリズムと初志とかけ離れた中国共産党なんだけど・・・・そういうマルクス・レーニン主義的な大局観を漢族に望むのは難しいのだろう。13億の民を統治するには、民主主義は危険すぎるので・・・・マルクス・レーニン主義をドグマティックに採用するしかないのかも。12/29テレビは没収、衛星受信機器は破壊、チベット族の焼身自殺防止のため300の寺院から―青海省より 12月27日、米華字メディア・多維新聞によると、中国・青海省人民政府はチベット族による政府に対する抗議の焼身自殺を阻止するため、軍による警戒を強化するだけでなく、同省黄南チベット族自治州にある300の仏教寺院が所有するテレビを没収し、使用されていた衛星放送受信機器を破壊したという。 報道によると、中国国内でこの1カ月間に少なくとも10人のチベット族が焼身自殺し、数百人のチベット族が中国当局に勾留されている。また、今年に入り、チベット族居住区で81人のチベット族が焼身自殺しており、そのうち5件が青海省黄南チベット自治州で発生している。 同省政府は、これらの寺院の僧侶たちが海外の「反中国的番組」を視聴し、ダライ・ラマの影響を強く受けていると判断。今回の措置に踏み切ったという。さらに市の中心部や広場、公園など多数の人が集まる場所での焼身自殺を防ぐため、軍や警察を動員して巡回を強化。ホテルやレストラン、ガソリンスタンドなどで可燃性物質の持ち込み検査を実施するほか、焼身自殺が発生した場所への外国人の立ち入りを禁止する。 AP通信によれば、自殺者の出た家族や家族の支援者、自殺者の住んでいた村、職場に対して、地元政府は生活保障受給の取り消しや延期などの経済的処罰を与える一方で、焼身自殺計画の通報や自殺の阻止に協力した者に対し奨励金を与えると発表している。*********************************************************************<レアアース関連ニュース3>中国は2001年のWTO加盟後も国際ルールを守る姿勢に欠け、貿易紛争が絶えない。自国は自由貿易の恩恵によって高い経済成長を続けながら、国際ルールを顧みない独善的対応が国際的にも批判されてきた・・・・・世界はレアアースの輸出制限という露骨な暴挙に驚き、中国リスクをヘッジする覚悟を固めたが・・・・・このところ日本の着実な対抗策が実現しつつあります。ということで、レアアース関連ニュースを集めています。1/03排他的経済水域のレアアース資源、日本が本格的な調査を開始より (1エントリー文字数制約により省略)12/30中国商務省、レアアースの過剰な輸出枠を設定 日米などの「脱中国」に危機感かより (1エントリー文字数制約により省略)*********************************************************************<資源保護関連ニュース>資源保護、領土保全の観点から、関連ニュースを集めてみます。結果的に、法治が機能しない中華の拡張主義に絡むニュースが主になりますが。12/7中国など外資に狙われる日本の水源 高まる危機感、後手に回る対応より (1エントリー文字数制約により省略)********************************************************************* <空洞化/海外進出情報>空前の円高と政府の無策?により、企業の海外移転は止まらないようです。日本が生き残るためには、中国が出来ずに日本だけが出来ることに集中しなければならないようです。とにかく、集中投資と人海戦術による価格破壊のようなコストに勝てるわけがありません。最近はビジネスモデルの違い(垂直統合/水平分業)が取り沙汰されるようです。・・・・そういう趣旨で空洞化/海外進出情報を集めています。12/28「今こそタイ」と日本企業が列をつくる理由より(1エントリー文字数制約により省略)********************************************************************* <中国包囲網ニュース> 伸び率が2桁にもおよぶ軍拡を進める人民解放軍は、押込まれる国の防衛策を中国包囲網と捉えて、警戒感をあらわにしています。自分の振る舞いを自覚できないのか?自覚した上で押込んでいるのか?不透明であり、そのところがなんとも不気味なんですね。この状況では、周辺国は包囲網を形成して防衛を図るのが、採るべき戦略になるわけで・・・・中国包囲網関連のニュースを集めています。日中紛争に関する最も悲観的な観測です。12/312013年、中国に対して日米が開戦も=豪専門家中国海監の航空機や巡視船が尖閣諸島(中国名:釣魚島)での巡航を常態化させているが、元オーストラリア国防省高官でオーストラリア国立大学教授のヒュー・ホワイト氏は、「2013年に中国に対する日米共同作戦が行われる可能性がある」とし、「その戦争の本質は米国の太平洋における利益が中国に脅かされたため」と指摘した。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。 米ビジネス・インサイダーは26日、ホワイト氏が豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドに投稿した文章を引用し、「衝突はどの一方にとっても不利であるにもかかわらず、歴史上、戦争に至った状況を世界中が今まさに目撃しようとしている」と伝えた。ホワイト氏はさらに次のように主張する。 (1エントリー文字数制約により省略)12/29<尖閣諸島の警備>海保が特化部隊編成へ 規模は12隻より (1エントリー文字数制約により省略)12/18ステルス戦闘機F35を2017年に岩国配備へ 米国防長官 中国を牽制より (1エントリー文字数制約により省略)********************************************************************* <「悪の枢軸」情報>中国が中国包囲網に対抗して、北朝鮮、イラン、その他アフリカの独裁国家との関係を札束ではりとばして強化しているが・・・・それこそが友好国がいない「悪の枢軸」とでも言える由縁である。日本の安全保障のために、そのあたりの情報を集めてみます。1/04弾道ミサイル「9号まで打ち上げ」 北朝鮮科学者が計画確認より(1エントリー文字数制約により省略)12/29イラン海軍、ホルムズ海峡周辺で軍事演習開始より (1エントリー文字数制約により省略)チャイナセブンは軍需企業の利益追求を抑えきれないのかも?12/1北朝鮮ミサイル車両輸出 「木材運搬用」と中国反論より(1エントリー文字数制約により省略)なんか省略ばかりになったけど、全文は以下のミラーサイトに入れています。・対中最新情報(2013,1,6)・対中最新情報(2012,12,5)・対中最新情報(2012,11,5)・対中最新情報(2012,10,5)・対中最新情報(2012,9,6) ・対中最新情報(2012,8,6)・対中最新情報(2012,7,2)・対中最新情報(2012,6,10)
2013.01.06
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日本推理作家協会賞の小説だけあって、読みでがあるけど・・・こんなマッチョな小説を紡ぎ出す女性作家の作家魂はどこから湧いて来るんでしょうね♪この本の三分の一あたりから、CIAとか文化大革命とかキッシンジャーの名前も登場してきて、俄然、背景が大きくなるわけです。もちろん、のちほどに中華のハニートラップも登場します。【リヴィエラを撃て】高村薫著、新潮社、1992年刊<「BOOK」データベースより>国際政治の楽屋裏を発狂させた男〈リヴィエラ〉。夥しい諜報戦士たちの血を吸込んだこのコードネームは、一人の天才ピアニストに死を賭した東京公演を決意させる。顔のない東洋人スパイをめぐって、東京・ロンドン・ベルファストに繰り広げる、流血の頭脳ゲーム。<読む前の大使寸評>タイトルがかっこいいので気になっていた本です。ぶ厚い本なので躊躇していたけど、年末スペシャルということで、この本を借りたわけです。Amazonリヴィエラを撃てこの本を三分の一ほど読むと中国が徐々に関わってきます。真打登場と言う感じですね。概要を知らないまま借りた本だが、思いのほか大使のツボに当っていました。著者の語り口を味わう意味もあるので、一部を転記して紹介します。p162~164 ジャックは少し間を置いた。冷静に応えた。「僕には今ひとつ分からないんだが。そんなことが、なんで今ごろ重要なんだ?文化大革命は76年に終わったし、当時の路線は誤りだったと新しい指導部ははっきり言っている。ウー・リャンの時代は過去の話だ。あんたも、さっきそう言った」「一応は、過去の話だ。死んだ者は生き返らねえという意味でな」 そう応えながら《伝書鳩》は口を尖らせた。「だが、革命の旗は下ろしたが、共産党も人民解放軍も、官僚も封建遺制も独裁も腐敗もみな残った。現に今、改革開放路線は座礁しかけている。もう半年もすりゃ、また強硬派の出番だ。賭けてもいいぜ」 あらためて言うまでもなく、この男はアメリカ人だ、アメリカ式民主主義の申し子なのだと、ジャックは冷めた思いで《伝書鳩》の厳しい顔を眺めた。北アイルランドで、イギリスの民主主義の下で虐げられてきた自分たちの感じ方とは合わなくて当然だった。 だが、過去の話を掘り返すアメリカの真意は、民主主義の大儀ですらないというのが真相だろう。政府と議会の微妙なバランスの中で、対中国政策を左右する政治家たちの皮算用が働いているだけなのだ。(中略)《リヴィエラ》を撃つ。茫々と高鳴る胸で、ジャックは無言のままグラスを掲げた。《伝書鳩》は、絶品の笑みを見せてそれに応えた。 ロマネコンティを空けてしまい、空のボトルを窓から空高く投げ上げた。ラジオのボリュームをいっぱいに上げて、すでに4楽章のロンドにかかっている変ロ長調のブラームスを流した。シンクレアの指が、魔物のように軽く飛翔していく。中国のスパイが登場するあたりから、米中覇権にからんで《リヴィエラ》の重要さがクローズアップされるが・・・・著者のパワーポリティクスに関する博識とか、中国嫌いが垣間見えてくるわけです。CIA最大の不祥事にたいして《伝書鳩》とCIAの《大使館参事官》の会話です。p233「ケリー。頭を冷やしてよく聞けよ。本来ならこれは、君の言うように、不祥事を起こした本人を処分した上で、スパイを何人か釈放してやったらそれで済む話だ。だが、今回のケースは特別だ。事件の一報はうちより早く、ワシントンの中国大使館からホワイトハウスのある男に伝えられたんだ。これはどういうことか分かるか?」「ロンドンにスパイがいるんだ。CIA不信を、ワシントンに植えつけているやつが」「そうだ。72年に台湾切捨て問題でもめて以来、中国関係については政府のCIAに対する心証はすこぶる悪い。中国情勢が読めてないと決めつけられている。台湾と中国の双方から不信を食らっている。実際、敵はそれをよく読んでいる。何者かがワシントンの中国大使館に内通した背景は、間違いなく《リヴィエラ》だ。うちが《リヴィエラ》を探り始めたことが漏れてるんだ。今回の調査では、中国は関係国に過ぎないが、中国はこれを利用できる。これこそ彼らのお得意のカードだ。《リヴィエラ》の調査は、そういう意味で絶対に公になっていい話ではなかった。公になったら、こういうカードを切られているのが分かっていたから、何よりも用心していた。君がそう言ったんだ。その君が、一番最初にボロを出した。全く理解に苦しむ事態だ」「俺も・・・・分からねえよ。誰を撃ったかは分かっていたし、撃ったらまずい相手だということも分かっていた。だのに撃ったんだからな」「いったい、なぜだ?君は相手を即死させるよう頭を撃ったんだぞ」「理由はいくつも重なっている。一つは、向こうが先にピストルを抜いていたから。一つは、相手が俺をCIAだと知っている奴だったから。お互い、出会うべきでないところで出会ったら最後というパニックだな。一種の・・・・」「ほかには?」「相手が、ジャックの顔を見ていたから」「あの若者の顔なら、何十人もの人間に見られてる」「不特定多数の目撃者はいい。あの男に見られたというのが、俺にはパニックになった。俺は彼をあくまで傭兵として雇っただけだ。それ以上のことには巻き込まないと決めていた。それなのに・・・・危険の中でも一番危険な相手に顔を見られた。中国の情報部に睨まれたら、ジャックは世界中のどこにも逃げ場はなくなる」「たかがテロリスト崩れの若造ひとり・・・。あの騒動は全部ジャックが起こしたんだ。どんな結果になっても同情の余地はない」ともに《リヴィエラ》を探るジャックと《伝書鳩》は、中国の国家安全部を敵に回したようですね。これ以上感想を述べると、ネタバレになるのでこれで切り上げるものとします。お後は、この本を読んでください。この本でも、東京のイギリス領事館が出てくるが・・・・尖閣問題で揺れる日中関係にイギリスが絡んできても荒唐無稽とは言えない現況が怖いといえば怖いですね(ミステリー小説の読みすぎか、笑)amazon高村薫より1953(昭和28)年、大阪市生れ。1990(平成2)年『黄金を抱いて翔べ』で日本推理サスペンス大賞を受賞。1993年『リヴィエラを撃て』で日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。同年『マークスの山』で直木賞を受賞する。1998年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞を受賞。2006年『新リア王』で親鸞賞を受賞。2010年『太陽を曳く馬』で読売文学賞を受賞する。他の著作に『神の火』『照柿』『晴子情歌』などがある。『リヴィエラを撃て』1
2013.01.05
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中華の国営テレビに見慣れた報道官が出てきて、硬軟とりまぜてプロパガンダ報道を流すものだから・・・・イラッとしたりするが、新しい女性報道官はわりと穏やかな感じがいいですね♪(コレコレ 中華のハニートラップには要注意やでぇ)とにかく、報道のたんびにオタオタすることがないよう、中華の海洋戦略の基本を押さえておく必要があるわけです。で、『中国の海洋戦略にどう対処すべきか』という対中戦略のバイブルのような本を紹介します。【中国の海洋戦略にどう対処すべきか】太田文雄×吉田真著、芙蓉書房出版、2011年刊<「BOOK」データベースより>中国の海洋覇権の脅威はアジア全域に迫っている!急激に変化しているアジアの安全保障環境の中で日本のとるべき方策を提言する。 <大使寸評>この本は、防衛大学校の海防のプロが個人的見解として述べたものであるが・・・・タカ派の習近平が登場した今こそ、座右の書とするのが時代的ニーズではないだろうか。Amazon中国の海洋戦略にどう対処すべきか中国の海洋戦略にどう対処すべきかbyドングリここで、日中紛争に関する最も悲観的な観測を紹介します。長期戦の備えだけはたてておく必要があるようです。12/312013年、中国に対して日米が開戦も=豪専門家中国海監の航空機や巡視船が尖閣諸島(中国名:釣魚島)での巡航を常態化させているが、元オーストラリア国防省高官でオーストラリア国立大学教授のヒュー・ホワイト氏は、「2013年に中国に対する日米共同作戦が行われる可能性がある」とし、「その戦争の本質は米国の太平洋における利益が中国に脅かされたため」と指摘した。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。 米ビジネス・インサイダーは26日、ホワイト氏が豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドに投稿した文章を引用し、「衝突はどの一方にとっても不利であるにもかかわらず、歴史上、戦争に至った状況を世界中が今まさに目撃しようとしている」と伝えた。ホワイト氏はさらに次のように主張する。 本質的にはまったく価値がないもののために、関係国の難局がエスカレートしていく。それが常に戦争を引き起こす情況だ。13年、尖閣諸島をめぐって日米と中国の戦争が起きても驚く必要はない。その戦争が短期間で終結するとも思わないほうがいい。 世界でもっとも裕福な3カ国(うち2カ国は核兵器を保有)は少しの論争で戦争に向かい、一見滑稽で不思議だが、人びとは開戦の原因すらはっきりわからない。衝突が起きるのは実際は米国の太平洋における利益が中国に脅かされたためで、オバマ大統領が提唱するアジア太平洋へのシフト戦略も、拡大する中国の国力に対抗するためだ。 中国が尖閣諸島の主権を主張するのは西側の態度を探るためでもある。こうした真っ向からの対立は必ず一方が戦いの火ぶたを切ることになる。 衝突がある程度までエスカレートすれば、(関係国は)戦火を交える。この戦争はらせん式にエスカレートし、誰もそれを止められない。しかも誰もその戦争に勝利できない。その戦争は戦争に巻き込まれた国だけでなく、他国にも災害的な影響をもたらすだろう。
2013.01.04
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<TPP参加反対の輪11>TPP参加反対ツイートを1/1~1/4のツイッタ-に見てみましょう。残念ながら衆院選で自公が圧勝してしまったが、TPPにはしつこく反対することが肝要ではないでしょうか。なお、モンサント社告発の輪も含めています。大手メディアは自民党、財務省、経産省、米国金融、経団連、穀物メジャー、モンサント、対中国抑止力etcの相関を解明する気があるんだろうか?【1月4日】@KKnagomi: 2月には栃木県足利市で反TPPのデモがあるそうです。北海道・名古屋・熊谷・高崎その他色々なアクションが地方であるようです。TPPは地方直撃。交渉参加阻止の世論を作っていきましょう。私はイデオロギー云々関係ない「論外レベル」の問題だと考えています。 @tomo_nada: ポーランドのBASFの #遺伝子組み換え じゃがいも、モンサントのトウモロコシ禁止は養蜂家や農民の激しい反対の後に勝ち取られたもの。何千もの蜂の死骸を農業省の前で見せて抗議→写真 http://ow.ly/gwd8b 日本は後者は承認済み、前者は目前?@tchiezinha: この映画は必見!5日(土)から桜坂劇場にて上映です。上映期間も短いし(2週間!)1日1回しかやらないので、皆さまご注意を!「モンサントの不自然な食べもの」http://www.sakura-zaka.com/movie/1301/130105_monsant.html@cosmos115:【TPP】人口2億4千人のインドネシアはすでにTPP不参加を表明しており、最近、完全自給を目指す法案を作成した。筋が通っている。そして、中国、韓国、インドもTPPには参加しない。アジアの主要国が参加しないTPPであることが現実。参加しなければ乗り遅れるという意味がわからない。【1月3日】@KKnagomi: 「交渉参加とは、アメリカの威を借りて反対勢力を黙らせ、TPP参加を首尾よく実現するための戦術なのである。そうではないと言うのならば、TPP推進論者には、最低限、交渉離脱の条件を明らかにしてみせてもらいたい。」中野剛志…ボッタクリバー方式。入ったら出られず米韓FTA以上の要求が。@gold_sf: 農林水産省がサイバー攻撃を受け、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉を巡る機密文書など延べ3000点以上に海外流出、攻撃者が情報を転送するためにHTranを使っていた。日本の中央省庁は、セキュリティ対策をしないのか?@mdonguri: 農水省にサイバー攻撃があって、TPP文書流出の恐れがあるそうだが・・・・スパイ天国ニッポンのお役所のお寒いセキュリティが問題ですね。ところで犯人は人民解放軍か、CIAか? @tomo_nada: アグリビジネスは農民や漁民を世界から追放する。機械化されたモノカルチャーを農場に持ち込み、工場式畜産で安い肉を大量生産。米国で始まった動きは南米を飲み込み、今、アフリカを襲う。人と自然を死に追いやる農業、日本が依存する食料はその中で作られる。日本からこの流れを反転させよう【1月2日】@KKnagomi: 「モンサント等の種苗・農薬メーカー、カーギルなどの穀物メジャー、ベクテルなどの開発企業、そしてそれら巨大資本を動かす金貸し勢力…」←TPP推進企業でもありますね。検索を。 貧困と飢餓が起こる真の原因構造(世銀が貧困と飢餓を拡大させた)http://blog.goo.ne.jp/nanbanandeya/e/21a36493c36282262689f2...【1月1日】@masaru_kaneko: 【大本営発表社説1】読売の新年社説。まず鳩山元首相が日米同盟を不安定にしたため中韓との関係悪化させたは逆です。野田め政権が日米重視に切り替え、RCEP よりTPP推進に舵を切り、石原氏の挑発に乗った稚拙な国有化でした。アジアで孤立したい? http://goo.gl/ZJfnnなお、TPP関連で私がフォローしている方々です。@tchiezinha: tchiezinhaさん@cosmos115:cosmosさん@hiroyukinakano: 中野裕之さん@nonomami: ののまみ(未来のため!次は参院選だ!) @biz_journal:biz-journal @bon_bon_p_q: 梵さん@luxi_221: luxiさん@KKnagomi: K.Kengoさん@Chooemon92:Dr.NOMURAさん @ktht4: 輾転(てんてん)さん @OrganicNewsClip: 有機農業ニュース・クリップ @angi4077: angi4077さん @tomoyakitada: 【日本未来の党】kitadatomoyaさん@anti_tpp: TPP反対!さん@HEAT2009: HEATさん@st7q: 高岡滋さん@lovesecatjj: Rachel as NOLYさん @mikio_1962: mikioさん@pfmamimatsu: hachinosumamyさん@2012wat: すけろくちゃん(児玉助六) @MieYasuda: 安田美絵(遺伝子組み換えでない)さん@masaru_kaneko: 金子先生@tsuji_megumu: つじ恵さん@parc_jp: アジア太平洋資料センター(PARC) @ja_tpp:JAグループTPP関連情報@TPP_kantei:STOP TPP!! 官邸前アクション実行委員会@beritapress: 日刊ベリタ@muramachiTPP: TPPに反対する人々の運動@suns_flower: 向日葵さん@levinassien: 内田樹先生@finalcut0011: バロンさん@prspctv: perspectiveさん@tomo_nada:印鑰智哉さん@tosa_suigei: 土佐の酔鯨さん@DWMK_fujita: 藤田和芳さん@magosaki_ukeru: 孫崎享さん@ryujinno2:恵三さん @osamu9912:修さん @shiraiGP:白井和宏さん@urimoro:goodjoneさん@lmn800: 檸檬さん @kaze2014:Hiroshiマスコミ・学者支配を崩せ!さん @maegamieiji: 英司さん@tabtab7: 日本の灯火さん@tanakenta: たけんさん@hajime7120:創さん@uedatakenori: 植田武智さん@mdonguri: 不肖ドングリですアメリカは情報公開が進んでいると思ってきたが、赤旗の報道によれば、TPP交渉に関してはそうでもないようです。11年12月TPP交渉に「守秘合意」発効後4年間、内容公開せずより 現在、米国など9カ国が行っている環太平洋連携協定(TPP)交渉で、交渉内容を公表しない合意があり、交渉文書は協定発効後4年間秘匿されることが、ニュージーランドのTPP首席交渉官の発表で分かりました。 ニュージーランド外務貿易省のマーク・シンクレアTPP首席交渉官は11月末、情報公開を求める労働組合や非政府組織(NGO)の声に押され、同省の公式サイトに情報を公開できない事情を説明する文書を発表しました。同文書は、交渉開始に当たって各国の提案や交渉文書を極秘扱いとする合意があることを明らかにし、文書の取り扱いを説明した書簡のひな型を添付しました。 それによると、交渉文書や各国の提案、関連資料を入手できるのは、政府当局者のほかは、政府の国内協議に参加する者、文書の情報を検討する必要のある者または情報を知らされる必要のある者に限られます。また、文書を入手しても、許可された者以外に見せることはできません。 さらに、これらの文書は、TPP発効後4年間秘匿されます。TPPが成立しなかった場合は、交渉の最後の会合から4年間秘匿されます。 米国のNGO、「パブリック・シティズン(一般市民)」は、「これまでに公表された唯一の文書は、どんな文書も公表されないという説明の文書だ」と批判しました。 日本の政治家、官僚はこのアメリカの戦略性には勝算がないはずなのに、交渉参加を煽るのはなぜでしょうね。次に、TPPの問題点をNHK時論公論『どうするTPP』に見てみましょう。11/29時論公論 『どうするTPP』より●では各政党はTPP交渉参加をどう考えているのか。それを整理したのがこちらです。 ごらんのように、賛成・反対をはっきりさせている政党もいくつかあります。民主党は、野田総理大臣が積極姿勢を見せていましたが、党内の慎重派に配慮してマニフェストは「政府が判断する」という表現に止めています。自民党は「聖域なき関税撤廃なら反対」としながらも、安倍総裁は交渉の参加に含みを残す発言もしています。日本未来の党は、多くの反TPPの議員が合流しています。日本維新の会は「参加はするが国益に反すれば反対」と条件付き賛成の立場です。●2つ目は、アジア太平洋地域で日本がどう生きていくのかビジョンを示すことです。ASEAN中心の協定と日中韓の協定の2つを同時に進める意味は何なのか。仮にTPP交渉に参加した場合、全体の優先順位をどうつけるのか。反対派も参加を拒むのなら、アメリカとの関係をどうするのか、代案があれば、それを提示する必要があると思います。 反TPPの核心TPP参加反対の輪10TPP参加反対の輪9これらも TPPで頭悪すぎ包囲網を敷く6に収録し、保存します。
2013.01.04
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北アイルランドの地理、歴史に関する膨大なデータにもとづくプロット、敏腕テロリストやピアニストの心情、映画的なカット割り・・・・どれをとっても著者が女性であることを忘れるのがすごいですね♪ ケン・ローチ監督の「麦の穂を揺らす風」という映画がIRAのテロ活動を描いていて忘れがたいが、この本も同じ問題を下敷きにして、マイノリティの悲哀を描いているわけです。正月の間に読みきるつもりで・・・まだ三分の一くらいの読書途中なんですが、「麦の穂を揺らす風」とあわせて紹介します。【リヴィエラを撃て】高村薫著、新潮社、1992年刊<「BOOK」データベースより>国際政治の楽屋裏を発狂させた男〈リヴィエラ〉。夥しい諜報戦士たちの血を吸込んだこのコードネームは、一人の天才ピアニストに死を賭した東京公演を決意させる。顔のない東洋人スパイをめぐって、東京・ロンドン・ベルファストに繰り広げる、流血の頭脳ゲーム。<読む前の大使寸評>タイトルがかっこいいので気になっていた本です。ぶ厚い本なので躊躇していたけど、年末スペシャルということで、この本を借りたわけです。Amazonリヴィエラを撃ておよそ1年前に「麦の穂をゆらす風」を観たけど、マイノリティの悲哀、不毛な宗教的対立について、忘れがたいものがあります。アイルランド人同志が戦う内戦でもあったことが、朝鮮民族と似た歴史を辿っています。 【麦の穂をゆらす風】ケン・ローチ監督、2006年制作、H23.12.26観賞<goo映画解説より>講和条約は依然としてイギリスに都合のいいものだった。アイルランドの中で条約に賛成する者と反対する者に分かれて対立が始まった。それはやがてアイルランド人同志が戦う内戦へと向かってしまう。条約に賛成する兄・テディは政府軍へ、完全な自由を求めて条約に反対する弟・デミアンは再びゲリラ活動へ。<大使寸評>アイルランドの悲哀や、思想を貫くとはどういうことか考えさせられます。goo映画麦の穂をゆらす風麦の穂をゆらす風byドングリ高村薫の本を、我が蔵書録から紹介します。【作家的時評集2000-2007】高村薫著、朝日新聞社、2007年刊<「BOOK」データベースより>作家・高村薫が、現代日本のさまざまな社会問題を鋭く批評した時事発言集。「説得力ゼロ」の小泉語法、「論理も懐疑もない」安倍…。揺れ動く政局に怒りつつ、日本の未来を憂う。「言葉」と闘い続ける作家が、感情をなくし、言葉をなくした日本人へ、最後の警鐘を鳴らす。 <大使寸評>案の定、この著者のエッセイは生真面目というか、堅いというか・・・読破するのは辛いものがあります(笑)Amazon作家的時評集2000-2007内容の一部です。<成熟した文明社会には言葉が必要>p314~315 成熟した文明社会を築くためには、やはり言葉が重要だろうと思います。言葉の機能が失われると、社会的な広がりが実感できない。世界がどんな姿をしているか、自分は何を感じ、何を望むのか。それを捉えるのは言葉だからです。言葉で捉える過程がなければ、人間はただ刺激に反応するだけの動物的存在に成り下がってしまいます。 だからこそ、私たちの世代は言葉を今以上に減らさない努力をしなければならない。たとえば、外交というのは戦略ですが、戦略はまさに言葉です。テレビゲームでいう戦略は反射神経の問題で、敵が現れたら倒すだけのことですが、外交はそんな条件反射の世界ではない。国民の生命と財産を守るために、世界中の国々が、頭と言葉で闘うことなのです。 文化の面も同様で、今日本から画期的な経済理論や社会学理論が出てこないでしょう。学力の面でも日本は確実に立ち行かなくなっているのですが、これも言葉の文化を維持して育てる土壌が失われたからだろうと思います。そして、言葉の蓄積を守る土壌がないところには新たな蓄積も生まれませんから、知識はさらに失われるほかありません。そうなると当然高等教育のレベルは下がるし、日本は技術立国を目指すと言っているけれど、技術者を育てる土壌もなくなる。言葉がなくなるということは、日本の根本がなくなるということとイコールなのです。 だからこそ私たちの世代がまだ現役の間に、何とかして言葉の復権を訴えていくしかないのだと思っています。私は物書きですから、小説を書くことしかできませんが、私にとって言葉は他者と向き合う手段です。言葉を介して自分とは何か。世界とは何かを知りたい。それが大きな共同という枠組みのなかで生きていることの実践です。だから私は書き続けているのだと思いますね。wikipediaアイルランド共和軍より 1970年代から1990年代にかけての一般に「北アイルランド紛争」と呼ばれる事態において最重要視される勢力である。IRA暫定派は、1971年に導入された治安当局による一斉拘留(インターンメント)や1972年1月30日にデリー(ロンドンデリー)で発生した「血の日曜日事件」など、「イギリスによるアイルランドへの暴力的抑圧」を背景に人員と規模を拡大させ、プロテスタント系武装組織や北アイルランドに駐留する英軍や北アイルランド警察(警察のほとんどがプロテスタントであった)にゲリラ攻撃を加えた。
2013.01.03
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昨晩のETV特集「ニッポンのジレンマ」、「iPS細胞」をコタツで見ていて、3時ころにつぶれて6時ころに目覚めた。コタツに入りびたりでこれも寝正月と言うべきか(笑)記憶がうすれないように、ツイッターに以下メモしたけど・・・どうも暗くなるし、怒りが増してくるやんけ。<ツイート1>正社員+専業主婦という終身雇用モデルは高度成長期のみに存在できるモデルと見るべきとか。年金や福祉などの各種制度や個人の認識が、この過去のモデルに偏重してるので、実生活では、物事が回らなくなっている。<ツイート2>復興予算を使い切れずに、別の使途ににまわすとは・・・行政システムが非常時に機能していないわけで、国公省事務次官などの首が飛ぶ事態であるが・・・自浄システムを内包していないのも問題なんだろう。とにかく、平成の関東軍2なんか読むと・・・・建設省とか道路公団の盗人猛々しい上から目線に我慢できないのだ(大使 抑えて)ツイッター仲間の建設的なツイートを見てみましょう。<印鑰智哉さんの新春ツイート>@tomo_nada: 2013年。厳しい年になりそう。大きなシステムに乗っていれば大丈夫と多くの人は思う。だけどその大きなシステムが崩壊寸前。そんなものからの依存を振り捨てて、小さな確かな連帯に基づく自立したものに移行していくべき年。食料システム、エネルギー、…できるところから!もうすぐ箱根駅伝がスタートやでぇ♪、眠たいがな。<2012年2月ドングリ・ツイート>より復興交付金を民間に流すには各地の信金に融資することになるが・・・ 政策金融公庫が被災者の生活スピードに合わせたスピードで対応する必要があるが・・政策金融公庫も大手銀行もお役所的スピードしか出せない。紐付きの復興交付金とは、要するに縦割り補助金と同じで・・・・審査に手間取ると、各省に滞留するばかりである。 被災者の生活スピードに合わせた、特例スピードが望まれているはず。だいいち、補助金は復興施設が完成後に支給されるので、借金して復興するしかない。・・・・その借金と当座の運転資金はどこから借りたらよいのか・・・そのためにこそ紐なし交付金を払えと言いたい。被災した3300社に対して、補助金が支給されるのは200社だそうだ・・・・使いにくい5省40事業の復興交付金とは何だったのだろう。非常時の交付金支給方法という役所マニュアルに無い対応が望まれるが、千年に一度という頻度では、整合を崩すわけにゆかないのか?
2013.01.02
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反TPP、反モンサントの越年ツイートです。今年もよろしくお願いします。ニューイヤー駅伝がスタートしたけど、当方も走り初めにスタートやでぇ♪ レベルの違いは、言うだけ野暮やでぇ(笑)初日の出<TPP参加反対の輪10>TPP参加反対ツイートを12/23~1/1のツイッタ-に見てみましょう。残念ながら衆院選で自公が圧勝してしまったが、TPPにはしつこく反対することが肝要ではないでしょうか。なお、モンサント社告発の輪も含めています。大手メディアは自民党、財務省、経産省、米国金融、経団連、穀物メジャー、モンサント、対中国抑止力etcの相関を解明する気があるんだろうか?【1月1日】@masaru_kaneko: 【大本営発表社説1】読売の新年社説。まず鳩山元首相が日米同盟を不安定にしたため中韓との関係悪化させたは逆です。野田め政権が日米重視に切り替え、RCEP よりTPP推進に舵を切り、石原氏の挑発に乗った稚拙な国有化でした。アジアで孤立したい? http://goo.gl/ZJfnn@mdonguri: 反TPP、反モンサントの皆様、あけましておめでとうございます。 今年もがんばって、つぶやきましょう。【12月31日】@hiroyukinakano: TPPに加入したらすべてアメリカの都合の良いように裁判でこうなるっていうような見本だね。 賠償50兆円?『トモダチ作戦』米兵8人が東電に賠償請求 http://www.tax-hoken.com/news_asuhUeB1qk.html?recommend@mdonguri: 思考停止のTPP――総選挙に問う(2) http://blog.livedoor.jp/kaneko_masaru/archives/1695399.html あとで、読もう。@tomo_nada: 2012年は非遺伝子組み換えを求める運動にとって最良の年。英語 http://ow.ly/grbNB 被害の拡大、カリフォルニア州の住民投票の敗北もあったが、かつてない人びとがGMの危険に気がつき立ち上がったことは画期的。その意味では原発も【12月29日】@ktht4: TPPでアメリカが日本に求めていることの一つはISD条項だということは容易に推測できる。その国の商習慣を非関税障壁として訴えることが可能になるからだ。これは世界市場を同じルールに統一し、多国籍企業が政府より上の支配権を握るということである。http://kamogawakosuke.info/2012/12/18/no-1020-tpp%e3%81%af%...【12月24日】@nonomami: TPPですべてアメリカの利益に@hajime7120医者・製薬会社・保険会社。「ガン」を商品にして患者から金を巻き上げる、三位一体のシステムが完成している!⇒【「がん」を考える4~がん利権の構造】 http://blog.sizen-kankyo.com/blog/2012/12/0…~「無治療」の選択も有力な選択肢@Chooemon92: 大摩邇(おおまに) : TPP交渉に一旦参加したら抜けられない。→外務省に確認済み http://blog.livedoor.jp/genkimaru1/archives/1741255.html【12月23日】@IWJ_NewsClip: @iwakamiyasumi TPPで皆保険崩壊 消費税で経営破たん/医療守る為に総決起/都内で日本医師会等 しんぶん赤旗 http://bit.ly/VX67Qy 医療の営利産業化につながり国民皆保険を崩壊に導きかねない。健康と福祉の向上を求める立場から看過できない@tomo_nada: ほとんど破綻しかけていた #遺伝子組み換え 鮭、半分の期間で成長し、最大13倍になるというお化け魚、40万件のパブリックコメントを無視して、米国食品医薬品局(FDA)が承認しようとしているという。英語 http://ow.ly/gjpTU 常軌を逸している@tomo_nada: #遺伝子組み換え 鮭の承認は他のGM動物の登場の突破口になってしまう。米国在住者の知人がいたら、ぜひ知らせてほしい。米国議会に遺伝子組み換え鮭の承認を止めさせるためのオンライン署名。米国内限定。英語 http://ow.ly/gjr2wなお、TPP関連で私がフォローしている方々です。@hiroyukinakano: 中野裕之さん@nonomami: ののまみ(未来のため!次は参院選だ!) @biz_journal:biz-journal @bon_bon_p_q: 梵さん@luxi_221: luxiさん@KKnagomi: K.Kengoさん@Chooemon92:Dr.NOMURAさん @ktht4: 輾転(てんてん)さん @OrganicNewsClip: 有機農業ニュース・クリップ @angi4077: angi4077さん @tomoyakitada: 【日本未来の党】kitadatomoyaさん@anti_tpp: TPP反対!さん@HEAT2009: HEATさん@st7q: 高岡滋さん@lovesecatjj: Rachel as NOLYさん @mikio_1962: mikioさん@pfmamimatsu: hachinosumamyさん@2012wat: すけろくちゃん(児玉助六) @MieYasuda: 安田美絵(遺伝子組み換えでない)さん@masaru_kaneko: 金子先生@tsuji_megumu: つじ恵さん@parc_jp: アジア太平洋資料センター(PARC) @ja_tpp:JAグループTPP関連情報@TPP_kantei:STOP TPP!! 官邸前アクション実行委員会@beritapress: 日刊ベリタ@muramachiTPP: TPPに反対する人々の運動@suns_flower: 向日葵さん@levinassien: 内田樹先生@finalcut0011: バロンさん@prspctv: perspectiveさん@tomo_nada:印鑰智哉さん@tosa_suigei: 土佐の酔鯨さん@DWMK_fujita: 藤田和芳さん@magosaki_ukeru: 孫崎享さん@ryujinno2:恵三さん @osamu9912:修さん @shiraiGP:白井和宏さん@urimoro:goodjoneさん@lmn800: 檸檬さん @kaze2014:Hiroshiマスコミ・学者支配を崩せ!さん @maegamieiji: 英司さん@tabtab7: 日本の灯火さん@tanakenta: たけんさん@hajime7120:創さん@uedatakenori: 植田武智さん@mdonguri: 不肖ドングリですアメリカは情報公開が進んでいると思ってきたが、赤旗の報道によれば、TPP交渉に関してはそうでもないようです。11年12月TPP交渉に「守秘合意」発効後4年間、内容公開せずより 現在、米国など9カ国が行っている環太平洋連携協定(TPP)交渉で、交渉内容を公表しない合意があり、交渉文書は協定発効後4年間秘匿されることが、ニュージーランドのTPP首席交渉官の発表で分かりました。 ニュージーランド外務貿易省のマーク・シンクレアTPP首席交渉官は11月末、情報公開を求める労働組合や非政府組織(NGO)の声に押され、同省の公式サイトに情報を公開できない事情を説明する文書を発表しました。同文書は、交渉開始に当たって各国の提案や交渉文書を極秘扱いとする合意があることを明らかにし、文書の取り扱いを説明した書簡のひな型を添付しました。 それによると、交渉文書や各国の提案、関連資料を入手できるのは、政府当局者のほかは、政府の国内協議に参加する者、文書の情報を検討する必要のある者または情報を知らされる必要のある者に限られます。また、文書を入手しても、許可された者以外に見せることはできません。 さらに、これらの文書は、TPP発効後4年間秘匿されます。TPPが成立しなかった場合は、交渉の最後の会合から4年間秘匿されます。 米国のNGO、「パブリック・シティズン(一般市民)」は、「これまでに公表された唯一の文書は、どんな文書も公表されないという説明の文書だ」と批判しました。 日本の政治家、官僚はこのアメリカの戦略性には勝算がないはずなのに、交渉参加を煽るのはなぜでしょうね。次に、TPPの問題点をNHK時論公論『どうするTPP』に見てみましょう。11/29時論公論 『どうするTPP』より●では各政党はTPP交渉参加をどう考えているのか。それを整理したのがこちらです。 ごらんのように、賛成・反対をはっきりさせている政党もいくつかあります。民主党は、野田総理大臣が積極姿勢を見せていましたが、党内の慎重派に配慮してマニフェストは「政府が判断する」という表現に止めています。自民党は「聖域なき関税撤廃なら反対」としながらも、安倍総裁は交渉の参加に含みを残す発言もしています。日本未来の党は、多くの反TPPの議員が合流しています。日本維新の会は「参加はするが国益に反すれば反対」と条件付き賛成の立場です。●2つ目は、アジア太平洋地域で日本がどう生きていくのかビジョンを示すことです。ASEAN中心の協定と日中韓の協定の2つを同時に進める意味は何なのか。仮にTPP交渉に参加した場合、全体の優先順位をどうつけるのか。反対派も参加を拒むのなら、アメリカとの関係をどうするのか、代案があれば、それを提示する必要があると思います。 反TPPの核心TPP参加反対の輪9TPP参加反対の輪8これらも TPPで頭悪すぎ包囲網を敷く6に収録し、保存します。
2013.01.01
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